【必見】注文住宅の値引きはオプションがポイント!交渉のリスク・注意点を解説
- 注文住宅の値引きは可能?どのくらい値引きしてくれる?
- 注文住宅のオプションは値引きしやすい?値引き交渉が通りやすいタイミングは?
- 注文住宅の値引き交渉にはリスクがある?交渉のコツは?
注文住宅では価格を下げるため、オプションの値引き交渉をすることがおすすめです。しかし値引き交渉のポイントや注意点がわからないと、やりにくいと感じる方は多いでしょう。
そこで本記事では注文住宅の値引き交渉ポイントや気になるリスク、注意点について解説します。最後まで読めば、注文住宅のオプションを値引きするために知っておきたい知識が身につくでしょう。
「注文住宅をできるだけ安くしたい」という方はぜひ参考にしてください。
注文住宅の値引きは可能なのか?
すでに出来上がっている住宅を販売する「建売住宅」の場合、売れない時期が長ければ安くなるので、値引きが期待できます。それでは、建主の希望を取り入れながらゼロから設計・施工する「注文住宅」の場合、値引きは期待できるのでしょうか?
一般的に契約後の施工になるため、売れ残る心配がない注文住宅の値引きは難しいといわれています。しかし、オプションでの調整などを中心に、多少の値引きに応じてくれるハウスメーカー・工務店は少なくないようです。以下、注文住宅の値引き実態に関して、それぞれを簡単に紹介していきましょう。
- 工務店の注文住宅値引き率
- ハウスメーカーの注文住宅値引き率
工務店の注文住宅値引き率
エリアを限定したサービスを提供する地域の工務店で注文住宅を建てる場合、値引きがないか、あっても最大3%程度の値引き率にとどまるようです。たとえば、この値引き率を3,000万円の注文住宅に当てはめれば、端数となる数万円を丸めるだけか、あるいは値引きに応じてくれても最大90万円程度が限界だと考えられます。
工務店の値引きが難しいのは、建材などの材料費・人件費などの工賃・経費を含む注文住宅の原価に、ギリギリの利益を乗せていることが多いから。地域の工務店にとって値引きに応じることは、イコール自社の利益を削ることにつながってしまいます。
ハウスメーカーの注文住宅値引き率
一方、ハウスメーカーで注文住宅を建てた場合、おおむね3%から7%程度の値引きに応じてくれることが多いようです。たとえば、この値引き率を3,000万円の注文住宅に当てはめれば、90万円から210万円程度の値引きが期待できるということ。
注文住宅の原価に利益を乗せている点では工務店と同様ですが、広告宣伝費を含む固定費がかかる分、利益率を高めに見積もっているため、多少の値引きに応じられる余裕があるからだと考えられます。
注文住宅の値引きには応じないハウスメーカーも
ただし、一条工務店に代表されるように、「こだわりの家づくり」という会社のポリシーとして、注文住宅の値引きには応じないというハウスメーカーも存在します。
注文住宅を建てた方から紹介を受けると値引きが適用される「紹介割引制度」を採用するハウスメーカーもあるため、まったく値引きができないというわけではありませんが、ハウスメーカー・工務店にとって「値引きイコール利益を削る」のが原則だということは覚えておく必要があります。
注文住宅の値引き交渉ポイント
ここまでで、注文住宅の値引きに関する実態を紹介してきましたが、利益を削ることになる値引きを、ハウスメーカー・工務店の方から持ちかけてくることはないと考えてもいいでしょう。つまり、注文住宅を建てるにあたって値引きという条件を引き出すには、建主の側から交渉するしかありません。
では、値引き交渉するために気を付けておくべきポイントとはなにか?ヒントとなるポイントを以下の3つから紹介していきます。
- オプションは値引きの対象になりやすい
- 値引き交渉は仮契約の直前
- 決算期は値引き交渉が通りやすい
オプションは値引きの対象になりやすい
建具のグレードアップ、ウッドデッキ、ソーラーパネル、二重サッシなど、注文住宅に用意されている多数のオプションは値引きの対象となりやすいことを覚えておきましょう。注文住宅の構造部分に関しては、特にハウスメーカーの場合独自の素材・工法を用いている場合が多く、値引きとして削れる利益は多くありません。
