青色事業専従者給与とは?給与の仕訳や節税効果を解説!

税理士法人烏丸会計事務所
監修者
税理士法人烏丸会計事務所 代表社員・税理士 堀井 優
最終更新日:2024年05月28日
青色事業専従者給与とは?給与の仕訳や節税効果を解説!
この記事で解決できるお悩み
  • 青色申告の青色事業専従者とは?
  • 青色事業専従者給与の設定はどのように行う?
  • 青色事業専従者給与の仕訳方法は?

青色申告している方は「青色事業専従者とは誰?」「青色事業専従者給与で節税ができるのは本当?」などの疑問を持つことがあるでしょう。青色事業専従者給与は節税に役立ちますが、事前の届出や適切な仕訳が必要です。

この記事では青色事業専従者給与制度の概要と金額の設定方法、仕訳方法について解説します。最後まで読めば、青色事業専従者給与についての理解が深まるでしょう。

青色申告をしている方はぜひ参考にしてください。

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青色事業専従者とは家族従業員のこと

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青色事業専従者とは、青色申告を行う個人事業主が雇用している家族従業員のことです。個人事業主のなかには、配偶者や子ども、親族などを事業運営のサポート役として雇用するケースがあるでしょう。

個人事業主が家族従業員に給料を支払う場合、収入の分配と見なし、所得を減らす戦略として利用することが考えられます。通常、家族に支払う給料を経費として計上することはできません。

青色申告において特定の条件を満たすことで、これらの給与を経費として認められるようになるのが、青色事業専従者制度の特徴です。

青色事業専従者に該当する条件3つ

青色事業専従者に該当するためには、以下の3つの条件を満たさなければなりません。

  • 青色申告者と生計を一にする親族である
  • その年の12月31日時点で満15歳以上である
  • 青色申告者の事業に、1年間のうち6カ月以上の期間専従している

15歳以上であっても、青色申告者の事業を手伝っている高校生や大学生は、青色事業専従者として認められない可能性が高いでしょう。1年間のうち6カ月以上の期間専従していることが条件の1つであり、学業に専念すべき学生には難しいと判断されるためです。

青色事業専従者給与は経費計上可能

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青色申告では、青色事業専従者給与を全額経費に計上できます。青色申告には青色申告特別控除や純損失の繰越しなど、さまざまな税制上の優遇措置がありますが、青色事業専従者給与もその1つです。

青色事業専従者給与を全額経費にすることで、所得を圧縮して所得税額を減らすことが可能です。家族や親族に支払う給与が適正額であるか確認しなければなりません。加えて、青色事業専従者給与を利用することで、配偶者控除や扶養控除が受けられなくなる点に注意しましょう。

白色申告の事業専従者控除との違い

専従者給与を上限なく、全額経費に計上できるのは青色申告のみです。白色申告の場合、親族への給与を経費に計上することはできません。

白色申告している個人事業主の場合、配偶者に対して最高で86万円、配偶者以外に対して1人につき50万円が事業専従者控除として所得から控除できます。青色事業専従者と同様に、年齢が15歳以上、6カ月を超える期間事業に従事していることなどの条件を満たさなければなりません。

青色事業専従者給与制度を利用する方法

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青色事業専従者給与制度を利用するためには、税務署に対し「青色事業専従者給与に関する届出書」を提出しなければなりません。提出していない場合、その期間は親族が青色申告者の事業に従事していたとしても給与を経費に計上できないため注意しましょう。

様式は、国税庁ホームページにある「青色事業専従者給与に関する届出手続」からダウンロードできます。

青色事業専従者の人数に上限はありません。新しく家族や親族を雇用した場合、2カ月以内に届け出をすることで青色事業専従者と認められます。

青色事業専従者給与の届出書で記入する項目は以下のとおりです。

  • 提出先の税務署名と提出日
  • 納税地の選択と自宅または事業所の住所、電話番号
  • 青色申告者の氏名と生年月日(屋号があれば屋号)
  • 適用を受ける年月日
  • 専従者の氏名や続柄、年齢、仕事内容、給与の支給時期、金額
  • 専従者以外の従業員や給与

青色事業専従者以外にも従業員がいる場合は、その従業員へ支払う給与も記入する必要があります。専従者と他の従業員との給与に大きく差がある場合は、給与が経費と認められないおそれがあるため注意しましょう。

青色事業専従者給与を変更する方法

青色事業専従者に対する給与は「青色事業専従者給与に関する届出書」に記載した金額を超えて支給することはできません。青色事業専従者の働きに対してさらに給与を支払いたい場合には、変更届で手続きを行うことで給与額を変更可能です。

国税庁ホームページにある「青色事業専従者給与に関する変更届出手続」にある変更届を提出して変更しましょう。

「青色事業専従者給与に関する届出」「青色事業専従者給与に関する変更届」は郵送やe-Taxによる提出もできるため、自分にあった方法を選んで遅延なく提出することが重要です。

青色事業専従者給与の設定方法

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青色事業専従者給与の金額は慎重に設定しなければなりません。主に以下の2つのポイントを考慮すべきです。

