確定申告書の印鑑押印は原則不要!2021年4月からの税制改正の対象外を解説

最終更新日:2023年10月04日
竹中啓倫税理士事務所
監修者
税理士・米国税理士・認定心理士 竹中啓倫
確定申告書の印鑑押印は原則不要!2021年4月からの税制改正の対象外を解説
この記事で解決できるお悩み
  • 確定申告書に印鑑は必要なの?
  • いつから印鑑押印がいらないの?
  • 印鑑が必要な書類はどれ?

「確定申告書に印鑑押印が必須なのか気になる」「印鑑が必要な書類を把握しておきたい」と悩んでいる個人事業主や中小企業の方、必見です。

2021年4月の税制改正により確定申告書の印鑑押印は原則不要となりました。しかし一部の書類には印鑑押印が必要なため、例外を知っておくことが大切です。

この記事では税制改正における、確定申告をはじめとした税制書類の印鑑押印について解説しています。この記事を読み終わった頃には、スムーズに確定申告ができるでしょう。

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税務書類の印鑑押印は原則不要に

税務書類とは、所得税・譲渡税・相続税・贈与税などの国税・地方税を申告する際に必要となる各種書類のこと。これまで、提出すべき税務書類には実印などの印鑑押印が必要とされていましたが、上述したように、2021年4月1日に施行された税制改正により、原則として印鑑押印は不要になりました。

具体的には、税務署に提出する税務書類だけでなく、地方自治体に申告・提出する住民税関係の税務書類も税制改正の対象。一部の添付書類を除き、今後、原則として税務書類に印鑑を押印する必要はありません。

確定申告の印鑑押印も不要?

それでは、税制改正によって確定申告関係の手続きはどう変わるのか?確定申告では印鑑押印は一切不要になるのか?気になる確定申告への税制改正の影響を解説していきましょう。

確定申告とは、1月1日から12月31日までの所得を確定させ、翌年2月16日から3月15日までの間に申告・納税する手続きのこと。確定申告の対象となるのは、事業主を含む個人の所得税・消費税ですが、相続税や贈与税は含まれません。

確定申告に必要な提出書類

まず最初に、確定申告に必要な提出書類をおさらいしておきましょう。確定申告の方法には大きく青色申告、白色申告がありますが、それぞれで提出が必要な書類は異なります。

確定申告の方法 提出が必要な書類
青色申告(65万円特別控除) 確定申告書B、青色申告決算書、賃借対照表、損益計算書
青色申告(10万円控除) 確定申告書B、青色申告決算書、損益計算書
白色申告 確定申告書AもしくはB、収支内訳書

確定申告書の印鑑押印は不要

どのような方法で確定申告する場合でも必要になる書類は確定申告書。申告する所得の種類に応じて「確定申告書A」「確定申告書B」の2種類がありますが、2020年分までの確定申告書には「氏名欄の右に印鑑の押印箇所」が設けられていました。

税制改正によって印鑑押印が不要とされたため、2021年分の確定申告書では「氏名欄の右に印鑑の押印箇所」が削除されていることがわかります。

青色申告決算書の印鑑押印は不要

青色申告で確定申告する方であれば、青色申告決算書の提出が必要。2020年分までの青色申告決算書にも「氏名欄の右に印鑑の押印箇所」が設けられていましたが、こちらも税制改正によって印鑑押印が不要とされたため、2021年分の青色申告決算書で「氏名欄の右に印鑑の押印箇所」が削除されていることがわかります。

開業届・年末調整も印鑑押印は不要に

これまでの確定申告でも、e-Taxなどを活用することによって印鑑押印を省略できる環境が整えられていましたが、確定申告時に必要書類を税務署に提出する、あるいは郵送する場合でも印鑑の押印が不要になったことがわかります。

