法人は消費税の納税者?消費税の仕組み・計算方法・申告の注意点を解説!

更新日:2021年11月25日 発注カテゴリ: 決算申告
法人は消費税の納税者?消費税の仕組み・計算方法・申告の注意点を解説!

「法人を設立したら消費税の納税義務がある?」「そもそも消費税の仕組みがよくわからない」「納税する消費税の計算方法や申告時の注意点は?」法人設立して間もない方、あるいは法人成りを検討している個人事業主の方であれば気になっているかもしれません。事業規模によっては法人であっても納税免除されることもある消費税は、仕組みが非常にわかりにくい一面があるからです。そもそも仕入にも含まれている消費税の扱いはどうするのか?納税にあたっての計算方法がわからない方も多いでしょう。そこで本記事では、仕組み・計算方法・申告時の注意点を含む消費税の基礎知識を徹底解説!法人設立時に知っておきたい消費税のポイントも紹介していきます。

消費税とは

消費税とは、商品や製品などの販売、サービスの提供など、有形・無形の商取引に対し、本体価格に上乗せする形で課税される税金のことです。

日本では2019年10月1日より税率が引上げられ、原則として本体価格の10%を消費税として加算する形になりましたが、飲食料品などの一部が「8%の軽減税率」として据え置かれたことにより、複数の消費税率が混在する状況になっています。

消費税は「資産の譲渡」「資産の貸付け」「役務の提供」などが対象となるため、商品・サービスの販売・提供のみならず、運送・物流、広告、事務手数料などを含む「対価を得て実施する商取引」のほとんどが課税対象。海外からの輸入商品にも輸入時に消費税が課税されます。

消費税は国税と地方税の合計

10%の標準消費税、8%の軽減消費税は、それぞれ国税と地方税(地方消費税)の合計です。つまり、エンドユーザーとなる消費者は、商品・サービス購入時に消費税と地方消費税を合わせて支払っていることになります。

地方消費税は消費税の22 / 78と定められているため、税率が変化しても割合は同じ。それぞれの消費税率に対する国税・地方税の税率は以下の通りです。

消費税率 消費税率(国税) 消費税率(地方税)
標準税率(10%) 7.8% 2.2%
軽減税率(8%) 6.24% 1.76%

消費税の負担は消費者・納税は法人・事業者

商品・サービスに課税される消費税を負担するのは、最終的なエンドユーザーである消費者です。一方、商品・サービスを消費者に販売・提供した法人・事業者には、商取引の結果として受け取った消費税を納税する義務があります。課税事業者である法人は、消費者が支払った消費税を、納税前に一時預かりしていると考えればわかりやすいでしょう。

たしかに消費税は預かっているが、自社も仕入時に消費税を支払っているから二重課税になるのでは?そう考える方も多いかもしれませんが、消費税は「税が累積しない仕組み」が採用されていることが特徴です。

国税庁「消費税のしくみ」

出典:国税庁「消費税のしくみ」

消費税の対象外となる非課税取引

幅広い商取引・消費活動に課税される消費税ですが、消費に該当しないもの、消費税の目的・狙いから外れる一部の取引に関しては課税されません。代表的なものには、海外輸出を目的とした免税取引が挙げられます。

これは、消費税が「国内の消費活動」を対象にするため。そのほかにも、以下のような取引が消費税の対象外となる非課税取引として挙げられます。

取引の種類 具体例
非課税取引 土地の譲渡・貸付けなど
有価証券などの譲渡
行政手数料
不課税取引 従業員の給与・賃金など
損害賠償金の受取りなど

参照元:国税庁「消費税のしくみ」

消費税の納税義務がある法人・事業者

ここまでで、消費税の基本や仕組みについて簡単に解説してきました。上述したように、商品・サービスを消費者に販売・提供した法人・事業者には、商取引の結果として受け取った消費税を納税する義務がありますが、すべての法人・事業者が課税事業者に該当するわけではありません。

それでは、消費税の納税義務があるのは、どのような法人・事業者なのか?課税期間の対象となる「基準期間」の課税売上高が1,000万円を超える、または「特定期間」の課税売上高が1,000万円を超えた法人・事業者は、課税事業者として消費税を納税する義務があります。

