社宅を経費として計上し節税につなげるメリットとは|社宅家賃の計算方法も解説

最終更新日:2023年10月02日
竹中啓倫税理士事務所
監修者
税理士・米国税理士・認定心理士 竹中啓倫
社宅を経費として計上し節税につなげるメリットとは|社宅家賃の計算方法も解説
この記事で解決できるお悩み
  • 社宅制度を導入するメリットは?
  • 社宅制度と住宅手当の違いとは?
  • 経費として認められる妥当な家賃の金額は?

社宅制度を導入することで支払う住宅費は経費として計上することができるため、企業の節税対策として有効です。さらに安い家賃で社宅に住むことができるということで、働きやすい会社という評価を受けるメリットも生まれます。

この記事では、企業の規模に関係なく導入することが可能な社宅制度を導入するメリットや経費になるポイント、家賃の計算方法について解説していきます。

社宅制度を導入し、経費計上したいと考えている経理担当の方はぜひ参考にしてみてください。

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社宅は経費として計上できる?

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会社の規模に関係なく導入することができる社宅制度。会社名義で住宅を借り、役員や従業員に貸し出した際には経費として計上することが可能です。

会社が社宅に支払う賃料と、社員から支払われた賃料の差額が損金として経費になるため、会社にとっては節税効果が見込めます。社宅制度を導入した際、経費として計上する際は「地代家賃」に分類しましょう。

条件をクリアすれば社宅を経費として計上できる

会社が貸主に支払う金額と、入居者の従業員から受け取る金額の差額は、基本的に経費として認められます。経費として認められるためには2つの条件があり、それらに当てはまらない場合は課税対象となるため注意が必要です。

条件1. 賃貸料相当額を受け取ること

社宅を経費として処理するためには、借りる側から1カ月あたり一定額以上の家賃を受け取る必要があります。これを賃貸料相当額と言いますが、この金額を下回ったり、無償で貸与すると、家賃の差額に相当する金額が、現物給与として課税される可能性があります。

国税庁から発表されている賃貸料相当額の計算方法は以下の通りで、以下の3つを足した数字以上の額を賃料としましょう。

  1. (その年度の建物の固定資産税の課税標準額)×0.2%
  2. 12円×(その建物の総床面積(平方メートル)/3.3(平方メートル))
  3. (その年度の敷地の固定資産税の課税標準額)×0.22%

参照:国税庁

条件2. 社宅管理規定を用意しておくこと

社宅制度を導入する際には、入居資格や光熱費などの負担方法、入退去の手続きなどに関して社内で明確にしておく必要があります。社宅管理規定を作成し従業員に説明することで、後の思わぬトラブル防止に繋がります。

入居手続きや支払いなどをスムーズに行うため、社宅制度を導入する前に会社側と社員側が納得できるような規定を作成しましょう。

社宅を経費にすると節税に繋がる理由3つ

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経費の1つである社宅の損金算入の額が大きくなればなるほど、法人税の税率が小さくなるため節税効果が見込めます。企業に支払い義務のある法人税は、年間の収益から損金を引いた金額に課税されます。

会社が社宅制度を導入することで節税に繋がる理由は以下の3つがあります。

  1. 家賃を徴収すれば給与として課税されない
  2. 物件の購入にかかる費用も経費として計上できる
  3. 借入金の利息を経費に計上できる

1. 家賃を徴収すれば給与として課税されない

社宅として貸し出す際に、社員から賃貸料相当額を徴収すれば課税対象とはなりません。

ただし、無償または著しく低い金額で貸し出した場合、会社側の支払う賃料と、社員から支払われる賃料の差額が給与所得として課税されます。給与所得は経費として計上できず、節税効果は見込めないため適切な家賃を徴収しましょう。

2. 物件の購入にかかる費用も経費として計上できる

会社名義で住宅を購入した場合、その建物代を減価償却費として計上することが可能です。また、建物代以外にも登記費用や不動産取得税、固定資産税、維持費も会社の経費として計上することができます。

3. 借入金の利息を経費に計上できる

住宅を購入する際に借入をした場合は、その利息分を経費に加えることができます。個人で物件を購入した場合に使える住宅ローン控除は、会社名義で購入した場合適用されないため注意が必要です。

社宅制度と住宅手当はどちらの方がいい?

