タクシー代を経費として計上できる?勘定科目についても紹介
- タクシー代が経費として認められるケース
- タクシー代が経費として認められないケース
- タクシー代の勘定科目について
個人事業主や中小企業の経営者が移動の足として、タクシーを利用する機会も多いでしょう。タクシー代は業務上で必要なものであれば基本的には経費にできますが、ケースバイケースです。
今回はタクシー代が経費として認められるケースと勘定科目について説明していきます。会社経営者や経理担当者はぜひ、参考にしてください。
タクシー代が経費として認められるケース
タクシー代が経費として認められるケースは様々です。事業のために使ったと証明できれば、経費とみなされます。
上記の主な5つのケースを用いて説明していきましょう。
業務上の移動
得意先を回ったり、仕事の打ち合わせをしたりなど仕事のために必要な移動でタクシーを使ったのであれば、経費計上は可能です。しかも使った理由は一切問われません。
「電車やバスもあったけれども疲れていたので」とか「移動時間を短縮するため」などでも認められます。「ちょっとした距離だったけれども雨に濡れたくないから」でも経費として認められます。
取引先との飲み会
取引先との飲み会や接待
取引先と飲み会することになった、接待で夜のお供をすることになったという事例もあるでしょう。このような場合、例えば帰りにタクシーを利用したら、その料金は経費として計上できます。
自分が接待するのではなく先方からの接待を受けた、という場合でもタクシー代は経費に計上できます。またまだ電車は走っているのにタクシーを利用した際も経費計上は可能です。
接待ゴルフ
接待ゴルフをすることになりゴルフ場までタクシーを使った、という場合もタクシー代も経費として計上できます。
取引先と家族、一緒に旅行してタクシーを利用したとします。この時あくまでも旅行の目的が接待目的であれば、家族含めて全額経費に計上できます。ただし常識の範囲内で経費にした方が、後々税務署に指摘されずに済みます。
取引先との旅行
お得意さんと一緒に旅行に出かけた、温泉に入ったという場合も経費として計上できます。例えば最寄り駅から旅館やホテルまでタクシーで移動した際の金額などです。
仕事で付き合いのある取引先の人と一緒であれば経費にできます。プライベートな旅行なので経費は難しいのではないかと思っている人も多いので、この知識は持っていて損はないです。
仕事に関係するものを購入した
経費にできるもの
備品など仕事に関係するものを購入するため、お店までタクシーを利用した場合も経費計上は可能です。たとえ家族と一緒に出かけたついでに事業に関係するものを購入すれば、全額経費にできます。
商品の領収書も保管しておくとよい
この時、タクシーだけでなく買い物をした商品の領収書も一緒に保管しておくといいでしょう。電車を利用した場合、運賃を経費にできます。ただし経費にできるのは自分自身の運賃だけで、家族のものは経費計上できないので注意しましょう。
自分だけで視察のために旅行した
微妙なところですが、仕事のための視察旅行でタクシーを利用した場合、その代金は経費として計上できます。しかし仕事のためにどうしても必要な旅行だったことを証明できるような書類を残しておきましょう。
取引先が同席していないのがネックになりかねません。仕事のための視察であることが明確に証明できないと、後日税務署から指摘される可能性があります。
タクシー代が経費として認められないケース
タクシー代が経費として認められないのは、完全にプライベートの移動だった場合です。仕事一切関係なく、ただ単に遊びに行くためにタクシーを使った場合、当然のことながら経費として計上できません。
家族だけで旅行した
基本的には経費計上できない
家族旅行をしてタクシーを使った、この代金は経費計上できません。当然のことながら、これは完全に仕事の要素がありません。ですから業務の必要経費と判断されないわけです。
一方夫婦で視察旅行に出かけた場合、これは仕事のために必要だった証明ができないと経費計上できません。しかも奥さんと一緒に行く必要性について説明できないと、2人のタクシー代を経費にはできないので注意しましょう。
中には奥さんを自分の会社の従業員や役員にしている人もいるでしょう。一人会社の場合、しばしば見られる手法です。仕事の関係者と一緒に旅行しても、そこに事業的要素が絡んでいなければ、経費にはできません。
家族旅行でも経費として計上できる場合
ただし家族旅行でも、そこで業務の要素が絡んでくると経費として計上できる可能性があります。たとえば妻と一緒に原料の仕入れのためにタクシーを利用した時などです。また妻と一緒に得意先を訪問した時にタクシーを利用すれば、その運賃は必要経費と判断できます。
タクシー代を経費計上する際の勘定科目について
タクシー代を経費計上するにあたって、しばしば聞かれるのは勘定科目をどうすればいいかです。候補として交通費と交際費が考えられるのですが、目的によって区分が変わってきます。
「交通費」として計上する
自分が接待される場合
自分が接待される側でタクシーを利用した場合、これは原則「交通費」扱いになります。例えば取引先が主催した懇親会に招待され、会場までまたは会場から自宅まで移動するためにタクシーを使った場合などです。
自分が接待した場合
その他、こちら側が取引先を接待したけれども、接待以外の業務が目的であれば、タクシー代は「交通費」として計上できます。業務をした後で接待してタクシーを使うと微妙なので、税理士などの専門家に相談するといいでしょう。
「交際費」として計上する
自社が取引先を招待した場合
逆に自社が主催した懇親会に取引先を招待した、そして取引先をタクシーで会場まで案内したら、これは「交際費」として処理します。このように自分たちが接待を行う側で必要な費用は「交際費」として計上します。
取引先を送り届けた場合
ほかにも懇親会に出席した取引先をその人が指定する自宅などに送り届けるためにタクシーを利用した場合、これも交際費として計上します。また自分や自社の従業員が接待先にタクシーで行った、接待先から帰宅するためにタクシーを利用したのであれば、これも交際費扱いです。
交通費と交際費を区分する理由
交通費と交際費を明確に区分するのは、税務調査を受けないための対策です。これを混同すると、交通費もしくは交際費が膨大なものになりかねないからです。
もし接待した時にすべて交通費として処理しているのであれば、見直したほうが良いでしょう。特に交際費は資本金額によって、経費として認められる上限が決められている点は理解しておきましょう。
まとめ
他の公共交通機関と比較すると、タクシーは料金が高くなりがちです。これを経費にできれば、かなりの節税効果が見込めます。
基本的に仕事のための移動であれば、タクシー代は経費として計上できるでしょう。しかし中には判断に迷うケースもあります。その場合は税理士など専門家のアドバイスを受けましょう。
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岐阜県出身。上場会社の経理に勤務する傍ら、竹中啓倫税理士事務所の代表を務める。M&Aなどの事業再編を得意とし、セミナーや研修会講師にも数多くあたるほか、医療分野にも造詣が深く、自ら心理カウンセラーとして、心の悩みにも答えている。税理士会の会務では、名古屋税理士協同組合理事を務める。

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タクシー代を経費化する場合、事業関連性がポイントになるかと思います。事業関連性があれば、他の移動手段があったとしても、経費は否認される可能性は少ないと考えます。
一方で、プライベートのタクシー代の経費化は難しいでしょう。得意先との旅行等であっても、完全にプライベートの旅行であれば、費用化は難しいと考えます。ただ、得意先ということであれば、完全にプライベートとも言い切れないため、費用化の余地はある、程度のレベルだと思ってください。
家族旅行でのタクシー代も同様に否認対象かと思います。家族旅行中に夫婦で原材料の仕入れを行った等、あまり合理性を感じられませんので、その事実関係を明確に説明できなけれが、経費は否認されてしまいますので、お気を付けください。