棚卸資産評価損とは何か?会計知識をわかりやすく解説

更新日:2021年03月19日 発注カテゴリ: 決算申告
棚卸資産評価損とは何か?会計知識をわかりやすく解説

確定申告時に、棚卸資産評価損について学びたいと考える事業者は少なくないでしょう。 これは在庫評価に関する会計知識であり、適切に会計を行ううえでも、経営を分析するうえでも、大切な知識と言えます。言葉尻は難しく見えますが、まったく会計の知識がなくても大枠を理解することは十分に可能です。決算でどのように扱うべきか、どんなものが評価損になりやすいのか、計上の仕方などについても解説します。

棚卸資産評価損とは

まず言葉の意味を理解するところから始めましょう。 「棚卸資産」は「在庫」のことです。 つまり言葉の通り、在庫の価格評価が下がり、損が出るという意味になります。

いかなるものであっても在庫をもって事業を行う事業者である限り、棚卸資産評価損は常に発生するリスクがあることになります。 どのような時に在庫の価格評価が下がるかは、多くの事業者が肌感覚で理解していることでしょう。

自然災害などによる損傷、ブーム終了による客離れなど実にさまざまな要因が考えられますが、結果として想定していた価格帯では販売が難しい状況と理解できます。 事業者としては極限まで避けたい事態であり、利益が減少するどころか、最悪の場合は仕入価格を下回る販売価格で売らざるを得ない状況も起こり得ます。

ここは経営判断ですが、不良在庫となってしまった資産を抱えるよりも、処分したほうがより損失が圧縮できるケースは多々あるのです。 こうして発生する損失を決算する際、会計上、棚卸資産評価損として計上される仕組みになっています。

評価損が計上できるものとは

どのようなものを棚卸資産評価損として計上できるかは、国税庁の公式サイトに掲載されています。 法令では「評価損の計上ができる著しい陳腐化」と表現されていますが、その内容は以下の通りです。

「棚卸資産そのものには物質的な欠陥がないにもかかわらず経済的な環境の変化に伴ってその価値が著しく減少し、その価額が今後回復しないと認められる状態」

一見難解ですが、以下の例も挙げられています。

計上可能な例

(1) いわゆる季節商品で売れ残ったものについて、今後通常の価額では販売することができないことが既往の実績その他の事情に照らして明らかであること。
(2) 当該商品と用途の面ではおおむね同様のものであるが、型式、性能、品質などが著しく異なる新製品が発売されたことにより、当該商品につき今後通常の方法により販売することができないようになったこと。
参照:国税庁ホームページ

つまり簡単に言うと、流行りの夏もの商品が秋以降売れ残った、新型が開発されて現行品が旧型になったといった状況であり、こうしたケースでは損失計上を検討することができると言えます。 もちろんこのほかに破損や型崩れ、たなざらし、品質変化などで通常には販売できなくなった商品も含まれます。

ただし、損失計上できないケースもあり、国税庁は、単なる物価変動、過剰生産、建値の変更などの事情で棚卸資産の時価が低下しただけでは、損失計上ができないと提言しています。

どんなものに棚卸資産評価損のリスクがあるのか

棚卸資産に評価損が出る状況は、事業者にとっては極限まで避けたいものです。 ただ、どうしても商品によっては損失が出やすいリスクがあり、経営的にあらかじめ想定した販売戦略が必要なものがあります。

たとえば、どうしても一時的なブームに左右されやすい商品や季節に左右されやすい商品、イベント特化商品などは最たる例でしょう。 これらの商材は、事業者であれば肌感覚で理解しているでしょうが、どうしても時期を外すと市場から興味を持たれなくなり、価値が低下するリスクがあります。

また、ブームや季節には左右されなくても、商品そのものが破損しやすい、品質が劣化しやすい商品には同じくリスクがあります。 こうした商品を取り扱う事業者であれば、決算時に棚卸資産の評価損計上についても十分に検討が必要です。

棚卸資産の評価方法とは

損失計上するにしても、まずは適正に棚卸資産を評価する方法を理解する必要があります。 棚卸資産の評価方法には、原価法と低価法という2つの方法があり、原価法はさらに5つの計算方法があります。

