せどり(転売)で経費にできる支払いは?パソコン代・交通費・家賃は計上可能

税理士法人烏丸会計事務所
監修者
税理士法人烏丸会計事務所 代表社員・税理士 堀井 優
最終更新日:2023年05月24日
せどり(転売)で経費にできる支払いは?パソコン代・交通費・家賃は計上可能
この記事で解決できるお悩み
  • せどりで経費にできる支払いは?
  • パソコン代・交通費・家賃を経費にできるの?
  • 確定申告における経費計上で注意すべき点は?

せどり(転売)では業務に必要な支払いを経費に計上できます。しかし「具体的にどれを経費にできるの?」と疑問を持つ方もいるでしょう。

本記事では、せどりで経費にできる支払いについて解説しています。最後まで読むとせどりにおける経費計上のポイントを理解でき、適切に処理できるでしょう。

「せどり(転売)にかかる経費を正しく計上したい」という方はぜひ参考にしてください。

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せどり・転売にも確定申告が必要?

せどり・転売で利益を上げた場合には確定申告が必要になります。「黙っていればバレないんじゃないの?」と思う方も多いかもしれませんが、近年せどり・転売に対して税務署が目を光らす機会が増えていると言われており、申告をしないでいるとある日突然税務署から連絡が来るといった怖いことになりかねないのです。

せどり・転売は「雑所得」で申告

インターネット・パソコンを活用した副業の多くは確定申告における「雑所得」に分類されます。同じ副業でも国内FXのように納税の際に特別な優遇が適用されるわけでもなく、収入に対して控除が適用されるわけでもありません。

いわば「収入がそのまま課税対象になってしまう」面があるだけにできるだけ経費をうまく計上して収入に対して所得を減らす工夫が必要になるのです。

どんなものが経費になる?

そうなると気になるのが「せどりや転売では何が経費になるか?」です。これはどんな形でせどり・転売を行っているかによって異なるので自分の環境に合わせた経費の計上が求められる部分があります。

ネットでせどりをしている場合

せどりをしている人でもっとも多くみられるのがネットオークションなどを利用して利益を得ているパターンでしょう。自分でネットオークションで売買する場合はもちろん、安く購入したものを業者や店舗に転売する場合にもネットを利用すると便利だからです。

この場合にはネットに関連する通信費を経費として計上することができます。ですから通信費が安いけれども通信速度などの面で不便を感じる環境で副業を行うくらいなら、月々の負担が少々高くなっても快適な環境で副業ができる通信環境で経費に計上した方がよいとも言えます。

全額通信費を経費に計上は微妙なところ

ただし注意したいのは通信費が全額経費として計上できるとは限らない点です。ライターなどの副業ではかなりの時間ネット・パソコンを使って仕事を行う必要があるため、全額通信費を経費に計上してもそれほど問題になりませんが、せどり・転売の場合は必ずしもそうとは言えないからです。

例えばせどりを行う商品の仕入れは実際にあちこちの店舗を回って入手し、転売だけネットで行う場合、実際に仕事にパソコン・ネットを使う時間はごくわずか。そんな場合には全額ではなく使っている時間に応じて通信費のうちどれぐらいを経費に回すかを検討する必要があるのです。

プライベーとでネット・パソコンを使っている時間との割合なども考慮したうえで適切な金額を経費として計上するようにしましょう。この「按分」こそせどり・転売で利益を得た場合の確定申告のやり方の最大のポイントといってもよいでしょう。

またネットでせどりを行う場合にはネットオークションの手数料をはじめとした諸経費が必要になる場合もあります。そんな時には実際にせどりに関連した出費に限り、全額を経費として計上することができます。当然のことながらプライベートな目的でネット通販を利用したときの諸経費は含まれません。

例えばネット通販でかかる送料や代引き手数料なども経費に計上することができるわけです。細かい数字になりますが、頻繁に利用する機会も多くなるだけに一年間の総額がかなりの金額になることも少なくありません。利用明細などをよく確認して把握に努めましょう。

パソコンなどの機器は経費に計上できる?

判断が難しいのがパソコンなどせどりに利用する際の機器にかかった費用です。パソコン、ネット回線なしでのせどり・転売は考えられないだけにきちんと把握したうえでの経費の計上が求められます。

この点でも先ほど通信費で挙げた「どこまで仕事として使っているのか」の判断が重要になります。これを按分と呼んでおり、個人事業主が確定申告を行ううえでの非常に重要なポイントとなっています。

せどり・転売専用のパソコンを購入する方は少ないでしょうから、プライベートと仕事兼用の形で購入することになります。ただこの点はそれほど厳密に考える必要はなく、仕事に使うパソコンを買い替えた場合には経費に計上してもとくに問題はないでしょう。

ただ極端に副業でパソコンを使う時間が少ない、プライベートで使う時間とのバランスが偏っている場合には気を付けましょう。

注意したいのはその購入金額です。これはせどりだけでなく副業全般に言えることですが、パソコンの購入代金が10万円を超過した場合には経費の計上に少し工夫が必要になるのです。

この点は副業としてせどりを行う場合、20万円までがひとつのターニングポイントとなります。購入代金が10万円までの場合にはその年の経費に全額計上(減価償却)できる一方、10万円超20万円未満の場合には3年間に分けて経費として計上することができます。これを「一括償却資産」と言います。

例えば15万円のパソコンを購入した場合、1年目は5万円、2、3年目も5万円の形で経費に計上できることになります。せどりにそれほど高額・高性能なパソコンは必要ないでしょうから、簡単に経費計算をしたい場合には10万円以内に抑えるのが基本です。

