社員旅行は経費で計上できる?3つの条件と認められないケースを紹介

小西裕也税理士事務所
監修者
小西裕也税理士事務所 税理士 小西裕也
最終更新日:2023年06月20日
社員旅行は経費で計上できる?3つの条件と認められないケースを紹介
この記事で解決できるお悩み
  • 社員旅行は経費計上できる?
  • 経費にするための条件は?
  • 経費で認められないケースとは?

「社員旅行は経費計上できる?」「社員旅行を経費計上するための必要書類は?」とお悩みの方必見。

社員旅行を経費計上するためには、4泊5日以内、職場従業員50%以上が参加、不参加者に代わりの金銭を支給しない、などの条件があります。

この記事では、社員旅行を検討している担当者向けに、経費と認められないケースや計上の注意点を解説します。

この記事を読み終わった頃には、適切な方法で社員旅行を実行できるでしょう。

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社員旅行は福利厚生費として経費計上可能

企業が従業員の福利厚生のために企画した社員旅行は「福利厚生費」として経費計上が可能です。私的な旅行は経費処理できません。

福利厚生費で計上するためには、いくつかの条件を満たす必要があります。条件を満たしていても経費計上できないケースもあり、慎重な計画が必要です。間違った認識で実行すると、会社だけではなく従業員も負担を被る可能性があるため注意しましょう。

社員旅行が経費(福利厚生費)に認められる3つの条件

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社員旅行を福利厚生費として計上するためにクリアすべき条件は、次の3つです。

  1. 4泊5日以内
  2. 職場従業員50%以上が参加
  3. 不参加者に代わりに金銭を支給しない

1. 4泊5日以内

国税庁によれば、国内外問わず現地での滞在日数が4泊5日以内の旅行は課税対象になりません。4泊5日以内の期間であれば一般的に「レクリエーション旅行」と認められ、旅行費用が「給料」には該当しないためです。

海外に行く場合は、現地で過ごす時間が4泊5日以内である必要があります。移動時間は換算しないため、参考にしてスケジュールを組み立てるといいでしょう。

国税庁の確認は旅程表で行われます。資料はすべて保管し、いつでも税務調査官に提示できるように準備しましょう。

2. 職場従業員50%以上が参加

非課税で社員旅行を実行するためには、社員旅行に参加した人数が、従業員の50%以上である必要があります。参加者の割合は、国税庁からの勘案の際に社員名簿と参加者リストで確認されます。

複数の拠点や工場などを持つ企業の場合、全社単位ではなく職場単位で参加者の割合が判断基準です。複数拠点それぞれの職場に、50%以上の従業員が参加することで課税はされません。 50%以内の従業員や役員だけによる旅行の場合、旅費は給与扱いで所得税の課税対象になります。

3. 不参加者に代わりに金銭を支給しない

経費計上する条件の1つに「不参加者に代わりに金銭を支給しない」と定められています。旅行期間が4泊5日以内で従業員の50%以上が参加する場合でも、旅行に参加しない人に金銭を支給すると給与とみなされます。以下、国税庁公式サイトからの引用です。

上記いずれの要件も満たしている旅行であっても、自己の都合で旅行に参加しなかった人に金銭を支給する場合には、参加者と不参加者の全員にその不参加者に対して支給する金銭の額に相当する額の給与の支給があったものとされます。

引用:国税庁

社員旅行が経費にならない4つのケース

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社員旅行はすべて経費計上できるわけではないため、企画の段階で条件を外れていないかチェックする必要があります。とくに次の4つのケースに該当すると、経費計上できず課税対象になるため注意しましょう。

  1. 不参加者への金銭支給をした場合
  2. 福利厚生の条件を満たさない場合
  3. 一部の社員のみが参加する場合
  4. 取引先が参加する場合

1. 不参加者への金銭支給をした場合

社員旅行に参加できない従業員に、社員旅行の費用に該当する金銭を支給すると、旅行全体が所得税の課税対象となります。 旅行費用が福利厚生費ではなく給与とみなされるためです。

注意点は、不参加者に支給した金額だけではなく旅費を含めた全体的な費用が課税対象になる点です。不参加従業員が受け取った金銭はもちろん、参加した社員のための旅行費用も給与とみなされます。

1人でも金銭支給を受けた場合、旅行参加者全員の旅行費用が課税対象になります。「社員旅行の不参加者には旅行費用分の金銭支給はない」旨を募集時点であらかじめ伝達しましょう。

2. 福利厚生の条件を満たさない場合

社員旅行が福利厚生と満たされる条件を外れた場合、課税対象となります。経費計上するためには、一般的な社会通念上の「レクリエーション旅行」の枠におさまっていることが条件です。

4泊5日以内であっても発生する費用があまりに高額であれば「レクリエーション旅行」とは認められません。国税庁の提示する目安として、1人あたりの会社負担額が10万円以内であれば「レクリエーション旅行」と認められます。

1人あたりの金額・泊数・参加率のうち1つでも条件を満たさない場合は、給与として扱われることに注意しましょう。すでに実施した場合でも後から課税されるため、企画段階から綿密に計画を進める必要があります。

3. 一部の社員のみが参加する場合

会社役員だけで行う慰安旅行は、福利厚生には該当しません。福利厚生はあくまで全従業員を対象とし、平等に実施されるものです。成績優秀者や幹部候補社員などに限定して実施することは福利厚生の範囲外になります。

