民泊経営で確定申告は必要?注意すべきポイントについて解説!
- 民泊経営ではどんなケースで確定申告が必要?
- 確定申告で重要になる所得区分って何?
- 民泊の確定申告で賢く節税するにはどうしたらいい?
民泊とは、自分の家や賃貸物件を一時的に宿泊場所として貸し出すことです。簡単に始められる副業として人気があり、旅行者にとってもメリットがあります。民泊を始めたいと思っているのであれば、確定申告について知っておくことも重要です。
この記事では、民泊経営をする際の確定申告について解説します。とくに民泊経営が必要なケースや所得区分、賢い節税方法について説明するので、これから民泊を経営しようと考えている方は、ぜひ参考にしてください。
民泊経営で確定申告が必要なケース
民泊経営で確定申告が必要なのは、所得が一定額を超えるケースです。民泊経営が副業なのか本業なのかによって確定申告すべき所得額が変わります。 サラリーマンで給料をもらっている人は民泊経営が副業、民泊で得る収入がもっとも多い方は本業と考えられるでしょう。
民泊経営が副業:年間所得が20万円を超えると確定申告が必要
ここで重要なのは、「収入」ではなく「所得」が20万円である点です。所得は収入から必要経費を引いたものなので、収入が20万円を超えていても所得が20万円を超えるとは限りません。必要経費を漏れなく計上することで、所得を減らし所得税額を抑えられます。
民泊を含め副業を複数行っているのであれば、すべての副業所得の合計が20万円を超えた場合に確定申告が必要になるので注意しましょう。
民泊経営が本業:年間所得が48万円を超えると確定申告が必要
民泊経営を本業にしているのであれば、年間所得が48万円を超えると確定申告しなければなりません。所得税の基礎控除額が48万円であることが理由です。
民泊経営の確定申告で重要な「所得区分」
民泊経営の確定申告では、所得区分が非常に重要なポイント。2018年6月15日に施行された住宅宿泊事業法、通称民泊新法で民泊の所得区分が定義されており、民泊経営を考えている方は知っておかなければなりません。所得区分によって、節税方法も変わってきます。
所得区分のおおよその分け方は以下のとおりです。
- 雑所得:不動産所得や事業所得に該当しない民泊経営
- 不動産所得:不動産の貸付によって収入を得る民泊経営
- 事業所得:事業規模が大きく継続的に行われる民泊経営
雑所得になるケース
民泊経営は基本的に雑所得に区分されます。これは国税庁が発表した 「住宅宿泊事業法に規定する住宅宿泊事業により生じる所得の課税関係等について」に、以下のように記載されているからです。
自己が居住する住宅を利用して住宅宿泊事業法に規定する住宅宿泊事業を行うことによる所得は、原則として雑所得に区分されます。
民泊は寝具などの賃貸料やクリーニング代、室内清掃費などが対価に含まれているので、一般的な不動産賃貸とは異なります。民泊では宿泊日数も限られているため、雑所得に分類されるというのが国税庁の見解です。
雑所得は、他の所得と損益通算ができず、青色申告特別控除が適用されない点に注意しましょう。
不動産所得になるケース
もともと不動産業を営んでいる人の場合、民泊経営が不動産所得に分類されるケースもあります。国税庁「住宅宿泊事業法に規定する住宅宿泊事業により生じる所得の課税関係等について」には以下のような記載があります。
不動産賃貸業を営んでいる方が、契約期間の満了等による不動産の貸付け終了後、次の賃貸契約が締結されるまでの間、当該不動産を利用して一時的に住宅宿泊事業を行った場合に得る所得は、雑所得とせず、不動産所得に含めていただいても差し支えありません。
民泊経営である限りは、室内清掃や寝具のクリーニングなどのサービスも提供することが求められ、単なる不動産貸付とは性質が異なります。付属サービスが含まれる民泊では、不動産所得が認められにくいことを覚えておきましょう。
事業所得になるケース
民泊を本業にしている場合、または所得税法の事業として経営されていることが明らかなケースでは、所得区分が事業所得となります。事業規模が大きいと、雑所得ではなく事業所得と見なされる場合も。民泊の規模に加え、継続的に事業が行われているかどうかも所得区分を決めるポイントです。
Airbnb経営は雑所得か不動産所得
Airbnb経営をしている場合、所得区分は雑所得か不動産所得です。自宅の一室をゲストに提供するのであれば雑所得、賃貸物件を利用しているのであれば不動産所得といえます。
民泊経営の確定申告で認められる経費は?
