相続税の申告不要とは?控除適用で納付額がない場合との違いを解説

最終更新日:2023年05月01日
株式会社Aoiコンサルティング
監修者
代表取締役 大川紗苗
相続税の申告不要とは?控除適用で納付額がない場合との違いを解説
この記事で解決できるお悩み
  • 相続税が申告が不要となる条件は?
  • 相続税額「0円」と申告が不要であるかは別?

相続税の申告の必要性について知りたい方必見。相続税は適用する税額控除によって申告の必要性が異なるため注意が必要です。本記事では申告不要となる条件や、税額が0円であっても申告が必要なケースについて紹介しています。

税額控除の仕組みと条件、手続きに必要な書類も解説。最後まで読めば、自分が相続税を申告をする必要があるかや、どのような手続きをしなければならないかがわかります。申告不要かどうか判断しにくい場合の参考にしてください。

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相続税が申告不要となる条件は「基礎控除以下であること」

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相続人は相続財産の総額が基礎控除を超える場合、相続税の申告を行う必要があります。相続税の基礎控除額は、以下の計算式で求めます。

  • 3,000万円+(600万円×法定相続人の数)=相続税の基礎控除額

課税対象となる相続財産が基礎控除額以下の場合、相続税の申告が不要です。基礎控除額は、法定相続人の数に応じて異なります。

Aさん(父から5,000万円相続)の場合

法定相続人はAさん1人とします。
相続税の基礎控除額は3,000万円+(600万円×1人)=3,600万円です。
相続金5,000万円-基礎控除3,600万円=1,400万円の課税評価額が残るため、相続税の申告が必要になります。

Bさん(父から500万円相続)の場合

法定相続人はBさん1人とします。
相続税の基礎控除額は3,000万円+(600万円×1人)=3,600万円です。
相続金500万円<基礎控除3,600万円のため、相続税の申告が不要になります。

相続税の申告不要とは「税額が0円の場合」と意味が異なる

課税対象となる相続財産の総額が基礎控除を超えた場合や特例の適用を受けたいときには、相続税の申告が必要になるため注意が必要です。とくに以下の場合は、間違いやすいポイントとして挙げられます。

  • 特例適用により0円の場合は申告が必要

相続税の課税対象となる相続財産の総額が基礎控除を超えている場合であっても、特例適用により税額が0円であれば相続税を納める必要がありません。

特例を適用し0円だった場合は申告が必要

相続税には特例があり、特例が適用により税額が0円の場合は相続税の納税義務はありませんが、相続税申告書を提出する必要があります。

特例適用により相続財産の価額が0円になるため、相続税の納税義務は発生しません。特例が適用されたことを証明するために必要な書類の1つが相続税の申告書です。税務署は正しく特例が適用された結果、納税額が0円なのか確認する必要があります。

申告不要で相続税の控除が受けられる代表例3つ【基礎控除以外】

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相続税の控除を受けるために、通常であれば申告が必要です。ただし以下の3つにあてはまる場合は相続税の申告が不要になります。

  • 未成年者控除
  • 障害者控除
  • 相続時精算課税

上記3つは相続税の申告不要で受けられる代表的な控除です。相続人が3つの控除のうちどれを適用できるかは、相続人や被相続人の状況によって異なります。

1. 未成年者控除

未成年者控除を適用するには、以下の3つの要件すべてに該当していることが必要です。

  • 財産の取得時に日本国内に住所があること
  • 財産の取得時に18歳未満であること 
    ※令和4年3月31日以前の相続または遺贈については20歳未満であること
  • 財産を取得した人が法定相続人であること

相続人が未成年の場合、収入に応じた所得税や贈与税の非課税枠に加えて、相続税にも未成年者控除が設けられています。たとえば、相続人が未成年で相続財産が5,000万円でも、未成年者控除の適用を受ける年齢や法定相続人の数により相続税の申告が不要となるケースがあります。

未成年者控除の計算方法

(18歳‐相続開始時の年齢)×10万円 
※令和4年4月1日より適用される年齢であり、令和4年3月31日までは20歳で計算される。

未成年者控除は、相続人自身が未成年である場合に、相続税の申告不要で控除が受けられる特例措置です。

参照:国税庁|No.4164 未成年者の税額控除

2. 障害者控除

障害者控除を適用するには、相続人本人が障害者であることが前提で、以下の3つの要件すべてに該当していることが必要です。

  • 財産の取得時に日本国内に住所があること
  • 財産の取得時に障害者であること
  • 財産を取得した人が法定相続人であること

たとえば、相続人が障害者である場合、相続財産が5,000万円であっても、障害者控除の適用を受ける年齢や法定総則人の数により相続税の申告が不要になるケースがあります。

