棚卸資産の低価法とは?特徴や評価方法のポイントについて解説

更新日:2021年03月19日 発注カテゴリ: 決算申告
棚卸資産の低価法とは?特徴や評価方法のポイントについて解説

物を販売する事業者にとって、棚卸しは避けて通れない作業です。棚卸しを疎かにすると、在庫数が正確に把握できなくなるだけでなく、正確に利益を管理することができず、経営に悪影響を与えることにつながります。棚卸資産の評価方法には、「原価法」と「低価法」の2つがあります。低価法で評価することを検討しているのなら、低価法について事前によく理解しておくことが大切です。ここでは、低価法について、基本の知識から評価方法のポイントまでわかりやすく解説します。

低価法とは

低価法とは簡単に言うと、商品を購入した時の価格と評価する時の価格を比べて、安いほうを評価額とする棚卸資産の評価方法です。 経理上、商品を購入した時の価格は「帳簿価額」、そして評価する時の価格を「期末時価」とします。

ここで言う、棚卸資産とは、在庫をはじめ、「製品」や「仕掛品」、「原材料」などが含まれ、会社が保有する資産とみなされます。

棚卸資産の評価は、利益を確定するために必要な作業です。 通常は、決算日に合わせて実施される傾向にあります。

棚卸資産の評価には、低価法のほかに、商品を購入した原価を評価する「原価法」があります。 どちらの評価方法を採用しても問題ありませんが、低価法は原価法で計算した評価額と期末時価を比較して、最終的な評価額を決める方法であることを覚えておきましょう。

また、一度決めた評価方法は、原則として3年間は変更できません。 つまり、低価法を評価方法として選んだら、最低3年間は継続する必要があります。

原価法の特徴

原価法には、以下の6種類の評価方法があります。

  • 売価還元法
  • 個別法
  • 最終仕入原価法
  • 移動平均法
  • 先入先出法総平均法

税務署で手続きを行わない限りは原価法で確定申告そしなければなりません。

注意すべき点は、さまざまな要因で仕入れ後に市場価格が下がってしまった場合です。 市場価格が下がった分、在庫をそのまま評価してしまうとその分だけ利益が上がったとみなされ、税負担が増えてしまいます。

なお、原価法によって算出された評価額と期末時価の差は、「評価損」とみなされ、計上可能です。

低価法のメリット

棚卸資産の評価は、節税に影響します。 税金は、売上高から売上原価などの費用を差し引いた額にかかるため、売上原価が低ければ低いほど、納める税金も増えるということです。

棚卸資産を評価することで、適切に売上原価を計算できるため、実際よりも利益を高くを申請して税金を多く支払ってしまう、といったことを防げるようになります。 低価法を利用すると、より節税につなげられる可能性が出てきます。

売上原価は、「期首棚卸高」+「当期仕入高」−「期末棚卸高」で算出されます。 低価法で期末卸高が低くなれば、売上原価が高くなるのです。

つまり、費用がかかることになり、利益が減ります。 そしてその結果、節税につながるということです。

また、低価法は原価法で評価された額と期末卸高との差額を、「負債」として計上できる点も、低価法のメリットと言えるでしょう。 低価法では、期末に在庫の市場価値がさまざまな理由で帳簿価額を下回ってしまった場合、その下回った価額で在庫の棚卸資産を評価し、帳簿価額との差額を費用として計上することができます。

たとえば、2,000円で仕入れた商品の「正味売却価格」(販売価格経費を差し引き、最終的に売る人の手元に入るお金)が、1,500円と評価された場合、差額の500円を「評価損」として計上します。

つまり、評価損を計上しなかった場合と計上した場合では、500円の違いがあり、前者はその500円も課税の対象となるわけです。 「500円程度なら」と思うかもしれませんが、多くの商品を取り扱っているわけですから、実際の正味売却価格は、無視できないものになるでしょう。