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社宅制度と似たような制度に住宅手当があります。節税効果を重視して住宅に関する制度を導入する場合、社宅制度の方がより効果的です。

住宅手当は、会社が住宅を用意するわけではなく、基本給とは別に住宅手当として一定の金額を社員に支払います。つまり金銭として支給するため社員の給与の一部となり、会社側は社会保険料の負担が増えることになります。

代わりに社宅制度を導入することで、社宅自体に発生する費用は会社の経費となります。社会保険料や法人税などの課税対象にならず、会社側の負担が軽減されます。

社宅を経費に計上するメリット

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社宅制度を導入することによって様々なメリットがあります。ここからは、従業員側と会社側とではどのようなメリットがあるのかを具体的に紹介します。

従業員にとってのメリット

社宅制度は手取り額が減らないためメリットと言えます。社宅と似たような制度に住宅手当がありますが、住宅手当は金銭で給与と一緒に受け取ります。収入額は増えるものの手取りは減ります。

また、社宅は「周辺の賃料の半額以下が社宅家賃の目安」とされているため、従業員の家賃を抑えることができることもメリットと言えるでしょう。

会社にとってのメリット

社宅に発生する費用を経費として計上することで、節税効果が見込めます。 さらに従業員に社宅を提供することによって、会社の働きやすさという評価を上げることができるのもメリットです。

社宅に関する費用は経費に計上できるため、会社側の税負担が軽減します。節税を重視しているのであれば社宅制度がより効果的です。

経費として計上するための社宅の家賃設定方法

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社宅の家賃は、賃貸料相当額以上の金額を入居者が支払うことで経費となり、節税効果を見込める仕組みです。では、この賃貸料相当額はどのように計算すればよいのでしょうか?

一般住宅を社宅にする場合

一般の住宅を従業員に社宅として貸し出す際には、以下の(1)と(2)の合計額の12分の1が賃貸料相当額と認められます。

  1. その年度の建物の固定資産税の課税標準額×12% *ただし、耐用年数が30年を超える建物の場合、12%ではなく10%で計算する
  2. その年度の敷地の固定資産税の課税標準額×6%

または、会社が賃料として支払っている50%の金額のどちらか高いほうが適用されます。

小規模住宅を社宅にする場合

小規模住宅とは、家屋の床面積が「耐用年数30年以下の場合に132平方メートル以下」または、「耐用年数30年超の場合に99平方メートル以下」の住宅のことを指します。国税庁の出している計算方法で、出した3つの数字の合計以上を社宅賃料としましょう。

  1. (その年度の建物の固定資産税の課税標準額)×0.2%
  2. 12円×(その建物の総床面積(平方メートル)/3.3(平方メートル))
  3. (その年度の敷地の固定資産税の課税標準額)×0.22%

または、会社が賃料として支払っている50%の金額のどちらか高いほうが適用されます。

豪華な住宅を社宅にする場合

社長や役員のために豪華な住宅を社宅にする場合もあるでしょう。ここで定義される豪華な住宅とは、「床面積が240平方メートル超」または、それ以下でも「個人の嗜好が色濃く反映されたもの(プール付き住宅など)」を指します。

このような豪華な住宅を社宅にする場合、家賃として受領すべき金額は一般的な市場価格に照らした時の家賃と同額です。

まとめ

社宅制度の導入によって、従業員にとっては少ない負担で入居できる、会社にとっては経費にすることで節税効果を見込めるというメリットが生まれます。

ただし、家賃の負担額の割合の決め方が少々複雑であり、社宅制度の導入に伴い社内規程を新たに定める手続きが発生します。

手続き方法がよくわからない、会社の作業としての負担が大きいという場合は、税理士などの力を借りるのも賢明な手です。

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監修者の一言

社宅を制度として持っている会社は、比較的多いと思います。それは、本来個人で負担すべき住宅費用を、会社が負担することによって一部を負担させることができます。

同族会社においても認められていますので、会社の経費をつかって、自宅費用の一部を経費化できることにほかなりません。これは大きなメリットとであるといえます。

会社の負担は費用の50%以上になります。ただし、社長とかが豪華な社宅を建築して社宅として借り受ける場合には、実勢価格が徴収されますので、ご注意下さい。

これは私の考えなのですが、自宅は会社とは無関係で持たれるほうが良いと思います。具体名は差し控えますが、かつて、大きな会社でその敷地内に社長の身内の方に対し社宅として自宅を建設されていました。

近所の人は全員そのことを知っていましたが、その会社が倒産した際、その建物は真っ先に取り壊され、敷地も売られてしまったことを思い出しました。会社が倒産しても、家族の憩いの場である自宅は、無事に確保したいものですね。

竹中啓倫税理士事務所
税理士・米国税理士・認定心理士 竹中啓倫
監修者

岐阜県出身。上場会社の経理に勤務する傍ら、竹中啓倫税理士事務所の代表を務める。M&Aなどの事業再編を得意とし、セミナーや研修会講師にも数多くあたるほか、医療分野にも造詣が深く、自ら心理カウンセラーとして、心の悩みにも答えている。税理士会の会務では、名古屋税理士協同組合理事を務める。

比較ビズ編集部
執筆者
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