現金の相続税は高い?賢い節税方法6つを解説!
- 現金の相続税はいくらになる?
- 現金の相続税を節税する方法は?
- 現金の相続税で注意すべきポイントは?
「現金の相続税はいくら?」「現金の相続税を節税する方法は?」とお悩みの方、必見です。現金の相続税は不動産の相続税より高くなる傾向があり、節税が非常に重要です。
この記事では現金の相続税額や節税対策について詳しく解説します。読み終わる頃には、現金の相続税の算出方法がわかるでしょう。相続が発生した際にぜひ参考にしてください。
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現金を相続した際の相続税額
現金だけを相続した場合の相続税額は、以下の式で計算します。
- 相続税額:相続金額−相続基礎控除×税率
- 相続基礎控除:3,000万円+(600万円×相続人の数)
以下は、相続財産が現金5,000万円、相続人が被相続人の配偶者と子ども1人の場合の計算例です。
- 基礎控除:3,000万円+(600万円×2人)=4,200万円
- 課税対象額:5,000万円−4,200万円=800万円
- 相続人1人あたりの相続税額は400万円×10%(相続分が1,000万円以下の場合相続税率は10%)=40万円
現金を相続した際の相続税は高い
現金を相続した場合、他の財産よりも相続税が高くなる傾向があります。現金は相続する現金から基礎控除を差し引くのみで、税額軽減の措置がないため相続税が高くなります。
不動産や他の財産の相続税は評価額によって計算し、税額軽減の措置があります。
現金と不動産の相続税額の差
現金と不動産の相続では、最終的な相続税に大きな差が生まれます。
現金の相続税の計算例
以下は、相続財産が現金9,000万円、相続人が配偶者1人の場合の計算例です。
- 相続基礎控除:3,000万円+(600万円×1)=3,600万円
- 課税対象額:9,000万円−3,600万円=5,400万円
課税対象額5,400万円では、税率30%、控除額700万円となり、相続税額は以下のとおりになります。
- 相続税額:5,400万円×30%−700万円=920万円
不動産の相続税の計算例
9,000万円で購入した不動産を相続し、相続税評価額が80%の7,200万円のケースを例に挙げます。
- 相続基礎控除:3,000万円+(600万円×1)=3,600万円
- 課税対象額:7,200万円−3,600万円(基礎控除)=3,600万円
課税対象額3,600万円の税率は20%、控除額200万円であるため、相続税額は以下のとおりになります。
- 相続税額:3,600万円×20%−200万円=520万円
現金と不動産では、400万円もの差が出ます。
現金の相続税対策6つ
現金を相続した際の節税対策は、以下の6つが挙げられます。
- 暦年贈与を行う
- 相続時精算課税制度を利用する
- 住宅取得等資金の贈与の特例を利用する
- 教育資金の一括贈与の特例を利用する
- 結婚・子育て資金の一括贈与の特例を利用する
- 生活費や教育費として生前贈与する
1. 暦年贈与を行う
暦年贈与とは、年単位で少しずつ現金を贈与することで贈与税や相続税を節税する方法です。毎年1月1日から12月31日までの1年間に110万円の基礎控除があり、110万円以下の贈与には贈与税がかかりません。
暦年贈与の大きなメリットは、贈与税の配偶者控除や住宅資金の非課税制度など、他の制度と併用できる点です。相続税を大幅に節税できますが、贈与のタイミングや契約書の有無により定期贈与と見なされて贈与税が課税されるおそれがあるため、注意しましょう。
2. 相続時精算課税制度を利用する
住宅取得等資金の贈与の特例を使うことにより、現金の相続税を節税できます。贈与税の基礎控除は110万円であり、通常110万円を超える現金の贈与には贈与税がかかる仕組みです。しかし、子や孫の住宅取得資金のために親や祖父母が贈与するケースに限り、最大1,000万円が非課税となります。