民泊経営で得た利益を少しでも多く手元に残すためには、経費を漏れなく計上することが非常に重要です。民泊経営の確定申告で認められる経費の例は以下のとおりです。
- 家賃
- 租税公課
- 掃除グッズ
- ベッドやテレビなどの備品
- サービスとして提供しているWi-Fi
- 送迎で使っているガソリン代
- 宿泊者に提供する飲食費
- 水道光熱費
- Airbnbに支払う手数料
民泊経営の確定申告で認められる経費については、下記の記事で詳しく解説しています。
民泊経営で確定申告する際の注意点2つ
民泊経営で確定申告する際、以下の2つの点に注意しなければなりません。
どちらも大きなリスクになるので、民泊経営を考えている方は必ずチェックしておきましょう。
住宅ローン減税が受けられなくなる恐れがある
国土交通省では住宅ローン減税を受ける要件として「自らが居住する住宅」と定義しています。 民泊経営をしていて、自宅のかなりの部分をゲストに提供している場合、「自ら居住するための住宅」に該当しないと判断される恐れがあるのです。
自宅を数日程度貸したからといって住宅ローン減税が受けられなくなることはありませんが、長期的かつ継続的の場合、住宅ローン減税が適用できない可能性があります。
確定申告を忘れると重いペナルティがある
民泊経営をしている方は、確定申告を忘れるリスクについて理解しておくべきです。確定申告をしないと無申告加算税や延滞税、重加算税が科せられる恐れがあります。それぞれの税率は以下のとおりです。
- 無申告加算税:50万円までは15%、50万円を超える部分は20%
- 延滞税:納期限の翌日から2ヶ月まで7.3%、それ以降は14.6%
- 重加算税:無申告加算税に代えて40%
通常の所得税と比べてかなり高い税率が設定されているので、確定申告は期限通り正確に行うようにしましょう。
民泊経営では法人設立が賢い節税方法
民泊経営で賢く節税したいのであれば、法人設立がおすすめです。個人事業主と法人では節税できる幅が大きく異なります。法人化すれば、売上が会社のものになるため、役員報酬の支払いや経費計上によって所得を圧縮できるでしょう。
法人設立によって、より多くの経費を計上できるのもメリットです。退職金の積立金や年間800万円までの接待交際費、税理士への報酬なども経費になります。会計処理がやや複雑になるものの、民泊経営を継続して行っていくのであれば法人化を検討するとよいでしょう。
まとめ
民泊経営は本業か副業かによって確定申告すべき所得額が変わります。所得区分に注意しながら、期日通り確定申告を行うようにしましょう。経費を漏れなく計上したり法人化したりすることで賢く節税し、さらに民泊経営の規模を大きくしていくことも検討できるのです。
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岐阜県出身。上場会社の経理に勤務する傍ら、竹中啓倫税理士事務所の代表を務める。M&Aなどの事業再編を得意とし、セミナーや研修会講師にも数多くあたるほか、医療分野にも造詣が深く、自ら心理カウンセラーとして、心の悩みにも答えている。税理士会の会務では、名古屋税理士協同組合理事を務める。

最近、民泊を営まれている方にお会いするケースが増えてきたように思います。確かに気軽に始められるという点では、ハードルは低いのかもしれません。
特に外国人旅行者には喜ばれるのかもしれませんが、やはり、事業としてやられるかどうかは個人毎に差はありますが、確定申告は必要となりますので、注意が必要です。
ほかに職を持っていらっしゃらない場合でしたら、基礎控除48万円以下の所得の場合、申告は不要ですが、副業として行われる場合は、20万円を超える利益があった場合、本業と合わせて確定申告が必要になりますので、その違いに気を付けてください。
時々、「103万円までは申告は不要でしょ」とおっしゃっている方をみかけます。103万円は給与で収入を得ている場合の基準になります。
給与の場合は、給与所得控除という最低で55万円という、みなしの経費が認めてもらえるので、103万円-55万円=48万円ということで、確定申告は必要ありません。この場合は、48万円を超えると確定申告が必要となりますので、しっかり違いを覚えておいてください。