相続財産清算人の申立てに予納金が発生する?選任が必要な4つのケースと手順を解説

最終更新日:2023年08月04日
株式会社Aoiコンサルティング
監修者
代表取締役 大川紗苗
相続財産清算人の申立てに予納金が発生する?選任が必要な4つのケースと手順を解説
この記事で解決できるお悩み
  • 相続財産清算人の申立て時に予納金が発生する?
  • 相続財産清算人は何をする人?
  • 予納金は何に必要な費用?

「相続財産清算人(旧相続財産管理人)の申し立てを行うと予納金が発生するって聞いたけど、必ず支払うの?」とお悩みの方必見です。

相続財産清算人の申し立て時に、必要な費用を被相続人の財産から充当できない場合は予納金が必要です。家庭裁判所に指示された金額を家庭裁判所に納めます。予納金の金額は事前に教えてもらえませんが、20万〜100万円が目安です。

本記事では、相続財産清算人の予納金との関係・選任が必要になる4つのケース・申し立て手順を解説します。記事を読み終わった頃には、相続財産清算人と予納金の関係性を理解して相続手続きをスムーズに進められるでしょう。

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相続財産清算人の申立て時に予納金が発生するケースがある

本を開いているビジネスマン

予納金は、相続財産清算人の申し立て時に必ず発生するものではありません。相続財産清算人が清算業務を行う際に必要な費用や報酬を、被相続人の財産から充当できない場合に発生するためです。相続財産に現金や預貯金などの流動財産があれば、そこから清算費用を支払います。

一方で、相続財産が不動産や有価証券・借金などの場合は直接清算費用を支払えません。その場合に、予納金として裁判所に預けたお金から清算費用を支払うシステムになっています。予納金が必要なケースでは納めなければ申し立てが成立しませんが「必ず支払うお金」ではないため注意が必要です。

予納金は相続財産清算人の申立て時に納める

予納金とは、相続財産清算人の申し立て時に家庭裁判所に納めるお金です。相続財産清算人の業務に必要な費用や報酬を支払う際に、被相続人の相続財産では賄えない場合に予納金から支払われます。相続財産が少ない場合や流動財産がない場合に使用されます。

申し立て人が家庭裁判所に納めますが、一時的に預けるイメージです。精算をして予納金の一部が余れば、返還されます。予納金が発生するケースや目安の金額など、詳しく見ていきましょう。

流動財産がない場合に予納金が必要

予納金は、流動財産がない場合に必要になります。相続財産清算人の業務にかかる費用や報酬を支払う現金がないためです。流動財産とは現金や預貯金などを指し、不動産・有価証券・借金などは該当しません。

流動財産がない場合や少ない場合は、予納金から費用や報酬を支払います。被相続人の相続財産で支払える場合は、予納金が発生しません。予納金を収めるケースでも、予納金の一部が余った場合は「余剰金」として返還されます。

予納金の目安は20万〜100万円

予納金の目安金額は、20万〜100万円といわれています。相続財産の状況や事案の難易度によって異なるため、明確な金額は決まっていません。

予納金の金額は家庭裁判所が決定します。相続財産清算の申し立てが完了しないと正確な金額がわからないため、申し立て前には正確な金額は教えてもらえません。最大で100万円程度必要になる場合もあるため、想定しておきましょう。

予納金が支払えない場合は相続財産清算人が選任されない

予納金が支払えない場合は、相続財産清算人が選任されないため注意が必要です。基本的に、申し立てから1カ月以内に支払う必要があります。どのような理由であれ、支払いの確認ができなければ選任されません。

支払いが難しい場合は、法テラスの「民事法律扶助制度」を利用できるか確認してください。法テラスとは、国が設立した法的トラブル解決のための総合案内所です。相談はもちろんのこと、弁護士・司法書士の費用の立て替えを行っています。

条件はありますが、経済的な負担を軽減できる可能性があるため相談するといいでしょう。

相続財産清算人とは相続財産の清算業務を代行する人

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相続財産清算人とは、相続財産の清算業務を代行する人です。基本的に相続は相続人が手続きを進めますが、相続人がいないケースやすべての相続人が相続放棄をした場合に、代わりに財産を管理します。

相続財産は、すべての相続人が相続放棄をした場合でも、すぐに相続財産がなくなるわけではありません。

相続財産清算人の主な仕事

相続財産清算人の主な仕事は、次のとおりです。

  • 被相続人の財産の処分・清算
  • 債権者に返済(借金がある場合)
  • 残った財産を国庫に帰属 など

相続財産清算人は、相続人の代わりに財産の清算を行います。相続人がいない場合の相続財産は国のもの(国庫に帰属)になりますが、手続きを行わなければなりません。国庫に帰属させる手続きを行う人が、相続財産清算人です。

