hemsとは?導入におけるメリットや活用できる補助金制度

マネーライフワークス
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最終更新日:2023年07月20日
hemsとは?導入におけるメリットや活用できる補助金制度

住宅の省エネ効果や節電効果を高めるシステムがhemsです。省エネや節電の効果だけでなく、建物内の快適性を高めるシステムであり、いずれは全住宅への導入が目標とされています。そんなhemsの導入には多額の費用がかかるのですが、実は国や地方自治体の実施する補助金制度を活用できる場合があることをご存じでしょうか?今回は活用できる補助金制度を解説します。

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補助金がもらえるかもしれないhemsとは

hemsとは英語の頭文字を取った略字で、正式には「home energy management system」であり、家庭用エネルギーのマネジメントシステムのことを指します。

具体的には、家庭内に設置される電気設備や家電などの稼働状況やエネルギー使用料等をモニターすることによって可視化し、電力使用量等を最適な状態に管理できるようにするためのシステムです。

このシステムを導入することによって住宅での電力使用量が最適化されれば、家庭から省エネや環境配慮を推進していくことができます。そのため、日本政府は国を挙げてhemsの導入を進めており、2030年までに全住居への導入を目標に掲げているぐらいです。

この目標が設定された2015年の時点では、まだhemsの導入率はわずか0.4%にも満たない状態でしたが、ここ数年で徐々に普及しています。

bemsとの違い

hemsと似た言葉にbemsがあります。こちらも「building energy management system」という言葉の略で、文字通り、ビルのエネルギー管理システムのことを指す言葉です。

hemsとbemsには、前者が一般の住居のエネルギー使用状況を管理するためのシステムであるのに対して、後者はオフィスビルや商業ビル、病院などの施設のエネルギー使用状況を管理するためのシステムという違いがあります。

要は、総称として「ems(エネルギーマネジメントシステム)」というものがあり、生産性や快適性を維持しながら従来よりも高効率のエネルギー消費を目指すためのシステムが、一般住居やビルなどの建物の種類ごとに用意されているのです。

hems導入のメリット

hemsには住居のエネルギー使用状況を管理できるという特徴がありますが、そのことによってどのようなメリットがもたらされるのでしょうか?

節電効果

hemsを導入すると、住居内で使用されているエネルギーの状況が目に見える形で管理できるようになります。たとえば、エアコンや冷蔵庫などの家電が消費する電力がどのぐらいか、太陽光発電システムが作るエネルギーがどのぐらいあるか、などといったことが把握しやすくなるのです。

それによって、これまでは意識しなかった自宅でのエネルギー使用状況が意識しやすくなり、自然と使いすぎや無駄な消費を防ごうと省エネ志向になります。その結果、節電効果が得られるのです。

快適性の向上

hemsの導入によるメリットは節電効果ばかりではありません。hemsに対応するテレビ、エアコン、冷蔵庫などの家電は、ネットワーク接続により、スマホやタブレットなどのモバイル端末で遠隔操作が可能です。

そのため、たとえばエアコンをつけっぱなしの状態で外出した場合も、大幅な電力使用量の増加を検知して、外出先から電源を切るといったことが可能になります。また、冬の寒い日などに、帰宅前にあらかじめエアコンや湯沸かしなどを点けておくことも可能です。

hemsの活用の仕方によっては、これまで以上の快適性が日々の暮らしにもたらされます。

補助金をもらうためにも知っておきたいhems導入の注意事項

省エネや快適性アップなどのメリットが期待できるhemsですが、導入前にいくつか確認しておきたい点もあります。

費用がかかる

hemsを導入するには費用がかかります。なぜなら、hemsに対応する機器等を揃えなければならないからです。機器の値段はメーカーや製品によって差がありますが、複数の機器をそろえる必要があるため、いくら安価なものを心がけて買いそろえても、総額ではまずまずの金額になるでしょう。

hems導入に必要な機器

hems導入に必要な具体的な機器ですが、以下が一般的に必要とされるものです。

  • 分電盤
  • 電力測定装置
  • モニター
  • hems対応家電

分電盤

hems導入にあたって、hemsに対応する分電盤を設置しなければなりません。hemsに対応するとは、通常の分電盤にプラスして消費電力等の測定機能や通信機能などを備えたものです。製品の種類はさまざまで、価格帯の幅もそれに応じて広いです。安いものであれば2〜3万円程度からありますが、高いものだと20万円ぐらいするものもあります。