障害者控除の計算方法

一般障害者の場合:(85歳‐相続開始時の年齢)×10万円 

特別障害者の場合:(85歳‐相続開始時の年齢)×20万円

障害者控除は、相続人が障害者である場合に、相続税の申告不要で控除が受けられる控除です。

参照:国税庁|No.4167 障害者の税額控除

3. 相続時精算課税

相続時精算課税は、相続財産を相続した後に相続人が財産を処分した場合に課される課税制度です。相続時精算課税を適用するには、以下の2つの要件が必要です。

  • 贈与者は、贈与をした年の1月1日現在で60歳以上であること
  • 受贈者は、贈与者の直系卑属である推定相続人または孫で、贈与を受けた年の1月1日現在で18歳以上であること
    ※令和4年3月31日以前の相続または遺贈については20歳以上であること

相続人が相続財産を売却などで処分する場合、相続財産の評価額と処分額の差額に対して相続税が課されます。

相続人が相続した財産を自ら使用する場合や、相続人が法定相続人である場合など、要件を満たすときは課税されないことがあります。

参照:国税庁|No.4103 相続時精算課税の選択

相続税が申告不要とならない税額控除の代表例2つ

基礎控除やそのほかの控除に加えて、特別控除と呼ばれる控除の種類があります。代表的なものは下記の2つです。

  • 小規模宅地の特例の適用
  • 配偶者の税額軽減

適用を受ける場合、相続税額が0円であっても申告書を税務署に提出する必要があります。

1. 小規模宅地の特例の適用

相続税の申告が必要な税額控除の代表例の1つである「小規模宅地の特例」は、宅地の面積が特定の範囲内に収まる場合に適用されます。主な内容は以下のとおりです。

  内容 上限面積 軽減割合 備考
特定事業用宅地等 被相続人等(同一生計親族を含む)の事業に供されていた宅地等で、その事業を申告期限までに承継し、かつ、申告期限まで引続きその事業を営んでいる場合 ※不動産貸付業等は除く 400 80% 特定居住用宅地等との併用可
特定居住用宅地等 被相続人の居住の用に供されていた宅地等で、その宅地等の取得者が配偶者や同居親族で申告期限までその宅地等を有し、かつその宅地等に居住している場合 330 80% 特定事業用宅地等との併用可
特定同族会社事業用宅地等 被相続人等が貸付事業をしていた宅地で申告期限までに事業を引き継ぎ、継続し保有している場合 400 80%  
貸付事業用宅地等 申告期限まで特定同族会社の事業用に使われていた宅地であることが条件 ※貸付事業を除く 200 50% 特定同族会社とは親族関係者を含め、全体の半分以上の株式を所有している株主がいる中小企業などのオーナー企業を指す

上記は、1回の相続で適用できる上限になります。適用には、以下2つの要件を満たす必要があります。

  • 被相続人または被相続人と生計を一緒にしていた親族の事業(不動産の貸付を含む)に使用されていた宅地や国の事業に使用されていた宅地等
  • 居住用として使用されていた宅地等で建物や構築物の敷地として使用されているものについて、それぞれ限度面積までの部分について50%又は80%評価額を減額

参照:国税庁 NATIONAL TAX AGENCY「相続税の申告要否判定コーナー 小規模宅地等の特例」 

2. 配偶者の税額軽減

相続税が申告不要となる税額控除の代表例の1つである「配偶者の税額軽減」は、相続人が配偶者である場合に適用されます。

相続人が配偶者である場合に相続税の課税対象額を軽減するというものです。具体的な控除額は下記のとおりです。

  控除額 備考
配偶者が受け取った財産の額 1億6,000万円以下  
配偶者の法定相続分相当額 法定相続分の額≦1億6,000万円
※相続した財産の額が1億6,000万円以下の場合は非課税
法定相続分の額>1億6,000万円
※相続した財産の額が法定相続分の額以下の場合は非課税

参照:国税庁|No.4158 配偶者の税額の軽減

相続税が申告不要となっても必要な手続き3選

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相続税が申告不要となっても、相続人が必要な手続きがあります。代表的なものは下記の3つです。

  • 預金口座の名義変更・解約
  • 有価証券等の名義変更・解約
  • 不動産の登記手続き

相続人が名義を持つ預金口座や有価証券等、不動産などの財産には、相続人の変更が必要になります。不動産を相続した場合には、登記手続きが必要です。

手続きを怠ると、財産の管理や売却ができなくなるため注意しましょう。

1. 預金口座の名義変更・解約

銀行口座の名義変更に必要な書類は、以下のとおりです。(ゆうちょ銀行を除く)

相続人の数 必要書類 備考
1人 1. 銀行備え付けの相続届  
2. 故人の生まれてから亡くなるまでの戸籍謄本 法務局の法定相続情報一覧図でも可
3. 相続人全員の戸籍謄本 法務局の法定相続情報一覧図でも可
4. 相続人の印鑑証明書  
複数人の場合 1. 銀行備え付けの相続届  
2. 故人の生まれてから亡くなるまでの戸籍謄本  
3. 相続人全員の戸籍謄本  
4. 相続人の印鑑証明書  
5. 遺産分割協議書  
遺言がある場合 1. 銀行備え付けの相続届  
2. 故人の生まれてから亡くなるまでの戸籍謄本  
3. 口座を引継ぐ相続人の戸籍謄本 ※銀行口座ごとで複数人が引き継ぐ場合は銀行口座ごとに必要
4. 口座を引継ぐ相続人の印鑑証明書 ※銀行口座ごとで複数人が引き継ぐ場合は銀行口座ごとに必要
5. 遺言書 ※自筆証書遺言の場合は、検認済のもの

