電子印鑑って安全なの？どんなセキュリティ対策が施されているの？

電子印鑑の仕組み

電子印鑑のセキュリティの中身を知るに当たっては、まずそもそも電子印鑑がどのような仕組みで作られているのかを理解しておく必要があります。その上で、どのような課題があるのか、どんな対策を取れるのかを確認できます。

印鑑の印影をデータ化したもの

電子印鑑の簡易的なタイプとしては、実物の印影をスキャンして画像として取り込んだり、パソコン上で印影を新たに作ったりしたものがあります。文書に挿入する画像としては、キレイな押印ができますし、作成がとても簡単というメリットがあります。

一方で、このタイプだと簡単に画像をコピーすることができますし、偽造も楽にできてしまいます。さらに、誰がいつ押したのかもはっきりとしないため、セキュリティ上はあまり推奨されていません。

実際に、法律ではこの種の電子印鑑は実物の印鑑の代わりとすることができません。あくまでも社内文書などの、社員個人が決裁をしたという証のための押印といった用途に限られます。

印鑑に識別番号を付けたもの

法律でも、契約書などへの使用が認められている電子印鑑も存在します。その仕組みは、印影を挿入すると自動的に電子契約システムによって、その押印に識別番号が付けられるというものです。

有料の電子契約システムを導入する必要があり、コストがかかるという課題はありますが、より安全な押印ができます。誰がいつ押印したかという情報も、この識別番号によって判別できるようになっていますので、文書の有効性を証明するのに適しています。

電子印鑑のセキュリティ手法

主な電子印鑑の仕組みを知ったところで、具体的にどんなセキュリティ対策が施されているかを確認してみましょう。いくつかの対策が存在し、複数を組み合わせていることが多いため、その内容を理解することで安心感を得られるはずです。

印影のコピー防止

電子印鑑の一つの問題は、画像をコピーされてしまうという点です。印影を他人が勝手に使えるようになり、偽造文書を作るのが簡単になってしまいます。そこで、電子契約でも使えるような文書ではコピー防止機能が付いています。

文書を完成させると自動的に編集機能にロックがかかり、作成者本人も含めてそれ以降は誰も文書を変えることはできなくなります。また、テキストや印影などの画像もコピーができない仕様となりますので、電子印鑑の不正使用を防げるというメリットがあります。

とはいえ、これはあくまでも一般的なコピー機能が使えないというだけで、画面全体のスクリーンショットを撮るなどの方法を使えば、印影のコピーは可能です。そのため、この対策だけでは不十分と言えます。

印鑑ごとのID発行

印影そのもののコピー防止に加えて、押印ごとの固定ID発行というのも法的に有効な電子印鑑の条件となります。押印をするたびに、オンラインの電子契約システムによってIDが作成され、関連する情報が管理されます。

この情報の内容は、押印は誰によって行われたのか、押印された日時はいつなのかというものです。そのため、IDから押印情報をチェックすれば、すぐに押印がなされた状況を把握できるというわけです。

押印の履歴管理

こうして毎回の押印に対してIDもしくは識別番号が発行されますが、全ての情報は自社システムもしくはクラウド上に保管されます。そのため、押印の履歴はすべていつでもチェックできる体制となっています。

逆に言うと、電子印鑑と同じ印影で文書が作られているとしても、この履歴の中に情報がなければ偽造文書であることが分かるのです。画像データ自体は偽造されるリスクもありますが、全ての押印履歴との照合によって実際の被害を防ぐことができます。

電子的な印鑑証明書発行

実物の印鑑の安全性を確保するためには、自治体への実印の登録と印鑑証明書の交付があります。正しい印鑑であるということを、公的機関が発行する証明書によって明らかにできるわけです。

これと同じ考えが電子印鑑でも採用されています。電子契約システムによって作成された印影について、サービス提供元が電子証明書を発行するのです。印影が正しいことや、押印された履歴と関連させて偽造ではないことを証明します。

もちろん、公的機関が発行している電子証明書ではないので、公的な証明とはなりません。しかし、法的に有効な文書を作成するに当たっては重要な役割を果たします。

電子印鑑を使うメリット

このように、電子印鑑システムでは安心して使えるように、セキュリティ面での対策が複数備えられています。こうしたシステムを使うことには多くのメリットがありますので、本格的に導入を検討してみましょう。

業務効率のアップ

わざわざ実物の印鑑を用意し押印するよりも、はるかに業務効率は上がります。印鑑も電子的に押せるので、文書作成プロセスをすべてオンラインでできるからです。

テレワークに対応したい企業にとっては、特に利便性の高いシステムとなります。さらに、紙を印刷する手間と保管スペースを削減できるというのもメリットです。紙の書類だと紛失の危険性もありますが、それも防止できて安心です。

コスト削減

紙の書類を大幅に減らせますので、印刷にかかる費用や機器費用、保管スペース管理のコストを減らせます。もちろん、電子印鑑システム導入にもコストがかかりますが、導入により減らせるコストのことも考えて総合的に検討をしましょう。

幅広い働き方に対応

在宅ワークを推進したり、遠隔地での業務を可能としたりするためにもこのシステムは有効です。幅広い働き方に対応するために、積極的に導入したいシステムですので、他のオンラインシステムと共に利用を考えましょう。

まとめ

電子印鑑のシステムは、業務を効率的に進めるためにとても有効な手段です。また、法的に有効な文書作成にも使用が認められているということもあって、セキュリティ上の対策が施されています。

実物の印鑑と同じように、完璧に偽造や不正使用を防ぐことは難しいとはいえ、安心できるシステムとなっているわけです。こうしたことも理解して、これから導入を検討している企業は積極的に考えてみましょう。

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