個人事業主が納めるべき4つの税金とは?効果的な節税対策を解説!
- 個人事業主が納めるべき4つの税金とは?
- 個人事業主が納めるべき税金の納付時期は?
- 個人事業主が行える節税対策とは?
個人事業主の方で「納めるべき税金は何?」「どのくらいの税額になるの?」と不安を感じている方、必見です。
個人事業主の場合、個人が納めるべき所得税や住民税の他に、事業主側が納めるべき消費税や事業税を納める必要があります。確定申告では、納めるべき税金をすべて申告しなければならず、無申告や過少申告にはペナルティが科せられるため、注意が必要です。
この記事では、個人事業主の方が納めるべき4つの税金と節税対策について解説します。確定申告を控えている方はぜひ参考にしてください。
個人事業主が納めるべき4つの税金と計算方法
個人事業主が納めるべき税金として、以下の4つが挙げられます。
- 所得税
- 住民税
- 消費税
- 事業税
それぞれの税金によって計算方法や納期が異なるため、納付額や納付期限を間違えないように注意が必要です。
※令和6年度の税制改正により所得税3万円・個人住民税1万円の定額減税が発表されました。対象外の方もいるため、財務省ホームページもあわせて確認しましょう。
1. 所得税
個人事業主が納める所得税とは、各自の所得に応じて課される税金です。所得税は累進課税であり、所得額に応じて税額が決まります。所得が多くなれば、その分所得税額も増えていく仕組みです。
所得税額を計算するためには、まず所得額を算出しなければなりません。1年間の収入から必要経費と各種控除を差し引いたものが課税所得となります。課税所得に対し国税庁が定めた税率をかけて所得税額を計算しましょう。
たとえば、課税所得が400万円の場合、税率は20%、控除額は427,500円であるため、所得税額は400万円×20%-427,500円=372,500円となります。
2. 住民税
住民税は、個人事業主の住所や会社の所在地がある都道府県や市区町村に納付する税金です。住民税額の計算方法は特殊で、所得割と均等割の合計で計算されます。
まず所得割は、課税所得額に対して10%(市区町村税6%と都道府県民税4%)均等割として都道府県民税が1,000円、市町村民税が3,000円の合計4,000円を納める必要があります。
たとえば、令和5年度の課税所得が400万円の場合は所得割が10%の40万円、均等割の5,000円とあわせて405,000円の住民税が課せられます。
平成26年度〜令和5年度までの期間は、防災施策の財源確保のため、市町村税と都道府県民税にそれぞれ500円が追加され、納税者は合計で5,000円を納める義務がありました。
3. 消費税
個人事業主が納めるべき税金には消費税が含まれます。課税売上高に対する消費税から課税仕入高に対する消費税を引いた金額を納めなければなりません。
ただし、前々年の課税売上高が1,000万円以下の場合、免税事業者となり消費税の納付が免除されます。2023年に始まったインボイス制度により、免税事業者が不利になるおそれがあるため、課税業者になることも検討しましょう。
個人事業主が納める消費税をさらにくわしく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。
4. 事業税
事業税は、事業を行っている個人事業主に対して都道府県が課す税金です。所得控除はないものの、事業主控除が一律290万円適用されます。課税所得が290万円以下の場合には納付の必要はありません。
事業税額は、収入金額から各種控除、必要経費、さらに専従者給与を差し引いた金額に税率をかけた金額。税率は都道府県によって異なるため、所在地の都道府県に問い合わせが必要です。
たとえば、東京都では第1種事業から第3種事業まで税率が3%〜5%と決まっています。くわしい税率は東京都主税局のホームページを参考にしてください。
個人事業主が納める税金の納付時期
個人事業主が納める税金は、税金の種類によって納付時期が異なります。税金ごとの納付時期は以下の表のとおりです。
- 所得税:毎年2月16日〜3月15日までの間
- 住民税:毎年6月、8月、10月、翌年1月の4回
- 消費税:毎年3月31日
- 事業税:毎年8月31日、11月30日
いずれの税金も、納付期日までに納付しなければ延滞税がかかります。納めるべき税金を把握し、必ず期日までに納付を済ませましょう。
個人事業主が行える節税対策8つ
個人事業主が行える節税対策として、主に以下の8つが挙げられます。
- 青色申告で確定申告する
- 経費を漏れなく計上する
- 少額減価償却資産の特例を活用する
- 各種控除を活用する
- 保険に加入する
- iDeCo・国民年金基金を活用する
