連帯納付義務は免れることができない?発生要因と対処法について解説
- 連帯納付義務とは?
- 連帯納付義務は免れることはできない?
- 連帯納付義務を無視した場合の罰則は?
相続税の申告で気をつけたい「連帯納付義務」ついて解説します。連帯納付義務とは、相続人や贈与者が納付しなかった相続税や贈与税を、他の相続人や贈与者が代わりに支払う法律です。
本記事では、連帯納付義務のルールや注意点、発生する流れを説明しています。最後まで読めば、連帯納付義務への対応方法や、事前に行える対策について理解できるでしょう。ぜひ参考にしてください。
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連帯納付義務とは
連帯納付義務とは、相続税や法人税など、複数の人が納税義務者となる場合に適用される制度です。この制度では、納税義務者の1人が税金を納めなかった場合、他の納税義務者が代わりに納めなければなりません。
連帯納付義務は、税務署から督促状や納付通知書が送られることで発生します。連帯納付義務を履行しないと、財産の差し押さえや滞納処分が行われる可能性があります。
連帯納付義務が発生する税金の種類
相続税や贈与税で連帯納付義務が発生する場合があります。相続税の場合、相続人全員が連帯納付義務を負います。財産の相続が発生した場合、相続財産の価値に基づく税金が発生するためです。
贈与税では贈与を受けた人が税金を納付しますが、場合によっては贈与者も連帯納付義務を負うことがあります。
連帯納付義務の4つのポイント
連帯納付義務には以下の4つのポイントがあります。
- 連帯納付義務は拒否できない
- 連帯納付義務は延納できない
- 納付期限を過ぎると利子税・延滞税が発生する
- 相続人全員で平等に納付する
1. 連帯納付義務は拒否できない
連帯納付義務は、法律で明確に規定されており、対象者が拒否することはできません。いったん納付義務が発生すると、納税者は適切に対応し、税金を納付しなければならないことを理解しておきましょう。連帯納付義務に従わないと、最終的には財産を強制的に差し押さえられます。
連帯納付義務は相続人や贈与者などの間で相続税や贈与税の負担を分散させる制度であり、社会的な公平性や租税正義を実現するために必要な制度です。
2. 連帯納付義務は延納できない
連帯納付義務は原則として延納が認められません。連帯納付義務が発生した時点で、定められた期日までに必ず納税を行わなければなりません。
稀に経済的困難や一時的な資金繰りの問題など、一部の特別な状況下で納税の猶予や分割納付が可能になる場合もあります。しかし例外的な措置であるため、本来の納税義務者が自己の納税義務を理解し、納付計画を立てることが基本です。
3. 納付期限を過ぎると利子税・延滞税が発生する
納税期限を過ぎてしまうと、それに伴って利子税または延滞税が発生します。納税者が納付義務を果たさなかった罰則として課されるもので、負担は重くなります。
利子税は、申告期限後に申告書や修正申告書を提出した場合に、本来支払うべき税額に対する利息相当額として課されます。利子税は正当な手続きによって納期限が延長された場合にかかるものであり、利子税の計算期間には延滞税はかかりません。
延滞税は、申告期限後に申告書や修正申告書を提出した場合に、本来支払うべき税額に対するペナルティーとして課されるものです。延滞税は手続きなく期限を過ぎて納付した場合にかかるものであり、延滞日数に応じて税額は変わります。
4. 相続人全員で平等に納付する
相続税の場合、相続人全員が連帯納付義務を負うため、税金は限度額まで負担しなければなりません。相続人がそれぞれの継承分に応じて納税するのではなく、全体としての税金を全員で負担することを意味します。納税負担が一部の相続人に偏ることを防ぎ、公平性を保ちます。
連帯納付義務が発生する流れ
連帯納付義務が発生する流れは以下のとおりです。
- 本来の納税義務者に督促状が届く
- 連帯納付義務者に未納の通知が届く
- 連帯納付義務者に納付通知書が届き支払い義務が発生する
- 2カ月以上の完納がない場合に督促状が届く
- 国税庁により滞納処分を受ける
連帯納付義務が発生するまでには、いくつかの段階があります。先延ばしにすることで、利子税や延滞税など本来の納税額より多く納める必要が出てくるため、迅速な対応を意識しましょう。
本来の納税義務者に督促状が届く
納税義務者が納税期限を過ぎても納税を遂行しない場合、原則として本来の納税義務者に督促状が送付されます。納税義務の存在と納税額、期限を再度通知すると同時に、遅延した場合の利子税や延滞税の発生を警告します。
督促状は納税義務者へ一定期間ごとに法的な手続きの一環として通知されます。納期限後30日以内に税務署より送付されるのが一般的です。
連帯納付義務者に未納の通知が届く
督促状が送付された後1カ月以内、督促状が送付された旨が連帯納付義務者に通知されます。督促状は、連帯納付義務者に対し、納税義務の存在と期限、未納の事実を伝えることが目的です。連帯納付義務者も納税の責任を共有していることが明示されます。
連帯納付義務者に納付通知書が届き支払い義務が発生する
連帯納付義務者には納付通知書が送られ、本来の納税義務者に対する督促状の送付後1カ月以内に支払い義務が発生します。納付通知書は、具体的な納税額と納税期限を明記し、納税義務を明確に通知するものです。対応が適切でないと、遅滞金が発生する可能性があります。
2カ月以上の完納がない場合に督促状が届く
連帯納付義務者が本来の納税義務者に対する督促状の送付後1カ月以内に納付しない場合、税務署は厳しい対応をとるでしょう。再度督促状が送られるとともに、強制執行の可能性も示唆されます。納税遅滞は税法違反であるため、法的な制裁が伴う可能性が高まります。
国税庁により滞納処分を受ける
督促にもかかわらず納税義務を果たさない場合、最終的には国税庁により滞納処分が行われます。税金の強制徴収を含む一連の手続きであり、納税義務者の財産に対して差し押さえや換価などの措置が取られる可能性があります。
