法人が支払う消費税の計算方法とは?消費税の仕組みや納税義務者を解説!
- 消費税の納税義務は誰にあるのか?
- 事業の消費税の納税義務はどう判断するのか?
- 消費税額の計算方法とは?
「法人が支払う消費税の計算方法をどうすればいいのか分からない…」という方必見!
この記事では法人を営んでいる事業主の方に向けて、消費税の計算方法や免税対象となる条件ついて解説。最後まで読めば、消費税のスムーズな申請から支払いを完了させることができます。
消費税は商品やサービスのみに支払い義務があるわけではなく、広告や事務手数料なども課税対象となります。
法人の消費税計算から申告方法、免税対象となるケースまでぜひ参考にしてください。
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消費税とは
消費税は、商品や製品などの販売、サービスの提供など、有形・無形の商取引に対し、本体価格に上乗せする形で課税される税金のことです。
日本は原則として本体価格の10%を消費税として加算します。飲食料品などの一部が8%の軽減税率となり、2つの消費税率が混在しています。
法人として事業を営んでいる場合、商品・サービスの販売・提供のみならず、運送・物流、広告、事務手数料などを含むほとんどが課税対象です。それぞれ8%か10%の税率に分けて全体の消費税を算出しましょう。
消費税が発生する取引
ほとんどの商品やサービス以外に、資産の譲渡や貸付け、税理士などの専門知識に基づく任務の提供にも消費税が発生します。商品やサービスを消費者に販売・提供した法人または事業者は、商取引の結果として受け取った消費税を納税する義務があります。
ただし課税売上高が1,000万円を超える事業者のみが課税対象となり、これに当てはまらない場合は非課税扱いとなります。
消費税が発生しない取引
例外に消費税が発生しない取引は、海外輸出を目的とした免税取引や土地の譲渡・貸付け、行政手数料、従業員の給与などが当てはまります。消費に該当しないもの、消費税の目的・狙いから外れる一部の取引に関しては課税されない仕組みです。
消費税の納税義務がある法人または事業者
全ての法人や事業者が消費税の課税事業者に該当するわけではありません。ここからは、消費税の納税義務がある3つの特徴について解説します。
- 「基準期間」の課税売上高が1,000万円を超える場合
- 「特定期間」の課税売上高が1,000万円を超えた場合
- 「特定期間」の課税売上高と給与等支払額の両方が1000万超えた場合
「基準期間」の課税売上高が1,000万円を超える場合
年間に1,000万円以上の売上がある法人や個人事業主の場合、消費税の課税対象となります。この場合、課税期間中に1,000万円以上の売上があり、納税義務は翌年に発生することに注意しましょう。
課税期間 | 消費税の申告・納付の対象となる年(個人事業主)・年度(法人)のこと |
---|---|
基準期間 | 消費税の納税義務の判定基準となる年(個人事業主)・年度(法人)のこと |
課税売上高 | 消費税の対象になる「課税取引の売上金額」から、返品・値引き・リベート・キックバックなど、消費者に還元した金額を差し引いたもの |
課税売上高=課税取引の売上金額(消費税を除く)- 取引で生じた返品・値引き・リベート・キックバックの合計(消費税を除く)
「特定期間」の課税売上高が1,000万円を超えた場合
特定期間中に1,000万円以上の売上がある法人や個人事業主の場合、消費税の課税対象となります。
個人事業主や法人は、時期によって売上高に変動がある場合があります。「基準期間」の売上高が1,000万円未満の場合でも、「特定期間」に売上高が1,000万円を超えた場合は自動的に消費税の納税義務が発生します。
特定期間
特定期間は、事業者が個人事業主か法人かで期間が変動します。期間の違いは以下のとおりです。
個人事業主の場合 | 前年の1月1日〜6月30日 |
---|---|
法人の場合 | 前事業年度開始の日以後の6カ月間 |
「特定期間」の課税売上高と給与等支払額の両方が1,000万超えた場合
特定期間中に課税売上高と給与等支払額のどちらも1,000万超えた場合、消費税の納税義務が発生します。
反対に課税売上高か給与等支払額のいずれかが1,000万円未満であれば、消費税の納税義務から外れるという仕組みです。
消費税の免税対象となる事業者のケース
課税売上高や給与等支払額が1,000万円以上となった時点が、消費税を支払う義務があるかどうかの判断基準です。
原則全ての事業者に消費税支払いの義務が発生しますが、ケースによっては消費税の免税対象となる場合もあります。ここからは以下2つの免税対象の条件を解説しましょう。
- 事業開始から2年目までの場合
- 法人設立時の資本金が1,000万円未満の場合
事業開始から2年目までの場合
消費税が課税対象となるかどうかは、「基準期間」の売上高で判断されます。
基準期間は個人事業者で課税期間の前々年、法人で課税期間の前々事業年度なので、設立1〜2年目の基準期間は存在しません。事業開始から2年目までの場合は、売上高が1,000万円以上でも、原則消費税の課税対象とはならないのです。
課税対象となるタイミングの年度で法人にすることで、最大4年まで消費税の免除期間を延長できる可能性もあります。
法人設立時の資本金が1,000万円未満の場合
法人を設立する際に、資本金を1,000万円未満にすることで消費税の免税対象となります。小規模で事業開始が間もない法人にとって消費税の計算や納税は負担なはず、という理由で免除とされています。
ただし資本金を1,000万円以上とした場合や、資本金が1,000万円未満でも課税売上高が1,000万円以上の場合は、免除とならない可能性があります。
