棚卸資産の仕訳はどうやってすればいい?注意すべきポイントも解説!

最終更新日:2023年03月13日
棚卸資産の仕訳はどうやってすればいい?注意すべきポイントも解説!
この記事で解決できるお悩み
  • 棚卸資産の仕訳はどうやって行う?
  • 棚卸資産の仕訳に重要な商品有高帳って何?
  • 棚卸資産の仕訳で注意すべきポイントとは?

棚卸資産を所有しているのであれば、仕訳の方法について知っておく必要があります。購入・販売した時期によって仕訳の方法が変わるため、棚卸資産の仕訳は少し複雑です。

この記事では、棚卸資産の仕訳方法について詳しく解説します。仕訳する際に覚えておくべきポイントを説明するので、棚卸資産を抱えている企業や個人事業主の方はぜひ参考にしてください。

棚卸資産の仕訳例3つ

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棚卸資産の仕訳では、仕入や販売の時期に合わせて会計処理をしなければなりません。期首に残っている棚卸資産、期中に購入した棚卸資産をどのように仕訳するべきか知っておくことが重要です。以下の3つから仕訳例をみていきましょう。

  • 期首の棚卸資産
  • 期中に仕入れた棚卸資産
  • 期中に販売した棚卸資産

期首の棚卸資産

期首の棚卸資産は、まだ利益になっていない企業の資産です。貸借対照表上では、前期末の棚卸資産と同じ金額が記載されていなければなりません。

例:前期に15万円の商品が6個売れ残った場合

前期に15万円の商品が6個売れ残って棚卸資産になった場合、期首の棚卸資産も同様に90万円となります。

これから販売して企業の利益となる在庫なので、所有している現金や建物などと同じ資産として扱うのがポイント。損益計算書の仕入勘定として記載するため、棚卸資産勘定を増減させる仕訳は行いません。

期中に仕入れた棚卸資産

期中に仕入れを行った場合には、会計処理の仕訳を行います。借方に仕入れの価格、貸方に買掛金の金額を記載しましょう。重要なのは、仕訳の際に付随費用を含まなければならないこと。商品の価格の他にも、運送費がかかる可能性があります。

単価1万円の商品を100個仕入れた際に、運送費が5万円かかったとしましょう。仕訳では、商品の価格100万円だけでなく、運送費も含めて仕訳を行います。

  • 借方:仕入  1,050,000円 / 貸方:買掛金 1,050,000円

期中に販売した棚卸資産

期中に仕入れた商品を販売した場合にも、仕訳が必要です。借方には売掛金、貸方には売上金額を記載します。商品有高帳を使い、販売した数量を記録することも重要なポイント。在庫がどのくらいあるかを把握する助けになります。

たとえば、11,000円の商品を10個販売したのであれば、以下のような記載が必要です。

  • 借方:売掛金 55,000円 / 貸方:売上  55,000円

棚卸資産の仕訳で重要な商品有高帳への記録方法

棚卸資産の仕訳では、商品有高帳への記録が非常に重要です。商品有高帳とは、商品の種類ごとの在庫数や受入数、払出数を詳細に記録している帳簿を指します。 商品有高帳の記録方法は以下の2種類がありますが、併用する場合も多いので書き方を覚えておきましょう。

  • 継続記録法
  • 棚卸計算法

継続記録法

継続記録法は、商品の仕入れや販売を行ったときに数量を記録する方法です。常に記録が取られているため、現時点での在庫を把握しやすいのがメリット。仕入れや販売のたびに記録を取る事務作業が増えることに注意しましょう。継続記録法を用いれば、期末時点で本来あるべき棚卸資産の数が正確にわかるのです。

棚卸計算法

棚卸計算法、もしくは定期棚卸法は、商品を仕入れたときにのみ商品有高帳へ個数を記入する方法です。販売時に個数を記入しない点が継続記録法との大きな違い。期末に実際の棚卸を行い、棚卸資産の数を確認します。

期首の棚卸資産、商品有高帳に記載されている仕入れ数、期末の在庫数から、間接的に販売数を計算する手法です。

棚卸資産の仕訳のポイント2つ

棚卸資産の仕訳のポイント2つ

棚卸資産の仕訳は、在庫管理に欠かせない業務の1つです。適切な在庫管理や仕入れを行うためには、棚卸資産の仕訳を慎重に行わなければなりません。

棚卸資産の仕訳は普段から行う

棚卸資産の仕訳は、普段からこまめに行うのがベストです。会社によっては、棚卸資産の仕訳を決算時にだけ行っているところもありますが、在庫を適切に管理するため月次棚卸を行うのもいい方法。毎月棚卸資産の仕訳を行っていれば、在庫数のずれに早く気付くことができ、決算時にどこからずれが生じたかさかのぼらずに済みます。

月次棚卸によって、毎月末どのくらいの在庫があるのか、今後の仕入れをどうしていくべきか決定しやすくなるでしょう。

棚卸資産は多すぎても少なすぎてもリスクがある

棚卸資産の仕訳では、在庫が多すぎても少なすぎてもリスクがあることを意識しておく必要があります。在庫が多すぎると、不良在庫を抱えてしまうリスクが高まるでしょう。在庫の保管料や人件費がかかる点にも注意が必要です。

棚卸資産が少なすぎると、利益を得る機会を失ってしまう恐れも。業界によっては、品揃えが少ないと顧客が離れていってしまうこともあります。棚卸資産が適切な範囲に収まるように、在庫管理と仕訳を正確に行わなければならないのです。

まとめ

棚卸資産の仕訳は期首や期中に、必要に応じて行います。棚卸資産の管理に重要な商品有高帳を作成して、仕入数や販売数を随時把握できるようにしておきましょう。在庫管理を普段から行い、仕入れを適切に行っておけば、利益を上げる機会を逸することなく業績を伸ばせるのです。

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監修者の一言

棚卸資産に関する仕訳を起票するにあたっては、商品有高帳への記録が必須といえます。記録の方法には、「継続記録法」と「棚卸計算法」がありますが、いずれの方法のメリット・デメリットを踏まえて選択する必要があります。

すべての棚卸資産をいずれか1つの計算法で計算しなければならないわけではないため、営業上で常に在庫数の把握が必須となる商品在庫は「継続記録法」、備品等の貯蔵品在庫は管理の手間を踏まえて「棚卸計算法」といったことも可能となっています。

また、継続記録法を採用した場合においても、記録した帳簿上の在庫数と実際の在庫数が整合するかを確認するため、少なくとも期末には実地棚卸を行うことが望まれます。

三井公認会計士・税理士事務所
代表 三井 岳
監修者

東京都世田谷区にて会計事務所を運営している。大手監査法人での経験を生かして、税務顧問、決算支援、内部統制導入支援及び研修講師等の業務を行っている。顧客目線でのサービス提供を特長として、個人から上場会社までの幅広い規模・業種の対応を行っている。

比較ビズ編集部
執筆者
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