お土産代はいくらまで経費にできる?計上できる4つの科目や注意点を解説

竹中啓倫税理士事務所
監修者
竹中啓倫税理士事務所 税理士・米国税理士・認定心理士 竹中啓倫
最終更新日:2023年12月06日
お土産代はいくらまで経費にできる?計上できる4つの科目や注意点を解説
この記事で解決できるお悩み
  • お土産代は経費に計上できる?
  • お土産代が経費にならないケースは?
  • 領収書の取り扱い方は?

「どのようなお土産代が経費として認められるのか?」「お土産代を経費計上する際の勘定科目は?」とお悩みの方、必見です。出張や取引先へのお土産は経費として計上できますが、ケースごとに勘定科目が異なります。

この記事では、経理担当者や個人事業主へ向けて、お土産代を経費として計上できる具体的なケースや、お土産を購入する際の領収書の扱いについて説明します。記事を読み終わった頃には、経費処理をスムーズに対応できるでしょう。

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お土産を経費として計上できる勘定科目4選

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お土産代を経費として計上できる勘定科目は次の4つです。

  1. 接待交際費としてのお土産代
  2. 会議費としてのお土産代
  3. 福利厚生費としてのお土産代
  4. 広告宣伝費としてのお土産代

1. 接待交際費としてのお土産代

お土産代は「接待交際費」として計上できます。お土産代を「接待交際費」として計上できるのは、以下のケースです。

  • 取引先への訪問時に渡す手土産の購入(食品・記念品など)
  • 来客へ渡すお土産の購入
  • お中元やお歳暮の発送

対面でお土産を渡すだけではなく、宅配便で送った場合でも経費として認められます。

会社の形態や規模によって「接待交際費」の金額や内容が異なります。資本金1億円未満の中小企業は年間800万円が上限です。個人事業主の場合は、業務上必要な経費であれば上限なしで計上できます。

2. 会議費としてのお土産代

会議中や休憩時間にお菓子やお茶を提供する場合は「会議費」として経費計上できます。取引関係を深めるため、会議を円滑に進めるための支出として「会議費」に含められます。

会議費として計上するためには「1人あたりの支出が5,000円以下」であることが条件です。支出が5,000円を超える場合は「接待交際費」として計上する必要があります。高額な贈り物や贈答品は「接待交際費」に含まれるため、支出内容に注意しましょう。

3. 福利厚生費としてのお土産代

お土産が取引先や仕入先に対してではなく、従業員に対して提供される場合「福利厚生費」として処理されます。

福利厚生費に該当するのは、全従業員を対象としたお土産である場合で、特定の従業員へのお土産は該当しません。従業員全員へ平等に与えられている公平性がポイントです。

個人事業主として1人で事業を営んでおり、社員がいない場合はお土産を「福利厚生費」として計上できません。

4. 広告宣伝費としてのお土産代

自社商品やサービスの宣伝・販促を目的としたお土産代は、広告宣伝費として計上できます。

広告宣伝費として経費計上する際「企業のブランド認知度向上や顧客獲得に寄与し、宣伝効果があること」「お土産を渡した対象が不特定多数の一般消費者」が求められます。

お土産代を広告宣伝費として経費にできるケースは以下のとおりです。

  • 自社商品のサンプルや試供品
  • 自社名の入った記念品(カレンダー・ノートなど)
  • 株主総会での手土産
  • 自社名をプリントしたオリジナル製品


取引先や企業など、特定の相手に対するお土産代は「接待交際費」として処理されます。

【注意】接待交際費は上限金額が決まっている

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お土産代を接待交際費として計上する際、企業の規模や携帯により上限金額が決まっています。条件金額は以下のとおりです。

  • 資本金1億円未満の中小企業は年間800万円
  • 個人事業主の場合は上限なし
  • 大企業は交際費の50%までが経費

資本金1億円未満の中小企業は年間800万円

期末の資本金または出資金が1億円未満の中小企業は、1事業年度における「接待交際費」の上限は800万円です。「1事業年度において800万円」の基準は12カ月を前提としています。会社設立初年度で月数が12カ月に満たない場合、800万円の枠が比例して減額されます。

800万円を超える交際費支出がある場合、超える部分は損金算入できないことが規定されています。

損金算入とは

損金算入とは、会計上「費用」としなくても、税務上は「損金」扱いになること。

個人事業主の場合は上限なし

個人事業主は「接待交際費」の上限が設けられていません。個人事業主の場合、全額を損金算入できますが、支出先は得意先や仕入先、事業関係者である必要があります。

支出金額や支出回数は一般的な範囲内でなければなりません。お土産代と事業との関連がない場合、経費として計上できないため注意しましょう。

大企業は交際費の50%までが経費

期末の資本金が1億円を超える大企業の場合、接待飲食費の50%までが経費として計上できます。接待飲食費とは、取引先や仕入先などを接待したときにかかる飲食費用のことです。接待交際費のうち飲食に要する費用が該当します。

