個人事業主として起業するメリットは?法人化した方が良いのはどんな場合?

最終更新日:2024年02月07日
個人事業主として起業するメリットは?法人化した方が良いのはどんな場合?

「起業する」ことを「会社を設立する」ことだと考える方もいますが、個人事業主として開業するのも立派な「起業」です。展開する事業の形態、事業規模によっては、会社設立よりも個人事業主として起業した方が適している場合もあるでしょう。一方、数多くの法人が存在するのは、会社設立という起業方法に大きなメリットがあるからにほかなりません。どちらの形態で開業するかは、独立の目的によって慎重に検討する必要があります。そこで本記事では、独立を検討する方が適切な判断を下せるよう、個人事業主や法人の特徴を解説するとともに、それぞれのメリット・デメリット、法人化すべきタイミング等を紹介していきます。

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起業とは?

起業とは、文字通り「新たな事業を起こす」ことです。つまり、個人事業を開業して新たな事業を営むのも、会社を設立して法人として新たな事業を営むのも「起業」です。統計としての正確な数字は日々変化していますが、日本で登録されている事業者は約421万、そのうちの半数にあたる約218万が個人事業主、残りの約203万が法人だといわれています。

この数字だけを見ても、事業の目的・内容・規模、創業者の考え方によって適した起業方法は異なることがわかるでしょう。尚、個人事業主が会社を設立して法人化するのも「起業」だと言えますが、こうしたケースは「法人化・法人成り」と呼ばれるのが一般的です。

個人事業主とは?

個人事業主とは、法人を設立せずに個人で事業を営んでいる人のことを意味します。雇用契約で働く会社員と異なり、特定の企業・組織に属さないのが個人事業主の特徴。所轄の税務署に「個人事業の開業・廃業等届出書」を提出すれば、だれでも個人事業主として起業でき、会社名にあたる「屋号」を登録するのも可能です。

税制上の区分が会社員と異なるのも個人事業主の特徴。所得に対して税金がかかるのは会社員と同様ですが、個人事業主が事業で得た収入は「事業所得」と見なされます。このため、会社が年末調整を代行してくれる会社員と異なり、すべての個人事業主は「確定申告」する必要があります。

個人で事業を営まなければならないと思われがちですが、個人事業主だからといって経営に制限が設けられているわけではありません。個人事業主が従業員を雇用するのはもちろん、大規模な組織として事業運営するのも理論上は可能です。ただし一般的には、個人事業主本人のみ、あるいは家族や少数の従業員で事業を営むケースがほとんどです。

フリーランスとは違うのか?

個人事業主と似た用語に、フリーランスという言葉があります。特定の会社・組織に所属せず、個人の裁量で事業を営むという意味ではどちらも同じですが、個人事業主が「税制上の区分」を意味するのに対し、フリーランスは「働き方」そのものを意味する点で異なります。

ライター・デザイナー・プログラマーなどが具体的な職種として挙げられるフリーランスの定義は「雇用契約を結ばずに個人の裁量で単発の仕事を請負う働き方」です。個人商店や飲食店等、継続的な事業を営む方も含む個人事業主とはイコールではないことがおわかりでしょう。

ただし、個人事業主と同じ税制区分に含まれるフリーランスは、当然のことながら確定申告しなくてはなりません。税制上の優遇措置を受けるため、個人事業主として活動するフリーランスが多いのはこのためです。このことから、フリーランスは個人事業主の働き方のひとつだといえます。

法人とは?

法人とは、法律によって「自然人と同等の権利・義務を持つ人格を与えられた存在」です。

つまり、会社設立して起業するということは、起業した人とは別の人格(法人格)を持つ法人を誕生させることにほかなりません。BtoB契約という法人間の契約が成り立つのは、法人が自然人=人間と同じ権利・義務を有しているからなのです。

税制上の区分が異なり、所得税ではなく法人税が課されるのも法人の特徴。前年1月から12月までの所得が対象になる確定申告と違い、決算の時期を自由に定められるのも法人ならではの特徴だといえるでしょう。