電力測定装置

電力測定装置とは、その名の通り、家電等が消費する電力を測定するための装置です。これとは別に、ネットワークに家電を接続するための情報収集装置も必要になります。

モニター

消費電力等を目で見て管理するためには、測定結果を表示するためのモニターも必要です。ただし、hemsにもクラウド型のものがあり、それを利用する場合は、家庭内に設置したモニターではなく、スマホからネットを通じた確認ができるようになります。

hems対応家電

hemsで家庭内の電力状況を管理するためには、当然ながら、使用する家電もそれに対応していなければなりません。大手メーカーを中心に、多くのメーカーが対応製品を多数リリースしていますので、お好みの製品は見つかるでしょう。

hems導入の流れ

具体的なhems導入の流れを見ておきましょう。

メーカーを決める

hemsを提供するメーカーは多数あり、大手メーカーだけでも10社以上に上るでしょう。それだけ豊富に選択肢があるということですが、各メーカーの製品ごとに特徴を把握し、自分に最適なものを選定するとなると、なかなかの手間がかかります。

電力測定装置を分電盤に取り付ける

hemsのメーカーを選定できたら、いよいよ実際の導入です。まず、家庭にある分電盤にhems用の電力測定装置を設置します。分電盤に設置するのではなく、家庭用コンセントに設置するユニットタイプもありますが、いずれにせよ電力を測定する装置は不可欠です。

ネットワークに機器を接続

電力測定装置を機器に接続したら、その機器をネットワークに無線で接続する設定を行います。

エネルギー使用状況をチェック

機器の設定ができたら、パソコンやスマホなどで実際のエネルギー使用状況を確認してみましょう。なかには、エアコンの稼働時間から部屋ごとの温度や湿度までグラフ化してくれるものもあります。

使用状況から最適な管理を学ぶ

これで家庭内のエネルギー使用状況を把握できるようになりました。ここからは実際の生活のなかで、それを参考に消費エネルギーを適切に管理します。とは言え、それほど難しいことではありません。専用アプリなども用意されており、簡単に電気の使いすぎなどを防げるようになっています。

hemsの導入に役立つ補助金制度

hemsの導入にはそろえるべき機器が多数ありますので、導入できる状況を整えるだけでもかなりの費用がかかります。長期的な視点に立てば省エネや節電効果によってコストの節約になるはずですが、そうは言っても目の前の出費が厳しく、そのために躊躇してしまう気持ちもあるでしょう。そういう時に頼りになるのが、国や地方自治体が提供している補助金です。

先にも触れたように、政府主導で2030年まで全住宅にhemsの導入を目指しているため、われわれの導入のハードルを下げるためにも、国や自治体が補助金制度を設けて積極的に支援しています。

ただし、国によるhemsの補助金制度は毎年実施されるとは限りません。これまでは一般社団法人環境共創イニシアチブというところの請負で、平成23年と25年に実施されましたが、平成31年や令和2年は実施されませんでした。

ただ、2030年までに全住宅への導入を目指している以上、いずれは補助金制度の再開もあるのではないでしょうか。いずれにせよ、hems導入を検討していて補助金の利用を希望するなら、動向を注視し、制度再開時にはすぐに応募できるように態勢を整えておきましょう。

一方、地方自治体が実施する補助金制度は、自治体ごとにさまざまです。太陽光発電や蓄電池と併せて導入することで、さらに手厚い補助が受けられる場合もあります。他方、補助金制度を実施しないところもありますので、まずはお住まいの自治体に確認してみてください。

各自治体が実施するhems補助金制度

ここでは、2020年11月現在でまだ申請を受け付けている、東京都を始めとした各地の主要都市の補助金制度の内容を少し見てみましょう。

なお、詳しい条件や申請期間、申請方法等は、必ず自治体のホームページ等で確認してください。

江東区の補助金制度

江東区では、hemsの設置に要した費用のうち、5%を補助する制度があります。ただし、上限が決まっており、一般住宅で20万円、集合住宅で15万円です。申請の受付期間は、2020年4月1日から2021年3月15日までとなっています。

墨田区の補助金制度

墨田区では、hems導入の工事費用の20%を補助する制度があります。ただし、上限が2万円です。申請の受付期間は、2020年4月1日から2021年2月26日までとなっています。

武蔵野市の補助金制度

武蔵野市では、対象機器の購入にかかった費用のうち、5万円、もしくは購入金額の2分の1、いずれか低い方の金額を補助してくれる制度があります。申請期間は、2020年4月1日から2021年3月31日です。

神奈川県内の補助金制度

神奈川県では、相模原市と海老名市で補助金制度を実施しています。

相模原市の制度は、hems導入にプラスして、太陽光発電システムと、家庭用燃料電池システムもしくは定置用リチウムイオン蓄電池を設置する場合に、奨励金として3万円を支給しています。今後の受付期間は、2021年2月15日から2021年3月15日です。