たとえば、年間で10,000円の接待費用をかけた場合、そのうちの50%である5,000円が経費として計上できます。

接待飲食費に該当しないケースは以下のとおりです。

  • ゴルフや観劇、旅行等の催事に際しての飲食等に要する費用
  • 接待等を行う飲食店等へ得意先等を送迎するために支出する送迎費
  • 飲食物の詰め合わせを贈答するために要する費用
  • 社内飲食費用

参照:国税庁「接待飲食費に関するFAQ」

2022年4月1日以降に開始した事業年度において、期末の資本金が100億円を超える巨大企業は、接待交際費を経費として計上することはできません。税制度は景気によって変動する可能性があるため、企業の経理担当者は注意が必要です。

お土産代が経費として認められる4つのケース

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お土産代を経費として処理できるケースには次の4つがあります。

  1. 取引先やクライアントを交えた会議に出す場合
  2. 従業員全員に対して購入したお土産の場合
  3. 出張時に取引先へ持参する手土産の場合
  4. 業務上必要な相手との会議で食事代が5,000円以内の場合

1. 取引先やクライアントを交えた会議に出す場合

取引先やクライアントを交えた会議で提供されるお土産やお菓子は「会議費」として経費計上できます。従業員のみが参加する会議のお土産代は経費には含まれません。

高額な贈り物は「接待交際費」に該当するため注意しましょう。

2. 従業員全員に対して購入したお土産の場合

従業員全員に対してお土産を購入した場合「福利厚生費」として経費に計上できます。

「福利厚生費」は、従業員全員を対象とした福祉向上を目的とした経費です。特定の社員に対してお土産を購入する場合「福利厚生費」として経費に計上できません。

個人事業主は「福利厚生費」を適用できません。

3. 出張時に取引先へ持参する手土産の場合

取引先へ持参する手土産は「接待交際費」として経費計上できます。従業員が自費で購入して持参した場合も、後から経費精算が可能です。

企業によって自己負担額や金額の条件が決まっていることもあるため、事前に確認しましょう。「接待交際費」は税務上、原則として損金不算入となります。

4. 業務上必要な相手との会議で食事代が5,000円以内の場合

業務上の相手との会議で食事代が5,000円以内の場合「会議費」として経費計上が認められます。たとえば、取引先との重要な契約交渉のために会議を開催し、休憩時間に昼食を共にする場合、食事代を「会議費」として経費計上できます。

食事したお店の品を持ち帰りにする場合は、飲食代と合算して5,000円以内に収めなければなりません。

お土産代が経費として認められない5つのケース

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取引先への接待や従業員全体の福利厚生に関係がないと判断されるお土産は、経費として計上できません。以下のケースが該当します。

  1. 社内の会議で提供したお菓子
  2. 家族や友人に購入したお土産
  3. 特定の従業員へのお土産
  4. 非常に高額なお土産
  5. 換金性の高いお土産

1. 社内の会議で提供したお菓子

社内の会議で提供したお菓子は経費として計上できません。お土産として飲み物やお菓子を用意する場合は、取引先との会議に関連する費用に限ります。業務上必要な会議や商談で支出した費用は「会議費」として計上可能です。

従業員全員に対して購入した社内のお土産は「福利厚生費」として処理されます。高額な贈り物や単なる贈答品に該当する場合は「接待交際費」となります。

2. 家族や友人に購入したお土産

出張先や訪問先で家族や友人にお土産を購入する場合、経費として計上することはできません。お土産を渡す相手がプライベートな関係にある場合、事業とは無関係であるためです。家族に購入したお土産も、事業とは直接関係のない支出とみなされます。

家族や友人が事業の従業員として雇用されている場合、お土産代を経費にできるケースもあります。購入したお土産を、オフィスの共有スペースに置く場合、従業員向けの「福利厚生費」として認められるでしょう。

生計を同一とする親族が従業員である場合、経費計上が難しい場合があります。

3. 特定の従業員へのお土産

特定の従業員へのお土産は経費として認められません。事業主が出張で自社の全従業員へのお土産を購入する場合、経費として認められるかどうかは「福利厚生費」の規則に依存します。

たとえば、お菓子を購入して全従業員に均等に分配する場合は経費計上できます。

4. 非常に高額なお土産代

極端に高額なお土産代は経費として認められません。高額なお土産代は税務署からの指摘を受ける可能性が高いです。事業者間でのお土産代は通常、1万円程度までが許容範囲とされます。「接待交際費」として計上しようとしても、極端に高額なお土産は受け入れられないでしょう。