9割を占めるといわれる日本でもっとも多い法人「株式会社」のほかに、合同会社、合資会社等の営利法人、NPO、公益法人等の非営利法人がありますが、設立・起業へのハードルが低くなっているのも近年の特徴。資本金が1円あれば株式会社の設立が可能です。

個人事業主と法人の違い

個人事業主と法人の違いは、代表者の扱い、税制上の区分、社会保険の3つに集約できます。

個人事業主が事業で得た収入は、イコール個人事業主の所得です。給与という考え方は存在しません。一方、法人の代表者は事業で得た収入から役員報酬を受け取ります。給与を経費に計上できるのも法人ならでは特徴です。これは、個人事業主が所得税、法人が法人税の対象であるという、税制上の区分の違いが大きく関係しています。

また、個人事業主が基本的に社会保険へ加入できないのに対し、法人の場合は代表取締役ひとりであっても社会保険に加入しなければなりません。従業員は社保に加入できますが、この場合でも事業主は社保に加入できません。個人事業主本人は国民健康保険、国民年金への加入が基本です。これらの違いを踏まえたうえで、個人事業主開業、会社設立という起業方法それぞれにどのようなメリット・デメリットがあるのか、簡単に解説していきましょう。

個人事業主として起業するメリット

起業する際に、会社を立ち上げることなく個人事業主として働くことには、いくつかのメリットがあります。全体的に事業規模が小さく、一人もしくは家族の手伝いを得るだけで仕事を続けていける場合には、気軽で手間が少ないという特徴があります。

開業がとても簡単で費用がほぼかからない

個人事業主として起業する際には、税務署に開業届を出すだけで済みます。手続きにかかる費用はゼロで、すべての手持ち資金を事業に振り分けられるというメリットがあります。

一方で、株式会社を設立する場合には、実費だけでも25万円程度かかります。それに加えて、定款を作るなどの作業を専門家に依頼することが多いので、さらに費用がかさみます。気軽に起業するという点では、個人事業主はとても楽なのです。

会計・税務などの処理が楽

個人事業主の場合は、白色申告と青色申告のどちらかの方法で確定申告します。もちろん、どちらのケースでもしっかりと帳簿に記帳する必要はありますが、それほど難しいことではありません。近年は優秀なクラウド会計サービスが登場しているため、最大65万円の節税効果が得られる青色申告を選択するといいでしょう。

一方の株式会社の場合は、会計や税務に関する処理がかなり多くなります。中には複雑な処理を求められるものもありますので、税理士と顧問契約を結ぶケースがほとんどです。

一定の事業所得までは税負担が軽い

日本では所得税に累進課税方式が採用されており、事業所得であってもそれは例外ではありません。逆にいえば、事業所得から経費を差し引いた課税所得が一定金額以下であれば、個人事業主の方が税負担を軽くできます。

法人に課せられる法人税は、2段階に分かれた固定税率が採用されていますが、最低税率は所得税よりも高くなります。

個人事業主として起業するデメリットは?

気軽に起業できるのが個人事業主の最大のメリットではありますが、デメリットがないわけではありません。代表的なデメリットをいくつか挙げておきましょう。

  • 社会的信用度が低く仕事を獲得しにくい
  • 社会保険に加入できないため将来の保障が薄い
  • 事業所得が増えると税負担が重くなり、事業を拡大しにくい

会社設立で起業するメリット

起業するのに手間と費用がかかる、会計・税務が複雑になる会社設立ですが、事業の目的・内容・規模によっては大きなメリットが得られます。

社会的信用度が高い

開業届1枚を提出すれば済む個人事業主と異なり、登記の手間をかけて設立した会社は、社会的信用度が高いと見なされます。もちろん、個人であろうと会社であろうと、仕事への取り組み方は変わらないでしょうが、実際に仕事を依頼する人や企業の見る目は違います。

個人事業主よりも新規営業をかけやすい、受注金額を上げやすいといった効果が期待できるなら、法人化するだけの価値があると言えるでしょう。さらに事業を拡大するうえでも、会社組織というネームバリューは大きな効果が得られるでしょう。

