特別支出控除とは?計算方法や証明書のとり方を解説

更新日:2021年02月05日 発注カテゴリ: 確定申告
特別支出控除とは?計算方法や証明書のとり方を解説

会社員などの給与所得者にとって、確定申告はほとんど無縁という方が多いのではないでしょうか?もちろん、マイホームを購入するために住宅ローンを組んだ最初の年など確定申告が必要な場面はあるとは思い ますが、ほとんどの場合、年末調整だけで済んでしまい節税できるものなどないと考える方が多いと思います。しかし、実は給与所得者であっても節税が可能な制度が存在ます。 それが「特定支出控除」というものです。 本記事ではこの特定支出制度について詳しく解説しています。

特定支出控除とは

まずはじめに特定支出控除とは何かということからご説明いたします。

特定支出控除

特定支出控除とは、後述する特定支出の合計額がその年中の給与所得控除額の二分の一以上になった場合に認められる控除のことです。

もう少しわかりやすく言うと、給与所得控除の半分よりも多く実費で必要経費を支払っている場合、その半分の金額を超えている分を所得から差し引いて税金を計算してくれるという制度になります。

特定支出控除が適用されると、仕事のために購入したスーツや靴、職務上必要な知識を得るために購入した書籍などの購入費用が経費として認められるため、節税に繋がるというわけです。

特定支出とは

特定支出控除について簡単にご紹介しましたが、次に特定支出についてご説明したいと思います。

特定支出とは、会社員等が業務を遂行するために必要だと認められる支出のことを言い、「サラリーマンの必要経費」とも呼ばれることがあります。 国税庁のホームページによると特定支出は以下の区分に分けられます。

  • 通勤費
  • 職務上の旅費
  • 転居費
  • 研修費
  • 資格取得費
  • 帰宅旅費
  • 勤務必要経費

なお、「勤務必要経費」についてはさらに図書費、衣服費、交際費等に区分されます。 特定支出は、その内容が妥当であり、会社が職務上必要であると認め、かつ費用は当事者が自己負担しているものになります。

なお、会社が業務上必要と認めるという意味で、給与支払者である会社から「特定支出に関する証明書」というものを発行してもらう必要があります(証明書の様式については、国税庁のHPを参照してください)。 それでは、それぞれの区分について詳しくみていきましょう。

通勤費

一般の通勤者として通常必要であると認められる通勤のための支出のことです。

電車などの交通機関の運賃をはじめ、通勤で使用する自動車やバイクの燃料費や有料道路の金額だけでなく、通勤途中での事故などで負った自動車等の修理のための支出も経費として認められます。

職務上の旅費

勤務する場所を離れて職務を遂行するための直接必要な旅行のために通常必要な支出のことです。

いわゆる出張のための旅費に該当します。 出張先に応じて最も適切だとされる一般的な経路や方法で生じた費用になるため、新幹線のグリーン車や飛行機のエコノミークラスやファーストクラスへのアップグレード代などは認められない点には注意が必要です。

転居費

転勤に伴う転居のために通常必要であると認められる支出のことです。

転居費は、転居を伴う異動等のために必要となる引っ越し費用などを指します。 転居費には、引っ越し業者に支払う費用や、燃料代や有料道路の料金、宿泊費なども該当します。また荷物の梱包に使用した緩衝材や梱包材、大型家具の保険料などもこの転居費として認められるようです。

研修費

職務に直接必要な技術や知識を得ることを目的として研修を受けるための支出のことです。

そのため研修費が認められるためには、受講した研修によって職務上必要な技術や知識を得ることができるという証明が必要となる点に注意が必要です。

資格取得費

職務に直接必要な資格を取得するための支出のことです。

資格取得費には受講料や試験費用が該当します。研修費と同様に職務に直接必要であると会社が認める必要がありますが、認められる場合には仮に不合格であった場合でも試験費用が支出として認められます。 なお、平成25年分以後は、弁護士、公認会計士、税理士などの資格取得費も特定支出の対象となりました。

帰宅旅費

単身赴任などの場合で、その者の勤務地又は居所と自宅の間の旅行のために通常必要な支出のことです。

2018年の税制改革により、これまで「1ヶ月に4往復まで」と制限されてたものが制限なしに変更になりました。これに伴い月に何度自宅に帰宅しても特定支出として認められます。

また、同時に特定支出として認められるものは「電車等の運賃及び料金」と限定されていましたが、改正後には自動車を使用した際の燃料費や有料道路の料金も認められるようになったため、公共交通機関のみでの帰宅という制限がなくなりました。

勤務必要経費

次に掲げる支出で、その支出がその者の職務の遂行に直接必要なものとして給与等の支払者より証明がされたもののことです。

図書費

書籍、定期刊行物その他の図書で職務に関連するものを購入するための費用です。

衣服費

制服、事務服、作業服その他の勤務場所において着用することが必要とされる衣服を購入するための費用です。

サラリーマンの多くが着用するスーツについても、勤務先でその着用が決まりとなっているものについては、特定支出として認められます。 しかし、職場で特定の衣服の着用を決められていない場合の私服については、特定支出には該当しないため注意が必要です。

