太陽光発電の確定申告は必要?3つの所得の種類と経費対象になる項目を紹介

中央みらい会計事務所
監修者
中央みらい会計事務所 代表税理士 奥村 和仁
最終更新日:2023年06月19日
太陽光発電の確定申告は必要?3つの所得の種類と経費対象になる項目を紹介
この記事で解決できるお悩み
  • 太陽光発電で収入を得たら確定申告すべき?
  • 該当する所得の種類は?
  • どのような費用を経費計上できる?

「太陽光発電で得た収入は確定申告すべき?」「太陽光発電で経費にできるものは?」とお悩みの方必見。

太陽光発電で得た所得は、年間の所得額が所得控除額を超えている場合、確定申告の必要があります。

この記事では太陽光発電で得た収入について確定申告の必要性や所得区分を解説します。 最後まで読めば、太陽光発電で得た収入に関する確定申告や納税の知識が身につき、安心して収入を得られるでしょう。

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太陽光発電で得た収入は確定申告が必要?

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太陽光発電により得た所得は、年間の所得額が所得控除額を超えている場合、確定申告の必要があります。

確定申告とは、1月1日から12月31日までの1年間の所得額をもとに所得税を計算する手続きです。所得が生じた翌年に確定税額を税務署に申告します。

所得とは

「所得」とは、収入から所得控除額を引いた金額を指します。所得控除は、課税対象にあたる金額から一定の要件に基づいて定められた金額を指し引く制度です。

住宅用太陽光発電の場合

住宅用太陽光発電による売電収入で確定申告が必要になるのは、給与所得と退職所得を除き、副業所得が合計20万円を超える場合です。住宅用太陽光発電とは、発電量が10kw未満のものを指します。

太陽光発電以外に副業所得がある場合は注意しましょう。太陽光発電を含む副業所得の合計が20万円を超えると、確定申告が必要です。

産業用と比べて買取価格は高いですが、買取期間が10年と短い点が特徴です。売電収入が産業用ほど大きくならないため、住宅用太陽光発電のみによる収入では20万円を超えないことがほとんどです。

産業用太陽光発電の場合

産業用太陽光発電による売電収入でも確定申告が必要になるのは、副業所得が合計20万円を超えた場合です。副業所得ではなく事業所得である場合は、38万円を超えると確定申告が必要です。

産業用太陽光発電は発電量が10kw以上のものを指し、住宅用と比べ発電量が多い点が特徴です。買取価格が住宅用より低いですが、買取期間が20年と長いメリットがあります。一般家庭でも、発電量が10kw以上の場合、産業用太陽光発電になります。

太陽光発電で得られる所得の3つの種類

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税金の仕組み上、すべての所得が同じものとみなされているわけではありません。所得の種類により納める税金が変化するため、所得の種類を正確に理解することが大切です。

太陽光発電では、主に次の3つの所得が得られます。

  1. 雑所得
  2. 事業所得
  3. 不動産所得

1. 雑所得

「雑所得」とは給与所得とも事業所得とみなされない所得の総称です。収入が仕事を通じて得られたものでない場合、雑所得としてみなされます。代表的なものとして、オークションでの販売で得た収入や暗号通貨の取引で得た収入などが挙げられます。

太陽光発電が雑所得として扱われるのは、家庭で余分に作られた電気を売ったケースです。 家庭で売電して得られる収入はほとんど雑所得として扱われるとみなしてもいいでしょう。

2. 事業所得

会社や事務所を立ち上げて太陽光発電を事業として登録し収入を得ていれば、自宅の太陽光発電でも事業所得扱いです。

設置容量の大きさでも雑所得か事業所得か決まります。 日本では50kW以上で太陽光発電を行い、売電することで得た収入は事業所得とみなされます。

3. 不動産所得

賃貸住宅にソーラーパネルを設置しているケースは、雑所得でも事業所得でもなく、不動産所得としてみなされます。 家賃収入と同様、ソーラーパネルも不動産の一部と理解されるためです。

太陽光発電で得た収入の確定申告における主な経費

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太陽光発電を運営するためには、さまざまな費用がかかります。発生した費用で経費とみなされるものは所得から引いて計算でき、確定申告が必要かどうかは経費計上後に判断します。