借金がある場合は、相続財産を金銭に変えて返済する必要があります。すべての相続財産を金銭に変えても返済が難しい場合は、肩代わりする必要はありません。

相続財産清算人は裁判所が選任

相続財産清算人は、申し立て後に家庭裁判所が選任します。申し立て人が自分で決めることは難しいです。相続放棄をした場合は、家庭裁判所の選任を持って財産管理の責任がなくなります。申し立てを行える人は、利害関係人もしくは検察官です。利害関係人とは次の人を指します。

  • 亡くなった人の債権者
  • 亡くなった人から特定贈与を受けた人
  • 亡くなった人の特別縁故者

申し立てをできる人は、相続財産の清算が必要な人です。どちらも相続財産清算人の申し立てをしないと、借金の返済や財産の受け取りができません。

相続財産清算人に資格は必要なし

相続財産清算人になる人は、特別な資格は必要ありません。申し立て時に候補者を申請できますが、候補者を選ぶか、別の人を選ぶかは裁判所が判断します。家庭裁判所によっては、候補者の申請を受け付けない場合もあります。

候補者がいない場合や申請された候補者が適任ではない場合は、被相続人と利害関係のない弁護士や司法書士から選ばれることが多いです。

相続財産清算人の選任が必要になる4つのケース

相続財産清算人の選任が必要になるケースは、次の4つです。

  1. 亡くなった人(被相続人)に相続人がいない
  2. すべての相続人が相続放棄をした
  3. 特別縁故者が相続を受けたい
  4. 債権者が返済を希望している

「もともと相続人がいない」「すべての相続人が相続放棄をした」など、亡くなった人に相続人がいないケースでは、相続財産清算人の選任が必要です。相続したい人が法定相続人ではないケースや債権者が返済を求めているケースも、相続財産清算人の選任が必要になります。

1. 亡くなった人(被相続人)に相続人がいない

亡くなった人(被相続人)に相続人がいないケースは、相続財産清算人の選任が必要になります。相続人がいない相続財産は、国庫に帰属され国のものになるためです。被相続人が亡くなって何も手続きしないと、持ち主不明の財産となります。

一方で、相続人がいないケースでも相続財産がほとんど残っていない場合は、相続財産清算人を選任する必要がありません。清算しなければいけない相続財産が残っている状態で、相続人がいないケースに相続財産清算人の選任が必要になります。

2. すべての相続人が相続放棄をした

すべての相続人が相続放棄した際には、相続財産清算人の選任が必要になります。被相続人に借金がある場合に相続人が相続放棄をするケースが多いです。相続財産清算人が借金の返済や相続財産の清算を代行します。

すべての相続人が相続放棄をしたとしても、財産管理義務がなくなるわけではありません。相続財産が適切に管理されるまでは自己の財産と同じく管理することが法律で決まっています。相続財産清算人が選任されてはじめて管理義務がなくなります。

参照:民法第940条「相続の放棄をした者による管理」|e-GOV 法令検索

3. 特別縁故者が相続を受けたい

特別縁故者が相続を受けたい場合は、相続財産清算人の選任が必要になります。亡くなった人に相続人がいる場合は、特別縁故者に相続できません。「相続人がいない」「すべての相続人が相続放棄をしている」場合にのみ、特別縁故者への相続が認められています。

特別縁故者の例は、次のとおりです。

  • 内縁関係の妻(夫)
  • 養子縁組ではないが親子に近い関係であった人
  • 相続人ではない親戚
  • 献身的に看護や介護をしていた人
  • 親しく交流していた友人や知人

4. 債権者が返済を希望している

亡くなった人に相続人がいないケースで、相続財産に借金があり、債権者が返済を希望している場合は相続財産清算人の選任が必要です。

相続人がいない場合や、すべての相続人が相続放棄をした場合でも債務はなくなりません。相続財産清算人の選任が完了して、はじめて債務がなくなります。

相続財産清算人の選任申立て手順

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相続財産清算人の選任申し立ての手順は、次のとおりです。

  1. 必要書類や予納金を用意する
  2. 家庭裁判所に必要書類を提出する
  3. 家庭裁判所で審理・選任が行われる

相続財産清算人を選任する場合は、必要書類と予納金を用意して手順に沿って行いましょう。

1. 必要書類や予納金を用意する

相続財産清算人を選任する場合は、必要書類と予納金を用意しなければなりません。それぞれ確認しましょう。

必要書類

必要書類は、次のとおりです。

  • 相続財産清算人の選任申立書
  • 被相続人の出生時から死亡時までのすべての戸籍謄本
  • 被相続人の父母の出生時から死亡時までのすべての戸籍謄本
  • 【被相続人の子(およびその代襲者)が亡くなっている場合】
    子(およびその代襲者)の出生時から死亡時までのすべての戸籍謄本
  • 被相続人の直系尊属(父母・祖父母など)の死亡の記載のある戸籍謄本・除籍謄本・改製原戸籍謄本
  • 【被相続人の兄弟姉妹が亡くなっている場合】
    兄弟姉妹の出生時から死亡時までのすべての戸籍謄本
  • 【甥または姪が代襲者でありながら亡くなっている場合】
    甥または姪の死亡の記載がある戸籍謄本・除籍謄本・改製原戸籍謄本
  • 被相続人の住民票除票または戸籍附票
  • 財産目録
  • 財産を証明する資料(不動産登記事項証明書・通帳の写し・残高証明書など)
  • 【利害関係人からの申し立ての場合】
    利害関係を証明する資料(戸籍謄本・金銭消費貸借契約書の写しなど)
  • 相続財産管理人の候補者がある場合は候補者の住民票または戸籍附票