手続き自体に変更はありませんが、押印廃止によってほんの少しだけ確定申告が簡略化されたといえるでしょう。

また、確定申告と関連する手続きとして挙げられる「開業届」「青色申告承認申請書」に関しても印鑑の押印は不要に。会社員の方が年末調整時に提出する「給与所得者の扶養控除等申告書」の印鑑押印も不要となりました。

例外的に印鑑押印が必要な税務書類

それでは、税制改正の対象とならない「これまで同様、印鑑の押印が必要な一定の税務書類」とは、具体的にどのような書類を指すのでしょうか?ひとつは「押印(実印)及び印鑑証明書の添付を要する担保提供関係書類及び物納手続関係書類」です。

申請・申告手続き 印鑑押印が必要な書類
1.納税の猶予の申請等 納税保証書、抵当権設定登記承諾書など、および印鑑証明書
2.換価の猶予の申請等 納税保証書、抵当権設定登記承諾書など、および印鑑証明書
3.徴収の猶予の申請等 納税保証書、抵当権設定登記承諾書など、および印鑑証明書
4.相続税・贈与税の延納の申請 納税保証書、抵当権設定登記承諾書など、および印鑑証明書
5.相続税の物納の申請 所有権移転登記承諾書など、および印鑑証明書

1〜4までは、自身の土地などを担保にする、あるいは第三者に保証人になってもらうことで、納税の猶予・延納を認めてもらう申請です。当然、担保・保証人が確かなものであるかどうかを確認するためにも提出書類に印鑑押印が求められます。

参照元:国税庁「押印(実印)及び印鑑証明書の添付を要する担保提供関係書類及び物納手続関係書類」

もうひとつは「押印(実印)及び印鑑証明書の添付を要する財産の分割の協議に関する書類」です。

具体的には、相続税・贈与税の特例の適用を受けるために提出の求められる、遺産分割協議などの写しに関しては、相続に関わる方全員の「印鑑押印のあるものの写し」および「印鑑証明書」を添付する必要があります。

ただし、どちらの例外書類も「相続税」「贈与税」に関連する場合がほとんどであるため、確定申告時に印鑑押印が求められることはほぼないと考えてもいいでしょう。

参照元:国税庁「押印(実印)及び印鑑証明書の添付を要する財産の分割の協議に関する書類」

印鑑押印廃止は行政手続きデジタル化の一環

印鑑押印廃止を含む今回の税制改正は、これまで各省庁・自治体で分離していたシステムを統合する、行政手続きデジタル化推進の一環として施行されました。

ただし、行政手続きのデジタル化推進はいまにはじまったわけではなく、数年前からデジタル化に対応できる環境は徐々に整えられていました。それは確定申告の方法、納税の方法にも現れています。

e-Taxでの確定申告を推進

e-Taxとは、インターネットでの国税の電子申告・納付、各種届出を可能にしたオンラインサービスのこと。2018年から65万円の青色申告特別控除をe-Tax利用者に限定したことからも、国税庁が納税者への推進を積極化させていたことがわかります。

当初はカードリーダーが必要、利用申し込み手続きが煩雑な面があったものの、近年ではそれも解消されつつあり、より納税者に使いやすいシステムへと進化。開業届や青色申告承認申請書の提出もe-Taxで完結できます。

今後の税務手続きデジタル化に備え、確定申告が必要な方はe-Tax導入を検討しておくことがおすすめです。

所得税の納税方法を拡充

所得税の納税方法を拡充し、税務署や金融機関に出向く手間を削減していることも、税務手続きのデジタル推進のひとつだといえるでしょう。窓口納付も含め、現在用意されている確定申告の納税方法は以下の6つです。

納税方法 概要
振替納税 納税者名義の金融機関口座から引き落とし
ダイレクト納税(e-Tax) e-Taxで確定申告した方がそのまま納税までできる仕組み
インターネット納税 インターネットバンキング・ATM・ペイジーでの納税。e-Tax利用申し込みが必要
クレジットカード納税 専用サイトにアクセスしてクレジットカード決済
コンビニ納税 納税額30万円までなら、バーコード・QRコードで納税可能
窓口納税 税務署・金融機関の窓口で納税

従来は申込書を税務署に提出する必要があった振替納税も、個人の方に限りe-Taxで申し込めるように。e-Taxを活用した納税方法はいずれも手数料無料のため、今後も利用者が拡大していくと見られます。

確定申告の印鑑押印に関するFAQ

最後に、確定申告の印鑑押印に関する、よくある疑問に対する回答を紹介しておきましょう。

Q:確定申告の提出書類に印鑑を押印してしまったら?