この特例の注意点は、2023年12月31日までの期限付きであること、贈与した現金が非課税の範囲内で贈与税がゼロでも、贈与税の申告をしなければならないことです。申告をしないと、追徴課税が科せられ、この特例も利用できないおそれがあります。
3. 住宅取得等資金の贈与の特例を使う
住宅取得等資金の贈与の特例を使うことにより、現金の相続税を節税できます。贈与税の基礎控除は110万円であり、通常110万円を超える現金の贈与には贈与税がかかる仕組みです。しかし、子や孫の住宅取得資金のために親や祖父母が贈与するケースに限り、最大1,000万円が非課税となります。
この特例は、2023年12月31日までの期限付きである点に注意が必要です。加えて、贈与した現金が非課税の範囲内で贈与税がゼロでも、贈与税の申告をしなければなりません。申告をしないと、追徴課税が科せられるだけではなく、この特例が使えなくなるおそれがあります。
4. 教育資金の一括贈与の特例を利用する
子や孫に教育資金を一括贈与し、1人につき1,500万円まで贈与税が非課税になる制度があります。将来相続させる現金を減らして相続税対策を行えます。
この制度の大きな特徴は、すぐに使わないお金でも非課税であることです。用途が教育に限定されますが、現金を減らし将来発生する相続税を節税するために非常に効果的です。暦年贈与や相続時精算課税制度との併用も可能であるため、どのような方法が1番効率的か確認しながら制度の利用を検討しましょう。
5. 結婚・子育て資金の一括贈与の特例を使う
結婚・子育て資金の一括贈与の特例は、最大1,000万円までの贈与が非課税になるため、現金の相続税を減らすのに役立ちます。20歳以上50歳未満の子や孫のため、資産を早期に移転することを目的とした制度です。2025年3月31日まで期間が延長されました。
1人につき1,000万円まで非課税となるため、複数の子や孫に贈与することで大きな節税となるのがポイントです。暦年贈与とも併用できるため、効果的な節税が可能となります。注意すべきポイントは、受贈者が50歳になった場合や贈与者が亡くなったときに残高が残っていた場合に相続税が課税されることです。
6. 生活費や教育費として生前贈与する
扶養の義務を負っている親や祖父母が子や孫の生活費や教育費を贈与するのは、法律で認められている非課税の贈与です。親からの仕送り、高校・大学の入学金や授業料に相続税がかからないのはこの理由によります。
必要に応じて、生活費や教育費を贈与することで資産である現金を減らし、将来の相続税を節税することが可能です。生活費や教育費とは考えにくい高額な贈与は認められないため、必要な金額をその都度渡すことが重要です。
現金の相続税で注意すべきポイント5つ
現金の贈与税で注意すべき点は以下の5つです。
- タンス預金も申告する
- 生前贈与が定期贈与とみなされる可能性がある
- 被相続人の預金を勝手に下ろさない
- 生前贈与の証拠を残す
- 生前贈与加算に注意する
1. タンス預金も申告する
家にタンス預金がある場合でも、相続財産の目録に含めることが重要です。タンス預金は銀行の口座記録に反映されていない現金であるものの、相続税の申告には含めなければなりません。
タンス預金は相続人以外誰も知らないため、申告しなくてもバレないのではないかと考える人も多いでしょう。しかし、税務署や国税庁は個人の所得水準やお金の流れを把握できるため、申告を怠ると重いペナルティが科せられます。脱税は重い罪になるため、正確な申告を心がけましょう。
2. 生前贈与が定期贈与とみなされる可能性がある
現金を贈与する方法によっては、定期贈与と見なされて贈与税が課税されるおそれがあります。定期贈与とは、毎年一定額の財産を贈与することです。たとえば、1,000万円の現金を、毎年子どもの誕生日に100万円ずつ、10年にわたって贈与することが定期贈与であり、1,000万円に対して贈与税が課税されます。
