スタートアップ企業の資金調達方法8つとは?成功に導く3つのポイントを紹介!

税理士
監修者
税理士 佐藤 憲亮
最終更新日:2023年09月04日
スタートアップ企業の資金調達方法8つとは?成功に導く3つのポイントを紹介!
この記事で解決できるお悩み
  • スタートアップ企業の4つのフェーズとは?
  • スタートアップ企業の資金調達方法には何がある?
  • スタートアップ企業が資金調達を成功させるポイントは?

「企業を立ち上げたいが資金が足りない」「どのような資金調達方法がある?」とお悩みの経営者の方、必見です。スタートアップ企業の資金調達方法には借入、投資、助成金などがあります。

この記事では、起業して間もないスタートアップ企業が活用できる資金調達方法8つを紹介します。記事を読み終わる頃には、失敗しない資金調達方法がわかり、準備に取り掛かれるでしょう。

資金調達方法を成功させるためのポイントも紹介するため、スタートアップ企業の経営者の方はぜひ参考にしてください。

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スタートアップ企業の4つのフェーズ

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スタートアップ企業には、創業からの期間や事業の拡大状況により成長フェーズが設定されています。主な成長フェーズは以下の4つです。

  • シード期
  • アーリー期
  • ミドル期
  • レイター期

それぞれのフェーズに適した資金調達方法を解説します。

1. シード期

シード期は企業を立ち上げた直後、もしくは具体的な事業計画を作成している段階です。「シード(種)」の状態であり、会社の設立や人件費を賄うために多額の資金が必要となります。収入源がなく赤字が続く可能性があります。

シード期に適している資金調達方法は以下の5つです。

  • 自分の貯金
  • 国からの補助金・助成金
  • 家族や知人からの借入れ
  • エンジェル投資家からの投資
  • ベンチャーキャピタルからの投資

シード期の企業は実績がないため、エンジェル投資家やベンチャーキャピタルから投資を受けられるかどうかが成功のカギとなります。

2. アーリー期

アーリー期は、起業しビジネスを始めて間もない時期です。売るべき商品やサービスはあるものの、認知度が低く事業は軌道に乗っていません。会社や商品の知名度を高めるため、広告活動に資金が必要となります。

アーリー期には以下の5つの資金調達方法が適しています。

  • 日本政策金融公庫の融資
  • 国からの補助金・助成金
  • クラウドファンディング
  • エンジェル投資家からの投資
  • ベンチャーキャピタルからの投資

シード期とは異なり、魅力的な商品やサービスを提供できるため、クラウドファンディングを利用して資金を調達できる場合があります。日本政策公庫の新創業融資制度は、無担保・無保証人で最大3,000万円まで借入可能です。

3. ミドル期

ミドル期はビジネスが徐々に軌道に乗り始め、さらなる事業の拡大を目指す時期です。商品やサービスの品質向上や新製品の開発、新規事業の立ち上げ、営業活動の活発化に多額の資金が必要となるでしょう。事業規模により数億円から数十億円規模の資金調達をしなければなりません。

企業の知名度も徐々に高まるミドル期には、以下の4つの資金調達が適しています。

  • 信用保証付融資
  • 投資家からの投資
  • 補助金・助成金
  • 他企業からの出資

ミドル期では投資家や他の企業が事業に興味を持ち、投資してくれる可能性があります。企業の信頼度が高まるため、金融機関も信用保証協会の保証付きで融資してくれる可能性が高いでしょう。

4. レイター期

レイター期は一定の利益が得られるようになり、企業として成熟してきた時期です。会社の知名度は高まっているものの、新たな市場開拓や顧客満足度向上に向け、さらなる資金調達が必要となるでしょう。

レイター期に入ると、数億円規模の追加資金調達が必要になることがあるため、以下の資金調達方法が適しています。

  • プロパー融資
  • 投資家からの投資
  • 補助金・助成金
  • 株式の発行

プロパー融資は信用保証協会を介さずに金融機関が直接行う融資です。十分な実績のある企業になると、金融機関も安心して融資が行えます。

スタートアップ企業の資金調達は主に3種類

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スタートアップ企業の資金調達の方法はさまざまですが、主に以下の3つの種類に分類されます。

  1. エクティファイナンス
  2. デットファイナンス
  3. アセットファイナンス

1. エクイティファイナンス

エクイティファイナンスとは、新株発行による資金調達方法です。新規株式を発行して新規顧客に売却する方法や、既存の株主に現在の持分比率に応じて出資を募る方法があります。

エクイティファイナンス最大のメリットは、原則として資金を返済する義務が生じないことです。得た資金はすべて事業に投じることが可能で、毎月の返済を心配する必要はありません。多くの株式を有する株主が現れた場合、経営者や経営陣の権利が脅かされるおそれがあります。

2. デットファイナンス

デットファイナンスとは、借入れや社債の発行により資金調達する方法です。エクイティファイナンスとは異なり返済義務があること、返済期限が決められている点が大きな特徴です。借入先は多岐にわたるものの、毎月の返済を考慮して収支をコントロールする必要があります。

