電子印鑑とは？どんな文書に使えるの？

電子印鑑とは?

文書作成方法は国によって違いが見られます。欧米がサインをして発効するのに対して、日本では印鑑を押すことによって効力を持ちます。特にビジネスでは、非常に押印の機会が多くて印鑑なしで仕事は進みません。そこで、利便性の高い電子印鑑について検討することは、企業活動をする上でとても重要です。

パソコンやスマホで押せる印鑑

電子印鑑とは、PDFなど電子的に作成した文書に、やはりデータ化された印鑑の印影を付けるシステムのことを指します。印刷された紙と実物の印鑑を使う必要がなくなり、完全なるペーパーレス化ができます。

ビジネス活動のIT化が進んでいる状況で、文書自体がパソコン上で作成されるようになっていますが、押印についてはまだまだ実物が必要とされています。しかし、電子印鑑のシステムが開発され、ビジネスにおける文書作成のスタイルが変わりつつあります。

通常の印鑑をデータ化した電子印鑑

電子印鑑は主に二つのシステムに分かれます。一つ目は、単純に実物の印鑑の印影をスキャンするなどして、データ化もしくは電子化したものです。もしくは、ソフト上で印鑑デザインを作り、それを貼る形で利用されることもあります。

気軽に電子的に押印ができるため、とても簡単でどの企業でもすぐに導入できます。また、ソフトで自分好みの印影を作ることも可能ですので、個性的でデザイン性に優れたものにできるというメリットもあります。

一方で、気軽に作って使えるがゆえ、信頼性に劣るというのがデメリットです。偽造されるリスクもありますので、重要度の高い文書には使えません。法的に押印が必要な文書についても、このタイプの電子印鑑は認められていないのです。

識別情報が含まれる電子印鑑

もう一つの電子印鑑タイプは、電子化されて印影に識別情報が含まれています。タイムスタンプ情報を入れることで、電子印鑑を押した人が誰か、またいつ押印されたのかを証明することができます。

セキュリティー効果が高く、押印の記録が保存されるため公式の文書でも使うことができます。電子署名法という法律でも認められているタイプで、請求書や契約書などの法的拘束力を持つ文書で利用することが可能です。

この電子印鑑は自分たちで作ることはできず、有料の電子契約ソフトなどを使って作成することになります。セキュリティー面での技術が求められるということもあって、それなりの金額がかかりますので導入コストを考えないといけません。

使い方は簡単ですが、専用ソフトが必要です。また、自分たちでそのシステムを持って常時利用しているとしても、相手方が電子印鑑の利用を承諾しないと成立しないことになっています。

電子印鑑の有効性

このように、しっかりとした技術に基づいて電子印鑑のサービスが進んでいます。そのため、法的な面でも整備が進んでいます。どこまで電子印鑑が有効なのかをチェックしてみましょう。

実印と認印について

電子印鑑の法的有効性について知るには、まず実印と認印の違いについて理解する必要があります。これらの二つは、印鑑そのものの違いというよりも、行政機関に登録をしているかどうかという点で異なります。

認印は何の登録もしていませんが、実印は個人だと自治体、法人だと法務局に印影を登録しています。実印を押したということを証明するために、それぞれの機関で印鑑証明書を発行してもらい添付します。

法律的に有効な電子印鑑

電子印鑑の有効性は、まず認印が押される文書全般で利用することができます。たとえば、取引先との二者で交わす契約書などがあります。もちろん、前述の通り、有料の電子契約ソフトによって作成した電子印鑑のみ法的な有効性があります。

この際、作成する文書も電子的に作られているものとなります。そのため、文書はすべてペーパーレスで完結することになり、交付や保存も電子的に行うことが認められています。この種の電子印鑑であれば、識別情報によって本人による押印であると証明できるからです。

実印が求められる書類には使用できない

一方で、実印が求められる文書については、電子印鑑では対応できません。たとえば、登記関連の文書や会社設立に関係する文書などは、印鑑登録証明書を添付して実印を押すことが求められます。そのため、電子印鑑が有効かどうかは、印鑑証明書が必要な文書なのかという点で区別すると分かりやすいです。

電子印鑑の現状と将来性

電子印鑑は法的にも有効性があり、とても便利なシステムです。そのため、導入を進める企業が増えていますし、これからさらに加速すると考えられます。現状と将来性を考えて、導入を検討すると良いでしょう。

テレワークで必要性が増す

電子印鑑の利用が加速した背景の一つには、新型コロナウイルス感染症の影響などもあってテレワークが進んだという事情があります。実物の印鑑を押すとなると、わざわざオフィスに行かないといけないので在宅では難しいのが現実です。

そこで、電子印鑑システムを導入すれば、少なくても社内文書や契約書作成については、在宅でも行うことができます。こうしたことから、多くの企業で導入が進んでいるのです。

ビジネス上は利用頻度が高まっている

技術の進歩と法的整備がなされているということもあって、ビジネス上の電子印鑑利用はかなり進みつつあります。印刷された紙の文書と実物の印鑑でないと信用できないという経営者も多かったのですが、次第に考え方も変わってきています。

作成から相手方への送信、保存などもすべて電子的に行えるということで、利便性が非常に高く業務改善にもコストカットにも役立ちます。さらに、気軽に利用できる電子契約ソフトが提供されるようになったということもあり、利用割合が高まっているのです。

まとめ

電子印鑑は完全ペーパーレスで多くの文書を作ることができるため、とても利便性が高いです。大企業だけでなく中小企業でも導入が進んでいて、これからもさらに利用頻度が高まると考えられます。

個人利用はまだ実用的ではありませんが、いずれ役所に提出する文書などで進んでいくことが考えられます。電子印鑑についての理解を深め、メリットを知った上で導入を検討してみましょう。

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