相続手続きに成年後見人が必要とされるパターンは?選任方法や必要書類一覧
- 成年後見人とは?
- 相続手続きに成年後見人が必要とされるパターンは?
- 成年後見人の選任方法や必要書類は?
「相続手続きに成年後見人が必要だが、成年後見人の選任方法や必要書類がわからない…」という方必見!
この記事では相続手続きに成年後見人の申立てが必要な方の家族に向けて、成年後見人の選任方法や必要書類について解説します。最後まで読めば、相続で成年後見人に支払う費用の相場もわかります。
相続の成年後見人を申請する際に、弁護士や財務プランナーなどの専門家に依頼すると申請手続きや書類の作成などを代行してくれます。相続で成年後見人を選定する際の注意点も紹介しているため、法的サポートを必要とする家族の相続情報を探している方はぜひ参考にしてください。
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成年後見人とは?
成年後見人は、判断能力が制限された成年者の法的代理人であり、利益を保護し重要な決定を行う責任を持つ人のことです。
成年後見人は、精神的または身体的な理由により、本人が自身の利益を適切に判断できない場合に指定されます。主な役割は被後見人の財産や健康などの重要な事項を管理し、彼らの権利や利益を守ることです。
相続手続きに成年後見人が必要とされるパターン3つ
ここからは、相続手続きに成年後見人が必要とされるパターンを3つ紹介します。
- 相続人が判断能力を失っている場合
- 相続人が未成年である場合
- 相続人が身体的な制限を持つ場合
1. 相続人が判断能力を失っている場合
相続人が精神的な理由や認知症により判断力を失っている場合、遺産の管理や分割に関する決定が困難です。相続人の利益を守りつつ相続手続きを進めるため、法定代理人である成年後見人の介入が必要とされます。
成年後見人は、相続人の代わりに遺産に関わる重要な判断を行い、公平かつ適切な方法で遺産を処理・分配する役割を果たします。
2. 相続人が未成年である場合
相続人が未成年である場合、法的に自己の利益を適切に判断する能力が不足しています。相続財産の管理や分配に関する決定を行うために成年後見人が必要です。
成年後見人は、未成年相続人の代わりに相続に関わる手続きを行い、遺産を適切に管理し、将来の利益を守る役割を果たします。
3. 相続人が身体的な制限を持つ場合
相続人が重度の身体障害を抱えている場合、自己の利益を適切に守るための相続手続きが難しいです。成年後見人は、相続人の代理として遺産の管理や分配手続きを行い、身体的な制限を克服するためのサポートを提供します。
相続人の利益を保護し、遺産の適切な処理が行われることを確保する役割を果たします。
成年後見人の選任方法
心身の障害や認知症などにより判断能力が低下した成年者が、自身の生活や財産に関する重要な決定を行えない場合、成年後見制度が活用されます。一般的な成年後見人の選任方法は、以下のとおりです。
1. 申立て | 被後見人やその家族、関係者が、成年後見人が必要であると判断される状況を家庭裁判所に申し立てます |
---|---|
2. 家庭裁判所の審理 | ・家庭裁判所が、被後見人の状況を審理します ・被後見人の判断能力や必要な支援の度合いが評価されます |
3. 成年後見人の指定 | ・家庭裁判所が、被後見人の状況に基づいて後見人を指定します ・家族や親族が後見人に指定されることが多いですが、場合により公的な後見人機関や専門家が指定されることがあります |
4. 成年後見の開始 | ・指定された後見人は、被後見人の利益を最優先に考え、財産管理や健康管理などの重要な決定を行う責任を持ちます ・後見人は法律や規定に基づいて行動し、成年後見制度のガイドラインに従います |
相続で成年後見人の申立てに必要な書類一覧
相続で成年後見人の申立てに必要な書類は、個々の状況により異なる場合がありますが、一般的に必要とされる書類は以下のとおりです。書式のダウンロードや記載例は、裁判所HPで入手できます。
- 後見開始申立書
- 申立事情説明書
- 親族関係図
- 本人の財産目録及びその資料
- 相続財産目録及びその資料
- 本人の収支予定表及びその資料
- 後見人候補者事情説明書
- 親族の意見書(同意書)
- 医師の診断書及び診断書付票(3カ月以内のもの)
- 本人情報シート
