経費の書き方とは?帳簿・書類別の書き方や勘定科目をわかりやすく解説

小西裕也税理士事務所
監修者
小西裕也税理士事務所 税理士 小西裕也
最終更新日:2023年11月15日
経費の書き方とは?帳簿・書類別の書き方や勘定科目をわかりやすく解説
この記事で解決できるお悩み
  • 経費の書き方とは?
  • 経費の勘定科目には何がある?
  • 経費の書き方のコツは?

「経費の勘定科目がわからない」「経費の書き方のコツは?」とお悩みの経理業務担当者・個人事業主、必見です。経費の書き方は勘定科目を把握したうえで、帳簿や書類ごとに適した記載方法をとることが大切です。

この記事では帳簿別・書類別の経費の書き方や勘定科目を解説します。最後まで読めば、経費に関する管理や申請をスムーズに進められるでしょう。

経費の書き方のコツやよくある質問も紹介するため、ぜひ参考にしてください。

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経費の書き方の基本は「帳簿」と「勘定科目」

経費の記録を管理する際は「帳簿」と「勘定科目」について理解しましょう。

帳簿とは、事業を行う際に発生する取引や金銭の流れを記録する書類のことです。仕訳帳、総勘定元帳、経費帳などがあります。

勘定科目とは、経費を帳簿に記載する際の分類項目です。収入や支出ごとに適用される勘定科目は決められています。

勘定科目は次の5つに分類されます。経費に該当する勘定科目は「費用勘定」です。

  • 資産勘定:会社が保有する財産
  • 負債勘定:会社が支払う義務のある債務
  • 純資産勘定:会社の純粋な資産
  • 収益勘定:事業で得た収入
  • 費用勘定:収益のための支出

経費の勘定科目一覧

経費の勘定科目に定められている項目の一覧は、次のとおりです。

給料賃金 従業員に支払った給料
地代家賃 事務所の家賃や土地代
水道光熱費 水道、ガス、電気などの光熱費
旅費交通費 出張にかかる費用
通信費 インターネットや通信の費用
租税公課 固定資産税や自動車税など
外注工賃 仕事を外注した際の費用
減価償却費 減価償却で経費計上する費用
消耗品費 消耗品の購入費用
貸倒金 回収ができない場合の損失
利子割引料 借入の際の利息と現金化の際の割引料
荷造運賃 荷物の運搬にかかった費用
広告宣伝費 広告や宣伝にかかった費用
接待交際費 接待や交際にかかった費用
保険料 保険の支払い費用
修繕費 事業に必要な設備や道具の修繕費
福利厚生費 福利厚生にかかった費用
雑費 その他

【帳簿別】経費の書き方

仕訳帳・総勘定元帳・経費帳の書き方をそれぞれ解説します。

「仕訳帳」の書き方

「仕訳帳」は、発生した金銭や権利の増減を記録する帳簿です。時系列順に取引を管理する目的もあります。

受注時点で売上が発生しなければ、仕訳帳に記録する必要はありません。売上の発生後、仕訳をします。仕訳帳には一般的に、次の項目を記載します。

  1. 伝票番号
  2. 月日
  3. 金額
  4. 借方科目
  5. 概要
  6. 貸方科目
  7. 金額

テンプレートやエクセルなどで作成する簡単な表で管理できます。

「総勘定元帳」の経費の書き方

総勘定元帳とは、取引を勘定科目別に管理する帳簿で、項目別の金額管理に特化しています。仕訳帳に記載された取引を見ながら作成します。

「経費帳」の経費の書き方

「経費帳」とは、事業のための費用のうち、支払い以外の項目を記録する帳簿です。旅費・交通費や福利厚生費など、経費の種類ごとの記録が目的です。仕訳帳や総勘定元帳と異なり、経費帳の作成は必須ではありません。