海老名市では、一つの設備ごとに1万円の補助金を支給しています。ただし、スマートハウス加算というのがあり、hemsと太陽光発電システムにプラスして、定置用リチウムイオン蓄電池かエネファームのどちらかを同時に設置した場合、補助金は2万円です。

埼玉県の補助金制度

埼玉県では、熊谷市と草加市が補助金制度を実施しています。

熊谷市では、必要な条件を満たすと一律50万円の支給です。そのうち25万円分は、熊谷市の商品券である「まち元気」の形で交付されます。熊谷市内にスマートハウスを購入もしくは新築し居住すること、その居住者は個人であることなど、細かい条件があるため、詳細は市のホームページ等で確認してください。

草加市では、1万円の補助金を支給しています。受付期間は2021年2月1日までですが、応募多数の場合、予算に達した段階で終了です。

愛知県の補助金制度

愛知県では、豊田市と西尾市が補助金制度を実施しています。

豊田市の制度は、設置費用の25%(設置工事費を含む)を支給するという内容です。ただし、上限が1万円となっています。受付期間は、2020年4月1日から2021年3月31日です。

西尾市でもhems設置に1万円の補助金を支給しています。他の設備も同時に設置した場合はさらなる補助金が支給され、たとえば、hemsに加えて太陽光発電システムと定置用リチウムイオン蓄電池を一緒に設置した場合、補助金の金額は19万円です。ただし、予算に上限があるため、予算に到達するまでの先着順となっています。

大阪府の補助金制度

大阪府では、岸和田市と東大阪市で補助金制度を実施しています。

岸和田市では、hemsと太陽光発電機器を同時設置した場合に、5万円の補助金です。受付期間は、2020年6月1日から2021年2月1日までとなっています。

東大阪市は2万円を上限とした補助金です。ただし、経費の4分の1が2万円を下回る場合、その額が補助金の金額になります。受付期間は、2020年6月1日から2021年2月26日です。

福岡県の補助金制度

福岡県では、久留米市が補助金制度を実施しています。hemsと蓄電池、エネファーム、さらにV2H機器を同時に導入すると、4万円の補助金がもらえます。hems単独での導入は補助金の対象外であることに注意しましょう。

まとめ

節電や省エネ効果が得られるhemsですが、導入のための費用がネックとなるケースが多いです。ただ、実際に導入してしまえば、高い節電効果によっていずれは費用分ぐらい軽く回収できますから、長い目で見ると導入する方がメリットは大きいでしょう。初期費用がハードルになっている場合は、お住まいの自治体に補助金制度がないか、確認してみてください。

ただし、補助金制度はすべての自治体で実施しているわけではありませんし、実施している場合でも、受付期間でも予算に達すればその時点で終了になってしまいます。基本的に先着順ですので、募集開始から早々に終了することもよくあることです。補助金を受給したいのであれば、自治体の窓口やホームページ等で常に最新情報をチェックしておくようにしましょう。

監修者のコメント
マネーライフワークス
岡崎 壮史

1980年3月23日生まれ。社会保険労務士・1級FP技能士・CFP認定者。令和3年度 中小企業・小規模事業者等に対する働き方改革推進支援事業(専門家派遣事業) 派遣専門家。大学卒業後、外資系生命保険会社の営業、資格の専門学校の簿記・FPの講師、不動産会社の経営企画を経て現在に至る。

hemsとは、住宅の省エネ効果や節電効果を高めるシステムのことを言い、ビル単位の省エネ効果や節電効果を他変えるシステムであるbemsとは、対象となる建物が異なります。

hemsは、世間的にはまだ認知度は低いですが、使用エネルギーの管理を徹底することで、経費の削減や環境に配慮したエネルギー活動を行うことにもつながり、SDG'sの活動にもつながるものといえます。

また、hemsを導入することで補助金が支給される制度を行っている自治体も多いため積極的に活用するチャンスが到来しているとも言えます。

しかし、補助金は申請をすれば、だれでも支給されるものではなく、予算の範囲内で支給されるものである点や、hemsを導入することで、会社にとってどのような経済的な効果が生まれるかなどをしっかりと計画書にまとめることなどが必要となるため、補助金の申請に強い専門家と連携をしっかりと取りながら行うことが重要であるといえます。
比較ビズ編集部
執筆者

比較ビズ編集部では、BtoB向けに様々な業種の発注に役立つ情報を発信。「発注先の選び方を知りたい」「外注する際の費用相場を知りたい」といった疑問を編集部のメンバーが分かりやすく解説しています。

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