  • 源泉徴収の義務が発生しない金額
  • 同業他社の従業員と比較して違和感のない金額

雇用主に源泉徴収の義務が発生するのは、1カ月の給与が8万8,000円以上になった場合です。源泉徴収の義務が発生すると会計業務の負担が増えるおそれがあります。

もちろん、8万8,000円以上の給与を支給して源泉徴収する選択肢もあるでしょう。その場合、同業他社の従業員よりも明らかに高すぎる給与は青色事業専従者給与と認められないケースがあるため注意しましょう。

青色事業専従者給与の仕訳方法

青色事業専従者給与から源泉所得税を差し引いた場合の仕訳方法は以下のとおりです。

借方勘定科目 借方金額 貸方勘定科目 貸方金額 摘要
専従者給与 200,000円 現金 180,000円 2024年〇月分 専従者給与
    預り金 20,000円 2024年〇月分 源泉所得税

もし1カ月の給与が8万8,000円未満であれば、預り金の項目は必要ありません。

借方勘定科目 借方金額 貸方勘定科目 貸方金額 摘要
専従者給与 80,000円 現金 80,000円 2024年〇月分 専従者給与

青色申告専従者で節税効果を高める方法2つ

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青色事業専従者で節税効果を高めるため、以下の2つの方法を検討できます。

  • 配偶者控除や扶養控除よりも高い金額で設定する
  • 青色専業専従者の税負担を考慮して設定する

青色申告の優遇措置を最大限活用するため、節税のポイントを覚えておきましょう。

配偶者控除や扶養控除よりも高い金額で設定する

青色事業専従者給与の金額は、配偶者控除・扶養控除よりも高い金額で設定することが重要です。最大38万円の配偶者控除、最大130万円の扶養控除は、青色事業専従者給与の特例と併用ができません。

配偶者を青色事業専従者にする場合、配偶者控除・扶養控除よりも低い給与額を設定すると控除額が少なくなり所得税額が上がるおそれがあります。現時点で配偶者控除・扶養控除を利用している場合、控除額よりも高い給与額を設定し節税効果を高めましょう。

税負担を考慮して金額を設定する

青色事業専従者の給与が一定の基準を超えると、住民税や所得税の納税義務が生じます。年間収入が100万円を超えると住民税が一律10%、103万円を超えると所得額に応じて所得税が課税されます。所得税は累進課税であり、給与額が増えれば増えるほど納税額の負担も大きくなるため注意が必要です。

青色事業専従者給与の金額を上げることで、個人事業主の経費額が増えるため所得税額を減らすのに効果的です。青色事業専従者側の税負担が増えることがあるため、双方の税負担のバランスを考えながら給与額を設定していかなければなりません。

青色申告専従者は基本的に確定申告不要

青色事業専従者は、個人事業主から給与を得ている場合確定申告は基本的に不要です。1年間の収入が100万円以下であれば住民税・所得税の申告は必要ありません。

1カ月の給与が8万8,000円以上になった場合、雇用主である個人事業主が源泉徴収を行い年末調整で所得税を確定します。納めた所得税の過不足があれば年末調整で清算が行われるでしょう。所得控除を利用したい場合には確定申告が必要なケースもあるため注意が必要です。

まとめ

青色申告の青色事業専従者とは、個人事業主の家族従業員を指します。本来家族や親族への給与は経費になりませんが、青色事業専従者と認められれば給与を全額経費にできる点が大きなメリットです。賢く節税するため、青色申告をしている方はぜひ青色事業専従者給与を活用しましょう。

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監修者のコメント
税理士法人烏丸会計事務所
代表社員・税理士 堀井 優

1967年生 静岡県出身 法政大学経営学部経営学科卒業。証券会社の法人営業、投資信託委託会社を経て、主体的な生き方を求め税理士業界へ。税務会計に携わって27年、地場中小企業中心に上場企業、IT・ネット関連、メディア・広告、大規模宗教法人・社会福祉法人など多くの税務顧問を務め、京都府包括外部監査補助者(2004年)、地域公益法人の監事(2019年〜)に就く。圧倒的な経験と多彩なクライアントから得たノウハウを創業間もない起業家にリーズナブル価格で提供したいとの思いから創業支援センターを立ち上げている。

青色事業専従者給与については、青色申告者に認めれられた恩典と考え、安易な節税目的で事業に従事していない家族などへも支給する方がいらっしゃいます。

しかし、所得税では原則として生計を一にする配偶者等の親族に支払う家賃や給与は必要経費として認められていません。この専従者給与は親族等への給与が経費と認められる唯一の特例なのです。特例ですから、要件を満たさなければなりません。

実際に事業に従事するという労働実態に加え、専従者の要件、届出書の提出により、支給方法や金額も定めておく必要があります。さらに一番大切なことは、その労務の対価として相当であることです。

一見難しそうに思えますが、他の従業員と同等に扱い、同等の金額を基準に支給すればよいのです。青色申告をしている一定の方は、適用要件をしっかりと確認して、是非活用してみましょう。
比較ビズ編集部
執筆者

比較ビズ編集部では、BtoB向けに様々な業種の発注に役立つ情報を発信。「発注先の選び方を知りたい」「外注する際の費用相場を知りたい」といった疑問を編集部のメンバーが分かりやすく解説しています。

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