個人事業主の税金は4つの対策で節税できる!種類や計算方法も解説

小西裕也税理士事務所
監修者
小西裕也税理士事務所 税理士 小西裕也
最終更新日:2023年05月26日
個人事業主の税金は4つの対策で節税できる!種類や計算方法も解説
この記事で解決できるお悩み
  • 個人事業主の税金はどのような種類がある?
  • 個人事業主の税金は節税対策ができる?
  • 個人事業主の各種税金の算出方法は?

個人事業主が納める税金にはさまざまな種類があり、総所得に応じて算出される所得税だけではありません。

この記事では、節税対策をしたい個人事業主の方に向けて、節税の方法やポイントを紹介します。各種税金の算出方法や、法人化による節税対策についても解説しますので、ぜひ参考にしてください。

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個人事業主の税金は4種類

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個人事業主が納める税金は、所得税・住民税・消費税・個人事業税の4つです。すべての個人事業主が納めるべき税金は所得税と住民税、条件に当てはまる人は消費税と個人事業税も対象となります。
各種税金の概要について紹介していきますので参考にしてください。

所得税

所得税は、毎年1年間(1月1日〜12月31日まで)に事業で得た所得に対して課せられる税金です。所得税の税率は、所得に応じて5〜45%の間で変化する累進課税なので、所得額が多いほど税率が上がります。個人事業主にとって1番大きな負担となる税金といえるでしょう。

所得税の納付先は国です。納付方法は、昨年1年間分の所得を翌年2月16日〜3月15日(3月15日が土日の場合は翌月曜日)までに確定申告で納付します。

住民税

住民税は、確定申告後に個人事業主の事業所がある都道府県に対して、市区町村から届く納付書で支払う税金です。住民税の納付は、年4回払い(6月・8月・10月・1月)または1回払い(6月)を選択できます。

消費税

消費税は、基準期間の課税売上高によって納める金額が決まる税金です。基準期間とは、納税義務になるかの判定基準となる期間のことで、個人事業主は2年前(前々年)が基準期間になります。

開業から2年以内の個人事業主の消費税は、特定期間(前年の1月1日〜6月30日)の課税売上高が1,000万円を超えると課税されます。

詳しくは下記の記事にて掲載しています。

個人事業税

個人事業税は、事業内容に応じて課される税金です。個人事業税の納付は、年2回(8月と11月)で、納付先は都道府県です。個人事業税は地方税法により定められた法定業種のみが対象ですが、法定業種は70種ほどになるため、ほとんどの個人事業主が該当します。

個人事業主の税金は4つの対策で節税

個人事業主の節税対策のポイントは以下の4つです。

  • 経費と控除を増やす
  • 青色申告の届け出を行う
  • 少額減価償却資産の特例を活用する
  • 短期前払費用の扱いとなる特例を活用する

経費と控除を増やす

収入に対して経費と控除が増えると、所得税の節税につながります。所得税は、個人事業主が支払う税金のなかで納める金額がもっとも高いです。

年間収入から経費を差し引いた額が「課税される所得金額」です。課税される所得金額に所得税率をかけて控除額を差し引くと「所得税額」になります。

上記から、経費と控除の額が多いほど節税効果につながることがわかります。

青色申告の届け出を行う

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個人事業主の確定申告は青色申告と白色申告がありますが、青色申告を選択すると節税効果が高いためおすすめです。

青色申告をする方法は「所得税の青色申告承認申請書」を管轄の税務署へ提出して、承認されると青色申告ができます。青色申告のメリットは3つです。

  • 事業所得から最高65万円を控除できる
  • 事業から支払った給料を経費として計上できる
  • 事業の赤字を最長3年間繰り越すことができる

【メリット1】事業所得から最高65万円を控除できる

青色申告は、最高65万円の特別控除を受けられますが、白色申告だと特別控除はありません。青色申告は、最高10万円・55万円・65万円のいずれかの控除が「青色申告特別控除」として受けられます。

控除額は自分で選べるわけではありません。最高65万円の青色申告特別控除が受けられる条件は、下記の5つです。

  • 事業的規模である不動産所得または事業所得を得られる事業を行っている
  • 所得についての取引を正規の帳簿(複式帳簿)で記帳している
  • 貸借対照表と損益計算書を確定申告書に添付する
  • 控除を受ける金額を確定申告書に記載して法定申告期限内に提出する
  • e-Taxによる電子申告または電子帳簿保存を行う

【メリット2】事業から支払った給料を経費として計上できる

青色申告は、支払った給料を経費として計上できるため、家族や親族を従業員として雇用している個人事業主にはメリットになります。

【メリット3】事業の赤字を最長3年間繰り越すことができる

青色申告は、年間の収入から経費を差し引いた金額が赤字の場合、最長で3年間繰り越すことができます。繰り越した赤字は、翌年以降の利益から繰越損失分を差し引いた所得に対して税金を納めていくことになります。