太陽光発電にかかるコストのうち、経費とみなされるものは主に以下の4つです。

1. 減価償却費

太陽光発電機の減価償却費は経費とみなされます。減価償却とは、固定資産の購入費用を、使用可能期間の中で分割して経費計上する処理です。減価償却資産となるのは、10万円以上の太陽光発電機です。

長期間使用する固定資産は、購入した年に1度に計上するのではなく、耐用年数に従って経費計上します。

太陽光発電機の場合、耐用年数が17年なため、17回に分割して経費計上できます。つまり、170万円で購入した太陽光発電機の場合、年間10万円ずつ経費処理が可能です。

2. 固定資産税

太陽光発電機に関連する固定資産税や償却資産税は、経費の対象です。太陽光発電設備のための土地を購入した場合、土地にかかる固定資産税が発生します。

さらに太陽光発電設備そのものには償却資産税が発生します。償却資産税とは、土地や家屋以外で事業に使用する10万円以上の資産です。

固定資産税と償却資産税は、資産の評価額に対して1.4〜1.5%が納税額となります。税金として納める分は、経費として計上可能です。

参照:固定資産税 総務省

3. 太陽光発電のローン利子

太陽光発電機を導入するためにローンを組んだ場合、利子部分が経費に該当します。太陽光発電機が身近になり、昨今では太陽光ローンを提供する金融機関が増えました。借入には利子が発生するため、その分を経費として計上できます。

4. 設置費用・修復費用

太陽光発電機に関連する設置費用や修復費用は、経費計上可能です。太陽光発電機を設置するためには、周辺機器の購入や設置業務の依頼の必要があります。その際にかかった費用は、経費とみなされます。

太陽光発電機が故障や効率的に作動するための修理の場合には、修復費が必要です。修復にかかる費用は太陽光発電を運営するための経費に該当します。

太陽光発電で得た収入の確定申告方法

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太陽光発電で得た収入が確定申告の対象になる場合、次の2つの方法で申告ができます。

  1. 書類で申請
  2. Webで申請

1. 書類で申請

確定申告の書類を窓口を通して提出する方法があります。国税庁のホームページ「確定申告書等の様式・手引き等」で、確定申告書、付表・計算書・明細書など必要な書類が見つかります。初めての確定申告で不明点がある場合、役所で直接書類を受け取ることも可能です。

市区町村の担当窓口や指導相談会場に足を運べば、確定申告の相談ができます。「確定申告書作成コーナー」では、画面の案内に沿って金額を入力すると納税額が自動計算されます。

確定申告の書類は記入を終え、必要な添付書類を揃えたら、税務署に提出します。郵送での提出も可能です。

2. Webで申請

Web上で確定申告ができます。国税電子申告・納税システム「e-Tax」を活用すると、オンラインで確定申告が完了します。

「e-Tax」を利用するメリットは、すべての手続きがオンライン上で完了する点です。添付書類の提出が不要で、還付金がある場合に早く受け取れます。会計処理から申告まですべてペーパーレスで完結します。

確定申告期間中は全日24時間稼働しているため、いつでも好きなタイミングで確定申告が可能です。利用にはマインバーカードと納税者の電子署名が必要です。

太陽光発電で得た収入の確定申告に必要な書類

太陽光発電で得た収入が確定申告の対象になる場合、申告のために事前に準備しておくべき書類があります。

  1. 売電収入を証明する書類
  2. 設置や修理の領収書・支払い書
  3. ローンを証明する書類

1. 売電収入を証明する書類

まずは売電収入の証明となる書類を用意しましょう。 電力会社から振り込まれた額が記載されている預金通帳があれば望ましいです。

電力を販売して得た収入から経費を引いた金額が納税対象となるため、いくら稼いだかを正確に申告するために必要な書類です。所得額が20万円を超過した場合、確定申告が必要になります。

