消費税の確定申告とは?個人事業主に向けて書き方や期限をわかりやすく解説

喜多弘美公認会計士・税理士事務所
監修者
最終更新日:2023年09月29日
消費税の確定申告とは?個人事業主に向けて書き方や期限をわかりやすく解説
この記事で解決できるお悩み
  • 消費税の確定申告は必要なの?
  • 消費税申告書の書き方は?
  • 申告を忘れた場合はペナルティがある?

「消費税の申告が必要なのかわからない」と悩む経営者や個人事業主は必見です。この記事では消費税申告の必要性や申告書の書き方、計算方法を解説します。最後まで読めば、自身が消費税を申告すべきかがわかり、適切に申告・納税できるでしょう。

確定申告で確定申告をする必要があるのは、一定の条件を満たした課税事業者です。 消費税を申告しなかった場合のペナルティも紹介するため、申告忘れに気づいた方もぜひ参考にしてください。

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消費税の確定申告とは

ビジネス 歯車

消費税の確定申告は「商品やサービスの対価を受け取った事業者」に課せられる義務です。個人事業主は対価にかかる消費税を税務署に確定申告し、納付します。

消費税は間接税の1種であり、購入者が事業者をとおして納税する仕組みです。消費税を負担するのは消費者ですが、事業者は消費者が支払った消費税を申告し、代わりに納めます。

消費税の確定申告が必要な条件

消費税の確定申告が必要な条件は、次の3つです。

  1. 基準期間の課税売上高が1,000万円を超えた
  2. 期間中の課税売上高が1,000万円を超えた
  3. 資本金1,000万円以上の企業を設立した

課税事業者が上記の条件から外れて免税事業者となる場合「消費税の納税義務者でなくなった旨の届出書」を税務署に届け出る必要があります。

条件1. 基準期間の課税売上高が1,000万円を超えた

消費税の申告が必要な条件は「課税事業者であること」です。課税期間の基準期間の課税売上が1,000万円を超える場合、事業者は消費税を納税しなければなりません。基準期間は、個人事業者は前々年、法人は前々事業年度が該当します。

条件2. 期間中の課税売上高が1,000万円を超えた

特定期間における課税売上高が1,000万円を超える場合、消費税の納税が必要です。特定期間の条件は、個人事業主と法人で異なります。

  • 個人事業者の場合:前年の1月1日から6月30日までの期間
  • 法人の場合:原則として前事業年度開始の日以後6カ月の期間

「課税売上高」とは、非課税取引を除外した売上高のことです。一般的には企業を設立した直後は前々事業年度の売上がないため免税事業者となります。

条件3. 資本金1,000万円以上の企業を設立した

資本金1,000万円以上の企業を設立した場合、消費税の納税が必要です。起業直後は前々事業年度の売上がありませんが、資本金が1,000万円以上の企業は例外にあたります。1,000万円以上の資本金では、設立から2事業年度の間は課税事業者になるためです。

消費税の確定申告が不要な人

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原則的には下記の条件のいずれにも該当しない人は、確定申告の必要がありません。

  • 基準期間の課税売上高が1,000万円を超えた
  • 期間中の課税売上高が1,000万円を超えた
  • 資本金1,000万円以上の企業を設立した

上記の条件に当てはまらなければ、免税事業者とみなされます。

消費税の確定申告の計算方法

消費税の確定申告では、次の2つの方法から選択できます。

  1. 原則課税方式
  2. 簡易課税方式

計算方法を選択によって納税額に大きな差が出る可能性があるため、将来を見据えた選択が求められます。複雑な計算も含まれるため、より正確に理解するためには税理士への相談がおすすめです。

計算方法1. 原則課税方式

「原則課税方式」は、年間を通じて預かった消費税から、仕入れで支払った消費税を差し引いた金額を納税額とする方法です。簡易課税方式と異なり、原則課税方式には課税売上高や選択期間の縛りがありません。

計算方法

原則課税方式の消費税の納付税額=課税期間中の課税売上げにかかる消費税額−課税期間中の課税仕入れ等にかかる消費税額

原則課税方式は、実際の仕入率が「みなし仕入率」よりも多い場合には、納税額が少なく済むメリットがあります。「みなし仕入率」とは簡易課税方式において業種ごとに決められている仕入れ時の消費税額の計算方法です。

計算方法2. 簡易課税方式

「簡易課税方式」は、業種ごとに決められた「みなし仕入率」を使って納付額を求める方式です。基準となる期間の課税売上高が5,000万円以下の場合にのみ採用できます。

計算方法

簡易課税方式の消費税の納付税額=課税売上げにかかる消費税額−(課税売上げにかかる消費税額×みなし仕入率)

簡易課税方式では、仕入れにかかる消費税額を「みなし仕入率」を用いて計算できるため、煩雑な事務作業を減らせるメリットがあります。

設備投資や経費で大きな金額の消費税を支払った場合であっても、一定の「みなし仕入率」をかけて仕入れの消費税額を算出しましょう。納税額で不利になる可能性がある点がデメリットです。

消費税の確定申告の手順【3ステップ】

消費税の確定申告は、次の3ステップで進めます。

  1. 必要書類を揃える
  2. 申告書を作成する
  3. 期限までに申告書を提出する

1. 必要書類を揃える

申告に必要な書類は「消費税申告書」と「付表(税率表)」です。原則課税方式の場合は付表2を、簡易課税方式の場合は付表4・付表5を使用します。そのほか、必要に応じて計算表や還付申告に関する明細書の提出が求められることがあります。

必要書類(消費税申告書・付表)は税務署の窓口で入手可能です。消費税及び地方消費税の確定申告の手引き・様式等(国税庁)からダウンロードも可能です。

2. 申告書を作成する

書類が手に入ったら、記入項目に従って申告書を作成します。原則課税方式と簡易課税方式によって申告書のフォーマットが異なるため注意が必要です。適用される税率にあわせ、該当する付表を提出します。

