会社設立を司法書士に依頼する報酬・費用は?株式会社と合同会社の違いを解説

最終更新日:2023年04月12日
こしだ司法書士事務所
監修者
司法書士 越田一希
会社設立を司法書士に依頼する報酬・費用は?株式会社と合同会社の違いを解説
この記事で解決できるお悩み
  • 会社設立を司法書士に依頼する報酬はどれくらい?
  • 株式会社と合同会社の設立における費用の違いは?
  • 会社設立の手続きにおける司法書士の報酬の内訳は?

会社設立の際には司法書士を頼ると安心ですが、報酬が気になる方は多いでしょう。適正価格で納得して依頼するためにも、報酬相場を把握しておくことが大切です。

そこで本記事では、会社設立に関する手続きを司法書士に依頼する場合の報酬相場について解説します。設立する会社が株式会社と合同会社のどちらかによりかかる費用が異なることに注意しましょう。

「会社設立における司法書士の報酬や費用を知りたい」という経営者・個人事業主の方はぜひ参考にしてください。

会社設立の費用と司法書士の報酬相場

早速ではありますが、サクッと会社設立に掛かる費用と、司法書士の報酬相場の金額をお伝えします。詳細を知りたい場合は、この後に続く章を読み進めていただければと思います。

概要 費用
会社設立に必要な費用 60,000円〜200,000円
司法書士の報酬相場 60,000円〜100,000円
資本金 1,000,000円以上ぐらいあると良い
登録免許税 〜149,800円
その他雑費 10,000円〜

あくまでもざっくり計算ではありますが、目安としては上記イメージです。資本金をどのくらいにするかで大きく変わってきますが、司法書士の報酬相場は60,000〜100,000円ぐらいを見ておくとよいでしょう。

報酬に差があるのは、設立する会社が「株式会社なのか?」「合同会社なのか?」で変わるからです。いずれも一長一短があるため、費用の安さだけではなく、将来を見据えた選択をするとよいかと思います。この2つについてはこれから解説していきますので、ぜひ読み進めてください。

会社設立に必要な費用は「6万円〜20万円」が目安

ざっくりとですが、会社設立時に必要となる法定費用は以下の表のようにになります。「株式会社 or 合同会社」の選択と、電子定款か否か?の選択の2つで変わってきます。

電子定款とは、言葉から察することができる通り、定款を電子化したものです。紙で定款を提出した場合、40,000円の定款印紙代が発生しますが、電子定款の場合は、これが不要になり費用低減を図ることができます。

設立会社 紙ベースの定款 電子データの定款
株式会社 242,000円〜 202,000円〜
合同会社 100,000円〜 60,000円〜

なお、会社設立の費用として挙げた内訳は以下の4つです。

  • 定款手数料…公証役場に登録するための手数料
  • 定款印紙代…提出する定款に貼り付ける印紙
  • 定款謄本代…定款を謄本するための手数料
  • 登録免許税…登記・許可、認可、認定などに課せられる国税

また、株式会社設立時に必要となる定款謄本代ですが、公証役場で保管する1部です。なお、自社で保管する1部が必要なケースがあります。このときは、2部作成するのが一般的です。定款の枚数によっても異なりますが、1枚250円の手数料が必要となることは、頭に入れておきましょう。

会社設立にかかるその他の費用

会社設立には法定費用、手続き代行を依頼した場合の司法書士報酬が必要ですが、そのほかにも以下の2つについて考えておかなければなりません。それぞれ簡単に解説していきます。

  • 資本金
  • 実費

資本金

現在の会社法では、資本金1円以上あれば会社設立できるとされていますが、さまざまな弊害があるためおすすめはしません。例えば、備品の購入すらままならなかったり、融資を受けたいと思っても、資本金が少ないと金融機関を説得するのも困難となります。やはり資本金が少ないと倒産リスクが高くなるからです。

では、いくらぐらい資本金を用意するのでしょうか?あくまでも目安ではありますが、一人代表の株式会社の場合は「1,000,000円程度」の資本金は用意しておくと安心です。

