スーツ代や美容院代は経費として計上できる?

ビジネスパーソンにとってスーツやジャケットなどは非常に重要なアイテムです。現場作業に従事する事業者であっても、取引先との会合や大切な打ち合わせの機会にはきちんとスーツで出席するというのがマナーでしょう。では、個人事業主が仕事で使用するスーツやジャケットなどのアイテムを購入したり、美容院を利用したケースでは、事業に関連する経費として計上することができるのかという点を見ていきましょう。
スーツが必要不可欠なら経費として計上可能
衣服は基本的に「家事費」へ分類されるため、個人事業主が費用として計上するのはかなり難しいのが現状です。
ただし、スーツが個人事業主の業務遂行に不可欠であると証明できる場合には、経費として計上することが可能となります。例えば、以下のようなケースではスーツ代を経費として計算しても問題ないでしょう。
- 営業で毎日のように取引先へ行っている
- 講師としてスーツを着用している
- クライアントのオフィスに常駐している
営業で毎日のように取引先へ行っている
毎日のようにクライアントを訪問するため各地を飛び回っており、その際にスーツを着用しているというケースでは、税務署がスーツの必要性を認めてくれる可能性が高くなります。
この場合、毎日のスケジュールをすべて記録しておき、スーツで訪問している様子などを写真に収めておくと説得力が増すため非常に効果的でしょう。
講師としてスーツを着用している
外国語などの講師をしており、講義を行う際にはスーツ着用が義務付けられているというケースでも、スーツを経費として申請できる可能性があります。教室へ出向いて講義をする場合だけでなく、ZoomやSkypeを用いて授業をする場合も同様です。
また、定期的に講演会やセミナーを開催している人も、スーツの必要性が認められやすいでしょう。この場合も実績を示すために写真で記録を残しておくことをおすすめします。
クライアントのオフィスに常駐している
業種によっては、個人事業主が企業と契約しており、そのクライアントのオフィスで業務に当たっているというケースが見られます。
クライアントがオフィスの服装をスーツと定めている場合、個人事業主はスーツを経費として申請しやすくなるでしょう。こうしたケースでは、クライアントとの契約書に「出社時はスーツ着用」などの文言があると税務署の担当者へ説明しやすくなるので確認しておきましょう。
スーツを経費とする場合は按分計算が必要
スーツを経費として申請する場合、項目は「消耗品費」もしくは「雑費」がふさわしいでしょう。ただし、1週間毎日スーツを業務のために着用しているとは常識的に考えづらいので、支払ったスーツ代は按分計算をして計上するのが望ましいです。基本的には1週間のうち何日間スーツの着用が不可欠な業務を行っているかを考えて割合を計算していきます。
例えば、支払ったスーツ代が7万円で、毎週講演会を実施するために4日間スーツを着用しているという場合、経費として計上できるのは総額に対して7分の4を乗算した4万円分という計算になります。
普段使いしているスーツ代は経費で計上できない
仕事だけでなくプライベートでも基本的にスーツを着用しているという人もいます。とはいえ、毎日スーツを着用しているとしても、それが業務の遂行に直接関連がない場合、スーツ代は経費として認められないことを銘記しておきましょう。
税務署としてはスーツ代を経費として認めるかに関し、その必要性を証明する記録が必要であるとしています。
ですから、どうしてもスーツ代を計上したいのであれば、やや手間にはなるものの、写真などのデータでどのようにスーツを使用しているかを残しておくのが賢明です。
美容院代は経費として計上できるのか
美容室や理容室は基本的に個人の判断で利用するものですから、経費として計上するのは難しいでしょう。
ただし、事業と関連して売り上げを向上させるために必要であったと証明できる場合には、経費として計上できる可能性があります。具体的な事例としては以下の3つが挙げられます。
- テレビや動画の収録
- 宣伝用媒体の撮影
- 美容に関連した商品やサービスの営業
テレビや動画の収録
コメンテーターとしてテレビへ出演する機会が多い人や、定期的に動画配信を行っているクリエイターなどは、収録する前の美容院あるいは理容院の利用が経費として認められる可能性が高くなります。
事業主の身だしなみが視聴者へ与える印象は大きく、それによって売り上げに影響が及ぶという説明は論理的と判断されるでしょう。
ただし、美容院を利用した日付と撮影日との関係をきちんと証明する必要があります。ですから、収録日の記録をしっかりと残しておくようにしましょう。
宣伝用媒体の撮影
事業の広告用としてポスターやパンフレットを製作したり、公式サイトを立ち上げたりすることがあるでしょう。そうした時には事業主の写真撮影を行うことがあります。
写真写りが良くなるよう事前に美容院や理容室を利用した場合、その支払いを広告・宣伝のための費用として計上するのは基本的に問題ありません。
ただし、税務署から確認されたときに提示できるよう、製作した宣伝用媒体はしっかり保存しておきましょう。
美容に関連した商品やサービスの営業
事業内容が美容に関連したサービスや販売で、営業の際に身だしなみが整っていないと売り上げに大きく響くというケースでも、美容院の利用が認められる可能性があります。美容院を利用した日付と営業の成果などに関して相関関係を示すことができれば説得力は増すでしょう。
美容院や理容室を利用した料金に関しては、事業者自身が「事業に必要だった」と主張するだけでは不十分です。美容院を利用したことでどれほど売り上げ向上に貢献したのかという点をある程度データ化して提示することが求められます。
事業のブランディングと美容院の利用を関連付けて説明することが難しいと感じるのであれば、経費として計上しないのが無難な判断と言えます。
まとめ
個人事業主の経費としてスーツ代や美容院の費用が認められるのはかなり限定されたケースであるということを覚えておきましょう。
事業の業績アップにどう貢献しているかを示すことができないなら、個人の費用として計算しておくのが賢明です。また、スーツ代に関しては按分計算をして計上するようにしましょう。
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岐阜県出身。上場会社の経理に勤務する傍ら、竹中啓倫税理士事務所の代表を務める。M&Aなどの事業再編を得意とし、セミナーや研修会講師にも数多くあたるほか、医療分野にも造詣が深く、自ら心理カウンセラーとして、心の悩みにも答えている。税理士会の会務では、名古屋税理士協同組合理事を務める。
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スーツ代や美容院代といえば、メディアへの露出が多い芸能人やタレントのような方々を思い浮かべてしまいます。この方々は、煌びやかな衣装に身を包み、我々から見た場合、浮世離れしている印象さえあります。この点が経費化の基準になると考えています。
野暮ったい地味な服装ではオーラがないように見えてしまいます。逆に言えば、無難な普段でも着れるような衣装は経費化が難しいことになると思います。
このことは、ホステスさんの衣装も同様に考えていいと思います。また、ヘアスタイルもばっちりセットしなければなりませんので、経費化のハードルは低いように思います。
裏返せば、一般人の生活に近い衣装代は、日常にみんなが着ている衣類そのものに他なりませんので経費化のハードルは高くなってしまいます。
よって、ご自身で、ここまでが日用品でここからが衣装であるという基準を作って、その割合で経費否認を行うことで、積極的に主張していくのがよろしいかと思います。
更に、衣装が収益にこれだけ貢献しているということが言えれば、より好ましいでしょう。