太陽光発電を取り付けて1年目の場合は、設置業者から受け取った領収書を添付します。領収書から設置にかかった必要経費を証明することができます。

2. 設置や修理の領収書・支払い書

太陽光発電の設置や修理にかかった費用がわかるよう、領収書や支払い書を準備しましょう。設置費や修理費は経費として計上されるため、正確な額を申告するために必要です。

太陽光発電の機能を維持するために工事やメンテナンスの領収書も含まれます。太陽光発電を始めたばかりで申請に必要な書類がわからない場合、ひとまずすべての書類を保管しておきましょう。

書類を紛失すると経費計上できず、余分な税金がかかる可能性があります。

3. ローンを証明する書類

太陽光発電の設備を購入した際の、ローンを証明する書類が必要です。太陽光発電購入時に組んだローンの利子は、経費として計上できます。

利子は支払うごとに金額が減るため、毎年経費にあたる金額が変動します。ローンを証明する書類を準備しておくと、申請の際に正確な金額がすぐにわかるため、便利です。

太陽光発電で得た収入の確定申告でよくある質問

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太陽光発電を導入してすぐの年には、確定申告の方法がわからないこともあるでしょう。太陽光発電の確定申告に関してよく寄せられる質問を2つ紹介します。

  • 確定申告をしないとどうなるの?
  • 太陽光発電の収入が20万円以下の場合、確定申告は不要?

Q1. 確定申告をしないとどうなるの?

確定申告が必要であるにもかかわらず申告を怠ると、ペナルティが課されます。納付期限を過ぎると、納税額の最大20%の延滞税を課される可能性があります。

確定申告ができる期間は決まっており、毎年2月16日から3月15日までの間に手続きをしなければなりません。万が一、期間内の申告を忘れても、なるべく早く申告しましょう。申告期限から1カ月以内に自主的に納付した場合、無申告加算税は課されません。

Q2. 太陽光発電の収入が20万円以下の場合、確定申告は不要?

太陽光発電による収入が20万円以下であっても、他に副業収入があり所得の合計金額が20万円を超えると申告が必要です。

現状副業での収入がある人は、確定申告の際に太陽光発電による収入を含める必要があります。申告時に慌てることがないよう、太陽光発電の収入に関する書類は保管しておきましょう。

まとめ

太陽光発電の確定申告は、収入として入る金額や他の副業収入との合計額など、条件により必要か決まります。初めての年はわからないことが多いため、プロに相談するのがおすすめです。

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監修者のコメント
中央みらい会計事務所
代表税理士 奥村 和仁

昭和50年生まれ大分県生まれ。埼玉県さいたま市西区在住個人の税理士事務所での勤務5年、税理士法人での勤務7年を経て、平成25年2月に独立。埼玉県さいたま市で中小企業・個人事業主の新規設立から経営コンサルまで、クライアントのニーズに合わせたトータルサポートを実践している。最近では、事務所のIT化にも積極的に取り組み、ZOOMを使ったオンライン顧問サービスを始動し、クライアントは全国に。

太陽光発電については、新築の住宅などでは、最初から屋根に発電パネルが設置されるケースも多くなり、以前に比べ、かなり一般的になってきていると思います。そのような場合に、売電収入があったときの税金がどうなるのか、という点については関心があるところだと思います。

ただ、この記事でも触れたように、給与所得者が自宅の太陽光発電によって得た売電収入に関しては、20万円を超えるケースはあまりありませんので、それほど気にしなくてもよいのではないかと考えます。

注意が必要となるのは、「事業として」太陽光発電を行っている場合で、この場合は収入と経費を計算し、所得額を計算する必要がありますので、難しいようでしたら専門家に任せるのが賢明ではないかと思います。

尚、この記事は個人の方を中心として記述しているため触れていませんが、法人で太陽光発電を行い、売上に占める太陽光発電収入が一定の割合を超えると、都道府県に支払う事業税の計算方法が変わりますので、法人で行うことを検討している方は、その点にも留意が必要です。
比較ビズ編集部
執筆者

比較ビズ編集部では、BtoB向けに様々な業種の発注に役立つ情報を発信。「発注先の選び方を知りたい」「外注する際の費用相場を知りたい」といった疑問を編集部のメンバーが分かりやすく解説しています。

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