生保レディ・保険外交員の確定申告ガイド!申告方法と節税対策を解説

最終更新日:2023年03月15日
小西裕也税理士事務所
監修者
税理士 小西裕也
生保レディ・保険外交員の確定申告ガイド!申告方法と節税対策を解説
この記事で解決できるお悩み
  • 生保レディはどんなケースで確定申告が必要?
  • 生保レディが経費にできる支出は何?
  • 生保レディが賢く節税するための方法は?

生保レディの中には確定申告しなければならない方もいますが、自分が確定申告する必要があるのか曖昧な方も多いでしょう。

この記事では、生保レディが確定申告しなければならないケースとは何か、どんな方法で節税できるのかについて解説します。具体的な確定申告の方法についても説明するので、申告方法で不安をお持ちの方もぜひ参考にしてください。

確定申告ってどんなもの?生保レディ・保険外交員が知るべきこと

確定申告とは、1年間にどれだけの所得があったか申告し、所得税額を確定するためのものです。サラリーマンは、毎月給料から一定額の所得税が概算で源泉徴収されています。そして年末において所得が確定することで所得税の年税額も確定しますので、その年税額と概算払いした所得税との差額を年末調整で精算します。

個人事業主の場合、源泉徴収はないので、確定申告によって自分で所得税を確定しなければなりません。サラリーマンでも副業の所得が20万円を超える場合には確定申告が必要です。

雇用形態で確定申告の要否が変わる

生保レディの場合、主な雇用形態は以下の2つです。

  • 雇用契約
  • 外部委託契約

雇用契約の場合、雇用主である保険会社が毎月の給与から源泉徴収を行います。生保レディ本人が確定申告を行う必要はありません。

外部委託契約の場合は個人事業主になるので、事業所得として確定申告を行います。自分の雇用形態を確認して、確定申告が必要かどうか判断しましょう。

生保レディ・保険外交員に確定申告が必要になる3つのケース

  • 生保レディ・保険外交員が副業
  • 生保レディ・保険外交員が本業
  • 生保レディ・保険外交員が個人事業主

確定申告が必要になるケースは、生保レディを副業としているか本業としているかによって異なります。

雇用形態だけでなく、どの程度の所得があるかによっても変わるのがポイント。判断する基準について知っておくことが重要です。上記の3つからみていきましょう。

生保レディ・保険外交員が副業

生保レディを副業としている場合、所得が20万円を超えると確定申告しなければなりません。生保レディ以外にもブログやライターなどの副業をしていて、所得の合計が20万円を超えた場合も同様です。

ここで重要なのは、収入ではなく所得が20万円を超えているという点。所得は収入から経費を引いたものなので、収入が20万円を超えていても、経費を引いた所得が20万円以下であれば確定申告は必要ありません。

生保レディ・保険外交員が本業

生保レディが本業であれば基本的に確定申告は必要ありません。会社が源泉徴収と年末調整をしてくれるので、自分で所得税を納めなくてもよいのです。

ただし、以下のケースでは確定申告しなければならないので注意しましょう。

  • 年間収入金額が2,000万円を超える
  • 副業の総所得が20万円を超える
  • 2カ所以上で収入があり、いずれも年末調整を受けていない

生保レディ以外にも副業で収入を得ているのであれば、確定申告が必要になる可能性があります。管理職になると、年間収入金額が2,000万円を超えるかもしれません。この場合、所得ではなく収入金額であることに注意が必要です。

生保レディ・保険外交員が個人事業主

生保レディが個人事業主の場合、所得が48万円を超えると確定申告しなければなりません。これは、どんな人でも一律控除される「基礎控除額」が48万円だからです。

以下の計算式で所得を計算し、所得税額を確定する必要があります。

所得の計算式

所得=保険手数料売上−経費−控除

個人事業主は所得に関わらず確定申告すべき

個人事業主の所得が48万円以下であれば、基本的に確定申告の義務はありませんが、住民税や国民健康保険料を算出するためには確定申告が必要です。 所得が確定していないと融資にも悪影響がおよぶ恐れがあるので、所得に関わらず確定申告しておいた方がいいでしょう。

不動産所得や譲渡所得などがあり赤字が発生しているならば、事業所得の黒字と損益通算して所得税額を減らすことも可能です。

生保レディ・保険外交員が経費にできる支出5つ

生保レディ・保険外交員が経費にできる支出5つ

生保レディが確定申告する際には経費を正確に申告しなければなりません。どんな支出が経費になるのか知らないと、正しく経費を計上できないので注意が必要です。生保レディが経費にできる支出の主な例は上記の通りです。

生保レディの経費についてさらに詳しく知りたい方は、「生保レディ(保険外交員)の経費解説/美容院代はどう計上?」をご覧ください。

衣装代

生保レディが仕事に使うスーツやブラウスなどの衣装代は経費にできます。スーツは生保レディの仕事に必須と考えられるからです。仕事でもプライベートでもスーツを使うのであれば、「家事按分(かじあんぶん)」して経費を計上します。

家事按分(かじあんぶん)とは?

