自動車税は経費に計上可能?確定申告時の注意点7つを解説!

税理士
監修者
税理士 佐藤 憲亮
最終更新日:2024年03月27日
自動車税は経費に計上可能?確定申告時の注意点7つを解説!
この記事で解決できるお悩み
  • 自動車税は経費に計上できる?
  • 自動車税を経費にする際の勘定科目は?
  • 自動車税を経費にする際の注意点とは?

自動車税を支払う際「税金は経費に計上できるの?」と悩んでいる個人事業主や経営者の方、必見です。自動車税は確定申告の際に経費に計上でき、所得税の節税につながります。

仕事とプライベートどちらでも使用している自動車の場合、家事按分が必要です。税務署への説明ができるよう、日々記録しておくことがおすすめです。

この記事では、自動車税の種類や税額、経費にする際の仕訳方法を徹底解説します。毎年自動車税を納めている個人事業主や法人の経理担当者の方はぜひ参考にしてください。

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自動車税は経費に計上できる

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自動車税は確定申告の際に経費に計上できます。自動車税を経費に含めることで、所得と所得税額を減らせるでしょう。

自動車税は自動車を所有している個人事業主やフリーランスに必ず課税される税金です。確定申告の際、経費に含めることを忘れないようにしましょう。経費を証明するために、領収書をきちんと保管しておくことが必要です。

ケースによって家事按分が必要

自動車税は確定申告の際に経費にできますが、仕事とプライベートの両方で自動車を使用している場合には家事按分が必要になります。 主な按分方法は以下の3つです。

  • 走行距離
  • 利用回数
  • 利用時間

家事按分の重要なポイントは、合理性があり税務署から問い合わせがきても明確に説明できる割合にすることです。

運行記録表を作り、仕事に利用した際の目的地や利用者名、利用日、利用時間、走行距離を記録しておきましょう。記録が残っていれば、自動車をどの程度業務のために使ったのか証明が容易になります。

家事按分とは?

家事按分とは、事業用とプライベート用の支出が混ざっている場合に事業用に使った割合だけを経費にする方法です。たとえば、自動車を事業用で3割、プライベートで7割使っている場合は自動車税1万2,000円のうち、経費に計上できるのは3割の4,000円となります。

自動車税の種類

自動車税は、毎年4月1日時点で登録されている自動車の所有者に対して課税される税金です。自動車税は年に1回だけ課税され、4月から翌年3月までの1年分を5月31日までに前もって納めなければなりません。 自動車税は車の種類によって税額が区分されており、以下の要素によって分類されます。

  • 自動車の用途(自家用/営業用)
  • 総排気量
  • 最大積載量

自動車税の金額

自動車税の金額は新規登録した時期によって異なります。2019年9月31日以前に新規登録した自動車と、同年10月1日以降に新規登録した普通乗用車の自動車税額は以下のとおりです。

  2019年9月31日以前に新規登録した車 2019年10月1日以降に新規登録した車 営業用の車両
電気自動車 29,500円 25,000円 7,500円
1.0リットル以下 29,500円 25,000円 7,500円
1.0リットル超〜1.5リットル以下 34,500円 30,500円 8,500円
1.5リットル超〜2.0リットル以下 39,500円 36,000円 9,500円
2.0リットル超〜2.5リットル以下 45,000円 43,500円 13,800円
2.5リットル超〜3.0リットル以下 51,000円 50,000円 15,700円
3.0リットル超〜3.5リットル以下 58,000円 57,000円 17,900円
3.5リットル超〜4.0リットル以下 66,500円 65,500円 20,500円
4.0リットル超〜4.5リットル以下 76,500円 75,500円 23,600円
4.5リットル超〜6.0リットル以下 88,000円 87,000円 27,200円
6.0リットル超 111,000円 110,000円 40,700円

参照:国土交通省|自動車税 税額表

参照:総務省|1 自動車税(種別割)の税率引下げ

自動車税は総排気量の違いによって10段階に分けられる仕組みです。営業用に使用される車両は、自家用車と比較してかかる税額への優遇が受けられます。

自動車税を経費にする際の勘定科目

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自動車税を経費にする際の勘定科目に厳密な決まりはありませんが、一般的に「租税公課」または「車両費」が用いられます。納税者が自由に勘定科目を決められるものの、1度決めた勘定項目は翌年以降も使用し続けなければならないため、慎重に考慮しなければなりません。