デットファイナンスは手っ取り早い資金調達方法ですが、自己資本に占める借入れの割合が多い場合には企業として信頼されにくいデメリットがあります。メリットは確定申告の際に利息分が損金として利益から差し引ける点です。

3. アセットファイナンス

アセットファイナンスは、保有している資産を現金化して行う資金調達です。企業が保有している動産や不動産、特許、株式、商標などを売却することで資金が得られます。返済の義務を負わない資金調達であること、資産を維持管理する時間や手間を省ける点がメリットです。

スタートアップ企業の場合、売却する資産が少ないもしくはまったくない点がデメリットです。売掛金を担保にするファクタリングを利用するケースでは、手数料の支払いが発生する点に注意しましょう。

スタートアップ企業の具体的な資金調達方法8つ

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スタートアップ企業の具体的な資金調達方法として、以下の8つが挙げられます。

  1. 家族や知人からの借入れ
  2. エンジェル投資家からの投資
  3. ベンチャーキャピタルからの投資
  4. 日本政策金融公庫の融資
  5. 自治体の補助金・助成金
  6. 保証付き融資
  7. ファクタリング
  8. クラウドファンディング

1. 家族や知人からの借入れ

スタートアップ企業の創業時によく利用される資金調達方法が、家族や知人からの借入れです。家族や知人の理解や協力を得られれば、短期間で資金調達が可能です。会社の業績によって返済期限を延ばしてもらえる可能性もあります。

家族や知人から多額の借入れをする場合、個人の負担が大きくなる点がデメリットです。返済が滞ると、築き上げた関係が崩れるおそれがあります。事業のリスクや返済条件を明確にして借入れを行う必要があります。

2. エンジェル投資家からの投資

スタートアップ企業にとってエンジェル投資家からの投資も重要な資金源です。エンジェル投資家とは、起業して間もないスタートアップ企業に投資する個人投資家を指します。企業の将来性を見て出資してくれるため、実績がなくても資金調達できる点が大きなメリットです。

エンジェル投資家からの投資は魅力的ですが、1人の投資家から多額の資金調達は難しく、資金調達の一部と見るべきです。多額の投資をしてくれるエンジェル投資家がいた場合、経営に関与されるおそれがあります。

3. ベンチャーキャピタルからの投資

エンジェル投資家と同様に、ベンチャーキャピタルからの投資もスタートアップ企業にとって重要です。ベンチャーキャピタルの投資は返済の義務がなく、資金をすべて事業に使用できます。事業が順調な場合、追加融資を受けることも可能です。

ベンチャーキャピタルの投資における注意点は、経営に介入されることです。ベンチャーキャピタルは支援した企業の上場を目指していることが多いため、ノウハウの提供や経営方針への介入を行います。経営者の意に沿わない経営方針が採用されることもあるため、注意が必要です。

4. 日本政策金融公庫の融資

スタートアップ企業がよく利用する別の資金調達方法が、日本政策金融公庫の創業融資です。日本政策金融公庫は国が100%出資する金融機関であり、中小企業やスタートアップ企業を応援するために創設されました。民間の金融機関よりも金利が低く返済期間が長い点がメリットです。

日本政策金融公庫からの融資のデメリットは、審査機関が長い点です。融資額や企業の属性によりますが、ケースによっては融資実行まで1カ月前後かかるケースもあります。急いで資金調達したいスタートアップ企業には不向きです。

5. 自治体の補助金・助成金

スタートアップ企業の資金調達方法として、自治体の補助金や助成金の利用が挙げられます。助成金は条件を満たしたすべての企業や団体に支給され、補助金は定員が設定されているのが一般的です。

自治体の補助金や助成金は、返済の義務がない点が魅力ですが審査の期間が長く、後払いとなります。スタートアップ企業でもまずは自己資金で支払いを行い、その後に補填されます。自己資金がまったくない企業は、まず別の方法で資金調達しなければなりません。

6. 保証付き融資

スタートアップ企業の事業が徐々に軌道に乗り始めると、保証付き融資が利用できるようになります。保証付き融資は信用保証協会が保証する融資のことで、返済できなくなった場合に信用保証協会が立て替え払いしてくれる仕組みです。

保証付き融資は、金融機関の審査がやや緩くなるメリットがあります。通常よりも低金利で融資を受けられるケースも少なくありません。信用保証協会の保証を利用するため、融資された金額の0.5%〜2.0%の信用保証料を支払わなければならないデメリットがあります。

7. ファクタリング

スタートアップ企業がアーリー期からミドル期に入ると、ファクタリングを利用できるようになります。ファクタリングとは、売掛金を譲渡して資金調達する方法です。売掛金を最短で即日現金化できるスピードと、返済義務がない点が大きなメリットです。

ファクタリングの手数料は高く、売掛金額を超える資金調達はできない点に注意が必要です。ファクタリングには悪徳業者が存在し、法外な手数料の要求や執拗な取り立てが行われるおそれもあります。

