棚卸資産を評価する!会計基準のポイントとは

更新日:2021年03月19日 発注カテゴリ: 決算申告
棚卸資産を評価する!会計基準のポイントとは

棚卸資産を評価するにあたり、理解が必要となるのが会計基準です。現行においては平成20年9月改正の「棚卸資産の評価に関する会計基準(企業会計基準第9号)」の規定に基づき評価し、これに従って処理をすることとなります。期末決算で重要となる棚卸資産の会計処理や棚卸資産に関する会計のポイントを解説します。

会計基準に該当する棚卸資産の定義

まず、棚卸資産の定義を整理しましょう。

第1に、商品や製品はもちろん、半製品(仕掛品)や原材料も外形を備えた資産であれば該当します。 第2に、営業目的で売却を予定しているものであることが前提です。

また販促や一般管理で短期に消費される事務用品や消耗品も、棚卸資産に含めることができます。 棚卸資産は、これらの範囲において認められることをまずは理解しておきましょう。

ただし、会計基準という意味で考えると、少々異なる特徴が出てきます。 特に売却部分に関わってくるのですが、通常の販売活動を目的とする棚卸資産のほかに、トレーディングを目的とする棚卸資産があります。

これら2つは区別され、会計基準ではそれぞれについて会計処理と開示の定めがあることが特徴です。 また、棚卸資産には該当しないとされる除外範囲についても理解する必要があります。

除外される範囲とは

棚卸資産に該当しないとされるものは、当然ほかの会計基準で取り扱う必要があります。 たとえば売買目的の有価証券は「金融商品に係る会計基準(企業会計基準第10号)、販売目的のソフトウェアは「研究開発費等に係る会計基準(企業会計審議会)」の適用となります。

逆に、建設業での未成工事支出金は棚卸資産の対象であるものの、同時に工事損失引当金の対象でもあります。 この場合、引当金を計上して収益性の低下が適切に会計処理されていれば、棚卸資産の会計基準は適用されません。

簡単に言えば、赤字工事の未成支出金は工事損失引当金として計上すべきであり、これが適切に会計処理されていなければ、原則、棚卸資産の会計基準を適用しなければならないことになります。

決算時の棚卸資産の会計処理フロー

決算時には、期末棚卸資産の数量と単価を把握し、期末棚卸資産の評価を行う必要があります。 フローとしては以下の通りです。

  • 1.商品有高帳などで期末棚卸資産を集計
  • 2.棚卸を行い帳簿上の数量と比較(減耗損を計算)
  • 3.期末棚卸資産の評価(原価法・低価法)
  • 4.売上原価算出

棚卸資産の評価方法には主に6種類あり、個別法、先入先出法、総平均法、移動平均法、最終仕入原価法、売価還元法となります。 事業形態や業種によって採用すべき評価法は異なりますが、帳簿上の数字が出た後は実際に数を把握するため実地棚卸を実施することが必要です。

たとえば小売店であれば破損や紛失、盗難などで商品点数が減少しているリスクがあります。 実際に数量を数えることで、差額を決算時の棚卸資産の評価額に反映させます。 そこで重要なのが単価の評価です。

原価法はそれぞれの方法で算出した単価をそのまま反映しますが、低価法では原価法による単価と決算時の時価とを比較し、低いほうの金額を採用します。 ポイントは棚卸資産の評価に関する会計基準では低価法の採用が強制されている点で、時価が著しく下落した場合には回復の見込みなしとして評価損を計上しなければなりません。

例外として中小企業には「中小会計指針」「中小会計要領」が適用され、企業によって原価法と低価法の選択が認められています。 ただしこちらの場合も時価が著しく下落した場合には、同様に回復の見込みなしとして評価損を計上しなければなりません。

通常の販売目的で保有する棚卸資産の会計処理のポイント

会計基準では、収益性が低下して投資額が回収できない見込みの場合、見込める水準まで帳簿価額を切り下げるとしています。 また品質低下損や陳腐化評価損、低価法評価損も収益性の低下という意味では変わらないため、扱いは同じです。