交際費等

交際費、接待費その他の費用で、給与等の支払者の得意先、仕入先その他職務上関係のある者に対する接待、供応、贈答その他これらに類する行為のための支出です。 なお、勤務必要経費の上限は合計65万円までとなっている点に注意してください。

給与所得控除との違い

サラリーマン等の給与所得者にとっては特定支出控除よりもまずは給与所得控除が馴染み深いと思います。

ここからは給与所得控除と特定支出控除の違いについてご説明します。

給与所得控除

原則としてサラリーマンには必要経費などの控除がありません。

個人事業主などの場合には、収入から必要経費を差し引いた所得について税金が計算されるため、その分所得を減らすことができ税額が軽減されていると言えます。 そこで、サラリーマンにもそれに代わるものとして「給与所得控除」という制度が設けられているのです。

個人事業主の事業所得が収入から必要経費を差し引いたものであるため、それに類するものとしてサラリーマンの場合には給与収入から給与所得控除額を差し引いたものが、給与所得となります。 つまり、サラリーマンは必要経費が認められないと言われてはいますが、別の言い方をすればすでに「給与所得控除」という形で必要経費が認められているとも言えるのです。

給与所得控除額

給与所得控除額はその収入金額に応じてあらかじめ決められています。

例えば年収500万円の場合は、収入金額の20%に44万円を加算した額となるため、その額は144万円ということになります。

つまり給与所得は500万円から144万円を差し引いた356万円ということです。 確かにサラリーマンのスーツや靴など仕事に必要なものだが会社の経費としては計上されないというものも年収500万円で144万円も考慮されていると考えれば、かなり有難い制度と言えます。

給与所得控除と特定支出控除の違い

給与所得控除についてわかったところで、特定支出控除との違いについてご説明します。

まず、最大の違いは給与所得控除については特に手続き等が必要ないのに対して、特定支出控除は申請者が自ら必要書類をそろえて税務署に提出する必要がある点です。 さらに特定支出控除は会社側にその妥当性を認めてもらう必要があり、証明書を発行してもらわなければなりませんが、給与所得控除にはそういった必要はないという違いもあります。

特定支出控除の計算方法

特定支出控除が適用される場合の給与所得の計算は以下のとおりとなります。

給与所得額 = 給与等の収入金額 − ( 給与所得控除額 + (その年中の特定支出控除額の合計 − 給与所得控除額の二分の一 ) )

そのため次の順序で計算することになります。

  • 給与所得控除額を計算する。

    給与等の収入金額から計算します。国税庁のホームページに表があるため参考に算出するとよいでしょう。

  • 特定支出控除額の適用判定の基準となる金額を計算する。

    これは先に計算した給与所得控除額の二分の一に相当する金額となります。

  • 特定支出控除額を計算する。

    特定支出の額を計算した上で特定支出控除額の適用判定の基準となる給与所得控除額の二分の一の金額を差し引きます。

  • 給与所得を計算する。

    給与収入から給与所得額控除と特定支出控除額の金額を差し引きます。

具体例

では、実際に具体例を見ながら説明していきます。

(例) 給与収入:500万円 研修費:35万円 資格取得費:80万円

給与所得控除額を計算

給与収入の金額が500万円の場合、「収入金額×20%+440,000円」が給与所得控除額となるため次のような計算となります。 給与所得控除額 = 500万円 × 20% + 44万円 = 144万円

特定支出控除額の適用判定の基準となる金額を計算

特定支出控除額の適用判定の基準となる金額は年間の給与所得控除額の二分の一の金額となります。給与所得控除額が144万円であるため、次の計算から算出します。

特定支出控除額の適用判定の基準となる金額 = 144万円 × 1/2 = 72万円

特定支出控除額を計算

まず、特定支出の合計金額を計算します。

特定支出の合計金額 = 35万円 + 80万円 = 115万円

続いて、特定支出控除額を計算します。特定支出の合計金額から適用判定の基準となる金額を差し引いて算出します。

特定支出控除額 = 115万円 − 72万円 = 43万円

給与所得金額を計算

特定支出控除が適用される場合の給与所得は次の計算式から算出されます。 給与所得=給与収入−給与所得控除額−特定支出控除額 つまり今回のケースでは以下のとおりとなります。

給与所得=500万円−144万円−43万円=313万円

特定支出控除の手続き

ここからは特定支出控除が適用される場合の手続きについて詳しく説明していきます。

確定申告を行う

特定支出控除の適用を受ける際には確定申告を行う必要があります。

基本的にサラリーマンの場合は年末調整で会社が必要な手続きを行っているため、確定申告を行っている方は多くはないと思いますが、特定支出控除の適用を受ける場合には必ず確定申告を行わなければならないため注意が必要です。