課税売上高とは

専門的な用語が出てきたため、一つひとつ簡単に解説していきましょう。課税売上高とは、消費税の対象になる「課税取引の売上金額」から、返品・値引き・リベート・キックバックなど、消費者に還元した金額を差し引いたもの。計算式は以下の通りです。

計算式

課税取引の売上金額(消費税を除く)- 取引で生じた返品・値引き・リベート・キックバックの合計(消費税を除く)= 課税売上高

上述の計算式によって算出した課税売上高が1,000万円超える法人・事業者であれば、課税事業者として消費税を納税する必要があります。なお、給与支払いの総額が1,000万円を超える法人・事業者にも消費税の納税義務が生じます。

消費税の課税期間・基準期間・特定期間とは

課税期間とは、消費税の申告・納付の対象となる年(個人事業主)・年度(法人)のこと。基準期間とは、消費税の納税義務の判定基準となる年(個人事業主)・年度(法人)のことです。

基準期間は課税期間の前々年(個人事業主)・前々年度(法人)と定められており、基準期間に課税売上高、もしくは給与支払い総額が1,000万円を超えていなければ、消費税の申告・納付は必要ありません。

ただし、基準期間の翌年(翌年度)以降の6か月間とされる「特定期間」に、課税売上高・給与支払い総額が1,000万円を超えた法人・事業者は、課税事業者としてみなされます。

国税庁「消費税のしくみ」2

出典:国税庁「消費税のしくみ」

逆にいえば、課税売上高が1,000万円を超える法人・事業者であっても、法人設立・開業から最大2年間、申告・納付が免除されるのが、所得税・法人税と異なる消費税の特徴だといえるでしょう。

法人が納税する消費税額(一般課税)の計算方法

それでは、課税事業者となる法人・事業者は、申告・納付する際に消費税額をどのように計算すればいいのでしょうか?

課税事業者は、消費者が支払った消費税を納税前に一時預かりしてはいますが、そのまま全額納付してしまうと「消費税を払いすぎる = 二重課税」になってしまいます。税が累積しない仕組みを採用する消費税の場合、申告・納付する消費税額を以下の計算式で算出することが原則です。

計算式

(課税売上高に関わる消費税部分)-(課税仕入高に関わる消費税部分)= 申告・納付する消費税額

課税仕入高とは

課税仕入高とは、消費税の対象になる「課税取引の仕入金額」から、返品・値引き・リベート・キックバックなど、自社に還元された金額を差し引いたもの。計算式は以下の通りです。

計算式

課税取引の仕入金額(消費税を除く)- 取引で生じた返品・値引き・リベート・キックバックの合計(消費税を除く)= 課税仕入高

課税仕入高には、商品・原材料の仕入金額はもちろん、機械などの設備投資、賃借・運送などのサービスにかかった金額も含まれますが、人件費は含まれません。

消費税(一般課税)の計算例

具体的な例を挙げて、法人が申告・納付すべき消費税額を計算してみましょう。課税売上高5,000万円だった課税事業者の課税仕入高が4,000万円だったケースで、それぞれの消費税率は10%とします。

課税売上高の消費税額 5,000万円 × 10% = 500万円
課税仕入高の消費税額 4,000万円 × 10% = 400万円
申告・納付する消費税額 500万円 - 400万円 = 100万円

ただし、現在の日本では標準税率である10%のほかに、軽減税率となる8%の消費税が存在することを忘れてはなりません。課税仕入高・課税仕入高を10%のもの、8%のものに分類してそれぞれの消費税額を算出し、最後に課税売上高の消費税総額から課税仕入高の消費税額を差し引く必要があります。

事業者免税点制度・簡易課税制度とは

ここまでで、法人が納税する消費税額の計算方法を解説してきましたが、一般課税ともいわれる手法で消費税額を計算するのは簡単なことではありません。小規模事業者や中小法人にとって、申告・納付が大きな負担となってしまうことが考えられます。

