青色申告によって国民健康保険料は安くなる?手続きをスムーズに進める方法も紹介

最終更新日:2023年09月04日
税理士
監修者
佐藤 憲亮
青色申告によって国民健康保険料は安くなる?手続きをスムーズに進める方法も紹介
この記事で解決できるお悩み
  • 青色申告によってどのくらい国民健康保険料が安くなるのか?
  • 国民健康保険に関して把握すべきポイントとは?
  • 青色申告をスムーズに進める方法とは?

確定申告で青色申告を選択すると、特別控除によって国民健康保険料が安くなります。青色申告特別控除を受けられると、どのくらい安くなるのでしょうか。

本記事では、青色申告控除の条件や手続きをスムーズに進める方法を紹介します。最後まで読めば、国民保険に関するポイントなども把握できます。

国民健康保険に加入したばかりの方、個人事業主になったばかりの方は、ぜひ最後までご覧ください。

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青色申告によって国民健康保険料の額を削減

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個人事業主が前年に得た所得額によって、国民健康保険料の納税額は算出されます。青色申告によって特別控除が適用されると、最大65万円を控除した額で保険料が算出されるため、大幅な節税効果が見込める仕組みです。

白色申告を選択した際と比べて納税額が大きく異なるため、今後確定申告をおこなう際は青色申告を選択しましょう。

青色申告特別控除は無条件で適用されるわけではありません。以下の条件をすべて満たすことが条件です。

  • 事業所得または不動産所得がある
  • 複式簿記で記帳をしている
  • 貸借対照表と損益計算書を作成している
  • 電子帳簿保存とe-Taxでの申告に対応している

青色申告特別控除を受けられると国民健康保険料の他に、所得税や住民税も安くなります。

国民健康保険とは

国民健康保険は個人事業主やフリーター、学生などが加入している保険組合です。怪我や病気をしても安心して治療を受けられるよう、日本ではすべての国民が特定の公的保険へ加入する義務が課せられています。

会社員の場合、勤務先の人事担当者が社会保険へ加入する手続きを代行するのが一般的です。会社員を退職して個人事業主として働く場合、国民健康保険への切替手続きは自らおこなわなければなりません。切替手続きに必要となる書類は以下の3つです。

  • 健康保険の資格喪失証明書
  • マイナンバーカードまたは通知カード
  • 身分証明書

マイナンバーカードを持っている場合、マイナンバーと身分確認が1度で済みます。

国民健康保険に関して把握しておくべき5つのポイント

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会社員を退職して個人事業主へ転身する場合、国民健康保険への加入が必要です。国民健康保険に関して把握しておくべき点は以下の5つとなります。

  1. 国民健康保険料は経費の対象外となる
  2. 控除を受けるのに確定申告が必要かどうかを判断する
  3. 確定申告が必要な場合は期限内におこなう
  4. 国民健康保険料の計算方法を理解しておく
  5. 社会保険の任意継続には期限がある

ポイントの内容を1つひとつみていきましょう。

ポイント1. 国民健康保険料は経費の対象外となる

国民健康保険料は事業運営に直接関係のない支出に該当するため、経費として扱えません。確定申告の際は国民年金と同様、1年間で支払った額が「社会保険料控除」として所得から控除されます。経費として計上可能な保険料を以下にまとめました。

  • 自動車保険料
  • 火災保険料
  • 地震保険料
  • 従業員の生命保険料や社会保険料
  • 従業員の傷害保険料

個人事業主自身の生命保険料、事業で利用しない自宅の地震保険料は経費として認められないため、混同しないよう注意が必要です。

ポイント2. 控除を受けるのに確定申告が必要かどうかを判断する

確定申告の対象者全員に、国民健康保険の控除申告の必要性が生じるわけではありません。年収103万円以下の個人事業主や年末調整後に退職した会社員の場合、確定申告は不要です。国民健康保険の控除申告が必要となるケースを以下にまとめました。

  • 12月の給与を受け取った後、年内に再就職しなかった場合
  • 年末調整は受けた一方、国民健康保険料の提出をしなかった場合
  • 正社員として働いている一方、期限までに年末調整関連の書類を出せなかった場合

年度途中でアルバイトやフリーターから正社員に転職した場合は、前職での源泉徴収票を人事担当者に渡すと、年末調整を代わりに実施してくれます。

ポイント3. 確定申告が必要な場合は期限内におこなう

年間の事業所得が48万円以上の個人事業主、副業で年間20万円以上稼いでいる会社員などは、確定申告が必要です。確定申告の期限は例年2/16〜3/15に設定されており、期限内に申告を済ませなければなりません。

間に合わなかった場合は延滞税や無申告加算税が課せられ、必要以上に税金を支払うことになります。期限後申告の場合、特別控除も最大10万円しか控除されないため、注意しましょう。

確定申告の際、国民健康保険の控除証明書を添付する必要はありません。国民年金と異なり、添付義務は課せられていないため、紛失したとしても確定申告のために再発行する必要性は低いでしょう。