滞納処分の手続きは、差し押さえ、換価、配当の3段階からなります。競売は換価の一種であり、不動産や船舶などの財産に対して行われる場合があります。
連帯納付義務が発生しない2つのケース
連帯納付義務が発生しないケースとしては、以下の2つがあります。
- 申告期限から一定期間内に徴収手続きが行われなかった
- 本来の納税義務者が延納または納税猶予の許可を受けた
申告期限から一定期間内に徴収手続きが行われなかった
納税義務が発生した場合でも、申告期限から一定期間内に国税庁から徴収手続きが行われないときには、原則、連帯納付義務は発生しません。
期間は通常、納税の申告期限から5年間とされています。税務調査が行われている場合や脱税が発覚した場合など、特別な状況下ではこの限りではありません。徴収の期限が過ぎてしまうと、納税義務が消滅することから、国税庁は期間を厳守します。
本来の納税義務者が延納または納税猶予の許可を受けた
税金の納付に困難が生じた場合、本来の納税義務者は国税庁に延納や納税猶予を申請できます。申請が認められた場合、期間中は連帯納付義務者に対する徴収手続きは行われません。
延納や納税猶予は、経済的困難や災害など特別な事情がある場合に限り認められ、期間は通常1年以内です。1年以内に納税義務者の経済状況が回復することで、再び納税が求められます。
連帯納付義務による督促を受けないための対策
連帯納付義務による督促を受けないための対策として、以下の方法があります。
- 相続人間で納税状況を確認
- 事前に納税資金を確保
- 本来の納税義務者が納付困難な場合は納税の猶予や分割納付を申請
相続人間で納税状況を確認
相続人の間で納税状況を共有することは、納税義務を適切に果たすために必要です。共有することで、各相続人が納税義務の全貌を把握でき、適切な納税計画を立てることが可能になります。相続人の納税負担の公平性を確保することにもつながるでしょう。
期限までに適切な納税額を納めるためには、相続財産の価値や税法に関する専門知識が必要です。必要に応じて税理士をはじめとする専門家の助けを借りることも検討しましょう。
事前に納税資金を確保
納税義務が発生する可能性がある場合、事前に納税資金を確保しておくことが重要です。資金を確保しておくことで、納税義務発生時に迅速に対応でき、滞納リスクを低減できます。資金確保の方法には、貯蓄・信託・保険があります。
本来の納税義務者が納付困難な場合は納税の猶予や分割納付を申請
本来の納税義務者が納付困難な場合、国税庁への相談や税理士などの専門家の助けを借りることが重要です。納税猶予や分割納付などの制度があり、状況に応じて最適な選択をすることが求められます。この状況を予防するために、相続計画を事前に行うことも推奨されます。
連帯納付義務について知っていると役立つ2つの知識
連帯納付義務について理解するうえで、以下の2つの知識が役立つでしょう。
- 「連帯保証」と「連帯納付義務」の違い
- 相続を放棄をした場合の連帯納付義務の取り扱い
1. 「連帯保証」と「連帯納付義務」の違い
「連帯保証」は債務者が債務を履行しない場合に保証人が債務を負うことを指します。保証人は本来の債務者とは異なる第三者であり、債務不履行のリスクを分散させるための仕組みです。
「連帯納付義務」は複数の納税義務者が存在する場合に、各個人が全額の納税義務を負うことを指します。これは税金の納付について、全員が共同して責任を負うことを意味します。
1人の納税義務者が納税を怠った場合でも、他の連帯納付義務者がその税金の全額を負担しなければなりません。
2. 相続を放棄をした場合の連帯納付義務の取り扱い
相続を放棄した場合、放棄した時点で連帯納付義務は消滅します。放棄前にすでに納税義務が発生していた場合、義務は消滅しません。納税義務は法的な債務であり、1度発生した納税義務は、未納であれば相続放棄によって消滅しないためです。
相続放棄を考えている場合は、納税義務や未納税に対する理解を深め、適切なアドバイスを受けましょう。
まとめ
連帯納付義務は納税義務者が多数存在する場合に重要な概念です。納税義務を理解し、適切に納税することで、未納や遅延による罰則を防ぐことができます。自身の納税義務について十分な理解を持つことが必要です。
納税期限や納税金額、さらには納税の延期や分割払いの可否など、連帯納付義務の詳細を理解することは、罰則を避け、法的な問題を未然に防ぐために重要です。
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大学卒業後、東京の大手ITベンダーや監査法人にて事業企画職や会計士としての実務に長年携わる。その後、自身が相続を経験したことを契機として2014年に相続専門の個人会計事務所を地元で開業。現在は阪神間(主に神戸市・芦屋市・西宮市)で相続税をはじめとする各種税務申告や生前の相続対策相談など、相続に纏わる様々なサービスを数多く手掛けている。
もちろん、代わりに支払った相続人等は本来支払うべき相続人等に対して税額相当の返還を請求することはできますが、そもそも自己が負担すべき相続税を支払えない者から返還してもらえる可能性は通常殆どあり得ませんし、遺族間で立て替えた税金の返す・返さないといったやり取りをすることは決して気持ちの良いものではありませんので出来れば避けたいところです。
相続税を申告する時点で既に一部の相続人等が負担すべき税額を現金で支払えないことが明らかであれば延納や物納といった方法も考えられますが、実務的には手続きが煩雑な上、制約も多く簡単に認められる方法ではありませんので、やはり事前にどの程度相続税が発生しそうか、その際の税負担の資金をどうするかなどを税理士に相談した上で相続財産の分割方法を決められることをお勧めします。
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