1年間に税金をどれほど支払っているのかまとめたい場合には「租税公課」を使用するのがいいでしょう。一方、自動車にどれだけの費用がかかっているのか知りたいのであれば「車両費」でまとめるのが効果的です。

自動車税の仕訳処理

自動車税を経費に計上するため、正確な仕訳処理が必要です。借方に自動車税の勘定項目、貸方に支払い方法を記載して仕訳処理を行います。

たとえば、50,000円の自動車税を現金で納付した場合、記載方法は以下のとおりです。

借方金額貸方金額
租税公課50,000円現金50,000円

自動車税の勘定項目や仕訳処理のさらに詳しい内容は、以下の記事を参考にしてください。

カーローンやカーリースの仕訳処理

自動車をカーローンで購入した場合、仕訳処理は以下のように行います。

借方 金額 貸方 金額 摘要
未払金 50,000円 普通預金 55,000円 カーローン元本返済
支払利息 5,000円     返済金利

一方、カーリースの場合には、自動車税や修繕費などがすべてリース料に含まれるため、仕訳が楽になります。リース料ですべての経費を計上可能です。

借方 金額 貸方 金額 摘要
長期未払金 25,000円 普通預金 25,000円 カーリース料

自動車税を経費にする際の注意点7つ

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自動車税を経費にする際には、以下の7つのポイントに注意しましょう。

  1. 加算金や延滞金は経費にできない
  2. ローン購入した車でも自動車税は購入者が支払わなければならない
  3. 軽自動車は自動車税の還付制度がない
  4. 軽自動車税額は自治体により異なる
  5. 環境性能割には課税範囲がある
  6. 1カ月以内に返品した場合の環境性能割負担はゼロ
  7. 環境性能の悪い車は負担が増える

自動車の所有者の負担が増えるケースと還付を受けられるケースがあるため、ポイントを必ずチェックしておきましょう。

1. 加算金や延滞金は経費にできない

自動車税の延滞金や加算金は経費に含められません。自動車税を含む税金の多くは、期日までに納付しないと延滞金がかかります。自動車税の納付期限は毎年5月31日までであるため、6月1日以降に納税した場合には延滞金がかかるでしょう。

年度によってやや異なりますが、納付期限から1カ月以内に納付すると年率2.4%、以降は年率8.7%の延滞金が滞納期間に応じてかかります。延滞金は自分の過失で発生した費用のため、確定申告の際に経費へ含められません。

2. ローン購入した車でも自動車税は購入者が支払わなければならない

ローンで自動車を購入した場合であっても、自動車税は購入者が納めなければなりません。自動車税は基本的に毎年4月1日時点で登録されている車の所有者に課税されます。ローン完済まで車の所有者は購入者ではなくローン会社やディーラーです。

ただ、自動車税が課税されるのは車検証に記載されている使用者である点に注意が必要です。ローンが残っている方は、自分に自動車税が課税されること、納付した自動車税が確定申告で経費にできることを覚えておきましょう。

3. 軽自動車は自動車税の還付制度がない

軽自動車に乗っている方は、自動車税の還付制度がありません。普通乗用車の場合、自動車税は月割課税制度があるため、登録を抹消すると残りの期間に応じて自動車税が還付されます。

軽自動車税は月割課税制度がないため、4月1日時点で軽自動車や原動機付自転車など対象の車両を所有している場合に1年分が請求されます。たとえば、4月2日に軽自動車を廃車にした場合、自動車税は課税されるものの還付金は受け取れないでしょう。

廃車や一時抹消登録の時期によって損をするケースがあるため注意しましょう。

4. 軽自動車税額は自治体により異なる

自動車税を支払う際、軽自動車税の金額は市区町村によって最大1.5倍もの差があります。軽自動車税は市区町村が徴収するため、裁量によって上乗せすることが可能です。

各市区町村は、標準税額の1.5倍までの範囲内で税額を決められます。標準税額は乗用の四輪軽自動車の場合、営業用が6,900円、自家用が10,800円です。標準税額を採用している市区町村と上乗せしている市区町村とでは、数千円の税額の差が出ることを覚えておきましょう。