家事按分とは、ある支出が仕事用とプライベート用の両方に関係している場合、仕事に使った分の比率で経費を計上することです。5万円のスーツを購入し、仕事とプライベート半々で使用したとすると、仕事で使った50%にあたる2万5,000円は経費にできるのです。

書籍代・セミナー参加費用

生保レディとして売り上げを向上させるために使った書籍代やセミナー参加費用は、確定申告の際に経費に計上できます。知識を増やすために読んだ新聞の購読費や仕事に関係するWebサイトの年会費も経費計上可能です。何のために購入した書籍やセミナーだったのかきちんと記録を残しておきましょう。

備品消耗品費

生保レディが仕事で使う備品を購入した場合には、経費になります。ボールペンや手帳、化粧品などが該当します。

取得価額が10万円未満であれば備品消耗品費として一括処理できますが、10万円以上の備品は固定資産になり減価償却しなければなりません。

交通費

仕事で車やバイクを使っているのであれば、交通費を経費にできます。ガソリン代や高速料金は仕事に使ったことが証明できれば全額経費計上可能です。

公共交通機関の利用料金も同様に経費に計上します。 公共交通機関の利用料金や電子マネーは支出の記録が残らないことがあるので、利用明細や出金伝票を使用しましょう。

通信費

生保レディは、電話やSNSを頻繁に使うので通信費が経費になります。自宅で仕事をしているのであれば、インターネット回線の費用やプロバイダ料金も経費です。 電話やインターネットはプライベートでも使用するので家事按分しなければなりません。

一つひとつ仕分けしていくのは手間がかかりすぎるので、大まかに仕事とプライベートの使用割合を計算して経費にしましょう。税務署から割合の根拠を尋ねられたときに説明できるようにしておくことが重要です。

確定申告をしなければどうなる?

  • 無申告加算税
  • 延滞税
  • 重加算税

確定申告を忘れたり怠ったりすると、厳しいペナルティが科せられます。生保レディとして忙しく働いていてうっかり確定申告を忘れた場合も同様に処罰されるので注意が必要です。

確定申告をしないと、上記のような罰則が科せられる恐れがあります。

無申告加算税

無申告加算税は、確定申告の期限を過ぎてしまった場合に科されるペナルティです。納税額に対して50万円まで15%、50万円を超える部分については20%の税率で計算されます。

延滞税

延滞税は、所得税を納税すべき期日の翌日から確定申告書を提出した日までの日数に応じて科される税金です。納期限の翌日から2ヶ月経過するまでに納税すれば税率は7.3%、それを過ぎると14.6%になります。

重加算税

重加算税は、帳簿の改ざんや所得隠しなどが発覚した場合に科されるペナルティです。所得を隠して申告をしなかった、帳簿を改ざんして所得を少なく偽装していたなどの悪質なケースでは、無申告加算税ではなく重加算税が課税されます。

無申告加算税が15%または20%なのに対し、重加算税は35%もしくは40%と非常に重い税率です。確定申告は期日までに必ず行い、正確な申告を心がけましょう。

生保レディ・保険外交員が確定申告を行うステップ

生保レディ・保険外交員が確定申告を行うステップ

生保レディが確定申告を行う場合、いくつかのステップを踏むことでスムーズに手続きを済ませられます。上記の3つからみていきましょう。

請求書や領収書を集める

請求書や領収書は税務署に提出する必要はありませんが、経費がいくらかかったか確認するために必要です。税務調査が入る場合には提示を求められるので、最低7年間は保管しておきましょう。

支払った医療費や生命保険料、国民健康保険料、公的年金は所得から控除できます。少しでも所得税を減らすために、普段から納付証明書や支払いの控えを保管しておくことが重要です。

青色申告か白色申告かを選ぶ

青色申告は最大65万円の青色申告特別控除や赤字を3年間繰り越せるメリットを受けられる一方、複式簿記による帳簿の作成が必要です。青色申告を選ぶ場合には、税務署に申告しなければなりません。

税務署に申告しなければ、白色申告で確定申告します。白色申告は比較的簡単な簡易簿記による帳簿の作成が認められますが、青色申告のような優遇措置がありません。どちらが自分に有利か判断するようにしましょう。

消費税の計算を行う

個人事業主の生保レディとして基準期間(2年前)における課税売上高が1,000万円を超える場合、その他一定の要件に該当する場合は、消費税の納税義務が生じます。消費税の計算式は以下の通りです。