「オプションの分を値引きできないか?」「値引きが難しいならオプションを追加してくれないか?」といった交渉術が使えますが、もちろん値引き交渉するだけのために不要なオプションを追加したのでは意味がありません。「欲しいオプションがあれば、値引き交渉のときに使えるかもしれない」程度に考えておくのがおすすめです。
値引き交渉は仮契約の直前
追加したいオプションがあったとしても、最初から値引き交渉するのはおすすめしません。注文住宅の値引き交渉は、見積もりの内容が固まった「仮契約の直前」のタイミング、一度限りにしておくことがベストです。
見積もり内容が固まっているということは、原価もほぼ正確に計算されているということ。このタイミングなら利益や利益率もほぼ確定しているため、どこまでなら値引きできるか担当者も判断しやすいというわけです。
さらに、見積もり内容を固めるまでにはそれなりの労力も必要。ハウスメーカー・工務店の担当者も、契約を逃して利益がゼロになるよりは、多少なりとも譲歩しようという気持ちになっていると考えられます。
決算期は値引き交渉が通りやすい
値引き交渉のタイミングとなる注文住宅の仮契約時期を、ハウスメーカーの「決算期」に合わせるというのも希望が通りやすくなるポイントです。ハウスメーカーに限らず、どのような企業でも決算期には営業成績を上げたいもの。担当者にも「多少利益を削っても数を取りたい」という心理が働くため、希望に近い値引きを受け入れてもらえる場合があります。
逆に、決算期であれば担当者側から値引きを申し出てくる場合もありますが、見積もり内容が固まっていないうちは慎重に判断した方が無難。値引き額が決まってから注文住宅の詳細を詰めていたのでは、どこかで帳尻の合わない場所が出てくる可能性があるからです。
ハウスメーカーの決算期はいつ?
決算期を公開していない地域の工務店では利用できない手段ですが、上場しているハウスメーカーであれば決算期を調べることは可能。一般的に、値引き交渉が通りやすいのは「中間決算」「本決算」だといわれているため、相談を始める時期を逆算しておくといいでしょう。主なハウスメーカーの決算期は以下の通り。
ハウスメーカー | 中間決算 | 本決算 |
---|---|---|
大和ハウス | 9月 | 3月 |
セキスイハイム | 9月 | 3月 |
住友林業 | 9月 | 3月 |
ヘーベルハウス | 9月 | 3月 |
パナソニックホーム | 9月 | 3月 |
積水ハウス | 7月 | 1月 |
タマホーム | 11月 | 5月 |
注文住宅の値引き交渉はリスクが大きい?
一般的に「注文住宅の値引き交渉はリスクが大きい」と言われています。なぜなら、すでに出来上がっている(原価が確定している)ものを値引き交渉するのとは異なり、注文住宅は「これから作る(予定原価しかわからない)もの」に対しての値引き交渉になるという難しさがあるからです。
以下の3つから簡単にリスクについて解説していきましょう。
- 値引き前提で見積書を作成するハウスメーカー・工務店も
- 注文住宅の品質に影響する場合も
- 値引き交渉には注文住宅の知識が必要
値引き前提で見積書を作成するハウスメーカー・工務店も
すべてのハウスメーカー・工務店が当てはまるわけではありませんが、なかには建主から値引き交渉があることを前提に見積書を作成するハウスメーカー・工務店も存在します。
つまり「原価 + 適正な利益」に、想定される値引き分を上乗せした金額で見積書を作成するということ。これなら建主からの値引き交渉に応じても利益を削る必要がなく、担当者側から見れば、仮契約に向けた「切り札」として上乗せ分を使えます。
ハウスメーカー・工務店が「適正な利益」にこだわるのは、建材などにロスが生じる可能性や、工期が伸びて人件費が増えるなど、注文住宅の原価には少なからず変動要因があるからです。多少のロスが出ても適正な利益があれば相殺可能ですが、利益が少なければロスを吸収できません。
注文住宅の品質に影響する場合も
ハウスメーカー・工務店の利益が、適正レベルを下回ってしまったらどうなるのか?原価の変動要因に対するマージンを確保するため「建材・建具などのレベルを下げる」イコール注文住宅の品質に影響がおよぶ可能性が出てきます。仮に、建材・建具のレベルを下げなかったとしても、マージンを確保するためのしわ寄せは必ずどこかにおよびます。
たとえば、大手ハウスメーカーであれば、実際の施工を担当するのは地元の工務店であることがほとんど。その外注費用が抑えられてしまったらどうでしょう?作業の単価が下がれば、職人といえどもモチベーションが下がってしまう、イコール注文住宅の品質に影響する可能性が高まります。