ポイントは、評価方法ごとに算出金額が異なることです。 正しく理解しなければ税金が高くなる場合もありますが、どちらを採用するかは事業者側が申請する必要があり、申請がない場合は原価法が採用されます。 それぞれ解説します。

原価法

原価法に含まれる5つの計算方法は以下の通りです。 それぞれ特徴があり、商品や業種によって適性が異なります。

個別法

仕入価額の異なる商品ごとに評価します。 実際の仕入金額で記録するため正確性はもっとも高くなりますが、種類数が多い商材では労力がかかりすぎるため、現実的ではありません。 個別管理が基本となる不動産や高額商品などに適した方法です。

先入先出法 FIFO(First In First Out)

言葉の通り、先に仕入れた商品から順に販売すると仮定して計算する方法です。 例を挙げましょう。

日付商品名概要単価数量
4月1日商品A仕入れ100円10個
4月10日商品A仕入れ110円10個
4月20日商品A販売120円15個

4月20日に販売した15個の商品の内訳は、(1日に仕入れた10個)+(10日に仕入れた10個のうち5個)と考えます。 つまり原価合計は(100×10)+(110×5)=1,550円であり、これを1,800円で販売したことになります。

手間が軽減される割には正確性が高く、商品の実際の動きと連動しやすいので利便性の高い計算法です。

平均法

棚卸資産の平均原価を算出する方法です。 総平均法と移動平均法とがあり、総平均法では種類別に期首と期中の合計価額から単価平均を算出します。

移動平均法は、仕入れの都度平均値を算出します。

最終仕入原価法

最終仕入れの取得原価をすべての在庫に適用します。 メリットは計算が非常に簡単であることで、最終原価以外は一切考えません。

手軽で便利ですが、商品によっては価格変動が激しいため実態とかけ離れてしまうリスクがあります。 取り扱う商品の特徴に左右される計算法と言えるでしょう。

売価還元法

異種商品をグループ化する方法で、原価の把握が難しい商品に使われます。 同じ種類を、期末在庫棚卸高(売価) × 原価率で一括計算します。

この方法が採用されやすいのは、スーパーマーケットのような業態です。 商品数も種類数も多く、個別原価が把握できない業種に適していますが、正確性が著しく落ちるのがデメリットです。

低価法

原価法で算出された棚卸資産原価と期末時価を比較して低いほうを採用する方法です。 こちらには「切放法」と「洗替法」という2つの方法があります。

切放法では低価法適用額に基づいて在庫評価額を切り下げ、洗替法では翌期に低価法評価損計上額を戻し入れ、新たに評価損を計上し直します。

棚卸資産評価損の計算方法

評価額が算出できたら、いよいよ棚卸資産評価損を計算します。 とはいっても計算式はとてもシンプルで、以下のようになります。

  • 棚卸資産評価損=棚卸資産評価額−販売した価格

計算で得た在庫の総価値から販売価格を差し引けば、在庫が失った価値が出るという考え方です。 商品の棚卸資産金額が2,000円に対し販売価格が1,800円なら、当然、棚卸評価損は200円になります。 その商品の在庫数が1,000個あれば、200×1,000=100,000円が棚卸資産評価損の金額です。

棚卸資産評価損の計上方法

棚卸資産評価損は、損失分を損益計算書に計上し、在庫金額を減らします。 損益計算書に「評価損」として記載されるわけではなく、あくまで売上原価・製造原価に含まれる形になるため、通常は個別の確認は決算書類の注記事項になることが多いでしょう。

ただし、発生要因が経営母体に関わるような内容の場合は、特別損失として計上されます。 たとえば災害などによる臨時的な事象などは、売上原価・製造原価ではなく特別損失になります。

経営に深く関わり、利益に反映される内容である以上、評価損を計上するか否かは経営的熟考が必須です。 棚卸資産の評価損を計上すると、税務調査で根拠を調べられる可能性も十分にあるため、事実を説明できる資料は必要です。

なお、評価損として計上すればすべてが認められるわけでもありません。 当然ながら単に多く仕入れ、古くなってしまっただけの商品や計画ミスで過剰に生産してしまっただけの在庫では評価損としては認められません。 明確な理由がなければ認められないこともあるため、計上する限りは税務調査でもしっかり根拠を示せるよう準備しておきましょう。

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