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我が社をブラック企業と呼ばせないための就業規則の作り方

公開日:2018年05月08日 最終更新日:2022年01月06日
OGI社会保険労務士事務所
監修者
社会保険労務士 荻島 稔
我が社をブラック企業と呼ばせないための就業規則の作り方

ここ最近、働き方改革などがニュースなどで大きく取り上げられており、企業も労働者側の権利を捉えなおすようになってきました。ですが、労働環境の基礎部分である就業規則というものをおざなりにしている企業も多く、そのため労働者間とのトラブルを起こしてしまう場合も多くあります。そこで今回は就業規則について必要な事項などをまとめましたので、就業規則作成の参考にしてください。



昨今、労働環境の改革が叫ばれ、経営者のみなさんは日々労務管理に頭を悩ませていることでしょう。少しでも労働者側が不利益だと感じたり、過剰に働かされていると感じた場合には、すぐに「ブラック企業だ」などと言われてしまいかねません。

そんな風にブラック企業認定を受けて、労使間でトラブルを抱えているような会社をよく調べてみると、就業規則が現実に即していなかったり、その内容に関して経営者が無頓着だったり、というケースがよく見られます。

実は、就業規則がしっかりしていれば無用な労使間のトラブルも避けられたし、ブラック企業などというレッテルも貼られなかったのに…という会社が非常に多いのです。

では、我が社をブラック企業などと言わせないために、押さえておきたい就業規則の作り方のポイントとは、一体何なのでしょうか?

なぜ就業規則を作らなくてはいけないのか?

そもそも、就業規則とは労働者が守らなければいけないルールを記し、会社が労働者に対して約束することを明記したものです。労働者も経営者も、この就業規則に沿って行動すれば、無用なトラブルなどは起こりません。

しかし、そんな就業規則など無くても会社は運営できますし、利益も上げられます。なぜ、就業規則を作らなくてはならないのでしょうか?

それは、法律で決められているからです。労働基準法で、働く人が10人以上いる事業場は、所轄の労働基準監督署に就業規則を届出て、さらにそれを労働者に周知しなければならないと定めています。そして、その就業規則に書くべき内容も、労働基準法で定めているのです。

就業規則に記載しなければいけないこととは?

就業規則には、法律で必ず記載しなければいけないことという項目があります。それを、「絶対的記載事項」と言い、どんな会社もその項目を規定して、就業規則に書き込まなくてはなりません。

その「絶対的記載事項」とは、以下の項目を指します。

  • 「始業と終業の時間」や「休憩時間」、そして「休日や休暇」などの労働時間に関する取り決め事項
  • 「給料の計算方法や支払いの方法と時期」「昇給の取り決め」などの賃金に関する取り決め事項
  • 解雇の事由などを含む退職に関する取り決め事項

これらの事項は就業規則に必ず記載しなければなりません。実際、上記のことさえ書かれていれば、法的には就業規則として認められます。しかし、それだけでは就業規則として意味を持ちません。会社において守るべき決まりごとがあるのならば、それを全て記載するべきなのです。

それらの項目は「相対的記載事項」と言われ、以下のようなものがあります。

  • 「労働者が守るべき服務規律」
  • 「食事や作業に関わる負担はどちらが負うのか」
  • 「最低賃金やボーナス(賞与)、退職金などに関する取り決め」
  • 「安全衛生や災害補償、業務以外での傷病扶助に関する取り決め」
  • 「採用や試用期間、職業訓練に関する取り決め」
  • 「表彰や制裁のやり方」

これらのことに関して、取り決めをしたならば就業規則に記載しなければなりません。記載して初めて、それらの項目は法的に効力を発揮するのです。例えば、労働者が服務規律に違反したとしても、制裁や懲戒に関しての記載がなければ、その労働者を処罰することはできません。

逆に、取り決めをしていないもの、曖昧なものは就業規則に書いてはいけません。そして、それ他の取り決めは、必ず労働基準法を満たし、労働者の権利・利益を不当に制限しない内容でなくてはならないのです。

経営者の方の中には、この就業規則を労働基準監督署に届出さえすればよいのだから、適当に決めて提出しておけばいいと考える人がいます。その様な人の会社は、いずれブラックと呼ばれるに違いありません。

それでは、ブラックと呼ばれないためには、どんなことに注意して就業規則をつくるべきなのでしょうか?

間違いがちな就業規則作成のポイントとは?