登録免許税が必要

資本金は、融資の受けやすさを左右する以外にも、登録免許税にも関係することを理解しておきたいところです。本記事では登録免許税を株式会社で150,000円、合同会社で60,000円と紹介していますが、これは最低限支払わなければならない登録免許税額です。どちらも本来は「資本金の0.7%」が登録免許税の金額となっています。

ただし、資本金が株式会社で2,140万円、合同会社で858万円を超えなければ、追加の費用が発生することはありません。

印鑑・書類などの実費

細かな費用ではありますが、法人印鑑である「会社の実印作成料」や、必要な書類を取得するための手数料など、実費が発生することも覚えておきたいポイントです。合計しても10,000円前後ではありますが、具体的な費用感を紹介しておきましょう。

項目 費用目安
法人印鑑作成 5,000円程度〜
代表者の印鑑作成 1,000円程度〜
印鑑登録費用 300円
印鑑証明書発行手数料 450円
登記事項証明書発行手数料 600円

会社設立の費用・司法書士の報酬相場はいくら?

それでは、会社設立の費用・司法書士の報酬相場について、気になる以下の2つのような疑問について、お話をしていきたいと思います。

  • 会社設立にはどの程度の費用が必要なのか?
  • 登記を含む手続代行を司法書士に依頼した場合の報酬相場は?

簡単に把握できるように、株式会社、合同会社を比較しながら紹介していきましょう。

手続きの場所 費用項目 株式会社 合同会社
公証役場 定款認証手数料 50,000円 必要なし
  定款印紙代 40,000円 40,000円
  定款謄本代 2,000円程度 必要なし
法務局 登録免許税 150,000円〜 60,000円〜
  合計 242,000円〜 100,000円〜
  司法書士報酬相場 70,000〜100,000円 60,000〜90,000円

以上のことから、お得に会社設立をしたいのであれば合同会社だといえます。ただし、先にも記載した通り「費用の安さだけで会社の種類を決めるのは安易」ということは注意しておきましょう。一長一短をしっかりと比較し、ビジョンを見据えた上で、費用の安さを1つの判断要素にする程度にすることをおすすめします。

会社設立時に必要となる費用に関する疑問を解決!

これまでの説明でいろいろな疑問に対して解決できたかと思いますが、ここではよくある質問を以下の3つから紹介していきます。ぜひ一読して、スッキリした気持ちで会社設立に臨んでいただければ幸いです。

  • 手続き代行の司法書士報酬相場は?
  • 司法書士に依頼すると印紙代が掛からない?
  • 司法書士報酬にはなにが含まれる?

手続き代行の司法書士報酬相場は?

登記を含む会社設立手続きを司法書士に依頼した場合の報酬相場は以下の表の通りです。

株式会社 70,000〜100,000円程度
合同会社 60,000〜90,000円程度

上記の通り、やや合同会社が安価に設定されているのが一般的です。これは作成した定款を認証する必要があるなど、株式会社の方が手続きにかかる手間が少し多いためです。

司法書士に依頼すると印紙代が掛からない?

多くの司法書士事務所は「電子定款」に対応しているため、法定費用の印紙代を節約できる点もポイントです。たとえば、司法書士に株式会社設立の手続代行を依頼し、80,000円の報酬を請求されても、実質「印紙代を差し引いた40,000円の報酬」で済む計算になります。

つまり「司法書士に依頼すると印紙代がかからない」というよりも「司法書士に依頼すると電子定款を活用しやすくなるため費用を抑えやすくなる」という説明が正しいかもしれません。

司法書士報酬にはなにが含まれる?

