相続税の二重課税問題とは?

更新日:2021年06月18日 発注カテゴリ: 相続・事業承継対策
相続税の二重課税問題とは?

亡くなった人の財産などを受け取る(相続する)場合、納税義務が発生します。これを「相続税」と言いますが、実は相続税はその課税の仕方に問題があると、たびたび取沙汰にされてきました。相続税と所得税の「二重相続」の問題と言います。なぜ、相続税と所得税に二重課税が発生すると考えられるのかを説明します。

相続税と所得税の違い

相続税と所得税の「二重課税」問題を理解するためには、それぞれがどのような税金であるか、理解しておく必要があります。

相続税とは

相続税を簡潔に説明するなら、「亡くなった人から受け取る財産にかかる税金」ということになります。個人が生前に持っていた預金や土地などの財産を、その身内の人がもらい受けることを「相続」と言い、この財産にかかる税金であることから「相続税」と言われます。

相続税の目的は「富の再分配」にあります。もし相続税がなければ、代替わりしても財産はそのまますべて子孫に引き継がれることになり、貧富の差を是正することができないことになります。そのような不平等を是正するため、財産の相続が発生する際に、その一部を税金として徴収して「富の再分配」を行うのが相続税です。

すべての相続に相続税がかかるわけではない

すべての相続に対し、相続が課せられるわけではありません。「富の再分配」を目的としていることから、相続税が課せられるのは一定以上の財産がある場合のみに限られます。

具体的には、故人の財産が金額にして「3000万円+600万円×法定相続人数」以上ある場合のみ、相続税が課税されることになります。この「3000万円+600万円×法定相続人数」の金額を「基礎控除」と言います。

相続税が課税されるのは、財産から基礎控除を差し引いた額になります。例えば、故人の財産が1億円、法定相続人が3名である場合は、1億円から「3000万円+600万円×3」=4800万円を差し引いた額、つまり5200万円が相続税の課税対象となります。

所得税とは

所得税とは、個人が収入によって得た儲け(所得)に対して課税される税金です。収入全体にかかるものではないので、収入税ではありません。

所得税は毎年1月1日〜12月31日(1年間)の期間に得た所得から、各種の所得控除を差し引いた額に課税されます。2014年(平成25年)から2033年(令和15年)までの間は、東日本大震災による被害からの復興に必要な施策のための財源とすることを目的とする「復興特別所得税」もこれに含まれます。

相続税と所得税の二重課税問題

上述の通り、「相続税」と「所得税」はそもそも全く異なる税金ですが、受け取る財産の種類によっては、この2種類の異なる税金が二重に課税されると指摘される問題があります。この問題を「二重課税問題」と呼びます。

相続税と所得税の二重課税が起こるとされる例その1

相続税と所得税が二重課税となると指摘されているのは、収入保障保険など、年金形式で受け取る生命保険を相続する場合に発生した例が挙げられます。

保険金などを相続する場合、その受け取り方は保険金を一括で受け取る方法と、受け取る保険金を分割し、年金と同じような形で受け取る方法の2種類に分けることができます。この保険金の受け取り方でかかってくる税金が変化します。

保険金を一括で受け取る時、この保険金は相続税法において「見なし相続財産」とされ、他の相続財産と合算した額に相続税が課せられます。つまり、この方式で保険金を受け取る場合、課税は相続税の一度きりとなり、それ以上の課税はないということになります。

年金形式で分割して保険金を受け取る場合も、その年金を受け取る受給権が相続税の課税対象となります。一方で、実際に分割で受け取る年金が世帯収入として計算されることから、所得税の課税対象にもなります。

つまり、一括で受け取っていれば課税されることがない所得税が、分割で受け取る形式にすると、既に相続税を払っている年金に対し、受け取りの都度、所得税が発生することになるわけです。

この事例では実際に訴訟が行われており、その上告審判決として、最高裁が2010年(平成22年)7月6日に、これを二重課税であると認定、「違法な二重課税であり、所得税課税は認められない」として国に所得税の返還を命じる判決を出しています。

相続税と所得税の二重課税が起こるとされる例その2

また、相続税と所得税の二重課税問題として、そもそも相続される財産は基本的にその個人が生前に所得税を支払った所得が原資となっており、その相続に対して相続税が発生するというのは二重課税に該当するのではないか、という問題も提起されています。

似たような事例として、「法人税」の課税対象として、徴税済である利益を原資としている配当金に対して、その配当受領者に対し課税することが二重課税であると指摘される問題もあります。ただし、この場合は「配当控除」の制度によって、一定額、二重課税に対して配慮が行われています。

この指摘に対しては、法人の配当が課税済み利益の処分であり、法人税の課税と配当所得の発生が時間的連続性・経済的な緊密性が多分に認められることから配当控除が行われることに対し、所得課税済みの財産の相続に相続税が発生するのは時間的な連続性が薄れており、法人税と所得税の問題に対して二次的な課税関係が新たに生じる余地があると考えられています。

さらに、法人に投資する場合、その投資者は出資する法人に課せられる法人税が直接的に自分が投資した純資産を減額されることになるのに対して、相続税の場合は相続する財産を受け取る相続人本人に対して課税されるものであることから、被相続人本人の生前の所得に対して相続人は一切財産を減額する要因が生じていないことになります。

よって、相続される財産が形成される過程に生じた課税と、相続されることに対して発生する課税の関係は、分断が生じていると考えられます。

まとめ

二重課税問題については度々訴訟が起こされ、最高裁での判決が下っています。上記の生命保険の相続に関する二重課税への訴訟では原告側の訴えが認められていますが、この所得税の二重課税という問題は1960年代から起きているとされており、同様の訴訟事案はおよそ数百万件に上ると言われています。

相続する財産の受け取り方次第で課せられる税金が変わることは、税制の公正性に欠ける問題として重視されています。消費者を混乱させる矛盾した税制は、公正性と公平性にかけることから、迅速な改正が求められています。

相続税や所得税を始め、税制に関しては頻繁に改正が行われているため、専門家ではない者には非常に難しいことは否めません。税制に関する問題に関しては、専門家に相談するのもひとつの方法でしょう。

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