【書類別】経費の書き方

「青色申告決算書」「収支内訳書」「確定申告書」の書き方を解説します。

「青色申告決算書」の経費の書き方

青色申告で確定申告する場合、経費は損益計算書の経費欄に記入します。勘定科目ごとに1年分の合計金額の記入が必要です。また、以下4種類の項目別に記入します。

  • 一般用
  • 農業所得用
  • 不動産所得用
  • 現金主義用

「収支内訳書」の経費の書き方

白色申告で確定申告を行う場合「収支内訳書」を作成します。収支内訳書は2枚構成となっており、経費は1枚目に記入します。収支内訳書も青色申告決算書と同様、勘定科目ごとに1年分の合計金額を記入しましょう。

「確定申告書」の経費の書き方

個人事業主が使用する確定申告書には、経費の額を直接記載する欄はありません。1年分の経費をまとめて、対応する収入から差し引いた所得金額を所得金額欄に記載します。

事業にかかった経費を科目別に記載するのは、確定申告書とともに提出する青色申告決算書や収支内訳書です。青色申告決算書や収支内訳書を作成してから確定申告書を作成すると、スムーズに作成できます。

【見本】経費の書き方の例

次の5項目を例に、経費の書き方を紹介します。

  • 給料賃金
  • 地代家賃
  • 水道光熱費
  • 旅費・交通費
  • 福利厚生費

例1. 給料賃金

事業に関わる従業員を雇って賃金を支払う場合「給料賃金」として経費に計上します。記入方法は、1年間に支払った合計金額を「給料賃金」の項目に記載するだけです。

たとえば、1人の従業員に対し毎月15万円の給与、5万円の賞与を年2回支払ったとします。「(15万円×12カ月)+(5万円×2回)=190万円」となり、給料賃金の項目に「190万円」と記載します。

従業員への給与、賃金、賞与など、業務に対する報酬を給与で支払ったものはすべて該当します。配偶者の親族に支払った給料は、一定の要件を満たさない限り必要経費とならないため注意が必要です。

例2. 地代家賃

「地代家賃」とは、事務所のある土地や建物にかかる地代や賃料のことを指します。事務所や事業所、店舗の賃料が該当します。所有している不動産に借地権が付いている場合の地代や倉庫などの使用料も地代家賃です。

事務所の賃料が月10万円、倉庫費用が月5万円の場合、計算式は「(10万円×12カ月)+(5万円×12カ月)」となり「地代家賃」の項目に「180万円」と記載します。

自家用の自動車に関する駐車場代は、事業に使用したケースのみ経費に計上できます。プライベート目的で利用した費用は経費にならないため注意しましょう。

例3. 水道光熱費

「水道光熱費」には、事業に使用した水道料、電気代、ガス代などのライフラインに関する費用が該当します。冬の寒さが厳しい地域では、暖房の灯油代も水道光熱費に計上可能です。

いずれの場合も事業にかかった部分のみ経費として計上できます。自宅を仕事場としている場合は、事業分の費用算出が必要です。自宅でパソコン作業がメインの場合、全体の20〜30%を計上しましょう。

たとえば自宅兼事務所で事業をおこない、年間の水道光熱費に20万円支払った場合、計算式の例は「20万円×20%=40,000万円」となり「水道光熱費」の項目には「4万円」と記入します。

例4. 旅費・交通費

「旅費交通費」は出張や取引先を訪問する際の飛行機、鉄道、バス、タクシー代などの交通費に加え、現地での駐車場代や宿泊代が含まれます。

交通系電子マネーを利用すると私用と混同しやすいですが、履歴と出張日を連動させることで、事業用の出費であると証明できます。

商談のための出張で、交通費が往復1万円、ホテル代が1泊1万円の場合、旅費交通費として「2万円」を計上します。車で出張した場合、駐車場代のほかにガソリン代を旅費交通費に計上できます。

例5. 福利厚生費

健康診断の費用は福利厚生費として経費に計上します。従業員の労働意欲向上を目的におこなうレクリエーションも、福利厚生費の1つです。祝い金や見舞金も福利厚生費に該当します。

健康診断1万円×5人分、祝い金10万円×1人分、社員旅行費用合計10万円を払った場合「25万円」を福利厚生費に計上します。

経費の書き方のコツ

経費を記入する際は、次の3つのポイントを押さえましょう。

  1. 会計ソフトを活用する
  2. 雑費が多い場合は勘定項目を新たに決める
  3. 領収書がないときはノートに記録する

コツ1. 会計ソフトを活用する

経費管理には会計ソフトの活用がおすすめです。会計ソフトにはさまざまな種類があるため、使いやすいスタイルを選択しましょう。作業時間を削減し、ミスを防止するために会計ソフトの利用は有効です。