確定申告書や青色申告決算書など、提出書類に誤って印鑑を押印した場合でも、そのまま提出してしまって問題ありません。押印のあるなしに係らず、作成した確定申告の書類は効力を持つと税務署が判断しているためです。

特に、税制改正されて初回の確定申告となる2021年分では、印鑑を押印する箇所のある「従来の確定申告書類」を使う人が多くなると予想されています。この場合でも、印鑑の押印あるなしに係らず、確定申告書類は問題なく受付してくれます。

Q:税務書類以外に印鑑押印が必要なものは?

納税方法でも紹介した振替納税、ダイレクト納税では、金融機関に依頼書・届出書を提出する必要がありますが、金融機関側から依頼書・届出書への印鑑押印を求められた場合は応じなければなりません。

Q:帳簿類の取り扱いに変更はある?

行政手続きのデジタル化は、ペーパーレスの推進も含んでいます。このため、2022年1月からは、電子データでの帳簿保存、領収書や請求書の電子データでの保存が可能になります。

必要経費などを計上する事業所得者、雑所得者の方は、収支を明らかにした帳簿を作成し、白色申告では5年間、青色申告では7年間の保管が義務付けられていましたが、電子データでの保存が可能になったことにより、申告作業の簡素化が実現します。

まとめ

本記事では、税制改正によって印鑑押印の取り扱いがどう変わるのか?確定申告時の変更点を中心に解説するとともに、例外的に印鑑押印が必要とされる税務書類も紹介していきました。今回の税制改正をキッカケに、行政手続きのデジタル化は今後数年をかけてよりペーパーレス、納税方法の拡充などが進むと考えられます。

手続きが簡素化されるのは納税者にとって有益なことではありますが、積極的に情報収集していなければ、変化に追い付いていけない可能性も。知らなかったために失敗したといったことにならないよう、信頼のおける税理士との関係性を築いておくこともひとつの方法です。

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監修者の一言

令和3年4月1日以降、以下の文書を除き、税務関係書類への押印が必要なくなりました。
|簡歡鷆ヾ愀現駑犁擇喨納手続関係書類のうち、実印の押印及び印鑑証明書の添付を求めている書類
∩蠡垣乃擇啾M神任瞭知磴砲ける添付書類のうち財産の分割の協議に関する書類
つまり、通常の所得税関連の申告には捺印は必要なくなりました。

これは、行政手続きのデジタル化推進の流れで行われており、これらはe-Taxでの確定申告が推進されていることと関連があります。また、かつては、紙の納付書での納付一択だった納税についても、インターネット納税やe- Taxでの申告結果がそのまま納税できるダイレクト納付など、バリエーションが広がっています。

竹中啓倫税理士事務所
税理士・米国税理士・認定心理士 竹中啓倫
監修者

岐阜県出身。上場会社の経理に勤務する傍ら、竹中啓倫税理士事務所の代表を務める。M&Aなどの事業再編を得意とし、セミナーや研修会講師にも数多くあたるほか、医療分野にも造詣が深く、自ら心理カウンセラーとして、心の悩みにも答えている。税理士会の会務では、名古屋税理士協同組合理事を務める。

比較ビズ編集部
執筆者
比較ビズ編集部では、BtoB向けに様々な業種の発注に役立つ情報を発信。「発注先の選び方を知りたい」「外注する際の費用相場を知りたい」といった疑問を編集部のメンバーが分かりやすく解説しています。
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