青色申告の前に把握すべきポイントとは?税金計算を正確に進める方法も紹介

最終更新日:2023年09月06日
青色申告の前に把握すべきポイントとは?税金計算を正確に進める方法も紹介
この記事で解決できるお悩み
  • 個人事業主にかかる税金とは?
  • 青色申告の前に把握すべきポイントとは?
  • 税金計算を正確に進める方法とは?

青色申告特別控除の適用には複数の条件があるため、税金計算や書類作成を正確に進めておくことが重要です。

本記事では、個人事業主にかかる税金や青色申告に関する重要なポイントを紹介します。最後まで読めば、税金計算を正確に進める方法についても理解できます。

個人事業主になったばかりの方、はじめて確定申告を控えている方は、ぜひ最後までご覧ください。

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個人事業主に納税義務が発生する税金は4種類

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個人事業主に課せられる税金は以下の4種類です。

  • 所得税+復興特別所得税
  • 住民税
  • 消費税
  • 個人事業税

一定の所得を得ている個人事業主は、いずれの税金も必ず支払わなければなりません。

所得税+復興特別所得税

所得税は飲食店経営やライティング、Webデザインなど、特定の事業運営で得た所得に対してかかる税金です。1/1〜12/31の間に得た収入から必要経費や社会保険料控除などを差し引き、算出した額に対して課税されます。

所得額が大きいほど所得税の納税額も増えるため、必要経費を普段から帳簿付けしておくことが重要です。

東日本大震災からの復興に必要な財源を確保するため、2037年まで所得税額×2.1%を復興特別所得税額として納めなければなりません。

復興特別所得税額は個人事業主だけではなく、会社員も含めて給与を得ているすべての納税対象者に課せられている税金です。

住民税

住民税とは水道や福祉など、行政サービスを維持するため、地域住民が負担する税金のことです。住民税は均等割と所得割、2つの要素から納税額を算出します。

均等割は所得額を問わず、住民1人ひとりに平等に課せられる税金です。多くの自治体では都道府県民税が1,500円、市区町村税を3,500円、合計5,000円を均等割として徴収しています。

一方、所得割は前年の所得によって納税額を算出する税金です。計算式は(前年の所得-所得控除)×10%-税額控除を活用します。

市町村が住民税を計算するため、個人事業主は自ら納税額を算出する必要はありません。

消費税

消費税は、商品やサービスを販売した際に課せられる税金です。「基準期間」または「特定期間」と呼ばれる期間に、売上が1,000万円を超えたかどうかが消費税の納税義務が発生する基準となります。

基準期間は前々年の1/1〜12/31を指し、特定期間は前年の1/1〜6/30までのことです。いずれかの期間に売上が1,000万円を超えている場合は課税事業者とみなされ、消費税を支払わなければなりません。

(課税売上高×10%)-(課税仕入高×10%)の計算式を使い、納税額を算出します。2年前および前年上半期の売上が1,000万円以下の方、個人事業主1年目の方は免税業者として区分され、消費税を支払う必要はありません。

個人事業税

個人事業主が事業を営むうえでさまざまな行政サービスを利用していることから、サービスの維持管理のために徴収される地方税です。ただし、個人事業税はすべての個人事業主に課せられるわけではありません。

物品販売や飲食店、倉庫など、法律に定められている70の業種に該当する個人事業主に納税義務が生じます。法律に該当する業種を営んでいる場合も、事業所得を290万円以上得ている個人事業主のみが対象です。納税額は(所得額-290万円)×税率で算出し、税率は3〜5%に設定されています。

エンジニアやWebライター、漫画家などは、法律上の業種に該当しないため、納税義務は発生しません。

青色申告をおこなうまえに把握しておくべき5つのポイント

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所得税の税金計算や青色申告の手続きをスムーズに進めるためにも、以下5つの点を理解しておくことが重要です。

  1. 所得税率の早見表を活用すると税金計算がスムーズに進む
  2. 所得税は課税対象と非課税対象に分けられる
  3. 所得と収入は意味合いが異なる
  4. 確定申告が必要な基準を知る
  5. 確定申告は期限内に済ませる

