固定資産税は経費にできる?効果的な節税方法を解説!

税理士法人烏丸会計事務所
監修者
税理士法人烏丸会計事務所 代表社員・税理士 堀井 優
最終更新日:2023年10月02日
固定資産税は経費にできる?効果的な節税方法を解説!
この記事で解決できるお悩み
  • 固定資産税は確定申告で経費にできるの?
  • 固定資産税額の計算方法は?
  • 固定資産税額を抑える節税方法はある?

固定資産税を経費計上すれば、所得を減らして所得税の減額が可能になります。

この記事では、経理担当者や個人事業主の方向けに、固定資産税を経費にする際の計算方法や仕訳について解説します。

賢く節税したい方に役立つ軽減措置も説明しているので、これから確定申告をする方はぜひ参考にしてください。

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固定資産税は勘定科目「租税公課」として経費にできる

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固定資産税は、「租税公課」という勘定科目で経費にできます。

法人税法では、事業に使っている土地や建物、自動車などにかかる固定資産税を経費にすることが認められているのです。 固定資産税を経費にすれば、所得税額や法人税額を抑えられます。

たとえば、資本金1億円以下の中小企業の年間所得が800万円以下で、固定資産税が20万円だったとしましょう。このケースの法人税率は15%なので、固定資産税を租税公課で経費計上すれば、3万円の節税になります。

個人事業主も固定資産税を経費にできる

個人事業主やフリーランスの方も、固定資産税を経費として計上できます。所得税法で、固定資産税を必要経費にできることが認められているからです。

法人税と同様に、固定資産税を経費にすることで数千円から数万円の節税が実現可能になります。確定申告の際には、固定資産税も必ず経費に含めるようにしましょう。

固定資産税に関する基礎知識

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固定資産税は、土地と家屋を対象とした租税公課です。事業用に使っている土地や建物の固定資産税は全額経費にすることが可能になります。自宅の一部を事務所として使っているケースでは、事業に使っている割合で経費を計上する「家事按分(かじあんぶん)」が必要です。

土地や建物以外の機械や器具備品、航空機、パソコンなどの固定資産は、「償却資産税」がかかることに注意。どちらも毎年1月1日時点の所有者に対して課税されます。

経費にできる他の租税公課

固定資産税のような租税公課の中には、確定申告の際に経費にできるもの、できないものがあります。基本的に事業を運営する上で必要な租税公課は経費計上可能です。一方、事業運営のための支出ではないもの、不注意により発生したものは経費にできません。 以下は、確定申告の際に経費にできる租税公課の例です。

  • 不動産取得税
  • 固定資産税
  • 自動車税
  • 軽自動車税
  • 登録免許税
  • 印紙税
  • 事業税
  • 事業所税
  • 都市計画税
  • 地価税

一方で、以下の租税公課は経費に含まれないため注意しましょう。

  • 法人税
  • 所得税
  • 法人都道府県民税
  • 法人市町村民税
  • 延滞税
  • 不納付加算税
  • 過怠税
  • 交通反則金

固定資産税と償却資産税の計算方法

固定資産税と償却資産税を経費にしたいのであれば、税額の計算方法を知っておく必要があります。土地と家屋、償却資産によって計算方法が若干異なるので注意しましょう。

固定資産税の計算方法

固定資産税の計算方法は、「課税評価額×1.4%」です。課税評価額は、土地の用途や地域、建物の有無、面積などによって変わります。およそ時価の70%前後と覚えておくといいでしょう。 たとえば、時価1,000万円の土地があったとすれば、70%の700万円×1.4%=98,000円前後が固定資産税額であると想定できます。

正確な課税評価額は課税明細書や固定資産税評価証明書で確認可能です。もし手元に証明書がない場合には、資産評価システム研究センターのホームページにある固定資産税路線価を見てみましょう。

償却資産税の計算方法

償却資産税の計算方法も、固定資産税と同じ税率の「課税標準額×1.4%」です。ただし、土地とは異なり取得価額や減価率、耐用年数などに基づいて課税標準額が計算されます。

償却資産を購入した初年度の償却資産税は、取得した時期に関わらず減価率を半分にするのがポイント。その年度の半年経過後に償却資産を取得したと見なすのです。

固定資産税の仕訳方法

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固定資産税の仕訳方法は、大きく分けて以下の2つのパターンがあります。

  • 賦課決定の属年で処理する場合
  • 支払日の属年で処理する場合

それぞれのパターンの仕訳方法を知っておくことが必要です。固定資産税額が10万円、当該年度の4月に25,000円納税したと仮定して、仕訳方法を見ていきましょう。

賦課決定の属年で処理する場合

賦課決定の属年で処理する場合、固定資産税額の確定日に未払金を計上しなければなりません。未払金は「貸方」に計上します。固定資産税という負債が増えたという考え方です。

4月に25,000円を納税したあと、未払金の減少という処理を進めます。

借方 租税公課 100,000円
貸方 未払金  100,000円
借方 未払金 25,000円
貸方 現金  25,000円

支払日の属年で処理する場合

2つ目の方法は、支払日の属年で仕訳処理を行うものです。支払日の属年で仕訳する場合、物品を購入するケースと同じように行います。

借方 租税公課 25,000円
貸方 現金   25,000円

ただし、一度経費にする年度を決めると、毎年同じ方法で経費を計上しなければなりません。固定資産税は、支払いを始めた年度か支払い終えた年度のどちらかの経費に計上できるので、経営的な判断が必要となります。