ポイント4. 国民健康保険料の計算方法を理解しておく

国民健康保険料は医療分と後期高齢者支援金分、介護分の3種類に分けられます。40歳以下の方は、介護保険料の支払いはありません。

各区分の保険料は所得割と均等割で構成され、所得割は前年の所得によって決められます。均等割は収入の有無を問わず、加入者1人あたりに課せられる保険料です。双方の保険料率は居住地域によって変動します。

一例として、横浜市の保険料率を以下の表にまとめました。

区分 所得割料率 均等割料率(額) 賦課限度額
医療分 7.85% 36,640円 65万
後期高齢者支援金分 2.45% 11,580円 22万
介護分 3% 15,490円 17万

参照:横浜市

仮に35歳の個人事業主の前年所得が400万円の場合、医療分の所得割は400万×0.0785=314,000円です。均等割36,640円とあわせると、年間の医療分は350,640円となります。後期高齢者支援金も同じ流れで算出するかたちです。

ポイント5. 社会保険の任意継続には期限がある

会社員から個人事業主へ転身した場合、一定の条件を満たすと前職で加入していた社会保険を任意継続できます。国民健康保険と異なり、社会保険の場合は扶養家族の保険料が発生しません。扶養家族がいる個人事業主にとっては、国民健康保険に加入するよりも保険料が安くなります

ただし、任意継続の期限は退職後2年までです。年収が130万円未満の方、健康保険組合へ加入している方以外は、国民健康保険へ加入しなければなりません。

青色申告をスムーズに進める方法

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国民健康保険料を安くするには、青色申告特別控除の適用条件を満たさなければなりません。書類作成や帳簿付けに不安を抱えている方は、以下2つの方法の実施を検討しましょう。

  • クラウド型会計ソフトを導入する
  • 税理士へ相談する

税理士は資金調達や起業支援など、幅広い相談内容への対応が期待できます。

クラウド型会計ソフトを導入する

普段の帳簿付けや確定申告の手続きをスムーズに進めるためにも、クラウド型会計ソフトの導入を検討しましょう。クラウド型会計ソフトは簿記や会計知識がない方でも利用できるよう、システム全体が設計されています。

日付や金額、勘定科目を選択するだけで、複式簿記での帳簿付けが可能です。国民健康保険料の支払いを帳簿に記録する場合、以下のように仕訳します。

  借方勘定科目 金額 貸方勘定科目 金額 摘要
内容 事業主貸 30,000円 普通預金 30,000円 国民健康保険料

インターネットバンキングやクレジットカードとも連携しており、取引データを自動で取り込める点も魅力です。

導入の際にサーバー調達やソフトウェアをインストールする必要はありません。月額料金も数千円台に設定されているソフトが多く、全体的に費用を抑えられる点も魅力です。

税理士に相談する

税理士に相談するメリットは、さまざまな内容を依頼できる点です。損益計算書や青色申告決算書など、確定申告の際に必要な書類作成を依頼できます。スポットでの書類作成代行サービスを提供する税理士事務所も多く、顧問契約を締結する必要はありません

資金繰りに悩んでいる場合は、金融機関からの融資や補助金の活用など、資金調達に関する相談も可能です。将来的な法人化を検討している場合、事業計画策定や開業資金調達、手続き代行など、幅広いサポートが得られます。

注意点としては、税理士によって得意分野が異なる点です。ミスマッチを避けるためにも、依頼前に得意分野や実績を確認しておきましょう。

青色申告の5つのメリット

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青色申告をおこなうと、最大65万円の特別控除以外にも以下5つのメリットが得られます。

  1. 赤字を繰り越せる
  2. 家族へ支払う給料を経費として計上できる
  3. 家事関連費を経費として計上できる
  4. 30万円未満の減価償却資産を経費として扱える
  5. 貸倒引当金を経費として扱える

家事関連費や少額減価償却資産など、経費として扱える対象が増えるため、大幅な節税効果を見込める点が魅力です。事業経営で損失が出たとしても赤字を繰り越せるため、金銭的な不安を軽減できます。

メリット1. 赤字を繰り越せる

事業運営で大幅な損失が発生したとしても、青色申告によって翌年度以降最長3年にわたって赤字を繰り越せます。翌年以降に発生した黒字から赤字額の損失分を差し引ける仕組みです。

たとえば、事業1年目で400万円の赤字が発生したとしましょう。2年目と3年目に200万円ずつ黒字が出た場合は1年目の赤字を差し引き、2,3年目の所得額を0円にできます。

事業で赤字が発生した場合は所得が0円となるため、上記の例の場合は3年目まで所得税が発生しませ。個人事業主や法人化して間もない方にとって、多くのメリットが得られます。

メリット2. 家族へ支払う給料を経費として計上できる

家族で飲食店や旅館などを家族で経営している場合、一定の条件を満たすと家族へ支払う給与を経費として計上できます。「青色事業専従者」と呼ばれており、青色申告によって得られる特典の1つです。以下に青色事業専従者の条件をまとめました。