レクリエーション目的の旅行ではなく、役員で事業計画を検討する合宿会議をしたケースの場合、会議費として経費処理できます。計画を立てる際は、旅行がどの分類に該当するか事前にチェックしましょう。

4. 取引先が参加する場合

同じ旅行に取引先を同伴させる場合、企業のレクリエーション旅行と認められず経費にはなりません。社外の人間が参加すると、福利厚生の旅行には該当しないためです。

取引先や関係者など社外の参加者を含む場合、経費をすべて別計算し交際費として処理する手段があります。旅行を経費処理するためには別の手続きが必要になるため、計画・準備にまつわる書類や領収書は確実に管理しましょう。

社員旅行を経費計上するための4つの注意点

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付随する費用には経費として計上できない科目があります。次の3つのケースでは、福利厚生費とは分けて計上し、別科目として経理処理されなければなりません。

1. パスポート代は計上されない

パスポート申請代は社員旅行とは切り分けて処理しましょう。パスポートは業務遂行上の必要から支給されるものではなく、5年以上個人に帰属するものであるためです。会社側で費用を負担する場合、福利厚生費や租税公課などの経費にできますが、税務上では給与として扱われます。

社員旅行で海外に行く場合、すべての従業員にパスポートが必要となります。 パスポートの発行・更新には1人あたり数千円〜1万円の費用がかかるため、会社で負担する場合は事前に金額を概算しましょう。

2. 家族同伴の場合は福利厚生費にならない

社員旅行に従業員の家族を同伴させた場合は、給与として扱われます。家族の参加費まで会社が負担するのは一般的ではなく、同伴させる家族を持たない単身者との不公平も発生するため福利厚生のルールに反します。

過去に裁判の例があり、国税不服審判所の裁決で「社会通念上一般的に行われている福利厚生行事とは認められない」とされました。

判例がないものの、身体障害者の従業員に付き添いが必要とされる場合には、別途正式な判断が求められるでしょう。 事前に専門家に確認をとると安心です。

3. 業務を兼ねる場合は福利厚生費にならない

社員旅行が業務と観光を兼ねる場合、観光期間は福利厚生費として計上できません。業務以外の時間の私的な旅行費を会社が負担した場合、給与として課税されます。

出張と観光を行い費用は全額会社負担の場合、企画段階から日程ごとに経費計算を分け、観光にあたる日程の費用は給与課税としましょう。出張業務を行いながら、半分は観光も行うケースは長距離出張では珍しくありません。

該当するケースを詳しく知りたい方は国税庁のタックスアンサーを参照してください。

社員旅行の経費計上に必要なもの

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社員旅行を経費計上するためには、条件を満たして適切な処理をしなければなりません。国税庁からの勘案の際には、対象となる社内旅行の実態を細かく確認されます。「証拠書類の保管」や「就業規則への明記」など、経費計上するうえで必要な項目はすべて実施するようにしてください。

1. 領収書や発注書の保管

社員旅行が実施された証拠として次の書類は必ず保管し、国税庁の指摘を受けないよう準備することが重要です。

  • 参加者リスト
  • 旅行のスケジュールやパンフレット
  • 旅行中の請求書や領収書
  • 現地での集合写真

参加者は全員漏れなくリストアップしましょう。旅行のスケジュールを作成し、証拠としてデータ保管します。旅行中は発生した請求書や領収書は確実な管理が大切です。現地での集合写真を残しておくと、社員旅行が適切に実施された証明になります。

2. 就業規則に社員旅行実施を明記

会社の就業規則に「福利厚生として定期的に社員旅行を行う」旨を明記しましょう。税務調査が行われた際、社員旅行が私的な目的や従業員に不平等な施策ではなく、従業員全員に公平に参加する権利がある裏付けになります。

まとめ

この記事では、社員旅行を福利厚生費として計上するためにクリアすべき条件や経費計上に必要な書類などを解説しました。チームワークを向上させたり業務にプラスになる刺激を得られたりするため、人件費として費用対効果も期待できるでしょう。

社員旅行にまつわる経費計上は、さまざまな要素を総合して複合的に判断されます。条件をみたさない場合、別の処理が必要になるため、不明点があればプロに相談すると安心です。

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監修者のコメント
小西裕也税理士事務所
税理士 小西裕也

1990年生 大阪府出身 大阪大学経済学部卒業。個人事務所、200人規模の税理士法人で実務経験を積み、2021年に独立。「お客様との対話を大事にする」をモットーに、クラウド会計を活用し、顧客に合わせた節税策や資金繰り対策を積極的に提案。ZOOMを使ったオンライン顧問サービスを行い、クライアントは全国に。

社員旅行はあくまで従業員のモチベーションの向上や福利厚生を目的として行うものです。家族経営の個人事業主や中小企業が、従業員である家族とだけで実施する社員旅行は、慰安旅行の意味合いが強く、経費として認められることは非常に難しいです。

経費として計上するための一般的なルールは、記事にも記載しているように、
4泊5日以内の旅行であること
⊇抄醗の50%以上が参加していること
2饉夘蘆干曚1人10万円以内であること
という数値で判断できる基準が設けられています。

上記のルールを逸脱すると、旅行にかかった費用が給与として所得税の課税対象となります。 社員旅行を経費としたい際は、ルールに注意をして企画していきましょう。
比較ビズ編集部
執筆者

比較ビズ編集部では、BtoB向けに様々な業種の発注に役立つ情報を発信。「発注先の選び方を知りたい」「外注する際の費用相場を知りたい」といった疑問を編集部のメンバーが分かりやすく解説しています。

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