少額減価償却資産の特例を活用する

少額減価償却資産の特例を受けられる条件は下記の5つです。

  • 青色申告法人である
  • 資本金または出資金の額が1億円以下である
  • 常時使用する従業員数が500人以下である(2020年3月31日以前取得の減価償却資産は従業員数1,000人以下)
  • 連結法人ではない
  • 複数の法人に発行済株式の総数または出資金総額の3分の2以上を所有されている法人である

大規模法人に発行済株式の総数、または出資金総額の2分の1以上を所有されている法人も該当します。大規模法人とは、資本金または出資金の額が1億円超の法人、大法人(資本金5億円以上の法人など)との完全支配関係にある法人です。

個人事業主や中小事業者は「少額減価償却資産の特例」を活用して節税できます。一定の条件を満たすことによって、10万円以上30万円未満の固定資産の費用を一括で経費として処理できます。

短期前払費用の扱いとなる特例を活用する

継続的なサービス利用料を、半年分や1年分などの料金を前払いした費用は「短期前払費用」扱いとなるため、特例として当期の費用で計上できます。

継続的なサービス利用料の例は、ソフトウェアの利用料やネット回線使用料などです。当期に計上できる経費が増えるので、課税対象となる所得金額を抑えられます。

短期前払費用の扱いとなる特例を受けるためには、下記6つの条件をすべて満たす必要があります。

  • 半年や年払いについて記載している契約書がある
  • 継続的なサービスの提供である
  • すでに料金を支払っている
  • 料金を支払った日から1年以内にサービスの提供を受ける
  • 支払い方法や経理は同じ方法を継続する
  • 商品の仕入れや製造などといった売上にかかる費用ではない

個人事業主の各種税金の算出方法

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ここからは、個人事業主の各種税金の算出方法を紹介します。

  • 所得税の算出方法
  • 住民税の算出方法
  • 消費税の算出方法
  • 個人事業税の算出方法

詳細を解説していきます。

所得税の算出方法

所得税の算出は、まず事業所得(収入−必要経費=事業所得)を割り出します。事業所得から所得控除を差し引いた金額が課税所得(事業所得−所得控除=課税所得)です。

課税所得に所得税率を適用させ、金額に応じた控除額を差し引くと所得税が算出できます。

(課税所得× 所得税率)−控除額=所得税額

所得税は、所得が高くなれば段階的に税率が高くなる累進課税です。所得税率および課税される所得金額と控除額は下記になります。

課税される所得金額 税率 控除額
1,000円〜1,949,000円まで 5% 0円
1,950,000円〜3,299,000円まで 10% 97,500円
3,300,000円〜6,949,000円まで 20% 427,500円
6,950,000円〜8,999,000円まで 23% 636,000円
9,000,000円〜17,999,000円まで 33% 1,536,000円
18,000,000円〜39,999,000円まで 40% 2,796,000円
40,000,000円 以上 45% 4,796,000円

参照:国税庁|所得税の税率

住民税の算出方法

住民税は「均等割」と「所得割」で構成され、2つの税額を合計した金額が住民税額です。

均等割とは、納税者の所得に関係なく全員が平等に課税される税金です。都道府県民税の1,500円と市区町村民税の3,500円を合算した額を納税します。上記に加え、2014年度〜2023年度の間は、復興特別税の500円が都道府県民税・市区町村民税それぞれに加算されます。

所得割とは、所得に応じて課される税金です。下記の計算式で課税金額が算出可能です。

(前年の総所得金額 – 所得控除額)× 税率 – 税額控除

税率は納付する都道府県・市町村でそれぞれ決められており、都道府県民税率が一律4%、市区町村民税が一律6%と設定されています。

控除に関しては、詳しくは下記の記事にて掲載しています。

消費税の算出方法

個人事業主の消費税は、特定期間(前年の1月1日〜6月30日)の課税売上高が1,000万円を超えると課税されます。個人事業主が納める消費税の納税額は、下記の計算式で算出が可能です。