会計ソフトで経費を管理すると、計算ミスが防げます。入力作業や計算作業を自動化できるため、作業の効率がアップする点がメリットです。ソフトによっては、クレジットカードとの連携や領収書のスキャン機能を搭載していることもあります。

コツ2. 雑費が多い場合は勘定項目を新たに決める

「雑費」に分類する勘定項目が多い場合、項目を新たに設けると、管理がスムーズです。一般的に、業務で支払った費用のうち、どの項目にも該当しない支払いを雑費に計上します。

雑費の金額が大きくなる場合や、特定の経費が多くなる場合は項目を自分で作成しましょう。雑費の項目が多いと修正が必要な場合に見つけにくく、管理が困難なためです。

コツ3. 領収書がないときはノートに記録する

領収書がない場合は、ノートに記録を残しましょう。経費申請時にはレシートや領収書の提出が理想ですが、やむを得ない事情があればノートへの記録でも受理されるケースがあります。

場所、日付、支払い理由、金額の記載が必要です。クレジットカードで支払った場合はカード明細があるとよりスムーズでしょう。

まとめ:経費管理はこまめな記帳が大切

経費の書き方は帳簿の種類により異なります。経費管理はあとからまとめておこなうとミスや漏れが発生するリスクがあります。領収書の紛失や記録忘れを防ぐためにも、取引が発生した段階ですぐに記録する習慣をつけましょう。

会計管理に不明点や不安があれば、税理士への相談がおすすめです。プロの視点から適切な管理をおこなうことで、事業の基盤を固めて安定した運営が実現します。

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よくある質問とその回答

  • 経費の書き方として手書き・エクセル・会計ソフトのどれがいいの?

    経費を管理する方法として、会計ソフトの利用がおすすめです。エクセルでも管理は可能ですが、会計管理に特化したソフトであれば処理の手間が省けます。

    手書きで経費を管理すると、修正が必要な際に作業時間が長くなる点がデメリットです。計算が必要な場合はミスが発生するリスクもあります。

  • 経費の書き方は白色申告と青色申告で違うの?

    経費の書き方は、白色申告と青色申告で異なります。

    青色申告は「確定申告書」と「青色申告決算書」の提出が必要です。「損益計算書」と「貸借対照表」の作成も必須となります。特別控除の特典が受けられる一方、簿記の貴重方法がやや複雑です。

    白色申告では「確定申告書」と「収支内訳書」を提出します。

監修者のコメント
小西裕也税理士事務所
税理士 小西裕也

1990年生 大阪府出身 大阪大学経済学部卒業。個人事務所、200人規模の税理士法人で実務経験を積み、2021年に独立。「お客様との対話を大事にする」をモットーに、クラウド会計を活用し、顧客に合わせた節税策や資金繰り対策を積極的に提案。ZOOMを使ったオンライン顧問サービスを行い、クライアントは全国に。

個人事業主の所得税は、1年間(1月〜12月)の総売上から「必要経費」を差し引いた課税対象額に税率を掛けて計算されます。収入金額が同じなら、必要経費が多いほど納めるべき税額は少なくなります。

「必要経費」として認められるのは、「事業のためにかかった費用」です。プライベート用と事業用の費用が介在しやすい項目は、携帯電話代、自宅兼事務所の場合の家賃、車両にかかる費用です。これらはその項目ごとに、プライベートと事業の按分比率を合理的に決める必要があります。

確定申告の季節を迎える前に、必要経費とみなされる条件や必要経費にならないのはどんな費用なのかなど、国税庁のホームページや税務署の窓口、税理士等に確認しておかれるといいでしょう。
比較ビズ編集部
執筆者

比較ビズ編集部では、BtoB向けに様々な業種の発注に役立つ情報を発信。「発注先の選び方を知りたい」「外注する際の費用相場を知りたい」といった疑問を編集部のメンバーが分かりやすく解説しています。

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