追加で、役所から入手できる必要書類は以下のとおりです。
- 本人の戸籍謄本(3カ月以内のもの)
- 本人の住民票(又は戸籍の附票)(3カ月以内以内のもの)
- 後見人候補者の戸籍謄本(3カ月以内以内のもの)
- 後見人候補者の住民票(又は戸籍の附票)(3カ月以内以内のもの)
- 本人が登記されていないことの証明書(3カ月以内以内のもの)
- 愛の手帳のコピー(所持している人のみ)
個人により、細かい部分や提出書類のフォーマットが異なることがあります。具体的な要件に関して法律を事前に確認し、専門家の助言を受けることをおすすめします。
相続で成年後見人に支払う費用の相場
相続で成年後見人に支払う費用は、個々の状況により異なります。法的な要件や基準に従って決定され、一般的に相続で成年後見人に支払う費用の相場は以下のとおりです。
管理財産額 | 報酬額(月額) |
---|---|
1,000万円以下 | 約2万円 |
1,000万円超〜5,000万円 | 3〜4万円 |
5,000万円超 | 5〜6万円 |
身上監護に特別困難な事情があった場合は、基本報酬額の50%の範囲内で相当額の報酬を追加されます。訴訟や遺産分割調停などをした場合、相当額の報酬を追加される仕組みです。
一部の場合、裁判所が後見人の報酬を決定することがありますが、費用の詳細は弁護士や財務プランナーに相談すると安心です。
相続で成年後見人を選定する際の注意点3つ
ここからは、相続で成年後見人を選定する際の注意点を3つ紹介します。
- 成年後見人が財産を横領するリスクがある
- 相続税の対策ができなくなる
- 相続手続きが終わっても成年後見人の責任を負うことになる
1. 成年後見人が財産を横領するリスクがある
成年後見制度を利用する際は、成年後見人による資金の不正利用のリスクに注意しましょう。一般的に、家庭内の親族後見人による不正が問題となることが多いため、家庭裁判所の対応も厳格です。成年後見人の選定においては、弁護士や司法書士など専門家の指名が増えていますが、専門家への報酬は高額です。
経済的な負担を軽減しつつ、不正利用のリスクを回避したい場合は、後見制度支援信託を検討しましょう。被後見人の資産は信託銀行により管理され、必要な生活支援に適した金額が定期的に提供されます。
2. 相続税の対策ができなくなる
成年後見制度では、被後見人の財産が成年後見人により保護されるため、以下の相続税対策が難しくなります。
- 生前贈与
- 養子縁組
- 生命保険への加入
相続税の対策を考える方は、相続する側の意向が明確なうちに積極的に進めることが大切です。
3. 相続手続きが終わっても成年後見人の責任を負うことになる
成年後見人は、1度就任すると相続手続きが終わっても簡単に辞められず、被後見人が亡くなるまで続きます。後見制度を利用する場合、被後見人の判断力が回復するか、亡くなるまで後見人の解任が難しいです。
判断力回復は稀で、解任には特定の理由が必要になり、後見期間は長期にわたります。成年後見人への報酬は月2〜4万円かかり、被後見人の財産から支払われるため、経済的事情の考慮が必要です。
まとめ
相続の成年後見人を申請する際に、弁護士や財務プランナーなどの専門家に依頼すると申請手続きや書類の作成などを代行してくれます。煩わしい手続きや文書作成の負担を軽減し、効率的なプロセスを提供してくれるでしょう。
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岐阜県出身。上場会社の経理に勤務する傍ら、竹中啓倫税理士事務所の代表を務める。M&Aなどの事業再編を得意とし、セミナーや研修会講師にも数多くあたるほか、医療分野にも造詣が深く、自ら心理カウンセラーとして、心の悩みにも答えている。税理士会の会務では、名古屋税理士協同組合理事を務める。
成年後見人は、本人に代わって遺産分割協議に臨み、本人の代わりに意見を述べたり、他に相続人の主張に対抗したりすることができます。
成年後見人の力は大きく、特定の相続人に有利に遺産分割協議がなされることがあってはいけませんので、家庭裁判所が、候補として挙げている候補者でいいのかダメなのかを判断して、もし候補者がいないのであれば、誰がなるべきなのかを決め、適当ではない候補者を排除することができます。
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