値引き交渉には注文住宅の知識が必要
見積もり金額に値引きを前提としたマージンが上乗せされているのか?見積もり金額に見合う建材・建具が使われているのか?などを判断するのは、過去にハウスメーカーで勤務した経験を持つ方でなければほぼ不可能。明細ごとに分かれた詳細な見積書を提出されても、それが正しいものかを判断するためには、建築・注文住宅に関する深い知識が必要です。
なんの根拠もなく、ただ単に「見積書の金額が高いから値引きしろ」では、「値引きしてもらった気になる」「注文住宅の品質に影響がおよぶ」などのリスクを排除できません。
注文住宅の値引き交渉で注意しておくべきポイント
それでは、注文住宅につきまとう値引き交渉のリスク、値引き交渉を有利に進めるポイントを踏まえ、もっともいい条件を引き出すにはどうすべきなのでしょうか?重要なことは、建主である自信と、施工を請け負うハウスメーカー・工務店がWin-Winの関係性になるように交渉することです。以下の3つから簡単に解説していきましょう。
- 複数社から見積もりを取ることが大前提
- 過度な値引き交渉はしない
- 担当者との信頼関係を築く
複数社から見積もりを取ることが大前提
まず大前提としてやるべきは、複数のハウスメーカー・工務店に注文住宅の見積もりを取って比較検討の材料にすることです。契約するまでに10社以上から見積もりを取ったという方が存在することを考えれば、少なくとも4〜5社程度から見積もりを取る必要があるでしょう。
複数社から見積もりを取ることによって、施工会社それぞれの違いが把握でき、注文住宅の見積書の見方も理解できるようになるメリットが得られます。すべての施工会社に「同じ希望」を伝え、できる限り詳細な見積もりを提出してもらうことが肝心です。
また、複数社から相見積もりしていることを担当者に伝えておけば、お互いを自然に競わせることも可能です。競合相手がいるということが分かれば、ハウスメーカー・工務店の担当者も、できる限りベストな金額を見積もってくれると期待できます。
競合するハウスメーカー・工務店の相見積もりが効果的
建築・建設という同業であっても、相見積もりの相手によっては「競合」となり得ないことも考えられます。大手ハウスメーカーと地域の工務店を競合させても、大手ハウスメーカー側がまともに話を進めてくれない可能性もあるのです。
たとえば、注文住宅を建てる場合の目安としての「坪単価」や注文住宅の構造となる「構造躯体」も、ハウスメーカーによって異なります。注文住宅の坪単価が似たようなメーカー同士、あるいは似た構造躯体を採用するメーカー同士で競合させると効果的です。代表的なハウスメーカーの坪単価は以下の通り。
平均的な坪単価90万円〜 | 三井ホーム、住友林業 |
---|---|
平均的な坪単価70万円〜90万円 | 積水ハウス、ヘーベルハウス |
平均的な坪単価60万円〜80万円 | ミサワホーム、一条工務店 |
平均的な坪単価50万円〜 | タマホーム、アイフルホーム |
過度な値引き交渉はしない
注文住宅の値引き交渉リスクでも触れたように、建物の品質に影響がおよぶような過度な値引き交渉は控えましょう。
それぞれの施工会社から適正な見積書を提出してもらっていれば、オプションを絡める、決算期と仮契約の時期を合わせるなどを駆使しても、ハウスメーカーの割引率は3%から7%、工務店なら最大3%が相場です。それ以上の値引きを希望するようであれば、しわ寄せがどこかにおよぶと考えたほうが無難です。
担当者との信頼関係を築く
意外とおろそかにしがちなことではありますが、見積もりを依頼するハウスメーカー・工務店の担当者と信頼関係を築くように努力することも大事です。
相見積もりする時点では、どこに決めるかはわからないのは事実ですが、逆にいえば、見積もりを依頼したすべての施工会社が候補であることを忘れてはいけません。施工会社との付き合いは、注文住宅の建築、建築後のアフターサポートまでを含めた長期にわたる関係になるからです。
たとえば、あなたがハウスメーカーの担当者だとすれば、「あそこはいくらだった」「こっちはいくらにしてくれた」など、何度も値引き交渉してくる建主に親身になれるでしょうか?対応してくれる担当者には、真摯な態度で接する必要があります。
予算オーバーの場合は注文住宅を諦める?