消費税額=売上にかかる消費税額−仕入れにかかる消費税額

売上にかかる消費税額は、お客様から預かった消費税額と同額のため比較的簡単に計算できます。

仕入れにかかる消費税額は、電話代や交通費の他に、自動車の固定資産といった経費が含まれており、正確な課税額を算出するのが非常に難しいです。

個人事業主や中小事業者は、仕入れにかかる消費税額を簡易課税で計算する特例が認められるため、下記の計算式で算出できます。

仕入れにかかる消費税額=売上にかかる消費税額×みなし仕入率

みなし仕入率は個人事業の種類ごとで下記のように区分されています。

事業形態 みなし仕入率業種
第1種事業90%卸売業
第2種事業80%小売業、農林水産業(飲食料品の譲渡に係る事業)
第3種事業70%農林水産業(飲食料品の譲渡に係る事業を除く)・建設業・製造業・電気ガス業など
第4種事業60%第1〜3種、第5種や6種以外の事業(飲食店業など)
第5種事業50%運輸通信業・金融や保険業・サービス業(第1〜第3種事業および飲食店業を除く)
第6種事業40%不動産業

参考元:簡易課税制度の事業区分|国税庁

消費税の例

消費税は、商品・製品の販売やサービスの提供などの取引に対して、広く公平に課税されます。生産、流通などの各取引段階で二重三重に税がかかることのないよう、税が累積しない仕組みです。以下が代表的な消費税となります。

  • 酒税
  • たばこ税
  • 自動車重量税
  • 揮発油税(ガソリン)
  • 航空機燃料税
  • 地方消費税
  • 道府県たばこ税
  • 自動車取得税
  • 自動車税
  • ゴルフ場利用税
  • 市町村たばこ税
  • 軽自動車税
  • 入湯税

資産にかかる税金

  • 相続税
  • 贈与税
  • 印紙税
  • 登録免許税
  • 固定資産税
  • 不動産取得税
  • 都市計画税

消費や資産に応じてかかる税金は、個人事業主に限らず、法人や一般消費者にもかかります。個人事業主だけの税金は、所得税と個人事業税ですが所得に応じた対応となります。

個人事業税の算出方法

個人事業税の金額は、下記の計算式で算出が可能です。

個人事業税額=(前年の事業所得−事業主控除額)×税率

事業主控除とは、個人事業を行っている方であれば誰でも認められる控除のことで、年290万円の控除が受けられます。

そのため、事業所得が年間290万円に満たない個人事業主は個人事業税を支払う必要がありません。税率は事業内容によって異なり、3%〜5%の間で設定されています。

参照:法定業種と税率|東京都主税局

事業税のかかる業種は都道府県ごとに決められており、事業や地域によって税率は異なるため各自治体のホームページで確認しましょう。

個人事業主の税金は法人化が有効な節税対策

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事業の発展により課税される所得金額が増えている場合は、法人化が有効な節税対策になるでしょう。

個人事業主が納める税金は「所得税」と「住民税」対象となる場合に「消費税」と「個人事業税」です。所得税は所得額が高くなると税率も高くなります。

課税所得330万円以上なら法人化を検討

法人が納める代表的な税金は「法人税」「法人住民税」「法人事業税」「地方法人特別税」「消費税」「固定資産税」です。法人税は、所得金額や開始事業年度に応じて税率が区分されています。

参照:国税庁|法人税の税率

法人の設立は、登記の費用や手間などがかかります。所得税・法人税以外の税額も考える必要がありますが、課税所得330万円以上なら法人化を検討してもいいでしょう。

まとめ

この記事では、個人事業主の税金の節税対策や種類、計算方法について解説しました。

  • 個人事業主の税金は4種類ある
  • 個人事業主の税金は4つの対策で節税できる
  • 個人事業主の税金は法人化が有効な節税対策になる

個人事業主の節税のポイントは、経費や控除、税金について正確な知識を持ち、確定申告に備えて準備しておくことが大切です。

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監修者のコメント
小西裕也税理士事務所
税理士 小西裕也

1990年生 大阪府出身 大阪大学経済学部卒業。個人事務所、200人規模の税理士法人で実務経験を積み、2021年に独立。「お客様との対話を大事にする」をモットーに、クラウド会計を活用し、顧客に合わせた節税策や資金繰り対策を積極的に提案。ZOOMを使ったオンライン顧問サービスを行い、クライアントは全国に。

記事に記載があるように、個人事業主は売上や経費を自分で集計し、税金まで計算した上で税務署に確定申告書を提出する必要があります。どういった場合にどのような税金を納める必要があるのかについては、事前に知っておく必要があります。

確定申告すべき人がしなかった場合だけでなく、確定申告で申告した税額が本来納めるべき税額より少なかった場合には「延滞税」「過少申告加算税」などのペナルティがあります。すでに提出した確定申告書の内容に誤りがあると気づいた際は、なるべく早く修正申告を行うことをおすすめします。

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比較ビズ編集部
執筆者

比較ビズ編集部では、BtoB向けに様々な業種の発注に役立つ情報を発信。「発注先の選び方を知りたい」「外注する際の費用相場を知りたい」といった疑問を編集部のメンバーが分かりやすく解説しています。

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