8. クラウドファンディング

スタートアップ企業の商品やサービス、アイデアが多くの人の共感を呼ぶものであれば、クラウドファンディングで資金調達することも可能です。購入型や寄付型、株式投資型など資金の返済義務が設けられていない種類があります。

クラウドファンディングは便利な方法であるものの、支援者に確実にリターンを提供しなければならない点に注意が必要です。目標金額に達しなかった場合は、まったく資金調達ができないおそれもあります。

スタートアップ企業の資金調達を成功させるポイント3つ

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スタートアップ企業が資金調達を成功させるためには、以下の3つのポイントを押さえる必要があります。

  • 事業計画書を入念に作成する
  • 補助金・助成金を積極的に利用する
  • 資金調達の専門家の助けを借りる

1. 事業計画書を入念に作成する

スタートアップ企業が資金調達を成功させるためには、事業計画書を入念に作成しなければなりません。単に事業の内容や将来性を論じるのではなく、成長フェーズにあわせて目標を立てることが重要です。フェーズごとの目標を達成するために必要な資金や事業展開を記載しましょう。

重要なのは、事業の具体性と金額の根拠です。従業員が無理をしないと達成できない目標は事業計画としてふさわしくありません。継続的に利益が出せる計画と説得力のある資金計画が必要です。資金計画に関しては楽観的なものではなく、シビアな条件で計画を立てましょう。

2. 補助金・助成金を積極的に利用する

スタートアップ企業は、補助金や助成金を積極的に活用すべきです。国や自治体は、スタートアップ企業を支援するために補助金や助成金を多く用意しており、複数の補助金を利用することで必要な資金を調達できる場合があります。

スタートアップ企業が活用できる補助金や助成金は以下のとおりです。

  • 中途採用等支援助成金
  • キャリアアップ雇用奨励金
  • ものづくり補助金
  • IT導入補助金

3. 資金調達の専門家の助けを借りる

スタートアップ企業が資金調達に難しさを感じている場合、専門家の助けを借りる手もあります。資金調達を支援している専門家は次のとおりです。

  • 税理士
  • 会計士
  • 弁護士
  • ファイナンシャルプランナー
  • 中小企業診断士

認定支援機関を取得している専門家は、スタートアップ企業を含む中小企業の経営相談を受けるにふさわしいといえます。専門知識や実務経験が豊富な専門家であると国が認定しているため、安心して資金調達の相談ができるでしょう。

まとめ

スタートアップ企業の資金調達は、借入れや補助金・助成金、エンジェル投資家やベンチャーキャピタルからの投資、ファクタリングなどさまざまな方法があります。会社の成長フェーズにあわせて、そのときに最適な資金調達方法を見極めましょう。

比較ビズでは、スタートアップ企業の資金調達を支援できる専門家を条件ごとに比較可能です。実績や得意分野で比較できるため、自社にあった専門家を探せるでしょう。スタートアップ企業の経営者の方は、資金調達の際にぜひ比較ビズを利用してみてください。

監修者のコメント
税理士
佐藤 憲亮

京都市出身。 医療系特化事務所、税理士法人の社員税理士(役員)を経て、気軽に相談できる専門家として税務顧問業務をメインに活動。実務で得た知識や経験を活かし、税務記事や税務論文の執筆、ブログの運営をしている書くことが好きな税理士。大学卒業後、税理士事務所で14年の実務経験を積みながら、大学院で税法を学ぶ。2020年に税理士登録。2023年6月に京都市中京区にて独立。また、顧客企業の利益最大化を実現するため、バックオフィスの効率化や改善に力を入れており、経理代行及びコンサルの事業会社を設立。経理、財務、税務の支援を得意としている。

初期投資が必要な事業を新たにスタートしようとする場合は、手元資金が豊富にある方を除き、金融機関から融資を受ける方がほとんどです。創業時は代表者の過去の実績や経歴、新規事業にかかる収支計画により、融資が受けられるかどうか、いくら借りることができるかが決まってきます。

スムーズに事業をスタートし、事業を軌道に乗せるまでは手元資金が減り続けることとなります。必要以上に融資を受けることはできませんが、事業計画は楽観的に立てるのではなく、少し厳し目に考え、融資を受けたい金額を決め、どうやって返済していくのかまで金融機関に伝えるべきです。

融資は受けたいときに受けられるものではなく、創業時や事業が上手くいって利益が出ているときにしか受けることができません。現金は事業にとって血液のようなものですから、現金が底をつくと事業の継続が不可能となってしまいます。

そのため、融資を受けることができる創業時はチャンスだと捉え、必要な金額を借りられるよう、しっかりと検討して事業計画を立てるようにしましょう。
比較ビズ編集部
執筆者

比較ビズ編集部では、BtoB向けに様々な業種の発注に役立つ情報を発信。「発注先の選び方を知りたい」「外注する際の費用相場を知りたい」といった疑問を編集部のメンバーが分かりやすく解説しています。

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