個人事業主は家賃を経費にできる?家事按分の計算方法やメリットと注意点も解説 !
- 個人事業主が家賃を経費にする方法は?
- 家事按分の計算方法とは?
- 家賃以外に経費計上できる費用は?
「家賃を経費にして節税対策ができるのか?」と疑問に感じている方必見!
この記事では個人事業主の方に向けて、家賃を経費として計算する方法やメリット、注意点などについて解説。最後まで読めば、確定申告をスムーズに進めていくためのポイントがわかります。
事務所を別に借りている場合や、自宅を事務所と兼用している場合など、さまざまなパターンがあり家賃の経費計算を複雑に感じてしまいがちです。正しく家賃を経費にすることで多くのメリットが得られるため、確定申告までにしっかりと理解していきましょう。
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個人事業主は家賃を経費に計上できるのか
個人事業主の方は、確定申告の際に家賃を経費として計上できます。自宅を事務所の一部として使っていたり、自宅とは別に事務所を借りていたりとパターンによって経費にできる金額の割合は変動します。
確定申告で家賃を経費にする場合、月に1回もしくは年1回のどちらかのタイミングで計上します。毎月事業に使う部分に変動がない場合は、1年に1度だけ経費として計算しましょう。
繁忙期や季節によって事業で使う割合が大きく変動するのであれば、毎月経費分の家賃を計算するとよいでしょう。
個人事業主が家賃を経費にする場合の3つのパターン
個人事業主の方は確定申告の際に家賃を経費にできますが、いつでも家賃全額を経費にできるわけではありません。家賃を経費として計上したい際には全額経費となるのか、一部のみが経費として認められるのかを予め確認しましょう。
個人事業主が家賃を経費にする場合の3つのパターンを紹介します。
- 自宅と事務所が完全に別の場合
- 自宅兼事務所の場合
- 事務所と自宅の両方を事業に使っている場合
自宅と事務所が完全に別の場合
自宅とは別に事務所を借りている場合、その家賃全額を経費に計上できます。この場合、自宅は事業に関係ないため経費に計上することは不可能です。
自宅以外の複数の部屋や物件を事務所や支店として借りて業務をおこなっているのであれば、家賃をすべて経費に含めましょう。細かい経費も含めることで効果的な節税ができます。
自宅兼事務所の場合
家賃を経費に計上することは可能ですが、家事按分で業務に使う分の家賃のみ経費にできます。個人事業主の方で最も多いパターンであり、家賃を仕事とプライベートで使っている割合を明確にする必要があります。
税務署から根拠を尋ねられる可能性があるため、なぜその金額分を経費にしたのか説明できるようにしておきましょう。
事務所と自宅の両方を事業に使っている場合
自宅とは別に事務所を借りている場合は、事務所分の家賃全額を経費にできます。同時に自宅でも仕事をしている場合は、自宅分の家賃を家事按分で計算し経費にします。プライベートとして使っていても、事業に関係のある場合は家事按分で経費として計上可能です。
どの程度までの割合が経費として認められるか、合理的で明確な区分が必要です。最終的には税務署の判断になりますが、あまりにも極端な按分は認められない可能性もあるため避けましょう。
家事按分とは
家事按分とは、事業用とプライベート用の双方が混ざっている場合に、事業用でのみ使用している割合を計算することです。個人事業主が家賃を経費計上する際に必要となる考え方で、家事按分によってより正確な経費計上ができます。
ここからは、家事按分を使った具体的な計算方法について解説します。
- 家賃を経費にする際の家事按分の計算
- 持ち家を経費にする際の家事按分の計算
- 青色申告と白色申告で家事按分ルールが異なる
家賃を経費にする際の家事按分の計算
家賃を家事按分によって経費にする場合、使用面積か使用時間を使って判断します。一般的な2つの計算方法を紹介します。
使用面積で判断する場合
自宅の床面積が120平方メートルで、事務所として使っている部屋の面積が30平方メートルだった場合、計算方法は以下のとおりです。
30÷120=0.25、つまり家賃の25%を経費として計上できます。
使用時間で判断する場合
自宅を事務所として使っており1日8時間仕事をしている場合、かつ月の日数が30日のうち20日働いたとした場合の計算方法は以下のとおりです。
1カ月の時間は30日×24時間=720時間、働いた時間は20日×8時間=160時間であるため、家事按分は160÷720=0.22、つまり家賃の22%を経費にできます。
この条件であれば、使用面積を使って家事按分した方がより多くの金額を経費として計上できます。ケースによって結果は異なるため、より節税効果が高くなる方法で確定申告をおこないましょう。
