士業バッジのデザインと意味

士業とは

「士業」とは語尾に「士」の字がつく国家資格で認められる専門職を意味する資格の呼び名です。士業には次の種類があります。

• 弁護士
• 弁理士
• 司法書士
• 行政書士
• 税理士
• 公認会計士
• 不動産鑑定士
• 中小企業診断士
• 社会保険労務士
• 土地家屋調査士

上記の士業をまとめて「10士業」と呼ぶ場合もあります。

上述の「10士業」や、また士業以外の専門職には業務中に身に着けるための「バッチ」が存在しています。それぞれの専門とする業務内容にちなんだデザインのバッチで、1つ1つきちんと意味が考えられたデザインとなっています。

士業はその道の専門家として、使命をもって業務を果たしています。資格がなければしてはいけない仕事や独占業務というものもあります。士業バッジは単なるアクセサリーや飾りではなく、依頼人・顧客の信用を得るために、自分が資格のあるものであることを他者に知らしめ、専門家としての職務についていることを証明しアピールするために欠かせないものとなっています。

「士業バッジ」に込められている意味

士業によってバッジデザインはさまざまです。「士業バッジ」のデザインには、それぞれの士業の理念を表す意が込められています。

弁護士のバッジの意味

弁護士のバッジは中央に天秤が描かれている、ひまわりをモチーフとした丸い形をしています。

弁護士法第一条「弁護士の使命」には「基本的人権を擁護し、社会正義を実現することを職務の使命とすること」、「使命に基き、誠実にその職務を執行し、社会の秩序維持と法律制度の改善を果たすための努力する義務があること」が示されています。

図案の天秤は「公正さ」の象徴です。弁護士は権力に屈することのない自由な姿勢を貫き、公正平等な社会と社会正義の実現を職務として求められている。弁護士バッジにはそのような意味が込められているといえるでしょう。

公認会計士のバッジの意味

公認会計士のバッジは金と黒の正方形ひし形が並べられた模様があり、全体の形は楕円形になっています。正方形ひし形は四辺が同じ長さであることから「安定感」を象徴する図形です。バッジに描かれた正方形はそのひとつひとつが公認会計士そのものであることを意味しています。

個々の公認会計士が連続して並んでいるのは、公認会計士全体が連携して、社会経済の安定を守ることを使命としていることを表す図案と言えるでしょう。さらにバッチ全体の形である楕円形は「世界」（地球）を意味しており、世界経済を守るという、公認会計士の誇りを表現するものでもあります。

税理士のバッジの意味

税理士のバッジは漢字の「日」＝日本を示す円形で、日本の国花でもある桜に向か、少し前進するようなデザインです。このデザインには「どこまでも栄える日本とともにある」ということを表現していると言われます。

税理士バッジが制定されたのは1956年、法改正によって税理士業務を行う者に税理士登録と税理士会への入会が義務付けられたころが契機となりました。

社会保険労務士のバッジの意味

社会保険労務士のバッジは16枚の花弁で構成される菊の図案の中央に「SR」というローマ字が記されたデザインになっています。

社会保険労務士のバッジのデザインは公募によって決定されたものです。中央の「SR」は、社会保険労務士をローマ字書きした「Syakaihoken Roumushi（しゃかいほけんろうむし）」の頭文字を取ったものであるようです。菊には皇室の紋章に用いられていることから、高貴な印象を持ちます。労働者の福祉向上を職務とする立場の社会保険労務士にふさわしいデザインと言えます。

弁理士のバッジの意味

弁理士のバッジは、菊花を模した円形の形状で、真ん中に桐花があしらわれたデザインとなっています。

菊花には花弁が整然と均等に並んでおり、放射状であることから「日輪」の象徴とされ、そこからさらに「正義」を意味するようにもなりました；。桐花には韓史外伝によると「聖なる主の出現を待ち瑞鳥が飛来する木として王者を祝福する」と記されており、そこから「国家と国民の繁栄」を表す意匠とされるようになったと言われています。

弁理士のバッジには、弁理士が正義のもとに国家と国民の繁栄をもたらす発明を擁護する使命を果たすように、という思いが詰まっているのです。

司法書士のバッジの意味

桐は古来より、鳳凰の止まり木として神聖視されてきた歴史があり、家紋や神紋としてその図案が多く用いられてきました。桐花紋は菊花紋に準ずる国章でもあります。凛とした桐花は、国民の権利を擁護する使命を持つ司法書士の立場を表すイメージにぴったりのデザインと言えるでしょう。

行政書士のバッジの意味

行政書士のバッジのデザインは、コスモスの花の中央に篆書体で「行」という字をあしらった形をしています。

行政書士には、「国民と社会との調和を図って、公正誠実に誠意をもって職務を全うすることで、国民と行政間をつないで国民の生活向上を目指し、社会繁栄と進歩への貢献をすること」を使命とする責務があります。国民の生活に密接する法務サービスを提供する義務を、行政書士が調和とまごころをもってその職務を果たすようにとの思いが込められたデザインとなっています。

中小企業診断士

中小企業診断士のバッジは、羅針盤をモチーフとする金色の円形のデザインとなっています。シンプルかつ重厚な印象のデザインとなっており、長く身に着けていても古臭さを感じさせないデザインを意識して作られているそうです。

以前は赤色の「R」と青色の「M」（Resistrated Managementの頭文字から）を組み合わせた四角形のデザインでしたが、2016年9月に新しいデザインが公募されて、現在のデザインとなりました。

羅針盤は中小企業の航路の先にある輝かしい未来を指し示すことを使命とする、中小企業診断士の責務を表現しており、直線を基として構成される図柄には「ぶれのない誠意」を示す意図があるとされています。中小企業の経営資源を確保する業務を支援して、中小企業の発展と振興への寄与を使命とする中小企業診断士をよく表すデザインと言えるでしょう。

まとめ

士業のバッジはそれぞれ専門とする職を執行する上でのあるべき姿を象徴するデザインとして作られています。士業に従事されている方も、身につけるバッジに込められた意味を改めて確認し、自らの職務に課せられた責任と役割を思い起こしていただければ幸いです。

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