生前贈与が定期贈与であると見なされることを避けるために、贈与のたびに毎年贈与契約書を作成することも1つの方法です。契約書により、各年の贈与が個別の贈与と見なされ、定期贈与と認定されにくくなるでしょう。贈与する金額や時期を毎年変更するなどの方法もあります。
3. 被相続人の預金を勝手に下ろさない
現金と相続でよく起こるトラブルは、相続人が勝手に被相続人の銀行口座から現金を引き出してしまうことです。特定の相続人が勝手に現金を引き出した場合、他の相続人とトラブルになるだけではなく、財産を相続する意思があると見なされて相続放棄ができなくなるおそれがあります。
相続放棄ができなくなった場合、多額の相続税が課税される、負の遺産も放棄できないなどのデメリットが生じるでしょう。葬儀費用や当面の生活費をまかなうためにやむを得ず現金を引き出す場合は、遺産分割前の相続預金の払戻し制度を利用することをおすすめします。
4. 生前贈与の証拠を残す
現金は不動産とは異なり、手渡しで贈与することができるため、生前贈与の証拠を残すことが非常に重要です。贈与契約書を作成する、銀行振込で贈与するなどの方法を使えば、生前贈与の記録や証拠を残せます。基礎控除をわずかに超える贈与を行い贈与税の申告を行う方法もあります。
生前贈与である証拠がない場合、税務署に対して受け取った現金が110万円の基礎控除内であったことを証明できません。税務署から指摘を受けても基礎控除を超えていないことを証明できず、贈与税や相続税の支払いを命じられる可能性があるため注意が必要です。
5. 生前贈与加算に注意する
相続税を節税するために現金を生前贈与した場合、生前贈与加算に注意しましょう。生前贈与加算とは、被相続人が亡くなる3年前までに受けた贈与は相続税課税価格に加算されるものです。令和6年1月1日以降の贈与は、生前贈与加算の期間が7年前までに延長されます。
贈与税を支払った財産も相続財産と見なされ、相続税額と贈与税額の差額を納めなければなりません。生前贈与加算を避けるため、高齢者の方は早めに贈与を始めるのがおすすめです。
教育資金や住宅取得資金、結婚・子育ての資金の特例を活用した贈与は、生前贈与加算に含まれないため、積極的に活用するといいでしょう。
まとめ
現金の相続税は、不動産や他の財産に比べ高くなる傾向があります。相続税を賢く節税するためには、暦年贈与や相続時精算課税制度を積極的に活用しましょう。
税理士のアドバイスを受けながら生前贈与を行うことで、贈与税・相続税を節税してより多くの財産を子孫に残すことができます。
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岐阜県出身。上場会社の経理に勤務する傍ら、竹中啓倫税理士事務所の代表を務める。M&Aなどの事業再編を得意とし、セミナーや研修会講師にも数多くあたるほか、医療分野にも造詣が深く、自ら心理カウンセラーとして、心の悩みにも答えている。税理士会の会務では、名古屋税理士協同組合理事を務める。

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現金は、不動産などと異なり、小口に分割することができます。これは、預貯金においても同様に扱われます。相続税申告を行い相続税を納税することになりますので、各相続人に対して程よく現金や預貯金を分割することが、遺産分割をトラブルなく終わらせる秘訣といえましょう。
現金や預貯金は額面そのままに評価されますが、他の財産については、その資産の性質によって、減額されるケースが多く、相続財産を減らすことができます。例えば、不動産の場合、建物は固定資産税評価額で評価され、その評価額は時価よりも低い場合が多いです。
相続税対策をプランニングする場合、不動産を絡ませた対策は非常に効果が高いといえます。ただ、不動産を多く絡ませることにより、現預金が少なくなる傾向があり、遺産分割に問題を生じさせることも起こります。
それ以外にも、保有する不動産を賃貸に出している場合、入居率が不動産の利回りに影響を及ぼすことが多いです。ご注意ください。