相場が約60,000〜100,000円という相場になっている司法書士報酬には、どのような代行作業が含まれているのでしょうか?端的に言えば、以下の3つのような各手続きの代行作業費用です。

  • 法人印鑑の用意
  • 定款の作成
  • 各種必要書類を集めたうえで公証役場・法務局で手続き

このように、他にも細々としたものを代行してもらうことができます。言い方を変えると「定款だけ作成して欲しい」「アドバイスだけ欲しい」といった、局所的なサービスも提供してくれています。こういった背景もあり、幅広い顧客ニーズに応えるため、各種の会社設立代行プランなどを用意する司法書士事務所もあるほどです。

結局のところ、司法書士の報酬についての内訳は「どこまで代行してもらうのか?」で、大きく変わってくると理解いただければ結構です。ともあれ、適切な方法を柔軟に提案できる司法書士事務所であれば、会社設立後も、なにかと頼りになる存在として末永く付き合えるでしょう。

司法書士の力を借りずに会社設立は自分で手続き・登記できるの?

一見、一般人ではできなさそうに思えますが、会社設立は自分自身で手続きを進めていくことが可能です。実際に司法書士のようなプロにお願いせずに手続きを進めた人もいらっしゃいます。

司法書士は登記を含む法律事務のスペシャリストであり、国家資格の保有者でもあります。しかし、どのような登記であっても「登記手続き自体に特別な資格」は必要ありません。登記手続き代行を業務として請負えるのは司法書士だけですが、登記の当事者が自分自身で会社設立手続きする分にはなんの問題もありません。

もし、司法書士への報酬を支払いたくない!少しでも安く仕上げたい!というのであれば、チャレンジをしてみるのもよいでしょう。書類を収集して定款を作成し、公証役場、法務局に足を運ぶ必要がありますが、会社設立の行程を自分自身で体験できることは大きなメリットと言えるので。

司法書士を上手に活用するためのポイント

面倒なことを代行してくれる司法書士ですが、どういった部分で何をどうやって頼ったらよいのでしょうか?ここでは、司法書士が活躍してくれるポイントを以下の4つに絞って紹介していきます。「面倒そうだな」と感じる作業があれば、代行してもらうように依頼をするとよいでしょう。

  • 法人印鑑の相談・発注代行も司法書士に依頼可能
  • 基本事項のヒアリングで司法書士が作成
  • 印紙代のいらない電子定款は自分でできる?
  • 登記書類の作成以降も司法書士にお任せ!
時は金なりに従うのも1つの手

「司法書士に面倒な作業を代行してもらう」ことは、言い方を変えると「時間をお金で買う」ということです。代行してもらった分だけ、自分自身の時間が空くことになるわけですから、有効活用をしたいところです。起業している最中は、何かと忙しいため、なおさらです。費用がかかってしまうところですが、「時間を空ける」ことと天秤にかけて、代行してもらう作業を判断していくことも1つの手です。

法人印鑑の相談・発注代行も司法書士に依頼可能

法人印鑑は、会社を登記するのに必要ですが、すぐに入手できるわけではありません。会社設立の準備初期から手配しておくことが重要です。

手順としては、商号を決定してから発注という流れになりますが、不正競争防止法などに抵触しないよう「類似商号」もチェックする必要があります。どのような法人印鑑にすべきか?経験がなければ時間を要することもあるでしょう。

こうした法人印鑑に関する疑問も、司法書士事務所で相談に乗ってくれる場合があります。事務所によっては、法人印鑑の発注代行も任せられる場合もあります。

基本事項のヒアリングで司法書士が作成

インターネットを検索すればテンプレートなども公開されているため、定款を自分自身で作成するの不可能ではありません。ただし、出資される財産の価額、といわれてもすぐに理解できる方は多くはないでしょう。上述したように抜け・モレがあれば無効にされてしまうのも定款の特徴です。

司法書士に会社設立の手続き代行を依頼すれば、わかりにくい定款も、基本事項のヒアリング、ヒアリングシートへの記入をするだけでスムーズに作成してもらえます。

印紙代のいらない電子定款は自分でできる?

公証役場で定款を登録するには、認証のあるなしに関わらず「40,000円分の収入印紙」が必要です。このステップをオンラインで済ませる「電子定款」であれば、印紙代が無料になります。ほとんどの司法書士事務所が電子定款に対応しているため、印紙代の削減をアピールする事務所も多いです。ただし、環境さえ整えられれば自分自身で行うことも可能です。

必要なのは「電子署名」「電子署名作成ソフト」「Adobe Acrobat」の取得・環境構築など。しかし、印紙代を節約できるのは事実ですが、電子署名の取得をはじめとした環境構築が面倒で手間がかかるのも事実です。今後、電子署名を活用する機会があるのかを含め、自身で環境構築すべきかを判断する必要があります。

登記書類の作成以降も司法書士にお任せ!