内容を1つひとつ確認していきましょう。

ポイント1. 所得税率の早見表を活用すると税金計算がスムーズに進む

個人事業主は所得税を自ら算出し、確定申告で申告しなければなりません。本業が忙しく、所得税の税金計算に十分な時間を算出できない方もいるでしょう。

所得税の早見表を活用すると、どのくらいの額を納税するのか、素早く算出できます。以下に所得税の早見表をまとめました。

課税される所得金額 税率 控除額
1,000円 から 194万9,000円まで 5% 0円
195万円 から 329万9,000円まで 10% 97,500円
330万円 から 694万9,000円まで 20% 42万7,500円
695万円 から 899万9,000円まで 23% 63万6,000円
900万円 から 1,799万9,000円まで 33% 153万6,000円
1,800万円 から 3,999万9,000円まで 40% 279万6,000円
4,000万円 以上 45% 479万6,000円

参照:国税庁

たとえば、課税所得が500万円の個人事業主の場合、500万×0.2-42万7,500円=57万2,500円が所得税です。上記の額に加え、所得税の2.1%(100円未満切捨)に該当する復興特別所得税を加えた58万4,500円を納税します。

ポイント2. 所得税は課税対象と非課税対象に分けられる

不都合を避けるため、所得税法では課税対象と非課税対象に所得税を分けています。課税対象となる所得を以下にまとめました。

  • 農業
  • 漁業
  • 製造業
  • 卸売業
  • 小売業
  • サービス業
  • その他事業

参照:国税庁

その他事業には弁護士や医者、タレントなど、さまざまな事業が該当するため、業種による制限はないと考えて問題ないでしょう。

一方、非課税所得は所得額の計算から外れるため、確定申告や所得税を支払う必要がありません。非課税所得に該当する所得を以下にまとめました。

  • NISAをはじめとした非課税口座
  • 納税準備預金
  • 子ども銀行の預貯金
  • 資産を譲渡した場合に得られる所得
  • 遺族年金
  • 失業保険

ポイント3. 所得と収入は意味合いが異なる

個人事業主が事業で稼いだお金は「収入」として区別され、1/1〜12/31に稼いだお金が「総収入」と呼ばれます。総収入から事業運営にかかった必要経費や社会保険料控除、医療費控除を差し引いた額が「所得」です。

確定申告は総収入と経費、所得額を税務署に報告する手続きとなります。正しい税金計算をおこなうためにも、経費を引く前の金額が収入、経費や各種控除を引いた後の金額が所得と覚えましょう。

所得税の納税額は、年間で得た所得額によって変動します。必要以上に所得税を支払わないよう、経費を確実に計上することも重要です。

ポイント4. 確定申告が必要な基準を知る

年間の事業所得を48万円以上得ている個人事業主の方は、業種を問わず確定申告が必要です。他にも以下に該当する方は確定申告の対象者となります。

  • 不動産所得が年20万円以上の方
  • 株取引やFXでの譲渡益が48万円以上の方
  • 副業での所得が年20万円を超える方
  • 年間の給与所得が2,000万円を超える方
  • 2カ所以上から給与を得ている方
  • 年末調整前に退職して年内に再就職をしていない方

確定申告の対象者だったにもかかわらず申告を怠っていると、さまざまなペナルティが発生するため、注意が必要です。最悪の場合は税務調査の対象となり、財産の差し押さえや刑事罰が課せられる可能性が生じます。

ポイント5. 確定申告は期限内に済ませる

確定申告は例年2/16〜3/15に申告期限が設定されています。期限後に申告した場合、青色申告特別控除の適用条件を満たしていても、最大でも10万円しか控除されません。

期限後申告にともない、無申告加算税や延滞税の支払い義務も生じます。無申告加算税は、本来の納税額が50万円までは15%、50万円を超える場合は20%を乗じて加算した額を納めなければなりません。

参照:国税庁

延滞税は期限翌日から2カ月以内に納税した場合は7.6%、2カ月を過ぎて納税した場合は14.6%に該当する額を加算されます。

参照:国税庁

必要以上に税金を納める事態になるため、期限内申告を徹底しましょう。

無申告加算税と延滞税とは

無申告加算税は、期限内に確定申告を実施しなかったことに対する追徴課税です。納税額によって適用される税率が変動します。延滞税は、期限までに所得税を支払わなかったことに対する追徴課税です。納税時期に応じて適用される税率が変動します。

青色申告による6つのメリット

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確定申告を青色申告でおこなうと、以下6つのメリットが得られます。