節税面でのメリットが大きい

個人事業主と税制区分が異なる法人は、事業規模が大きくなれば節税面でのメリットも大きくなります。たとえば、法人税は最高税率が23.2%に定められていますが、所得税の最高税率は45%です。もちろん、税金は所得税・法人税だけではないため、単純な比較はできませんが、事業を継続的に成長させていくために法人が最適であるのは明らかです。

また、代表者を含む従業員の給与を損金計上できるのも法人ならではのメリットです。個人事業主の場合は、雇用する従業員の給与は経費にできますが、本人、および家族の給与という考え方はありません。赤字を最大9年間繰越できるのも法人のみのメリットです。

資金調達しやすい

株式会社であれば株式を発行することによって、株主から資金調達できます。また、金融機関としても、個人事業主よりも会社組織の方が融資しやすくなります。

資金調達の選択肢が増える法人であれば、設備投資や事業拡大などをしやすくなるのです。

有限責任でリスクを分散できる

個人事業主は事業の全責任を負う無限責任があるのが特徴。債務を負った場合は返済のために個人資産を提供しなければなりません。一方、法人の代表者は有限責任であるのが特徴であり、個人の責任は法人に出資した金額のみに限定されます。

そのため、倒産などの危機に陥っても、代表者は自身の個人資産を守れるのです。

会社設立で起業するデメリットは?

会社設立による起業は大きなメリットがありますが、独立を検討する方すべてに適した起業方法とは言えない一面もあります。個人事業主と相反するかのような、会社設立のデメリットをいくつか紹介しておきましょう。

  • 会社が赤字でも法人住民税の支払い義務がある
  • 社会保険の加入が義務であり、会社負担分の金額が大きい
  • 会計・税務の事務負担が大きい
  • 代表者でも会社のお金を自由に使えない
  • 事業規模が小さければ税負担が大きい

個人事業主が法人化すべきタイミングとは?

ここまでで個人事業と法人の特徴や違い、起業方法によって異なるそれぞれのメリット・デメリットを解説してきました。リスクを抑えながら新たな事業をスモールスタートするのに適した個人事業主、事業規模が大きくなるほどメリットの得られる会社設立、という性格の違いがおわかりいただけたのではないでしょうか?

もちろん、それぞれのメリットを最大限活かすべく、法人成りを前提として個人事業主からスタートするという選択肢もあるでしょう。その場合は、どのようなタイミングで法人化を検討すべきなのでしょうか?

ひとつ目の基準となるのが「課税所得」です。所得税は900万円を超えると33%に跳ね上がりますが、法人税は800万円を超えた所得に23.2%の税金が課されます。つまり、個人事業主が法人化を決断すべきタイミングは、課税所得が900万円を超えた時だと言えるでしょう。

もうひとつは「課税売上高」です。課税売上高が1,000万円を超えた個人事業主は、消費税の納税義務があるからです。法人税による節税効果を活かすためにも基準にすべき指標です。

まとめ

個人事業主として起業する場合、開業資金がほぼかからない、制約がほとんどないなどのメリットがあり、気軽に事業を営めます。一方で、法人化する場合は、税制で有利になる、資金調達がしやすいなど、事業を大きくするのにプラスです。こうした違いを心に留め、どんな形で起業するかを決定するようにしましょう。

監修者の一言

働き方の自由度が高まった昨今、個人事業主として仕事をする人も多いでしょう。個人事業主として開業するか、株式会社や合同会社などの法人を設立するか、手続きにかかる費用や毎年の税金・社会保険料などのランニングコストも考えて選択することが大事です。

取引相手によっては、法人でないと取引しない、といったこともあるので、ご自身の事業内容、業界の商慣習によって初めから法人の設立が必要な場合もあります。会社設立、開業を得意とする専門家に相談することで、ご自身にとって最適な選択肢のアドバイスが受けられるでしょう。

saku-RA司法書士法人
監修者

東京都大田区出身。2008年早稲田大学法学部卒業後、司法書士資格を取得。商業登記専門事務所、相続専門事務所、不動産専門事務所を経験し、2022年に独立。幅広い知識と経験を武器に、特に企業法務、事業承継支援を中心にサービスを提供している。

比較ビズ編集部
執筆者
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