必要書類

特定支出控除の適用を受けるためには次の必要書類を揃える必要があります。

  • 確定申告書A
  • 給与所得者の特定支出に関する明細書
  • 給与所得者の特定支出に関する証明書
  • 支出金額の証明書

確定申告書A

確定申告書Aについては、国税庁ホームページから印刷することが可能です。

また税務署や確定申告会場のほか、市区町村の担当窓口や指導相談会場でも用紙を受け取ることも可能です。 さらに国税庁ホームページでは、画面の案内に従って金額等を入力することにより、税額などが自動計算され、所得税及び復興特別所得税の申告書や青色申告決算書なども作成できるので利用することをオススメします。

給与所得者の特定支出に関する明細書

給与所得者の特定支出に関する明細書についても、国税庁のホームページよりダウンロードが可能です。

この明細書のの金額を、確定申告書の第二表の「特例適用条文等」欄に記入します。 また明細書のの数字を、確定申告書の第一表の「所得金額」欄の給与の「区分」欄に記入してください。

給与所得者の特定支出に関する証明書

給与所得者の特定支出に関する証明書についても同様に国税庁のホームページよりダウンロードが可能です。

この特定支出に関する証明書については、その区分ごとに給与支払者である会社側に記入してもらわなければならないため早めに準備しておくほうがよいでしょう。

支出金額の証明書

こちらは交通費の領収書や、研修で支出した金額などを証明する書類になります。 領収書などは確実に保管しておくようにしましょう。

更正の請求でも適用できる

法定申告期限から5年以内であれば更正の請求が可能です。

更正の請求とは確定申告の期限後に申告書に記載した金額等にミスがあり税額の計算が間違っていた場合に、税金を減額するように請求することができる制度のことです。 当時は特定支出控除の適用を受けていなかったが、確認し直してみて適用可能となった場合などに有効と言えるでしょう。

ただし、上記で説明した明細書を会社に作成してもらう必要があったり、昔の領収書等を保管しておく必要があるため、確実に資料が揃えられることを確認してから行うのがよいでしょう。

特定支出控除は使いづらい制度なのか

ここまでサラリーマンなどの給与所得者の特定支出控除について説明してきましたが、この制度については一部で「使いづらい」「使えない」とも言われています。

実際、平成30年分の特定支出控除の適用者数は1,704人のみとなっています。総務省統計局が発表した「労働力調査(詳細集計)2019年(令和元年)平均(速報)」によると2019年の日本の雇用者数は5,660万人であるため、0.003%程度しか適用されていないということになります。 では、その理由について解説していきたいと思います。

適用金額が高い

特定支出控除を適用するには、特定支出の合計金額がその年の給与所得控除額の二分の一を超える必要があります。

先述した例にもあるように年収500万円の方であれば72万円です。

年収500万円の方が72万円以上の特定支出を行うということはかなり稀なケースと考えられるため、ハードルが高いと言えるでしょう。 さらに仮に72万円を超えたとしても、超えた分の金額のみが給与所得控除額から追加で引かれるものになるため、節税額もそこまで大きくないというのも申請を後押しするほどのものでもない理由の一つかもしれません。

実際には資格取得費と勤務必要経費のみ

特定支出については最初の方でご説明したとおり、7つの区分に分けられます。

この7つの区分の合計額がその年の給与所得控除額の二分の一を超えれば、特定支出控除が適用されるわけですが、実際には資格取得費と勤務必要経費の合計額で考えなければならないと言えます。

その理由は簡単で、その他の費用についてはそもそも会社側が負担してくれている場合が多いためです。 「通勤費」「職務上の旅費」「転居費」「研修費」「帰宅旅費」などは多くの企業の場合手当として支給されるはずです。

そうなると事実上は、資格取得費と勤務必要経費の2区分のみでこの条件をクリアしなければならないということになります。 もちろん、すべての手当が満額出るとは限らないため、自身の手出し分が多い場合には特定支出額が基準額を上回る場合もあるでしょうが、そういったサラリーマンの方は極少数と言わざるをえないでしょう。

会社の証明が取りにくい

必要書類の部分でもご説明しましたが、給与所得者の特定支出に関する証明書は給与支払者である会社側に作成してもらわなければなりません。

会社側としても証明する以上はその支出の妥当性についてもしっかり調査する必要があるためかなり面倒であることは間違いありません。そのため証明してもらうこと自体が難しいと言えるため、これもハードルを上げている要因の一つと言えるでしょう。

まとめ

特定支出控除について詳しくご説明してきましたが、制度そのものは難しいものではないことがお分かりいただけたのではないでしょうか。

確かに特定支出控除の適用を受けるようなサラリーマンの方は少ないとは考えられますが、資格習得のために多くの研修を受け自腹が多かった年や、学費や試験費用が意外と高額な資格を習得した年などには確認してみるといいでしょう。

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