例では正味売却価格で説明しましたが、業種によっては「再調達原価」(再購入した時点での価額)とすることも可能です。 在庫の中には、仕入れ時よりも、価格が下がるものもあります。

低価法を使うと、年に1度、在庫を調査し、価格が下がった在庫について、調節することが可能になります。 棚卸資産を適切に評価するという視点からすると、これも低価法の大きなメリットになるのではないでしょうか。

低価法のデメリット

低価法のデメリットは、原価法に比べて、事務的な作業が多くなるという点です。 低価法は、一度原価法で計算し、さらに期末棚卸高と比較しなくてはなりません。 特に在庫を多く抱えている卸・販売業になると、大きな負担になるでしょう。

また、低価法には「時価を把握する」という作業もあります。 時価を把握するためには、「どのように把握するか」について、目安なりルールなりが必要になるのです。 商品によっては時価を把握しやすいものもありますが、中にはそれが難しい商品もあります。

そうなると、棚卸資産を評価するのに手間がかかり、ほかの業務に支障を来すとも考えられます。 契約書やレシートなど、売価計算に必要な資料は必ず保存しておくなどの対策を採ることによって、負担を軽くすることもできるのです。 これは、低価法の避けられるデメリットではありますが、ある程度の時間と手間はかかることを考慮しておいたほうが良いでしょう。

低価法を使った評価方法のポイント

低価法で棚卸資産を評価する場合は、仕訳の段階から低価法にすることをおすすめします。 といっても、帳簿に記帳するのは通常低価法になります。 多くの人にとって、それほど難しいことではないでしょう。

ただ、低価法の仕訳には、「洗替法」と「切放法」の2種類あることに注意が必要です。 帳簿上どちらか選択できますが、税法上では前者で仕訳すると決められています。

洗替法での仕訳方法

たとえば、帳簿価額2,000円、正味売却価額が1,800円の商品があったとします。 その場合、決算仕訳整理では、差額の200円を、帳簿上に、「商品評価額 200(借方)」「商品低価評価勘定 200(貸方)」と記帳します。 これで、評価損を計上することができました。

翌期首の帳簿には、「商品低価評価勘定 200(借方)」「商品低価評価勘定戻入益 200(貸方)」と記帳します。 前期と価額が変わらないのは、洗替法が、商品定価評価勘定を基準に評価しているからです。

商品定価評価勘定によって評価損を計上し、その結果、戻入益の計上は翌期首となり、繰越商品の帳簿価格は前期と同じになります。

低価法によって増税が起こると考えられるパターン

洗替法を使うと、戻入益の計上は翌期首になるため、増税になる可能性があります。

どういうことかと言いますと、たとえば前期に500円で仕入れた商品が売れ残り、2期目に繰り越されたとします。 その際商品の評価額が落ちて、300円の評価損になりました。

1期目は500円を経費として計上できますが、2期目は戻入益500円から評価損300円を差し引いた200円が利益となってしまいます。 利益になるということは、課税対象になるということ同じとなり、2期目は200円分課税されることになります。

増税の可能性は、すべてに当てはまるというわけではありません。 たとえば、2期目にその商品が売れた場合や品質が低下したため破棄した場合、「廃棄損」とみなされ、経費として計上することができるからです。

在庫を抱えるよりも、無駄なものを破棄したほうが、節税につながることがよくわかります。 このように、低価法で計上することで、増税が起こることは、考えられないこともありませんが、それほど気にすることではないと言えます。 それよりも、定期的に棚卸しを行い、不要なものを整理したり、セールで処分したりすることを考えるのが得策でしょう。

低価法で負担を軽減しましょう

棚卸資産を評価する、低価法について説明しました。 低価法は原価法よりも柔軟に対応できるという点に大きなメリットがあります。 原価法よりも手間がかかる部分はありますが、節税効果が期待でき、財政的な負担を軽減することも考えられます。 低価法を正しく理解し、棚卸資産の正確な評価につなげましょう。

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