持ち家を経費にする際の家事按分の計算
賃貸ではなく、持ち家の場合でも家賃を経費として計上することは可能です。
持ち家を経費とする際は、生計を共にしない親族などが所有している土地や建物に家賃を払っている場合、賃貸の按分計算と同様の考え方で計算します。ただし、親族などと生計を共にしている場合は、経費と認められないため注意が必要です。
青色申告と白色申告で家事按分ルールが異なる
確定申告には青色申告と白色申告の2つがありますが、それぞれで家事按分のルールが異なります。
青色申告の場合、事業に必要であることが証明できれば、どのような家事按分であっても経費として計上できます。
一方で白色申告の場合、自宅の50%以上を業務で使用していなければ家賃を経費として認められません。この条件をクリアしている場合は、より節税ができる青色申告を検討してみましょう。
家賃以外にも経費にできる支出
個人事業主の方は、事業に使用している分の家賃を家事按分によって経費にできますが、家賃以外にも経費として計上可能な支出があります。事業に関係していることが証明できれば、その都度経費として計上するようにしましょう。
ここからは家賃以外に経費にできる支出を紹介します。
- 駐車場代
- 光熱費
- 通信費
駐車場代
事務所の家賃とは別に駐車場を借りている場合、駐車場代も経費として計上できます。出張の際に使ったコインパーキング代や月極駐車場の料金、ガソリン代、車両保険なども含まれます。プライベートでも利用しているのであれば、家賃と同様に家事按分が必要です。
光熱費
自宅や事務所の光熱費も経費として計上可能です。特に電気は照明やネット環境を作るために必須であるため、電気の使用時間やコンセントの数に基づいて按分計算をおこないましょう。
水道代やガス代は、料理教室を営んでいるような特殊な例でない限り家事按分が難しいため、経費にできないことがあります。
通信費
自宅で仕事をする際にインターネット回線やWi-Fiを使用しているのであれば、毎月の通信費も経費にできます。業務とプライベートの使用割合をもとに家事按分しましょう。
税務署から家事按分の根拠を求められることもあるため、通話履歴などの証拠を残しておくと税務調査の際も安心です。
その他にネットの開設工事費も含まれ、10万円未満であれば消耗品扱いで一括計上ができます。10万円以上の場合は減価償却費として数年に分けて計上しましょう。
持ち家がある個人事業主が経費にできる支出
賃貸のみならず、持ち家の個人事業主の方が経費にできる支出も数多くあります。節税対策のためにも、持ち家の個人事業主の方が経費にできる支出を3つ紹介します。
- 減価償却費
- 固定資産税
- 住宅ローン返済の金利部分
減価償却費
持ち家の個人事業主の方が経費にできる支出の一つが、減価償却費です。持ち家の取得費用を減価償却費として計上することで大きな金額を経費にできます。賃貸物件とは異なるルールが適用されるので注意しましょう。
減価償却を始めるのは事業開始時点で、事業を始めた時の持ち家の価値と未償却残高を決定します。未償却残高は、家の取得価額から既に減価償却した分を引くことで計算可能です。
毎年計上できる減価償却費が明確になるため、さらに事業で使用している床面積などから家事按分して確定申告の際に経費計上しましょう。
固定資産税
毎年支払う持ち家の固定資産税も、確定申告の際に経費にできます。全体の金額から事業に使用している分を家事按分で計算し、経費にしましょう。勘定科目は租税公課で処理します。
住宅ローン返済の金利部分
住宅ローンの返済の元本部分は確定申告の際に経費にできませんが、金利部分は経費として計上可能です。家事按分で事業割合分の金利を経費にしましょう。
ただし住宅ローン控除を受けるために事業割合をゼロにした場合、たとえ事業に使っていたとしても経費にできなくなるので注意が必要です。
個人事業主が家賃を経費にするメリット
家事按分や帳簿付けといった手間はあるものの、個人事業主の方が家賃を経費として計上することには多くのメリットがあります。ここでは、家賃を経費とすることで得られる2つのメリットを紹介します。
- 節税対策に効果的である
- 会計知識が身につく
節税対策に効果的である
確定申告をおこなうと、所得金額を元に所得税が課税されます。所得金額は収入全体から必要経費を差し引いたものであるため、必要経費が大きくなるほど、所得が圧縮されて所得税が少なくなります。
事務所の家賃や光熱費、駐車場代、通信費などをしっかり経費として計上することで、それぞれの支出はわずかでも結果的に大きな節税につながります。
会計知識が身につく
個人事業主の方でも最低限の会計知識を持っておくことで、経営状況を把握し納税額をコントロールできるようになります。便利な会計ソフトが多数販売されていますが、お金の流れや帳簿付けの知識があるに越したことはありません。