  • 最大65万円の特別控除を受けられる
  • 赤字を繰り越せる
  • 家族への給与を全額経費にできる
  • 30万円未満の減価償却資産を全額計上できる
  • 家事関連費を経費として計上できる
  • 貸倒引当金を経費にできる

白色申告と比べ、控除額や経費として扱える費用の範囲が拡がるため、大幅な節税効果を望める点がメリットです。

最大65万円の特別控除を受けられる

青色申告特別控除が適用されると所得から最大65万円が控除され、所得税や住民税、健康保険料の納税額を大幅に削減できます。青色申告特別控除を受けるには、以下の条件をすべて満たさなればなりません。

  1. 事業所得または不動産所得がある
  2. 複式簿記で記帳をしている
  3. 貸借対照表と損益計算書を作成している
  4. 期限内に確定申告を済ませている
  5. 開業届と青色申告承認申請書を提出している
  6. e-Taxによる申告または電子帳簿保存を実施している

1〜5までの条件を満たしていると、55万円まで控除されます。65万円の控除が認められるには、e-Taxでの申告または電子帳簿保存の実施が必要です。

期限後に申告をした場合は、青色申告特別控除の条件を満たしていても、最大10万円しか控除が認められません。

赤字を繰り越せる

青色申告を選択すると、事業で発生した損失を他の所得で相殺する損益通算が認められます。たとえば、2023年3月に会社員を退職し、5月から個人事業主に転身したとしましょう。

12月末時点で100万円の赤字が出ていた場合、会社員時代の給与と損失を相殺できます。損益通算によって所得が0円になった場合、所得税の納税義務は発生しません。

赤字を解消できなかったとしても、翌年以降3年間に赤字を繰越できます。会社員時代の給与と事業損失の損益通算をしても、200万円の赤字が残ったとしましょう。

2年目と3年目に100万の黒字が発生した場合、繰越控除によって3年目まで所得税の支払いを避けられます。

家族への給与を全額経費にできる

飲食店や理容室など、家族で店舗経営をしている場合もあるでしょう。青色申告は一定の条件を満たすと、家族へ支払う給与を全額経費として計上できます。条件を以下にまとめました。

  1. 青色事業専従者への給与
  2. 青色申告者と生計を共にしている配偶者または家族
  3. 配偶者または家族の年齢が12/31時点で15歳以上
  4. 青色申告者の元で6カ月以上働いている状態
  5. 事前に「青色事業専従者給与に関する届出書」を税務署に提出済み
  6. 給与の支払方法と給与総額が届出書の記載内容と合致
  7. 給与の額が一般常識の範囲内

参照:国税庁

上記は「青色事業専従者給与」と呼ばれる制度で、青色申告でしか得られない特典の1つです。白色申告は一定の金額を所得額から控除できますが、経費として計上できません。

30万円未満の減価償却資産を全額計上できる

「少額減価償却資産の特例」が認められると、取得金額が30万円未満の固定資産を購入した場合、取得した年に全額経費として計上できます。通常、取得金額が10万円以上の固定資産を購入した場合、減価償却のルールにもとづき何年かに分けて経費として計上しなければなりません。

青色申告によって特例が適用されると、固定資産取得にかかった費用を年間300万円まで経費として計上できるため、大幅な節税効果が望めます。常時雇用する従業員数が500人以下、資本金1億円以下などの条件もありますが、個人事業主だけではなく中小企業も利用できる制度です。

減価償却資産とは

取得価額が10万円以上、耐用年数が1年以上に設定されている固定資産を指します。減価償却は利用年数が長くなるにつれ、資産価値が減るとの考えです。資産価値を耐用年数に応じて分割した費用を経費として計上するのが、減価償却のルールとなります。

家事関連費を経費として計上できる

自宅をオフィスと兼用している場合、青色申告によって電気代や通信費など、家事関連費を経費として計上できます。Webライターやデザイナー、ECサイト運営者など、在宅ワーカーとして働く方にメリットをもたらす特典です。

家賃も経費として計上できますが、事業として使用している割合分のみに限られます。事業との関連性や費用の妥当性を証明できない場合、経費として認められないため、注意が必要です。

貸倒引当金を経費にできる

貸倒引当金とは取引先から売掛金を回収できなくなる事態に備え、事前に一定の損失額を計上しておくお金です。原材料の高騰や価格競争の激化、過剰投資などによって経営が悪化し、取引先から売掛金を回収できないケースも珍しくありません。