こうした小規模事業者・中小法人の負担を軽減する目的で設けられた特例措置が「事業者免税点制度」「簡易課税制度」です。

事業者免税点制度とは、小規模事業者・中小法人の事務負担・税務コストに配慮した特例措置のこと。課税売上高・給与支払い総額が1,000万円以内であれば、消費税の納税義務を免除されるのは、事業者免税点制度があるためです。

もうひとつの簡易課税制度とは、課税事業者となる法人・事業者のなかでも、課税売上高5,000万円以下の中小事業者の事務負担を軽減するために設けられている特例措置のこと。簡易課税制度を選択した法人・事業者は、課税仕入高に関わる消費税額を「みなし仕入率」で計算できるため、消費税の申告・納付にかかる事務作業を削減できるメリットが得られます。

参照元:財務省「消費税の中小・小規模事業者向けの特例に関する資料」

法人が納税する消費税額(簡易課税)の計算方法

法人・事業者が簡易課税制度を利用するためには、基準期間の課税売上高が5,000万円以下という条件を満たしたうえで、課税期間前に「簡易課税制度選択届出書」を提出しておく必要があります。

ただし、課税売上高だけで申告・納付する消費税額を計算できる手軽さがある一方、簡易課税制度を選択した法人・事業者は、2年間継続して適用しなければならないことは覚えておく必要があるでしょう。簡易課税による消費税の計算方法は以下の通りです。

計算式

(課税売上高に関わる消費税部分)-(課税売上高に関わる消費税部分 × みなし仕入率)= 申告・納付する消費税額

みなし仕入率とは

みなし仕入率とは、業種に応じた一定の率で仕入があったこととみなすことで、課税仕入高の消費税額計算を省略できるという仕組み。みなし仕入率は、課税事業ごとに6つに区分され、それぞれの税率が以下のように定められています。

  具体的な業種 みなし仕入率
第1種事業(卸売業) - 90%
第2種事業(小売業等) 小売業、農林漁業(飲食料品の譲渡) 80%
第3種事業(製造業等) 農林漁業(飲食料品の譲渡を除く)、建築業、製造業 70%
第4種事業(その他) 飲食店業など 60%
第5種事業(サービス業等) 運輸・通信業、金融・保険業、サービス業 50%
第6種事業(不動産業) - 40%

消費税(簡易課税)の計算例

具体的な例を挙げて、法人が簡易課税制度で申告・納付すべき消費税額を計算してみましょう。第2種事業の小売業に該当する課税事業者が、課税売上高5,000万円だったケースで、それぞれの消費税率は10%とします。

課税売上高の消費税額 5,000万円 × 10% = 500万円
申告・納付する消費税額 500万円 -(500万円 × 80% = 400万円)= 100万円

法人が消費税申告・納付する際の注意点

ここまでの解説で、消費税の仕組みや納付額の計算方法はおおむね把握できたのではないでしょうか?それでは、消費税を申告・納付はどのように行えばいいのか?消費税の申告・納付は、個人事業主であれば確定申告、法人であれば決算と同時に手続きを進めることが基本ですが、所得税や法人税とは異なる決まりもあるため注意が必要です。以下から簡単に解説していきましょう。

消費税申告・納付の時期・場所

消費税は、個人事業主であれば課税期間の翌年3月末日まで、法人であれば課税期間年度の翌日から2か月以内に、地方消費税と合わせて所轄の税務署に申告・納付しなければなりません。

たとえば、2021年が課税期間となる個人事業主であれば、翌2022年3月末日が期限。3月末日決算の法人の2021年度が課税期間であれば、翌2022年5月末日が消費税の申告・納付期限です。

例外として挙げられるのは、商品の輸入取引に係る法人・事業者です。輸入商品の場合は、外国貨物を保税区域から引き取るまでに、関税を含む消費税を「所轄の税関」に支払います。

参照元:東京都主税局「消費税(国税)・途方消費税(都道府県税)」

消費税の中間申告・納付とは

消費税の申告・納付でもっとも注意しておきたいポイントは、直前の課税期間で納付した消費税額(国税のみ)が48万円を超える法人・事業者に、中間申告・納付が義務付けられていることです。