消費税額(一般課税)の計算方法
課税事業者は、消費者が支払った消費税を納税前に一時預かりしています。そのまま全額納付してしまうと「消費税を払いすぎる=二重課税」になってしまいます。
税が累積しない仕組みを採用する消費税の場合、申告・納付する消費税額を以下の計算式で算出することが可能です。
申告・納付する消費税額=(課税売上高に関わる消費税部分)ー(課税仕入高に関わる消費税部分)
上記の計算式で計算する際は、課税仕入高・課税仕入高が消費税率10%と8%のものに分けて算出することに注意しましょう。
消費税の納付に関する2つの特例措置
小規模事業者や中小法人にとって、消費税額を計算するのは負担が大きい作業です。この負担を軽減する目的で設けられた特例措置が2つ存在するため、それぞれ解説します。
- 事業者免税点制度
- 簡易課税制度
事業者免税点制度
事業者免税点制度とは、小規模事業者や中小法人の事務負担・税務コストに配慮した特例措置のことです。課税売上高・給与支払い(給与支払額は特定期間のみ)総額が1,000万円以内であれば、消費税の納税義務の免除を受けることができます。
簡易課税制度
課税事業者となる法人や事業者のなかでも、課税売上高5,000万円以下の中小事業者の事務負担を軽減するために設けられている特例措置のことです。
簡易課税制度を選択した法人・事業者は、課税仕入高に関わる消費税額を「みなし仕入率」で計算できます。消費税の申告・納付にかかる事務作業を削減できるメリットがあります。
法人が消費税申告・納付する際の注意点
消費税の申告と納付は、個人事業主であれば確定申告、法人であれば決算と同時に手続きを進めることが基本です。ただし所得税や法人税とは異なる決まりもあるため注意が必要です。
消費税の申告と納付をする前に、以下3つの注意点を理解しておきましょう。
- 申告遅れや納付期限を守ること
- 消費税48万円を超える事業者は中間申告と納付が義務であること
- 課税売上高や給与支払い総額が1,000万円以上で課税対象となること
申告遅れや納付期限を守ること
消費税は、個人事業主であれば課税期間の翌年3月末日まで、法人であれば課税期間年度の翌日から2カ月以内に税務署に申告・納付します。期限内に申告・納付ができない場合、加算税や延滞税が発生する可能性が高まるため注意しましょう。
消費税48万円を超える事業者は中間申告と納付が義務であること
直前の課税期間で納付した消費税額(国税のみ)が48万円を超える法人や事業者は、中間申告・納付が義務です。期限内に申告・納付しないと、加算税や延滞税の対象となる可能性があるため注意が必要です。
直前の課税期間に納付した消費税額に応じて、中間申告・納付の回数は以下のとおりです。
直前の課税期間に納付した消費税額 | 中間申告の回数 | 中間申告の納付額 |
---|---|---|
48万円以下 | - | - |
48万円超〜400万円以下 | 年1回 | 直前の課税期間に納付した消費税額の1/2ずつ |
400万円超〜4,800万円以下 | 年3回 | 直前の課税期間に納付した消費税額の1/4ずつ |
4,800万円超 | 年11回 | 直前の課税期間に納付した消費税額の1/12ずつ |
中間申告・納付が必要かどうか、判断の基準になるのは「納付した消費税の国税分」です。実際に中間申告で納付する際は「地方消費税も同時に納付する」必要があります。
課税売上高や給与支払い総額が1,000万円以上で課税対象となること
特例措置として免除されている、事業者免税点制度の対象法人や事業者であっても、自動的に課税対象となることがあります。
基準期間・特定期間に1,000万円以上の課税売上や給与支払いの基準を満たした場合は、速やかに「消費税課税事業者届出書」を提出しましょう。
まとめ
過去に一度も消費税を納付したことがなくても、売上高が一時的に1,000万円以上となれば納税義務が発生します。消費税は複数の税率があるため、それらを分けて算出する必要があり事業者の負担となります。
消費税の申告・納付には、簡易課税制度を使うことができたり、法人成りのタイミングで免除できたりと選択肢が多く決断を迷いがちです。
税務のスペシャリストである税理士をうまく活用することで、節税のアドバイスをもらえたり、帳簿付けの代行で負担を軽減させてくれます。
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マイクロクラウド会計事務所代表 鈴木康寛(税理士・公認会計士)横浜市出身。BIG4監査法人在籍中に上場準備企業に出向して上場準備業務に従事、上場に成功。その後上場企業の財務経理部門を経て独立開業する。自らもマイクロ法人を設立した経験を活かし『全ての人にマイクロ法人を』をスローガンにマイクロ法人の素晴らしさを啓蒙中。著書に「収益認識 (共著)(清文社)」「マイクロ法人節税に騙されるな(Amazon KDP)」。
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消費税は、一般の納税者の感覚と大きく乖離している部分があるので非常に注意が必要な税目です。例えば、備品等の固定資産を売却した場合の売却収入は、法人税法上は売上にはなりませんが、消費税法上は課税売上になります。
他にも、将来の設備投資の予測や売上の予測等によって、どの課税方式を選択するのが有利化が変わってくるので、将来の予測力が非常に重要になるという特徴があります。
例えば、事業開始後数年は売上がほとんどなくて、支出ばかりが多い事業の場合は、敢えて免税ではなく、はじめから原則課税方式を選択する方が有利な場合もあります。
これらの判断は専門家である税理士の助けが最も有効である分野です。そのためにも、綿密なコミュニケーションが取れる税理士を味方にすることが良いでしょう。