  • 青色事業専従者に支払われた給与
  • 申告者と生活を共にする配偶者または親族
  • 同年12/31時点で青色事業専従者の年齢が15歳以上
  • 1年のうち6カ月を超える期間、青色申告者の事業に従事
  • 「青色事業専従者給与に関する届出書」を納税地の所轄税務署長に提出済み
  • 届出書に記載した内容での給与支払いと給与総額が支払われている状態
  • 社会通念上、青色事業専従者に支払った給与の額が妥当

参照:国税庁

白色申告の場合は家族へ支払う給与を経費として計上できず、所得額からの控除が認められているだけです。青色申告の場合、計上可能な給与額に上限が設定されておらず、大幅な節税効果が期待できます

メリット3. 家事関連費を経費として計上できる

Webライターやデザイナー、エンジニアなど、自宅をオフィスと兼用して働く個人事業主の場合、青色申告によって通信費や電気代などを経費として計上できます。

普段から帳簿付けの際に、事業用とプライベート用で家事関連費を区別しておくことが重要です。費用を区別する際に明確なルールはない一方、税務署の担当者から質問された際に合理的な理由を述べられないと、経費として認められません

特に家賃や携帯電話料金は基準が曖昧なため、事業運営で必要な経費である点を明確に示せるよう、準備しておきましょう。

メリット4. 30万円未満の減価償却資産を経費として扱える

PCやオフィス家具など、30万円未満で購入した少額減価償却資産は、購入した年度に全額経費として計上できます。「少額減価償却資産の特例」と呼ばれる制度で、合計300万円まで適用可能です。

通常、取得価格が10万円以上の固定資産を購入した場合、購入した年に取得価格を経費として全額計上する行為は認められません。減価償却のルールに従い、購入にかかった費用を何年かに分けて経費として計上します

青色申告の場合、10万円以上の固定資産を一括で減価償却費として計上可能です。利益が出た年に多くの少額減価償却資産を購入すると、納税額を大幅に削減できます。

メリット5. 貸倒引当金を経費として扱える

貸倒引当金とは経営悪化や倒産によって、顧客からの売掛金が回収できなくなった場合、回収不可額に引き当てるためのお金です。青色申告をおこなうと、12月末時点で帳簿に記載されている貸倒引当金の5.5%に相当する額を経費として計上できます。

貸倒引当金にしていた売掛金や未回収金を本年度の所得から外せるため、納税額を減らせる点がメリットです。無事に売掛金を回収できた場合、翌年度の決算で貸倒引当金の戻入処理を実施し、所得に加えます。

顧客に商品やサービスを先に提供し、後から代金を回収するかけ売り方式を導入している方向けの特典です。

まとめ

今回の記事では以下の4点について述べてきました。

  • 青色申告によって国民健康保険の支払額を削減可能
  • 国民健康保険に関する重要なポイント
  • 青色申告をスムーズに進める方法
  • 青色申告のメリット

青色申告特別控除を受けられると所得額から最大65万円が控除されるため、国民健康保険料の納税額が大幅に安くなります。青色申告特別控除を受けるには、損益計算書や貸借対照表の作成、複式簿記での帳簿など、さまざまな条件を満たさなければなりません。

簿記や会計知識に不安を抱えている個人事業主もいるでしょう。青色申告の手続きをスムーズに進めるには、税理士へ相談するのがおすすめです。

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監修者の一言

その年において、納税者が負担した国民健康保険料があるときは、その負担した金額を社会保険料控除として所得金額から差し引くことができます。

なお、社会保険料控除には、国民健康保険料、国民年金保険料、社会保険料(健康保険料、厚生年金保険料)、後期高齢者医療保険料、介護保険料、国民年金基金、厚生年金基金、雇用保険料などが含まれます。

また、社会保険料の負担者名義が配偶者や扶養親族のものであったとしても、生計を一にする配偶者や扶養親族等にかかるものである場合で、実際に納税者が負担したものがあるときは、その負担金額は納税者の社会保険料控除の金額に含むこととなります。

また、国民年金などは前納制度があり、翌年以降の月分も先に納付することが可能となっています。前納した場合は、その支払った金額全部を支払った年の社会保険料控除に入れるか、該当年の社会保険料控除に入れるかを選択できますので、所得金額の多い少ないによって選ぶようにしましょう。

税理士
佐藤 憲亮
監修者

京都市出身。 医療系特化事務所、税理士法人の社員税理士(役員)を経て、気軽に相談できる専門家として税務顧問業務をメインに活動。実務で得た知識や経験を活かし、税務記事や税務論文の執筆、ブログの運営をしている書くことが好きな税理士。大学卒業後、税理士事務所で14年の実務経験を積みながら、大学院で税法を学ぶ。2020年に税理士登録。2023年6月に京都市中京区にて独立。また、顧客企業の利益最大化を実現するため、バックオフィスの効率化や改善に力を入れており、経理代行及びコンサルの事業会社を設立。経理、財務、税務の支援を得意としている。

比較ビズ編集部
執筆者
比較ビズ編集部では、BtoB向けに様々な業種の発注に役立つ情報を発信。「発注先の選び方を知りたい」「外注する際の費用相場を知りたい」といった疑問を編集部のメンバーが分かりやすく解説しています。
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