- 法人化する
- 税理士に相談する
個人事業主が納めるべき税金は多岐にわたるため、節税対策を講じることで利益を手元に残す努力をすることが必要です。
1. 青色申告で確定申告する
個人事業主が節税したい場合、青色申告を利用するのは賢い方法です。確定申告には青色申告と白色申告がありますが、青色申告の方がより多くの税制上の優遇措置を受けられます。
たとえば、青色申告で条件を満たせば、最大65万円の青色申告特別控除が受けられるでしょう。加えて赤字を最大3年間繰り越し、翌年以降の黒字を相殺することも可能です。家族が従業員として働いている場合、支払った給与を青色事業専従者給与として経費に計上できます。所得を大幅に減らし、所得税額を少なくできるでしょう。
2. 経費を漏れなく計上する
個人事業主が節税するため、経費を漏れなく計上することが必要です。所得税や住民税、事業税は収入から経費を引いた所得に課されるため、経費を計上し所得を圧縮することで効果的な節税が行えます。
1つひとつは小さな経費であっても、すべてを計上して大幅な節税を行うことも可能です。領収書やレシート、出金伝票はすべて保管しておき、税務調査に備えてまとめておきましょう。
3. 少額減価償却資産の特例を活用する
青色申告を行っている個人事業主の場合、少額減価償却資産の特例を利用することも節税に役立ちます。少額減価償却資産の特例とは、取得価額30万円未満の資産に関して、一括償却もしくは3年間の均等償却ができる特例のことです。
本来取得価額10万円以上の資産は、耐用年数によって減価償却しなければなりません。少額減価償却資産の特例を利用すると、取得価額30万円未満の資産をすべて損金に参入できます。ただし、この特例を利用できるのは1年間で300万円まである点に注意しましょう。
4. 各種控除を活用する
個人事業主の効果的な節税に役立つのが、各種控除です。所得は収入から各種控除を差し引いたものであるため、活用できる控除をすべて含めて確定申告しましょう。
個人事業主が活用できる控除には以下のものがあります。
- 基礎控除
- 配偶者特別控除
- 配偶者控除
- 扶養控除
- 医療費控除
- 社会保険料控除
- 生命保険料控除
- 寄附金控除
控除で不明な点がある場合、税務署や税理士に詳細を確認しましょう。
5. 保険に加入する
個人事業主が保険に加入した場合、支払った保険料を経費に計上できます。従業員の生命保険や地震保険、火災保険のために支払った保険料が経費に認められるため、保険に加入して節税する個人事業主も少なくありません。
保険に加入して節税する場合、保険料全額を経費にできないケースがあることに注意が必要です。複数年分の保険料を一括で支払った場合、契約年数で割った金額を毎年の経費に計上しなければなりません。
6. iDeCo・国民年金基金を活用する
個人事業主の方は、iDeCoや国民年金基金を活用して節税する方法もあります。iDeCoは毎月一定額を積み立てていく資産運用で、掛け金は全額所得から控除される点がメリットです。加えて、積み立てた資金が資産運用によって増えた場合であっても、増えた部分は非課税になります。
国民年金基金は、個人事業主やフリーランスのための制度で、将来的に基礎年金に上乗せして受給できる制度です。掛け金が全額所得控除の対象になるため、所得税・住民税を大幅に減らすことが可能です。
7. 法人化する
個人事業主の税負担を減らすため、会社を法人化する手もあります。法人化すると、所得税ではなく法人税が適用されるため、納税額を抑えられるでしょう。
個人事業主の場合、本人の生命保険料は経費にできませんが、法人化すると保険料は基本的に全額経費にできます。加えて、法人化では家族従業員や事業主本人への退職金を会社の経費にできる点も大きなメリットです。
8. 税理士に相談する
個人事業主が節税するため、税理士に相談することも賢い方法です。税理士は税法のプロフェッショナルであり、最新の節税方法に通じています。
税理士と顧問契約を結ぶことで、会社の経営に関する相談や、確定申告代行を依頼できる点もメリットの1つです。節税につながる経費の取り扱いや正確な申告を行うためのアドバイスを与えてくれるでしょう。
以下の記事でもくわしく節税対策について解説しているため、参考にしてください。
まとめ
個人事業主は所得税、住民税、消費税、事業税の4つの税金を納める必要があります。それぞれ計算方法や納付時期が異なるため、納付漏れがないように十分注意しましょう。税理士に相談することで、効果的な節税が実現でき、納税の負担を減らせる可能性があります。
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