そのほかパソコン・ネットに関連するモニターやプリンター、ハードディスクなども経費に計上できますし、ケーブルなどの部品も同様です。

交通費関連の出費は経費に計上できるのか

せどりの経費に関してもうひとつ難しいのが交通費関連の出費です。せどりの醍醐味は他の人が知らない「お値打ちもの」を安く購入して転売することです。ネットの情報だけに頼らず自分の足で探し回ることで利益を得る機会が出てくるもの。しかしその分交通費がかさみます。

交通費も経費として計上することが可能

原則として交通費も経費に計上することができます。しかしここでもあくまで「仕事のためにかかった経費」に限定されます。具体的には商品の仕入れや売却のために外出したときにかかった交通費が該当します。

せどりの場合難しいのはどこまでプライベートでどこからが仕事なのかの分類が難しいことでしょう。旅行中に立ち寄った店でよい商品を見つけて転売で利益を上げることができたら旅費をすべて経費に計上できるのか?答えはもちろん「NO」です。ここでも「按分」の考えによる計上が求められます。

また車やバイクを購入した場合にはどうなるのか?せどりの商品の中には大きなもの、重いものもありますから車は重宝するもの。この場合でも購入金額全額ではなく、「按分」に応じて経費に計上することになります。もっぱらせどりのために車を使っている方は購入金額のかなりの割合を経費として扱うことができるわけです。

ただしこの場合でもパソコンと同じ10万円以上20万円未満は一括償却資産の形で3年に分けて経費計上する必要があります。

そのほか注意したい点

そのほかせどり・転売における確定申告で注意したい点としては家賃や光熱費など生活にかかわる出費でしょう。

自宅を仕事場とする個人事業主の場合にはこれらも経費として計上することができますが、もちろん全額ではなく、仕事とプライベートの時間のバランスを考慮したうえでの計上となります。1日4時間働いているなら家賃の6分の1を経費として計上できるわけです。

わからなかったら税理士に相談を!

このようにいろいろな形で経費を計上し節税をすることができるわけですが、あまりやりすぎると税務署に目をつけられてしまいます。収入に対してあからさまに経費が多い、前年に比べて経費が一気に増えたといった不自然な申告がみられると税務署からの指摘が入る可能性が出てきます。

あくまで適切な範囲内で、税務署から指摘された際にきちんと説明できる範囲内で申告するようにしましょう。

そしてわからないことがあったら専門家の税理士に相談しましょう。「そんなお金はない」と思う方も多いと思いますが、確定申告シーズンでは税務署が無料で税理士の相談コーナーを設けていることもありますから、そういったサービスをどんどん利用して対策をしましょう。

まとめ

せどり・転売で大きな利益を上げる機会にも恵まれている時代。それだけに納税への意識をしっかり持つことが重要です。経費への正しい意識はそんな納税対策の基本中の基本といえるでしょう。

なお「手間なく正確に経費計上を行って確定申告を終わらせたい」という場合は、税理士に依頼するのも一つの手です。

税務のプロが正確に処理を行ってくれる上に自身ではできないような節税対策も講じてくれます。税理士に依頼することで納税額を減らせるでしょう。

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監修者のコメント
税理士法人烏丸会計事務所
代表社員・税理士 堀井 優

1967年生 静岡県出身 法政大学経営学部経営学科卒業。証券会社の法人営業、投資信託委託会社を経て、主体的な生き方を求め税理士業界へ。税務会計に携わって27年、地場中小企業中心に上場企業、IT・ネット関連、メディア・広告、大規模宗教法人・社会福祉法人など多くの税務顧問を務め、京都府包括外部監査補助者(2004年)、地域公益法人の監事(2019年〜)に就く。圧倒的な経験と多彩なクライアントから得たノウハウを創業間もない起業家にリーズナブル価格で提供したいとの思いから創業支援センターを立ち上げている。

副業などでせどり・転売を行っている方は多いと思います。副業だからといって確定申告が不要とはなりません。サラリーマンでは、給与所得以外の所得が20万円以下の場合のみ、確定申告が不要となりますので、20万円を超える場合は、確定申告が必要です。

副業でのせどり・転売は雑所得という区分で所得計算していきます。所得とはすなわち利益(もうけ)で、収入ー経費で計算されます。収入は転売等による収入ですので、問題ないと思います。経費は、
(1)収入金額に対応する売上原価その他収入金額を得るために直接要した費用の額
(2)その年に生じた販売費、一般管理費その他業務上の費用の額
とされています。

(1)の売上原価とは、収入を得た(売れた)商品の仕入原価ということですので、売れてない商品の仕入原価は経費となりませんので注意が必要です。また、(2)の販売費、一般管理費等については、記事に書かれていた按分という問題が生じてきます。通信費や消耗品、家賃や光熱費を支払っても、それが全て経費となるわけではありません。せどり・転売業務をしなくても発生する費用(家事費)が含まれているからです。

この按分についても、
1,面積比や時間比など合理的な根拠があること
2,一度採用した按分比率は状況の大きな変化がない限り継続すること
などのポイントに注意が必要です。しっかりと所得計算をして、申告漏れを防ぎましょう。細かな計算が苦手な方や経験が無い方は専門家(税理士)に依頼するのも一つの方法です。検討してみましょう。
比較ビズ編集部
執筆者

比較ビズ編集部では、BtoB向けに様々な業種の発注に役立つ情報を発信。「発注先の選び方を知りたい」「外注する際の費用相場を知りたい」といった疑問を編集部のメンバーが分かりやすく解説しています。

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