改正前はこうした簿価切下処理において陳腐化や品質低下は原則適用でしたが、正味売却価額の低下については任意でした。 こちらが同様に原則適用となっている点が従来の考え方とは変わった点です。

また、会計処理においては取得価額を貸借対照表価額としますが、正味売却価額が下落している時にはそちらを貸借対照表価額とします。 正味売却価額の計算は以下の通りです。

  • 売価ー見積追加製造原価ー見積販売直接経費

ただし、営業循環から外れた滞留、もしくは処分見込の棚卸資産は、正味売却価額ではなく帳簿価額を処分見込価額まで切り下げる方法もあります。 一定の回転期間を超える場合に規則的に帳簿価額を切下げ、会計に収益性の低下を反映すれば問題ありません。

もしくは、原材料など再調達原価のほうが価額を把握しやすい場合は、継続適用に限り再調達原価で簿価切下げを行うことも可能です。

洗替法と切放法

継続適用が原則となりますが、棚卸資産の種類ごと、もしくは簿価切下げの要因ごとに洗替法と切放法を選択することが可能です。 洗替法は、物理的な劣化や経済的な劣化、市場の需給変化などにより売価の低下が見込まれる際、前期の簿価切下額の戻入れを行います。

一方で、切放法はこれを行わず、文字通り前期とは切り離して実施します。 実務的にどちらの方法でも選択適用可能です。

簿価切下げの単位と税務上の取り扱い

判断と簿価切下げは個別品目ごとに実施することが原則です。 ただ、継続適用を条件として、複数の棚卸資産をまとめて行うほうが適切な場合もあります。 業種によって変わりますが、単位に関しては事業者ごとの判断と言えるでしょう。

また、税務上は会計基準に配慮し、届出をしている場合は正味売却価額から見積販売直接経費を控除した金額を評価損として認容しています。

棚卸資産に関する会計の注意点

会計基準の改正において、簿価切下額が営業外費用に計上されることが明示されていない点は、大きな違いとされました。 簿価切下げ額が販売費に計上されることが許容されないため、著しく下落しても特別損失に計上される余地がありません。

すでに大手企業など低価法を採用してきた実績ある企業でも、経常損益に影響がないからといって安心せず、営業損益の数値悪化に留意する必要があります。

そのほか注意すべき点は、棚卸資産を取得した際に取得原価に含めなければならない付随費用の会計処理漏れや未着品・預け在庫などの計上漏れです。 特に決算日に自社倉庫にない棚卸資産などは集計漏れが起こりやすいため、手元にない棚卸資産についても状況を正確に把握することが重要です。

棚卸資産低価法における税務上の「時価」

現行の棚卸資産の評価に関する会計基準では、前述の通り、正味売却価額による低価法の適用が定められています。 法人税法においても税務処理がこの会計基準と同じくされるよう、平成19年度に改正が行われました。

内容は、従来再調達価額とされていた低価法評価額を、事業年度終了の時における価額(時価)にするというものです。 この「時価」についてですが、これが会計基準における正味売却価額と同じと捉えられます。

ただ問題は、会計基準のほうでは一律に正味売却価額を適用する規定とはなっていない点でしょう。 結論からすれば、会計基準で認められる「合理的に算定された価額」や「処分見込価額」は、税務上の時価として認められると考えられます。

税制改正の趣旨は会計上の評価額と同じくすることで申告調整の手間をなくすものですから、合理的であり許容されると考えられます。 また主に製造業で採用されやすい再調達価額も時価として認められます。

ただし、会計基準で認められている「一定の回転期間を超える場合に規則的に切り下げた価額」は、そもそも正味売却価額とは乖離するため時価とは認められません。 あくまで正味売却価額との連動性が認められるか否かに注目し、税務上の時価として認められるか否かを判断することが重要です。

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