2. 有価証券等の名義変更・解約

有価証券等の名義変更・解約をする場合に必要な書類は、請求方法で異なります。

  株式の権利を取得した特定の相続人が単独で移管を請求する場合 遺言により株式の権利を取得した特定の相続人(受遺者)が単独で移管を請求する場合
必要書類 相続人全員の実印が捺された遺産分割協議書 遺言書正本(公正証書遺言以外の場合は、さらに家庭裁判所の遺言書検認証明書)
被相続人の出生から死亡前の戸籍謄本・除籍謄本・改製原戸籍謄本 遺言者の死亡の記載がある戸籍謄本または除籍謄本
相続人の戸籍謄本 移管を受ける相続人または受遺者の印鑑証明書
取引証券会社所定の相続手続き関係書類 取引証券会社所定の相続手続き関係書類
取引証券会社所定の取引口座開設関係書類 取引証券会社所定の取引口座開設関係書類

相続で納税資金が必要になることから口座を解約し現金化するのが一般的です。口座の解約手続きに必要な書類は、預金口座で必要になる書類と同じです。

3. 不動産の登記手続き

不動産の登記手続きに必要な書類は、以下に挙げる4つの場合により異なります。

  遺産分割協議により相続する場合 遺言により相続人のひとりが相続する場合(遺言執行者なし) 遺言により法定相続人以外の受遺者が遺贈する場合 遺言により法定相続人以外の受遺者が遺贈する場合(遺言執行者あり)
登記申請書
被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本・除籍謄本・改正原戸籍謄本 - -
被相続人の住民票除票または戸籍の附票 ※死亡後5年以内の場合 - - -
相続人全員の実印が捺された遺産分割協議書 ※相続人が1人の場合は不要 - - -
相続人全員の印鑑証明書
3カ月以内のもの
- -
相続人全員の戸籍謄本 - - -
相続する人の住民票 - -
相続する人の戸籍謄本・委任状 - - -
固定資産評価証明書 -
遺言書正本 -
公正証書遺言以外の場合、家庭裁判所の遺言書検認証明書 -
遺言者の死亡の記載がある戸籍謄本または除籍謄本 - -
被相続人の住民票除票 -
受遺者の住民票 - -
被相続人の登記済権利証または登記識別情報 - -
遺言執行者が家庭裁判所で選任されている場合は選任審判書の謄本 - - -
遺言執行者の印鑑証明書 - - -

遺産分割協議書に従って相続登記をする場合は特に期限が設けられていません。期限がないため登記を後回しにすると、遺産分割協議書に記載されている相続人が先に亡くなる可能性があります。

先に故人の相続手続きをするとき、登記手続きが済んでいなければ遺産分割協議書にあるほかの相続人の資料を収集しなければなりません。

将来的に発生する手間や労力を考えると、すみやかに登記手続きを進めるのが得策です。

まとめ

相続税の申告不要となる条件は「基礎控除以下であること」です。特例適用の場合、税額が0円でも申告が必要になります。基礎控除以外にも未成年者控除や障害者控除、相続時精算課税などの税額控除があります。

相続税が申告不要であっても、預金口座などの名義変更・解約、不動産の登記手続きなどが必要です。相続を受けた場合には、相続人として必要な手続きを適切に行いましょう。

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監修者の一言

相続財産に含めるもの、含めないもの、相続財産の評価や税額計算の場面での控除の有無、控除額の算定などは、複雑な判定・計算が必要となります。

申告のために準備しなければいけない資料も多く、内容は個別の事情により異なります。申告書の提出期限は、相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内と短いため、お早めに準備されることが重要です。

期限後の申告・納税となってしまった場合には、延滞税や加算税が課されてしまいす。大切な相続財産を守るためにもお早めに相続専門の税理士へご相談されることをお勧めいたします。

また、令和3年度の司法統計年報によると、家庭裁判所に持ち込まれた遺産分割事件数は全国で13,447件と少なくありません。遺産分割協議でお困りの際には弁護士へ相談しましょう。

株式会社Aoiコンサルティング
代表取締役 大川紗苗
監修者

大阪府出身。幼少期をアメリカ コネチカット州にて過ごす。立教大学経済学部在学中に公認会計士試験に合格。大学卒業後、EY新日本有限責任監査法人に入社し、国内外法人の監査に従事。日本/米国/国際会計基準での会計/内部統制監査、開示書類の英訳等を経験。2022年にAoiグループを設立し、創業/資金調達/IPO/事業再生の支援、クラウド会計を活用した税務会計サポート等のサービスを提供している。趣味はバレエとヨガ。

比較ビズ編集部
執筆者
比較ビズ編集部では、BtoB向けに様々な業種の発注に役立つ情報を発信。「発注先の選び方を知りたい」「外注する際の費用相場を知りたい」といった疑問を編集部のメンバーが分かりやすく解説しています。
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