消費税の計算式

消費税=売上(収入)にかかる消費税−経費にかかる消費税

消費税については、所得ではなく売上もしくは収入が1,000万円を超えると課税対象です。給与には課税されず、あくまで課税対象は生保レディとしての事業収入です。

生保レディとしての経費が多くない場合:簡易課税制度を利用

生保レディとしての経費がそれほど多くないのであれば、簡易課税制度の利用を検討すべきです。経費がそれほど多くない場合、多額の消費税を納めなければならないことがあります。 簡易課税制度は、基準期間(2年前)における課税売上高が5,000万円以下の事業者に適用される制度で、納税の事務負担を減らすために考案されました。簡易課税の計算式は以下の通りです。

簡易課税の計算式

消費税=売上げにかかる消費税−(売上げにかかる消費税×みなし仕入率)

生保レディのみなし仕入れ率は50%と定められています。生保レディはどちらか自分に有利な計算式を選べるので、消費税の負担が少ない方を選択しましょう。簡易課税制度を利用するのであれば、税務署に事前の届け出が必要です。

確定申告の流れ

生保レディの確定申告は、国税庁のHPに確定申告書等作成コーナーがあり、そこから数値を入力するだけで、簡単に決算書や申告書作成が可能です。作成した書類はe-tax又は出力してそのまま提出できます。個人事業主の生保レディが青色申告をする場合の流れは以下の通りです。

  1. 確定申告書Bを税務署で取得もしくは国税局のHPからダウンロード
  2. 支払報告書を生命保険会社から入手
  3. 経費と控除額を領収書・納付証明書から算出
  4. 確定申告書Bの作成
  5. 税務署に確定申告書と必要書類を提出

確定申告書の提出方法は主に以下の3種類あります。

  • 税務署に書類を直接提出
  • 郵送による提出
  • e-Taxによる電子申請

65万円の青色申告特別控除を受けたいのであれば、e-Taxによる電子申請が必要です。マイナンバーカードとカードリーダーが必要なので事前に用意しておきましょう。

生保レディ・保険外交員が行える節税3つ

生保レディ・保険外交員が行える節税3つ

生保レディが確定申告を行う場合、できるだけ所得を押さえて所得税額を少なくしたいと思うはずです。簡単に行える節税方法は3つあります。

経費をすべて申告する

生保レディが支払った経費は、確定申告の際にすべて申告しましょう。課税所得は収入から経費と控除を引いたものなので、経費が多くなれば所得が減ります。結果として所得税額を減らせるのです。

一つひとつの支出額はわずかでも、漏れなく経費を申告することで大幅な節税につながることもあります。税務署から疑問を持たれるような経費の申告は避けましょう。

青色申告を活用する

青色申告には、「最大65万円の青色申告特別控除が受けられる」「赤字を3年間繰り越して他の黒字と相殺できる」などのメリットがあります。

帳簿の作成はやや複雑になりますが、会計ソフトを使えばそれほど難しくありません。生保レディとしての事業規模が大きくなってきたなら青色申告を検討するとよいでしょう。

家内労働者特例制度を利用する

生保レディは、家内労働者特例制度の活用による節税が可能です。生保レディは「家内労働者」に該当し、以下の2つの要件を満たすと家内労働者特例制度が利用できます。

  • 事業所得もしくは雑所得がある
  • 給与の収入金額が55万円未満

家内労働者特例制度を利用すれば、実際にかかった経費の金額に関係なく合計55万円まで必要経費が認められます。経費が20万円しかかかっていなくても、55万円を経費として申告できるのです。給与の収入がある方は、「55万円−給与収入金額」が経費の上限です。

まとめ

生保レディは、雇用形態や所得の金額によって確定申告が必要かどうか変わります。期限内に確定申告しないと重いペナルティが科せられるので注意しましょう。必要経費を漏れなく計上し、青色申告や家内労働者特例制度を活用することで、効果的な節税が可能になります。

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監修者の一言

継続して特定の取引先からの仕事のみを受けているような人(家内労働者等)は、大きな経費が発生しないことがほとんどです。

給与所得者でも、所得から「給与所得控除」が差し引かれるのに対して、こういった人は所得から差し引けるものがなくそのまま税金が掛かってきてしまい、不公平となります。そこで、経費相当分ということで特例として55万円の所得控除が認められています。

家内労働者等の必要経費の特例に該当すると、実際にかかった経費の額が55万円未満でも、所得金額の計算上必要経費55万円が認められます。また、家内労働者でも青色申告できます。この場合、家内労働者等の特例55万円+青色申告特別控除65万円(最大)が控除されることになります。

ご自身にとって有利な方法を判断し、特例を有効活用していただければと思います。

小西裕也税理士事務所
税理士 小西裕也
監修者

1990年生 大阪府出身 大阪大学経済学部卒業。個人事務所、200人規模の税理士法人で実務経験を積み、2021年に独立。「お客様との対話を大事にする」をモットーに、クラウド会計を活用し、顧客に合わせた節税策や資金繰り対策を積極的に提案。ZOOMを使ったオンライン顧問サービスを行い、クライアントは全国に。

比較ビズ編集部
執筆者
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