司法書士に手続代行を依頼しているのであれば、登記の手続きも楽になります。提出書類に加えて、司法書士に依頼すること明示した委任状を用意するだけ。各種書類の確認、捺印は必要になりますが、それは自分自身で手続きする場合も必要。ミスなく素早く会社設立するには、司法書士の協力を仰ぐのがベストです。

会社設立手続きを依頼できるのは司法書士?行政書士?

会社設立の際、当然登記手続きをしなければならないことは想像できるかと思います。書類仕事というのは想像以上に面倒なので、この手の手続代行を依頼したいと考えるのは至極当然のこと。

代行というと「税理士」を直ぐに頭に思い浮かべる方も多いでしょう。しかし、実はこれ大きな勘違いで、登記を含めて会社設立手続きのほとんどを代行できるのは「司法書士」です。

なお、会社設立に必要な定款作成は行政書士でも可能ではあります。ですが、登記手続きを代行できるのは、税理士でも行政書士でもなく司法書士だけだと覚えておくといいでしょう。以下に簡単にまとめたのでご覧ください。

  • 司法書士:登記・供託・訴訟を含む法律事務のスペシャリスト
  • 行政書士:権利義務・事実証明・許認可を含む行政手続きのスペシャリスト
  • 税理士 :所得税や法人税を始め納税者に代わって行う税のスペシャリスト
ちなみに

会社設立をトータルでサポートして欲しい方は司法書士への依頼が基本です。ただし、建設業・飲食業などの許認可が必要な業種の方は、行政書士の力が必要な場面があります。

会社設立とは?株式会社と合同会社の違いについて

ここからは、会社設立とは?といった部分にフォーカスを当ててお話をしていきます。今後、司法書士に手続きを代行してもらうためには、やはり基本的な部分はおさえておくとよいことは言うまでもありません。これまでの説明と多少、重複する部分はありますが、復習の意味も込めて一読いただければ幸いです。

そもそも会社とは?

会社を設立するということは、代表者・発起人などの自然人(=人間)とは別の「法律で認められた人格 = 法人」を誕生させることを意味します。本来、自然人同士でしか認められていない「契約」が、法人同士でも可能になるのはこのためであり、会社設立によって経営の柔軟性を含めた数多くのメリットが得られます。

会社の種類の傾向について

現在の会社法では、法人格の与えられる会社形態は4種類ありますが、もっとも多いのが国内企業の9割を占めるともいわれる「株式会社」です。

また、アップルジャパンに代表される「合同会社」の人気が高まっているのも近年の傾向。アメリカの「LLC」をモデルにした合同会社は、新たに登記される会社の1/4を占めるともいわれています。一般的に会社設立を検討する際は、株式会社か?合同会社か?どちらかということになるでしょう。

株式会社と合同会社の違いとは?

現在、主流となっている「株式会社」と「合同会社」について、違いを以下の表にまとめました。

  株式会社 合同会社(LLC)
意思決定 株主総会 社員総会
特徴 経営者と出資者を分離 経営者と出資者がイコール
出資者の責任 有限責任 有限責任
決算 必要 不要
定款認証 必要 不要
代表者 代表取締役 代表社員

繰り返しになりますが「どちらが良い」というのは、ケース・バイ・ケースであり、回答としては「どちらもよい」といったところです。まずは展開するビジネスにどちらの会社形態が向いているのかを検討したうえで決定する必要があります。

先に知っておきたい「会社設立の2つの方法」とは?

前提条件として、会社設立は「株式会社」と「合同会社」の大きく2つの方法があるということを覚えておきましょう。

また後述しますので、ここでは簡単に説明をしておきます。ともあれ、会社設立の費用説明をする場合に、分けて考えないといけないため、まずは最低限の知識を身に付けておくことが目的です。

  • 株式会社とは?