3. 期限までに申告書を提出する

消費税の確定申告は、定められた期限までにおこないましょう。期限は次のとおりです。

  • 個人事業主の場合:翌年の3月31日
  • 法人の確定申告:事業年度終了の日の翌日から2カ月以内
  • 課税期間の短縮を選択している場合:短縮した各課税期間終了後2カ月以内

消費税の確定申告には税率の計算や申告書記入など時間のかかる作業が含まれます。期限を過ぎないように余裕をもって準備を開始することが大切です。

消費税を申告しなかった場合の附帯税

ビジネスイメージ

消費税を申告しなかった場合、附帯税として次のペナルティが課せられます。

  1. 無申告加算税
  2. 過少申告加算税
  3. 延滞税
  4. 重加算税

附帯税1. 無申告加算税

無申告加算税は、税金の申告を怠った事業者に対して課される附帯税です。無申告加算税の税率は、本来の納税額と申告のタイミングで算出されます。

条件 本来の納付税額 加算税率
税務調査後に申告 50万円まで 15%
50万円を超える部分 20%
税務調査通知後〜税務調査通知前に申告 50万円まで 10%
50万円を超える部分 15%
税務調査通知前に自主的に申告 額にかかわらず 5%

参照:確定申告を忘れたとき(国税庁)

附帯税2. 過少申告加算税

過少申告加算税は、申告していても納税額が過少だった場合に課される税です。無申告加算税と同様、本来の納付税額と申告のタイミングで加算税率が決定します。

条件 新たに納める税額 加算税率
税務調査通知前 課税されない 課税されない
税務調査通知後〜税務調査実施前 〜50万円 5%
50万円超 10%
税務調査実施後 当初の申告納税額と50万円とのいずれか多い金額まで 10%
当初の申告納税額と50万円とのいずれか多い金額超 15%

参照:確定申告を間違えたとき(国税庁)

過少申告加算税は、税務署からの調査を受ける前に自主的に修正申告をすると課税されません。誤りに気付いた際は、速やかに再申告しましょう。

附帯税3. 延滞税

延滞税は納付が遅れた期間に応じて支払う附帯税です。延滞税は支払いが遅れるほど税率が上がる仕組みなため、延滞に気づいたらすぐに対処しましょう。

期間 経過日数 加算税率
2021年1月1日〜12月31日 法定納期限翌日〜2カ月 2.5%
2カ月目翌日〜完納日 8.8%
2022年1月1日〜12月31日 法定納期限翌日〜2カ月 2.4%
2カ月目翌日〜完納日 8.7%
2023年1月1日〜12月31日 法定納期限翌日〜2カ月 2.4%
2カ月目翌日〜完納日 8.7%

参照:延滞税の割合(国税庁)

期限内に申告をしても、納付日(入金)が遅れた場合には延滞税が発生します。

附帯税4. 重加算税

重加算税は「納税額×35〜40%」を追加で徴収されます。意図的に申告を怠った場合や記録の隠ぺい、改ざんが認められた場合に課せられるペナルティです。悪質な脱税行為に適応され、加算される税率はほかの附帯税に比べても高く設定されています。

重加算税は単独ではなく、延滞税・無申告課税とともに課されることがあります。本来の納税額の倍額を徴収されるケースもあり、深刻なペナルティです。

まとめ:消費税の確定申告は余裕をもって

消費税の申告は「商品やサービスの対価を受け取った事業者」の義務です。申告には原則課税方式と簡易課税方式の2種類があり、税率に応じて納税額が少ない方式を選ぶ必要があります。消費税の申告が遅れると、ペナルティで附帯税の支払いが必要です。

消費税の確定申告期限に間に合うよう余裕をもって進めましょう。不明点があれば、税理士に相談すると正確に申告できます。企業のニーズに即した税理士を見つけるためには、複数の企業に見積もりをとって条件を比較することがおすすめです。

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監修者のコメント
喜多弘美公認会計士・税理士事務所
代表 喜多弘美

兵庫県神戸市出身。趣味は筆跡診断・筆文字。神戸大学経済学部、甲南会計大学院卒業。2010年公認会計士試験論文試験合格後、上場会社経理部に所属し、固定資産・消費税を担当。その後、大手監査法人で会計監査、グループ会社で内部監査・人事に携わる。2020年4月から東京都品川区で個人事務所を開業し、会計システム導入支援・記帳代行に従事。2020年11月税理士登録。

消費税は法人税や所得税とは別物と意識するといいでしょう。どの税金も同じ帳簿から納付額を計算しますが、法人税・所得税が利益を計算してから税額を計算するのに対し、消費税は預かった消費税と支払った消費税を計算してから税額を計算するため、切り口が異なるからです。消費税を納める必要があるかも、例外があるため、その都度判断する必要があります。

また、消費税の計算方法について原則課税と簡易課税どちらを選択するのがいいかは、納税する法人・個人によっても違いますし、同じ法人・個人でも、大きな設備投資をする予定がある場合などその時々で有利・不利が異なります。そのため、法人・個人の事業の特徴や今後の計画も把握した上で、検討する必要があります。

令和5年10月からインボイス制度もはじまるため、免税事業者の方は、課税事業者になるかどうかも検討する必要があり、消費税は考えることが多いです。 そのため、消費税については、余裕をもって事前に検討することが大切になります。
比較ビズ編集部
執筆者

比較ビズ編集部では、BtoB向けに様々な業種の発注に役立つ情報を発信。「発注先の選び方を知りたい」「外注する際の費用相場を知りたい」といった疑問を編集部のメンバーが分かりやすく解説しています。

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