得意先への贈り物であれば1万円程度が適切な金額とされます。

5. 換金性の高いお土産

換金性の高いお土産を経費計上することは避けましょう。特に金券や商品券、ギフトカードなどのお土産には注意が必要です。

換金でき、脱税の手段として悪用されるため税務署からの指摘を受ける可能性が高くなります。たとえば、ギフト券をお土産代で経費計上した場合、金券ショップで換金することで、経費を水増しした脱税行為とみなされます。

法的トラブルの原因となり、税務調査で否認される可能性が高くなるでしょう。

お土産の領収書に関する3つのコツ

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お土産代の領収書をもらう際、以下の3点に注意しましょう。

  1. 領収書は必ず受け取り保管する
  2. 領収書の但し書きは具体的に書いてもらう
  3. 領収書の他に記録を残す

それぞれ詳しく解説します。

1. 領収書は必ず受け取り保管する

お土産の領収書を受け取り、保管することは税務上重要です。領収書は経費の証明であり、確定申告後も保管が必要です。2022年1月の電子帳簿保存法改正を受けて、一定の要件を満たす場合はスキャナによる領収書の保存も認められるようになりました。

領収書には保管期間があり、税務調査があれば提出しなければなりません。法人と個人事業主別の、確定申告後の領収書保管期間は次のとおりです。

法人7年
法人(繰越控除を適用する場合)10年
個人事業主(青色申告)7年
個人事業主(白色申告)5年

2024年から電子データによる保存が義務化されます。必要な要件を満たすために、タイムスタンプや検索可能な情報を備えた電子データの保存方法に向けて準備を進めましょう。

2. 領収書の但し書きは具体的に書いてもらう

領収書の但し書きには具体性が求められます。領収書は支出の証明書として役立つため、記載事項を詳細に書くことが重要です。

領収書の記載事項で注意すべきポイントは以下のとおりです。

日付 正確であるか
宛名 受取人の氏名や屋号が正確に記載されているか
用途 具体的な記載があり、クレジットカード払いの場合はその旨が明記されているか
金額 数字に誤りがないか
印紙(金額が5万円以上の場合) 収入印紙の貼り付けと消印があるか
発行者 領収書を発行した者の住所・氏名(会社名や店名)が記載されているか

但し書きには「お品代」ではなく、具体的な品名を記入してもらいましょう。

3. 領収書の他に記録を残す

領収書を紛失した場合や入手できない場合、代用手段として経費を証明するための記録を残しましょう。

領収書の代替となる書類は以下のとおりです。

特定の業種が発行したレシート 飲食店業や旅行業など特定の業種が発行している
品目の内訳が細かく印字されているレシート 経費を証明するために品目の内訳が詳細に印字されている
出金伝票 レシートと同様に保管することで経費の正確な記録を確保できる

3万円未満の経費は領収書なしで計上することが認められていますが、金額やルールは地域によって異なるため、注意が必要です。

まとめ

お土産代を経費として計上できる場合の勘定科目は複数あります。経費計上する場合、領収書の保管や記録を習慣付けることが大切です。適切な勘定科目で仕訳することを理解しましょう。「お土産代の経費に関して相談したい」とお考えの方は、外部への依頼が効果的です。

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監修者のコメント
竹中啓倫税理士事務所
税理士・米国税理士・認定心理士 竹中啓倫

岐阜県出身。上場会社の経理に勤務する傍ら、竹中啓倫税理士事務所の代表を務める。M&Aなどの事業再編を得意とし、セミナーや研修会講師にも数多くあたるほか、医療分野にも造詣が深く、自ら心理カウンセラーとして、心の悩みにも答えている。税理士会の会務では、名古屋税理士協同組合理事を務める。

お土産について、まず換金性の高いものがハードルが高いでしょう。そもそも、お土産として適格でしょうか。これらは否認されるものと覚悟してください。

それ以外ですと、著しく高額でない限りは問題ないように思いますが、それ以外の論点としては、誰に買ってきたか、ということでしょう。買ってきた人が、従業員で福利厚生費として処理できるか、自社の販促のために接待交際費で処理できるケースに限定されるように思われます。

少なくとも購入した商品と誰に渡したかがわかるようにリストも作っておいていただくことは必要でしょうし、可能であれば、事業用のお土産と個人用のお土産を分けて会計して貰う等、工夫して、意識的に分けていることが主張できるのが好ましいといえます。
比較ビズ編集部
執筆者

比較ビズ編集部では、BtoB向けに様々な業種の発注に役立つ情報を発信。「発注先の選び方を知りたい」「外注する際の費用相場を知りたい」といった疑問を編集部のメンバーが分かりやすく解説しています。

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