期限内に申告・納付しないと、加算税・延滞税の対象となる場合があるため注意が必要。直前の課税期間に納付した消費税額に応じ、中間申告・納付の回数は以下のように決められています。

直前の課税期間に納付した消費税額 中間申告の回数 中間申告の納付額
48万円以下 - -
48万円超〜400万円以下 年1回 直前の課税期間に納付した消費税額の1/2づつ
400万円超〜4,800万円以下 年3回 直前の課税期間に納付した消費税額の1/4づつ
4,800万円超 年11回 直前の課税期間に納付した消費税額の1/12づつ

中間申告・納付が必要かどうか、判断の基準になるのは「納付した消費税の国税分」ですが、実際に中間申告で納付する際は「地方消費税も同時に納付する」必要があります。

消費税に関連する届出

課税売上高・給与支払い総額が1,000万円を超える法人・事業者には消費税の納税義務がありますが、免税事業者が自動的に課税事業者に切り替るわけではありません。

事業者免税点制度の対象法人・事業者であっても、基準期間・特定期間に課税事業者の基準を満たした場合は「速やかに」消費税課税事業者届出書を提出する必要があります。

逆に、課税売上高が1,000万円を下回れば、消費税の納税義務者ではなくなった旨を届けなければ、継続して消費税を納付することになってしまいます。

また、課税事業者の法人・事業者が、簡易課税制度を選択する場合にも届出書の提出が必要ですが、選択するかどうかは慎重に検討するべきです。

なぜなら、大規模な設備投資をする際などには、一般課税で消費税額を算出した方が納付額が少なくなるケースもあるから。迷ってしまうようであれば、税理士への相談がベストかもしれません。

法人設立時に知っておきたい消費税のポイント

消費者から預かる形の消費税は、適切に納税することが義務ではありますが、できれば税金の支払いは抑えたいもの。そこで以下からは、法人成りを検討している個人事業主の方に向け、法人設立時に知っておきたい消費税のポイントを紹介していきます。

法人成りと消費税の免除期間

ビジネスが成長軌道に乗って来た個人事業主の方なら、所得税を支払うより、法人成りして法人税を支払う方が税制面で有利ですが、消費税に関しても有利な扱いを受けられる場合があります。

これは、法人成りで新たな法人を設立すると、過去の実績がないものと見なされるため、課税売上高が1,000万円を超えていても「消費税の納付が2年間免除」されるからです。

つまり、個人事業主として課税事業者の対象になったタイミングで法人成りすることにより、消費税の免除期間が最大4年間まで延長できる可能性があります。

ただし、基準期間の最初の6か月で課税売上高・給与支払い総額がともに1,000万円を超えると、翌期から消費税の納税義務が生じる場合も。ビジネスの規模によっては免除期間が得られないケースもあるのです。

法人設立時の資本金

消費税の納付義務のない免税事業者は、課税売上高・給与支払い総額がそれぞれ1,000万円を超えないことという条件がありますが、実はもうひとつ「免税事業者になるための条件」があります。それが資本金の額が「1,000万円未満」という条件です。

法人設立時の初期段階、社会的な信用などを考えれば、資本金が大きければ大きいほど安心できるのは事実ですが、1,000万円以上の資本金で法人設立した場合は消費税の免除期間が適用されません。資本金の増資は、ビジネスが軌道に乗ってから検討した方がいいでしょう。

まとめ:税理士をうまく使おう

本記事では、仕組み・計算方法・申告時の注意点を含む消費税の基礎知識を解説するとともに、法人設立時に知っておきたい消費税のポイントも紹介してきました。一般にはわかりにくい税制のなかでも、複数の税率が存在する消費税は、もっともわかりにくい税金だといえるかもしれません。

簡易課税制度を活用すべきか?法人成りのタイミングをどうすべきか?資本金はいくらにすべきか?など、重要な決断の結果として扱いが大きく変化してくるのも消費税の特徴。思い悩んで間違った判断をしてしまわないためにも、税務のスペシャリストである税理士をうまく使うことがおすすめです。

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