    株式とよばれる「券」を発行して、それを人々に買ってもらって資金集めをする会社のことです。集めた資金を使ってモノを作ったり、サービスを提供したりすることが主な目的です。株式を購入した人に対しては、会社の利益に応じて金品を配布します。

  • 合同会社とは?

    経営者と出資者が同一の会社のことを合同会社といいます。また、出資者全員が有限責任社員になることも最大の特徴です。出資額が2,000万円だった場合、設立した会社が倒産し負債を多く抱えたとしても上限は出資額の「2,000万円」になる制度のことを指します。

株式会社と合同会社…どっちがいいの?

どちらが良いのかはケース・バイ・ケースなので、両者のメリット・デメリットを踏まえ決めていくことが大切です。傾向として、昨今は合同会社(GoogleやApple、Yahooなど)の方がメリットがあるということで、こちらで会社設立する人が多くなっているようです。

会社設立の流れを把握しよう!

正直なところ、定款の作成も含め、会社設立の手続きが簡単ではないのも事実です。起業という大事な時期に、時間と手間をかけて各種手続きを自分で済ませる価値があるのか?司法書士報酬と照らし合わせながら検討することが大切です。会社設立の具体的な手順・ステップを把握できれば、判断するための参考になります。

会社設立の流れには以下の6つの工程があります。それぞれ解説していきましょう。

  1. 会社概要・基本事項の決定
  2. 定款の作成
  3. 公証役場で定款認証(株式会社のみ)
  4. 資本金の払い込み
  5. 登記書類の作成
  6. 法務局で登記申請

会社設立の手順 Р饉匈詰廖Υ靄椹項の決定

会社設立にあたって、なによりも優先すべきなのは会社概要・基本事項の決定です。どんな会社をだれが経営していくのか?わからなければ登記できません。具体的には、以下の5つの要素を決定、実行します。

  • 事業目的・内容を含む会社概要
  • 会社の商号
  • 法人印鑑の作成
  • 役員報酬額
  • 資本金の額

会社設立の手順◆定款の作成

会社概要・基本事項が決定したら、会社の基本原則となる「定款」を作成します。定款には必ず記載しなければならない「記載事項」が決められており、抜け・モレがあると定款自体が無効になってしまいます。必要な記載事項は以下の6つの通りです。

  • 事業目的
  • 商号
  • 本社所在地
  • 設立に際して出資される財産の価額(金額)
  • 発起人の氏名・名称および住所
  • 発行可能株式数

会社設立の手順:公証役場で定款認証(株式会社のみ)

株式会社設立であれば、作成した定款が正しいものであることを「第三者」に証明してもらう必要があります。これが公証役場で行われる「定款認証」です。

定款認証を担当するのは公証役場の公証人です。自分で手続きする場合は、事前に収入印紙を用意する必要があるのはもちろん、公証人のスケジュール調整も必要。このステップだけで数日を要する場合もあります。

定款認証が必要ない合同会社の場合

定款認証が必要ない合同会社であれば、このステップは大分簡素化できます。合同会社設立で50,000円の定款認証手数料が掛からないのは、定款認証の必要がないからです。いずれの場合でも、司法書士に依頼すれば公証役場での手続きはすべて代行してもらえます。

会社設立の手順ぁЩ駛楸發諒Гすみ

定款認証のステップとともに進めておきたいのが、資本金の払い込みです。資本金払い込みに関しては、司法書士に手続き代行を依頼していても自身で行わなければなりません。単純に自分名義の口座に入金すればいい、というものではないことにも注意が必要。「資本金は振込が必要」であるため、自分名義の口座に自分名義で振込まなければなりません。

会社設立の手順ァ登記書類の作成

定款認証を済ませて資本金の払い込みも完了したら、いよいよ法務局で会社の登記です。登記申請書の作成はもちろん、非常にさまざまな書類が必要。印鑑証明書以外は「A4サイズ」でまとめて製本(ホチキスで留めただけでもOK)する必要もあります。