世の中には、就業規則を作成する際のポイントをまとめた書籍が多数存在します。その中には、空欄を埋めるだけで就業規則が出来上がってしまうテンプレートが添付されている書物が多くあるものです。

その様な書籍を買う経営者のほとんどが、そういったテンプレート目当てて購入しています。実は、助成金を受給するためにも就業規則の届出が必要なため、そういった助成金を受け取るための就業規則のテンプレートが存在し、助成金のためだけに就業規則をつくる経営者がいるのです。

そのようにいい加減に作られた就業規則では、実情に沿っているわけがなく、いずれトラブルを招く元になることは目に見えています。さらに、そういった書籍のテンプレートの中は古くて法改正に対応できていないものも多くあるものです。

一方で、厚生労働省のホームページからも、厚生労働省労働基準局監督課が作った「モデル就業規則」という名のテンプレートがダウンロードできます。これも、穴埋めしていくだけで立派な就業規則が出来上がるようになっています。

さすが官庁が作ったものだけに、労働基準法をしっかりと守った内容になっています。しかし、法律に則りすぎて、労働者の利益ばかりが強調され、経営者側にとっては不利益になる項目も多数存在します。

では、現実に則した就業規則を作るには、どの様なことに注意したらよいのでしょうか?ここからは、間違いやすいポイントをお教えします。まず、多くの就業規則で見受けられるのが、適用範囲が明確でないという問題です。

規則で給与などの取り決めをしている対象は正社員である場合が多いのですが、それを明確にしていなかったばかりにパートに退職金を支払わなければならなくなったという判例があります。就業規則の適用範囲は明確にしましょう。

さらに、多くの就業規則で残業代や手当の額が間違っているというケースが見受けられます。数字の記載には特に神経質になって間違いの無いようにするべきです。

さらに、労使間でのトラブルに発展しやすいのが、有給休暇や休日に関する取り決めがあいまいな場合です。有給休暇の申請の方法や、振替休日の規定などが記載されていない就業規則が多く見受けられます。

有給休暇は許可制にはできませんが、申請の方法を曖昧にしておくと無断欠勤との認識の違いなどを招きかねず、労使間でのトラブルの元となります。さらに、振替休日と代休は法的には賃金の有る無しといった明確な違いがありますが、それらの取り方を決めていなくてトラブルになる例もあります。

これらをしっかりと就業規則で取り決めることで、無用なトラブルを避けて、ブラック企業と呼ばれることを防げるのです。

ブラック企業の就業規則とは?

ここまでお話してきたように、ほとんどの企業に就業規則があり、それは労働基準法に則って作られています。

では、ブラック企業と呼ばれる会社が現れるのはなぜなのでしょうか。それは、就業規則を無視した経営をしているからです。

そもそも従業員に就業規則を周知していなかったり、経営者が会社のルールをコロコロ変更したり、逆に過去の法令に則した古い就業規則を未だに使っていたり、そういった企業が多く見られます。

そのような企業では、労働におけるルールが現実に則していないこととなり、社員からブラック企業という誹りをうけても仕方ありません。

新しく就業規則を作る自信がない経営者のみなさんも、長い間就業規則を改定していない経営者のみなさんも、一度社労士に相談してみてはいかがでしょうか?就業規則を見直すだけで、会社の問題が解決するかもしれませんよ。

監修者の一言

就業規則は労働者が会社で働く上でのルールです。しかしブラック企業と呼ばれる会社の就業規則には下記のような規定が時々見られます。

・有給休暇はパート・アルバイトに付与されないことになっている
・責任や権限のない人まで管理監督者として定義し、残業代の対象としていない
・解雇事由に到底認められないであろう事由まで規定されている
・本人のミスにより残業した場合は、残業代は支払わないと規定されている
・本人の過失による労災は適用しないと規程されている

以上のように、規定すれば何でもルールとして適用されるというと、そうとは限りません。つまり労働基準法の水準に達していなかったり、労働者の権利・利益を不相当に制限していた場合は就業規則に規定しても無効となります。またそのような内容の就業規則を労働者が読んだときに、会社に対する信用が揺らいだり、モチベーション低下を引き起こしかねません。

是非とも法令を遵守し、会社の実情に沿った就業規則を作成してください。最後に、就業規則は従業員に周知しなくてはいけません。就業規則はあるが、意図的に従業員に見せない会社もブラック企業と呼ばれる可能性があります。

OGI社会保険労務士事務所
社会保険労務士 荻島 稔
監修者

1971年生まれ。埼玉県川口市出身。法政大学理工学部建築学科卒業。大学卒業後は某ビールメーカーの飲食部門を始め、数社の飲食チェーンにて、店長、スーパーバイザー、営業推進、人事総務部門で勤務する。これらの経験を経て、企業における人材の重要性を再確認し社会保険労務士として独立開業する。得意な業界は出身である飲食業界をはじめ、建設業や小売業など。モットーは「満足度重視」「誠実対応」「迅速対応」。

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