参照:相続財産清算人の選任|裁判所

上記のうち、選任の申立書・財産目録の用紙は「相続財産清算人の選任の申立書|裁判所」でダウンロードが可能です。戸籍関係の書類は、本籍地の市区町村役場で取得できます。

戸籍関係の書類を集めるには、予想以上の手間がかかるでしょう。弁護士は収集を代行できるため、自分で集められないときは弁護士に依頼することがおすすめです。

予納金

予納金は選任申し立て後に裁判所が決定するため、正確な金額はわかりません。目安として20万〜100万円かかるといわれています。予納金を含めた必要な費用は次のとおりです。

  • 収入印紙代:800円
  • 切手代:1,000〜5,000円(申し立て先によって異なる)
  • 官報広告料:5,075円
  • 予納金:裁判所が決めた金額(清算費用が不足した場合に必要)

参照:相続財産清算人の選任|裁判所

相続財産清算人を選任すると、官報に申し立て人の名前が載ります。官報とは政府や各省が国民に広く知らせるために発表する公文や公告、会社法による法定公告等の記事が掲載された国の機関誌です。

法令の交付が主な役割で、基本的に一般人が読むことは少ないため、名前が載ったとしても会社の同僚や友人に知られる可能性は低いでしょう。

2. 家庭裁判所に必要書類を提出する

必要書類・申し立てに必要な費用が揃ったら、家庭裁判所に提出します。提出先は、被相続人の最後の住所地を管轄とする家庭裁判所です。管轄先がわからないときは「裁判所の管轄区域(裁判所)」で調べられます。

3. 家庭裁判所で審理・選任が行われる

書類・費用の提出が完了したら、家庭裁判所で審理・選任が行われます。書類を確認し、内容に問題なければ相続財産清算人の選任が行われる流れです。選任の際は、被相続人との関係性や利害関係の有無・相続財産の内容が考慮されます。

地域によっては、利害関係のない弁護士・司法書士が指名されるケースも少なくありません。申し立て人の利害関係が認められないケースや、相続財産清算人が「不必要」と判断されると、申し立てが却下されるため頭に入れておきましょう。

まとめ

相続財産清算人の申し立て時に予納金が発生するケースは主に「相続人がいない」「すべての相続人が相続放棄した」ときです。

予納金は、相続財産を清算する際に発生する費用や相続財産清算人の報酬を相続財産で支払えない場合に補填するお金です。相続財産清算人の申し立て後に、家庭裁判所が金額を決定します。支払えない場合は、申し立てが却下されます。

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監修者の一言

現行の民法940条では、相続を放棄した者は、その放棄によって相続人となった者が相続財産の管理を始めるまで、管理義務を負うこととされています。

一方、令和5年4月1日より施行される改正後の民法では、相続放棄に関する規定が明確化され、相続放棄後からその放棄によって相続人となったものが相続財産の管理を始めるまで、相続財産を現に占有している場合には保存義務のみを負うことが明文化されました。

つまり、相続財産を占有していない場合には管理義務を負うことはありません。これにより、相続放棄を検討する上でのハードルが少し下がるのではないでしょうか。

また、令和4年版の少子化社会対策白書にて、生涯未婚率は男性28.3%、女性17.8%とされております。これは、1970年の調査と比較してそれぞれ10倍近い数値となっており、相続人がいない不動産は増加しつづけることが想定されます。

相続人のいない被相続人が不動産を賃借している場合、所有者は、被相続人の死亡によっても当該不動産の返還を受けることができず、相続財産管理人の選任とその後の清算等の処理に13か月の月日を要します。

このような状況では、事前の契約内容の見直しなどが有効な場合がございますので、弁護士に相談するのが良いでしょう。

株式会社Aoiコンサルティング
代表取締役 大川紗苗
監修者

大阪府出身。幼少期をアメリカ コネチカット州にて過ごす。立教大学経済学部在学中に公認会計士試験に合格。大学卒業後、EY新日本有限責任監査法人に入社し、国内外法人の監査に従事。日本/米国/国際会計基準での会計/内部統制監査、開示書類の英訳等を経験。2022年にAoiグループを設立し、創業/資金調達/IPO/事業再生の支援、クラウド会計を活用した税務会計サポート等のサービスを提供している。趣味はバレエとヨガ。

比較ビズ編集部
執筆者
比較ビズ編集部では、BtoB向けに様々な業種の発注に役立つ情報を発信。「発注先の選び方を知りたい」「外注する際の費用相場を知りたい」といった疑問を編集部のメンバーが分かりやすく解説しています。
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