株式会社 登記申請書
・登録免許税の印紙を貼った台紙
・登記すべき事項を記載した書面
・定款
・取締役の就任承諾書
・資本金の払込証明書
・法人印鑑届出書
・発起人の決定書
・監査役の就任承諾書
・取締役全員の印鑑証明書
合同会社 ・登記申請書
・登録免許税の印紙を貼った台紙
・定款
・代表社員・本店所在地・資本金の決定を知らせる書面
・代表社員の就任承諾書
・資本金の払込証明書
・資本金額の計上に関する代表社員の証明書

会社設立の手順Α法務局で登記申請

会社設立に必要なすべての準備が整ったら、法務局に提出して手続きが完了です。

注意:自分自身で登記申請する場合

「代表取締役」あるいは「代表社員」が法務局に出向く必要があるのに加え「資本金払い込み後、2週間以内」に登記申請する必要がある点にも注意が必要です。

司法書士に依頼する最大のメリットはコア業務への集中!

ここまで解説してきたように、会社設立に関連する手続きは「法務局に出向くだけ」で済むものではありません。なんの基礎知識もないまま。会社の基本事項を元に定款を作成するには、10時間程度の学習が必要だといわれており、公証役場のスケジュール調整、各種書類の収集を含めれば、あっという間に1週間や2週間は過ぎてしまいます。

各種手続きに割かなければならないこうした時間を、コア業務に回せたらどうでしょう?会社設立手続きを司法書士に依頼する最大のメリットは、起業というもっとも大事な時期に、起業者がコア業務に集中できることにあるのだといえるでしょう。

他の士業と連携する司法書士事務所がおすすめ!

会社は設立してからの方が重要です。会社設立して法人化すれば、代表者ひとりであっても社会保険の加入が必須。個人事業よりも会計・税金面が複雑になるのはもちろん、建設業・飲食業などでは許認可手続きも必要です。社会保険労務士、税理士、行政書士の協力が必要になる場面も多数出てきます。

そんなときに頼りになるのが、他の士業と強固な連携のできる司法書士事務所です。適切なときに適切な士業を紹介してくれるのはもちろん、顧問契約を前提に「会社設立費用実質ゼロ」で対応してくれる事務所も存在します。設立する会社の事業・規模に応じて、適切な司法書士事務所を選定するのが重要です。

しかし、これまで個人事業を展開してきた方なら、司法書士をはじめとする士業に詳しくないかもしれません。会社設立を依頼する候補先を絞り込むことさえ難しいと感じる場合もあるでしょう。

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監修者の一言

昨今は優れたひな形等がインターネット上に用意されていますので単純に設立登記を完了させるという意味であれば、根気があればどなたでも可能だと思います。

ですので、時間の余裕のある方は会社設立の登記手続きをご自身で行ってみるのいいと思います。

ただ、会社の憲法ともいわれる「定款」の作成に関しては十分にご注意いただけたらと思います。設立登記を完了させるだけならひな形のままで十分かもしれませんが、実際に会社を継続していくといった観点で見た場合に必要となる条項や変更しておくべき箇所などを熟慮しておく必要があるからです。

定款の内容が整っていないことによって後々不必要な変更登記、定款変更に承認総会といった手間や費用が発生するといった事がないように、せめて「定款作成及び公証役場での定款認証」までは専門家の力を借りる、といった利用の仕方もご検討ください。

こしだ司法書士事務所
司法書士 越田一希
監修者

1984年京都市生まれ。不動産・相続・会社の「登記」に必要な手続きを代理する専門家であり、若手ならではのフットワークの軽さと様々な職業経験で培った対応力を持つ法務大臣認定司法書士。自身が法律知識ゼロで資格学習を開始した経験から法律の適用や用語の難しさを理解しており、平易でわかりやすい説明を心がけており評価を得ている。

比較ビズ編集部
執筆者
比較ビズ編集部では、BtoB向けに様々な業種の発注に役立つ情報を発信。「発注先の選び方を知りたい」「外注する際の費用相場を知りたい」といった疑問を編集部のメンバーが分かりやすく解説しています。