さまざまな経費の計上に関して、最初は複雑で難しいと感じてしまいがちですが、少しずつ慣れていくことで会計知識は身に付きます。
個人事業主が家賃を経費にする際の注意点
個人事業主の方が家賃を経費にする際には注意点もあります。家賃を経費にできれば節税になりますが、注意点を見落とすと税務署から指摘されたり、労力が無駄になってしまうこともあります。
個人事業主の方が家賃を経費にする際に注意すべき点を4つを紹介します。
- 賃貸借契約書などの資料を保管しておく
- 敷金や保証金は経費にできない
- 住宅ローン控除が適用外になる可能性がある
- 住宅ローンの元本の返済は経費にできない
賃貸借契約書などの資料を保管しておく
自宅兼事務所で仕事をしている場合、賃貸借契約書などの資料を保管しておきましょう。根拠があいまいなまま家事按分してしまうと、税務署に指摘された際に反論できなくなります。確定申告の修正を求められたり、余計な所得税を支払うことになる可能性があります。
保存しておくべき資料として、賃貸借契約書や家賃の支払いを証明する通帳の記録、請求書、領収書、寸法が書かれた家の図面などがあります。これらを少なくとも退去するまでは保管しておくと、万が一税務調査が入った際も安心です。
敷金や保証金は経費にできない
敷金や保証金は、退去時に戻ってくる可能性がある支出と見なされるため、経費に含めることができません。一方で、礼金は入居時に支払うものであり、退去後も返金されないため経費として計上可能です。
住宅ローン控除が適用外になる可能性がある
個人事業主の方が持ち家を事務所として使っており、家賃を家事按分した場合に住宅ローン控除が適用外になる可能性があります。住宅ローン控除は居住するための優遇制度であるため、事業用にもなる場合は50%を超えない範囲で利用しなくてはなりません。
持ち家の半分以上を業務で使っていると判断されれば、住宅ローン控除が適用外となるため注意が必要です。自宅兼事務所として使う場合は、使用面積が床面積の50%未満となるようにすれば問題ありません。
住宅ローンの元本の返済は経費にできない
持ち家を事務所として使用している個人事業主の方の場合、毎月の住宅ローンの返済の元本は必要経費になりません。借入金の返済が経費になれば、借りたお金が売上となってしまうためです。住宅ローンの返済は経費にできませんが、その代わり金利部分は経費にできます。
まとめ
事務所を別に借りているかなどの違いはあるものの、家賃の全額もしくは一部を経費として計上できます。全額を経費として計上できない場合は、明確にした按分割合のみを経費として申告するようにしましょう。
帳簿付けが複雑でうまく申告できるか不安であっても、近年は便利な会計ソフトが多数販売されています。金額を打ち込むだけで自動的に帳簿付けを手伝ってくれるため、効率化を図るためにも導入を検討してみてください。
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札幌市を中心に活動する税理士。アパレル業界から未経験で税理士業界に飛び込む。その後、個人事務所、資産税系コンサルティングファームで経験を積み独立。税理士の仕事で重要なことはお客様とのコミュニケーションであるという考えから対話を重視している。中小企業の経営支援、スタートアップ支援、相続業務を得意としている。
事務所兼住宅に係る住宅ローン控除については居住部分に対応する部分について控除ができます。ここで注意が必要なのは床面積の2分の1以上を専ら自己の居住用に供していることが適用要件のひとつになるということです。事業共用割合が大きいと住宅ローン控除が受けられなくなってしまします。
住宅ローン控除には特別な取り扱いがあります。租税特別措置法関係通達41−29には事業共用割合が10%以下の場合、住宅ローン控除の適用上、100%居住用として取り扱うという規定があります。
この場合、住宅ローン控除を全額受けることができるうえ、家賃の10%を経費として参入することができます。もちろん確定申告書上10%にすればよいのではなく、実態として事業共用割合を10%にしなければなりません。
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もしも今現在、
- 信頼できる税理士に依頼したい
- 自身の状況に合わせた税務アドバイスがほしい
- 税理士の費用相場がわからない
上記のようなお困りがありましたら、比較ビズへお気軽にご相談ください。比較ビズでは、複数の税理士・公認会計士に一括で見積もりができ、相場感や各社の特色を把握したうえで業者を選定できます。見積もりしたからといって、必ずしも契約する必要はありません。まずはお気軽にご利用ください。
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