注文住宅の品質に関するリスクを回避しながら、注意深く値引き交渉を進めても、どうしても予算をオーバーしてしまう、といったパターンは少なくありません。解決方法として考えられるのは「注文住宅のグレードを落とす」「規模を縮小する」「注文住宅を諦めて建売住宅を検討する」などの方法でしょう。
しかし、意外に感じるかもしれませんが、予算に上限があるときこそ頼りたいのが「建築設計事務所」です。
予算に上限があるときは設計事務所に相談する方法も
たしかに、建築設計事務所の設計料は「総工事費の10%〜15%」が相場であり、ハウスメーカーの「2%〜5%」に比べれば高額です。
しかし、設計事務所は設計料ありきで考えるのではなく「設計料 + 工事費」という、全体を見据えたプランニングをしていることが特徴。結果的に、予算に上限があるなら、その範囲内で建主の希望を取り入れたベストな注文住宅を実現できるメリットがあるのです。
また、ハウスメーカーや工務店と違い、設計事務所ならプロフェッショナルとしての客観的な視点で施工会社を選定でき、利害関係のない第三者の視点で工事監理できるというメリットもあります。予算オーバーした場合の一つの選択肢として覚えておいても損はありません。
まとめ
注文住宅の値引きは可能なのか?値引き交渉にリスクがあるのは本当なのか?本記事では、ハウスメーカーや工務店の値引き率、値引き交渉のポイントなど、注文住宅に関する値引きの実態を解説するとともに、注文住宅の値引き交渉はリスクが大きいといわれるのは本当なのか?予算オーバーの場合はどうすべきか?という疑問にも回答してきました。
注文住宅の値引き交渉は慎重に進めるべきことがお分りいただけたのではないでしょうか?建主の要望を受けてゼロからプランニングする注文住宅は、そもそもコストを積み上げながら総額を見積もっていくもの。なによりも真摯に対応してくれる優秀な施工会社を候補として複数社ピックアップしたいものです。
そんなとき『比較ビズ』なら、必要事項を入力する2分程度の手間で、注文住宅に強い専門家・施工会社をスピーディーに探せます。どの専門家・施工会社に相談すべきなのか?迷うようなことがあれば、是非利用してみてください。
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注文住宅において値引きをする(してもらう)には、それなりの理由が必要です。
例えば合い見積りで安く提示してきた会社の金額に近づけてもらう、オプション分の差額を減らしてもらうなど、住宅会社側も粗利管理が厳しい中、値引をする理由が会社に対して説明ができなければ値引をすることはまずありません。
しかも、住宅業界全体がウッドショックや資材高騰、物流費高騰、人件費高騰などにより値上げ一色となっている中で、値引をする余裕はなくなってきているのが現状です。
それでも値引交渉をする場合は、お互いの歩み寄りが必要です。上述にありますように強引な値引、過度な値引はその後の品質や対応に影響を及ぼすこともあり、気持ちよく引き渡しを迎えることができなくなってしまいます。値引交渉は相手の立場を思いやる気持ちが大切なのです。