固定資産税の軽減措置3つ

固定資産税の負担を減らすために、軽減措置を利用することを検討できます。固定資産税の軽減措置は以下の3つです。

  • 中小事業者等が生産性を高めるための設備等に係る固定資産税の軽減措置
  • 固定資産税等(土地)の負担調整措置
  • 新築住宅に係る税額の減額措置

1. 中小事業者等が生産性を高めるための設備等に係る固定資産税の軽減措置

先端設備等導入計画の認定を受けて取得した新規設備に対して適用される固定資産税の軽減措置です。新たに課税されることになった年度から3年度分は、固定資産税の課税標準がゼロになります。

生産性向上特別措置法に基づいた軽減措置で、2018年6月6日から2023年3月31日までに導入した設備に限られることに注意が必要。制度の適用を受けるためには、取得価額が設備の種類ごとに定められた最低価額以上でなければなりません。

2. 固定資産税等(土地)の負担調整措置

所有している土地の評価額が大幅に上昇した場合、固定資産税の負担感を抑えるために導入されているのが負担調整措置です。固定資産税額が大きく上昇することを防ぎつつ、平等な課税を行うため、課税標準額を徐々に引き上げます。

どの程度負担調整が行われるかは自治体によって異なるので、不明点は該当する土地を管轄する市町村役場の固定資産税担当者に尋ねましょう。

3. 新築住宅に係る税額の減額措置

新築住宅にかかる固定資産税を3年間、半分に減額する措置です。マンションの場合は減額措置の期間が5年とされています。2024年3月31日までの新築分が減額措置の対象になる点に注意が必要です。

事務所と自宅を兼用する住宅の場合、居住部分の床面積が50平方メートル以上280平方メートル以下の住宅が対象。ただし、120平方メートルを超える部分については減額措置が適用されません。

固定資産税の節税方法

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固定資産を持っている場合、節税方法を実施することで税額を減らせる可能性があります。どの方法も手間と費用がかかるので、本当に節税効果があるかを確かめてから実践することが重要です。固定資産税の節税方法は3つあります。

土地を分筆して評価額を下げる

固定資産税を節税する方法の一つは、土地を分筆することです。分筆とは、一筆の土地を幾つかに分割することを指します。一筆の土地を分割した結果、いびつな形になったり利便性が下がったりすれば、課税評価額が下がる可能性があるのです。

ただし、あまりに不合理な分筆には注意が必要。極端な節税目的と見なされる分筆を行うと、分筆前の土地で評価される恐れがあるので注意しましょう。

非課税の土地を申告する

非課税の土地を申告する方法でも、固定資産税の節税が可能です。公益性の高いと判断される土地は、固定資産税が非課税となります。地域に必須の私道や公園は公益性の高い土地の一例。条件次第で非課税になります。

マンション経営をしていて、敷地の一部を公園として開放すると、公益性が高いと判断される可能性があるのです。ただし、自分から申告しないと非課税にならないので注意しましょう。

住宅を建てる

更地の土地に住宅を建てるだけでも、大幅な節税が可能です。住宅用に利用されている土地は小規模住宅用地の特例が適用され、1戸あたり200平方メートル以下の部分に対する固定資産評価額が6分の1になります。

1戸あたり200平方メートルを超える部分についても、固定資産評価額が3分の1になるのが重要なポイント。固定資産税だけでなく都市計画税も減額されるので、賢い節税方法の一つです。

まとめ

固定資産税は、租税公課という勘定科目で経費に計上できます。固定資産税の仕訳方法は、支払日と賦課決定日の2種類があるので注意しましょう。軽減措置や節税方法を活用すれば、固定資産税額を減らすことが可能になります。

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監修者のコメント
税理士法人烏丸会計事務所
代表社員・税理士 堀井 優

1967年生 静岡県出身 法政大学経営学部経営学科卒業。証券会社の法人営業、投資信託委託会社を経て、主体的な生き方を求め税理士業界へ。税務会計に携わって27年、地場中小企業中心に上場企業、IT・ネット関連、メディア・広告、大規模宗教法人・社会福祉法人など多くの税務顧問を務め、京都府包括外部監査補助者(2004年)、地域公益法人の監事(2019年〜)に就く。圧倒的な経験と多彩なクライアントから得たノウハウを創業間もない起業家にリーズナブル価格で提供したいとの思いから創業支援センターを立ち上げている。

固定資産税は私たちの日常生活において非常に身近な税金です。特に土地や建物を所有されている方はよくご存知でしょう。この身近すぎる固定資産税は、ともすれば事業経費とは一線を画するように思えますが、その固定資産を事業の用に供してしている場合には事業所得の計算上、必要経費に算入されます。

このとき、特に留意したいのが償却資産税と呼ばれる固定資産税です。償却資産とは土地・家屋以外の事業の用に供する事ができる資産でその減価償却費が所得計算上必要経費となるもの(自動車、その他一定ものを除く)をいいます。納税義務者は賦課期日(1月1日)の所有者であり、不動産については登記簿又は課税台帳に登録されている者で償却資産については償却資産台帳に登録されている者とされています。

土地・家屋、償却資産いずれにおいても、事業供用部分を明確にしておくことが必要経費とするためには重要です。また、必要経費算入の時期については、原則としてその年の12月31日までに賦課決定等により納付が確定したものをその年度に経費算入することとされています。但し、分割納期の開始日以降の年度(納期または納付日の属する年度)の経費とすることも認められています。
比較ビズ編集部
執筆者

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