5. 環境性能割には課税範囲がある

自動車税の一部である環境性能割には課税範囲があるため、自動車の取得価額に注意しましょう。中古車の場合、取得価額50万円以下で環境性能割が非課税となります。

中古車の取得価額は「課税標準基準額×残価率」で計算可能です。課税標準基準額は新車価格のおよそ90%、残価率は経過年数により異なります。

普通乗用車の残価率は、経過年数1年で0.681、2年で0.464、3年で0.316と徐々に減っていきます。 たとえば、新車価格130万円の普通乗用車を経過年数3年で購入した場合の取得価額は、以下のように算出しましょう。

課税標準基準額 130万円×90%=117万円
取得価額 117万円×0.316(3年の残価率)=36万9,720円

計算の結果、取得価額が50万円を下回っているため環境性能割は課税されません。

6. 1カ月以内に返品した場合の環境性能割負担はゼロ

自動車を購入後、1カ月以内に返品した場合には環境性能割の負担はありません。自動車を購入したものの「思ったほど性能が良くない」「トラブルがあった」などの理由でディーラーに返品するケースもあります。返品ケースでは、環境性能割が還付されるでしょう。

この特例は、購入した自動車の所有権を1カ月以内に業者に移転した、もしくは抹消登録をした場合に適用されます。ただし、還付を受けるためには自分で申告しなければならないため注意しましょう。

7. 環境性能の悪い車は負担が増える

環境性能の悪い車は、税負担が増える点に注意が必要です。環境性能のいい自動車に対しては、税負担が軽くなるグリーン化特例が適用されますが、古くて環境性能の悪い自動車に対しては「重課」が課されます。車の種類や経過年数によって重課の割合が変わることを覚えておきましょう。

自動車の経過年数と重課の割合は以下のとおりです。

  経過年数 重課
ガソリン車やLPG車 13年超 おおむね15%
ディーゼル車 11年超 おおむね15%
軽自動車 13年超 おおむね20%

大きな車、古い車を所有している個人事業主やフリーランスの方は注意が必要です。

まとめ

自動車税は確定申告の際に経費に計上できます。ただし、自動車の取得価額や経過年数、環境性能などの要素によって税額が変わる点に注意しなければなりません。延滞金が課せられないように納付期限を守って納税することも重要です。

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監修者のコメント
税理士
佐藤 憲亮

京都市出身。 医療系特化事務所、税理士法人の社員税理士(役員)を経て、気軽に相談できる専門家として税務顧問業務をメインに活動。実務で得た知識や経験を活かし、税務記事や税務論文の執筆、ブログの運営をしている書くことが好きな税理士。大学卒業後、税理士事務所で14年の実務経験を積みながら、大学院で税法を学ぶ。2020年に税理士登録。2023年6月に京都市中京区にて独立。また、顧客企業の利益最大化を実現するため、バックオフィスの効率化や改善に力を入れており、経理代行及びコンサルの事業会社を設立。経理、財務、税務の支援を得意としている。

事業用として利用している車両にかかる自動車税は、事業所得の必要経費となります。ただし、中古車両を取得したときの未経過分の自動車税は経費計上するのではなく、車両の本体価格に含んで資産計上する必要があるのでご注意ください。

自動車税は、その年の4月1日に車両を所有している者に課されるものです。例えば、中古車両を10月1日に取得した場合、その年の自動車税を課されるのは、4月1日に車両を所有していた前所有者であるため、10月〜3月までの期間の自動車税相当額が車両の前所有者から請求されます。

請求される名目は未経過分の自動車税となっていますが、実際のところは本体価格に上乗せして請求される金額となります。また、未経過分の自賠責保険料も同じ取り扱いとなりますので、経費処理してしまわないように注意しましょう。
比較ビズ編集部
執筆者

比較ビズ編集部では、BtoB向けに様々な業種の発注に役立つ情報を発信。「発注先の選び方を知りたい」「外注する際の費用相場を知りたい」といった疑問を編集部のメンバーが分かりやすく解説しています。

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