青色申告を選択すると、帳簿価額の合計額5.5%以下に該当する貸倒引当金が必要経費として認められます。節税効果が望めるため、商品やサービスを先に販売し、後から代金を回収するかけ売りを展開する個人事業主にとってメリットのある特典です。

青色申告の税金計算を正確に進める方法

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青色申告特別控除を受けるには、複式簿記での帳簿や財務諸表の作成など、複数の条件を満たさなければなりません。税金計算や書類作成を正確におこなうためにも、以下2つの方法の導入を検討してみましょう。

  • クラウド型会計ソフトを導入する
  • 税理士に相談する

記帳代行や確定申告の書類作成を税理士に依頼すると、作業負担を軽減しつつ青色申告特別控除の適用確率を高められます。

クラウド型会計ソフトを導入する

クラウド型会計ソフトを活用すると、普段の帳簿付けや確定申告の作業負担を軽減できます。複式簿記での帳簿に必要な作業は、日付や金額、勘定科目を選択するのみです。特別なスキルや簿記の知識は必要ありません。

インターネットバンキングやクレジットカードとも連携しており、取引内容を自動で取り込めます。画面内容に沿って必要な情報を入力していくと、確定申告書や決算書も作成可能です。

全体的に費用を抑えられる点も魅力です。ソフトを導入する際、サーバーの調達やソフトウェアのインストールは必要ありません。月額料金も数千円台に設定されたソフトが多く、十分な予算の確保が難しい個人事業主も導入しやすいでしょう。

税理士に相談する

税金計算や確定申告書類の正確性を重視する場合、税理士に相談するのも有効な手段です。税理士は豊富な実務経験とノウハウを持っており、正確な仕事ぶりが望めます。

記帳代行や確定申告の書類作成代行サービスをスポットで提供する税理士事務所も多く、必ずしも顧問契約を締結する必要はありません。資金調達や起業支援、M&Aなど、さまざまな内容を相談できる点も魅力です。

ただし、すべての税理士が所得税の税金計算や確定申告の書類作成を得意としているわけではありません。ミスマッチを避けるためにも、ホームページ上で実績や得意分野を確認しましょう。

まとめ

今回の記事では以下の4点について述べてきました。

  • 個人事業主にかかる税金の種類
  • 青色申告をおこなう前に把握すべきポイント
  • 青色申告のメリット
  • 税金計算を正確に進める方法

青色申告特別控除が適用されると所得額から最大65万円が控除されるため、大幅な節税効果が望めます。特別控除を適用されるには、複式簿記での帳簿や財務諸表の作成、期限内申告など、さまざまな条件を満たさなければなりません。

個人事業主のなかには本業が忙しく、帳簿付けや書類作成に十分な時間を割けない方もいるでしょう。正確な税金計算や書類作成を実現するには、税理士を活用するのがおすすめです。

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監修者の一言

2014年1月以降、白色申告の場合も帳簿の記帳・保管が義務化されました。また、青色申告の要件である複式簿記も、会計ソフトの普及により、専門的な会計知識を知らなくても複式簿記での記帳ができるようになってきました。

そのため、記帳が複雑と言われる青色申告と比較すると、白色申告の記帳や書類作成の負担が小さいというメリットは、昔よりも大きなメリットでなくなっていると言えます。

青色申告の方が節税面のメリットが大きいのでオススメではありますが、白色申告はシンプルな帳簿と書類の提出で済むため、魅力を感じる人もいるでしょう。ご自身にとってメリットが大きいと感じる方を選択することがベストですが、青色申告に興味を持たれた方はチャレンジしてみてください。

喜多弘美公認会計士・税理士事務所
代表 喜多弘美
監修者

兵庫県神戸市出身。趣味は筆跡診断・筆文字。神戸大学経済学部、甲南会計大学院卒業。2010年公認会計士試験論文試験合格後、上場会社経理部に所属し、固定資産・消費税を担当。その後、大手監査法人で会計監査、グループ会社で内部監査・人事に携わる。2020年4月から東京都品川区で個人事務所を開業し、会計システム導入支援・記帳代行に従事。2020年11月税理士登録。

比較ビズ編集部
執筆者
比較ビズ編集部では、BtoB向けに様々な業種の発注に役立つ情報を発信。「発注先の選び方を知りたい」「外注する際の費用相場を知りたい」といった疑問を編集部のメンバーが分かりやすく解説しています。
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