不動産所得で経費にできるものとは?確定申告時における3つのポイントを解説

小西裕也税理士事務所
監修者
小西裕也税理士事務所 税理士 小西裕也
最終更新日:2023年11月29日
不動産所得で経費にできるものとは?確定申告時における3つのポイントを解説
この記事で解決できるお悩み
  • 不動産所得の確定申告が必要になる条件とは?
  • 不動産所得の経費として認められるものとは?
  • 不動産所得で経費計上する注意点とは?

不動産所得を得ている人は、確定申告時に不動産所得の申告が必要になります。不動産所得の経費として認められる項目を理解して、正しい確定申告をしましょう。

当記事では、不動産所得の確定申告条件や経費として認められるものを解説します。不動産所得で経費計上する際の注意点も紹介するため、参考にしてください。

記事を読み終わった頃には、不動産所得の経費になる支出が正しく判断でき、より効果的な節税対策ができるようになるでしょう。

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不動産所得の確定申告条件|20万円以上の不動産所得がある場合

TAX

不動産所得の確定申告は、不動産に関する収入から経費を差し引いた金額が20万円以上のときに必要です。副業をしている会社員の場合は、20万円の基準が副業で得たほかの所得とあわせた金額になる点に注意しましょう。

20万円の条件は、不動産「収入」ではなく「所得」になるため、経費である支出を正しく申告することで節税対策になります。

不動産所得には、以下のものが含まれます。

  • 不動産や駐車場の賃貸によって得られる家賃収入
  • 不動産売却時に得た売却益
  • 物件や駐車場を利用した広告収入

自身の所得が不動産所得になるか迷った際には、税務署や税理士に相談しましょう。

不動産所得の経費になる14の項目

家の受け渡し

不動産所得の経費になるのは、以下の14項目です。

  1. ローンの金利
  2. 保険料
  3. 管理会社への管理委託料
  4. 管理費
  5. 仲介手数料
  6. 修繕費
  7. 各種税金
  8. 司法書士や税理士への報酬
  9. 通信費
  10. 旅費・交通費

不動産に関する支出は経費に計上できます。

1. ローンの金利

土地や建物のローンにかかる金利は経費計上できます。不動産に関するものでも土地や建物の元金は経費計上にならないため注意しましょう。

2. 保険料

土地や建物に対する火災保険や地震保険などの損害保険料は経費計上できます。保険料の明細が手元にないときは、契約している保険会社から取り寄せましょう。

3. 管理会社への管理委託料

不動産の管理を依頼している会社に対する管理委託料金は経費計上できます。たとえば、家賃集金業務の委託や新規入居者の対応費用などがあります。

管理委託料の明細は毎月保存しておきましょう。

4. 管理費

不動産の共有部分を管理する費用は、経費の対象です。たとえば、不動産の清掃費用や設備点検費用などがあります。

委託している管理会社が共用部分を管理しているケースでは、管理委託料とあわせて明細に記載されています。

5. 仲介手数料

不動産を貸し出すときに発生した仲介手数料は経費計上できます。入居者を募集するために依頼した広告宣伝費も対象です。

6. 修繕費

持参している不動産の修理やメンテナンスした際に発生した修繕費は経費計上が可能です。修繕費が20万円以上で、資産価値を向上させる場合は、経費ではなく資産計上する必要がある点に注意しましょう。

経費計上は発生時点で収益と関連付けられる費用の計上で、資産計上は将来の経済的利益が期待できる計上になります。

7. 各種税金

不動産管理において、経費計上できる税金とできない税金があります。不動産所得の経費にできる税金は、以下のとおりです。

  • 固定資産税
  • 都市計画税
  • 登録免除税
  • 不動産取得税
  • 印紙税
  • 不動産投資に利用している自動車税
  • 利子税

不動産所得の経費にできない税金は、以下のとおりです。

  • 所得税
  • 住民税
  • 法人税

8. 司法書士や税理士への報酬

不動産に関するアドバイスを受けた専門家への報酬は経費計上できます。たとえば、司法書士への登記依頼や弁護士への訴訟依頼があります。

9. 通信費

不動産投資や不動産の運営に利用した通信費は経費計上が可能です。プライベートと同じ媒体を利用しているときは、不動産所得にのみ利用した分を按分しましょう。

10. 旅費・交通費

不動産所得に関係する旅費・交通費は経費計上できます。管理会社との打ちあわせのために利用した交通費が対象になります。経費計上できる交通費の領収証は大切に保管しておきましょう。

11. 自動車関連費用

不動産所得のために利用した自動車関連費用は経費計上が可能です。自家用車との兼用になるケースが多いため、按分しなければならない点に注意しましょう。

12. 情報収集・勉強のための費用

不動産所得に関する書籍代やセミナー代金は経費計上が可能です。税務署から指摘されやすい項目でもあるため、不動産所得に関係があるものに絞りましょう。

たとえば、不動産に関係ない個人的なスキルアップに利用した書籍代は経費に計上できず、判断基準があいまいになりやすいです。

13. 交際費

不動産会社や管理会社との接待費用は交際費として経費計上できます。交際費も税務署に指摘されやすい項目であるため、不動産所得と関係するものを計上しましょう。

14. 減価償却費

土地や建物の減価償却費は経費計上できます。減価償却期間は建物の構造によって決まる法定耐用年数と、築年数を使って計算しましょう。

不動産所得の経費で注意すべき3つのポイント

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不動産所得の経費で注意すべきポイントは、以下の3つです。

  1. 経費として認められない費用がある
  2. 不動産所得が20万円を超えなくても記録は残す
  3. 不動産所得が事業的規模になると取り扱いや確定申告方法が変わる

不動産に関係ない支出は、経費として認められないため注意しましょう。

1. 経費として認められない費用がある

不動産所得に関する業務で利用した出費でも経費として認められない費用があります。たとえば、スーツやビジネスバックなどは、ファッションに関するもののため経費計上できません。

不動産に関係する宅建の資格も、新しい地位や新しい職業を獲得するための教育費として捉えられるため経費にできません。資格取得費は、業務遂行に直接関係のある資格であれば経費計上できるため、資格を取る際は税理士に相談をすることがおすすめです。

2. 不動産所得が20万円を超えなくても記録は残す

不動産所得が20万円を超えない場合でも、収入と支出の記録は残しておきましょう。たとえば、支出が経費に計上できないことが後で発覚し、所得が20万円を超えてしまうケースがあります。

確定申告をしない理由は、収支明細を作成して証明できるようにしておくと安心です。

3. 不動産所得が事業的規模になると取り扱いや確定申告方法が変わる

不動産所得が事業的規模になると、青色申告をした際に税制優遇を受けられます。事業的規模とは、アパートの部屋数が10室以上、戸建て物件数がおおむね5棟以上、駐車場が50台以上などが条件です。

事業的規模である場合、最大65万円の青色申告特別控除ができますが、事業以外の場合は最大10万円の白色控除になる点に注意しましょう。

まとめ

20万円以上の不動産所得がある場合は、確定申告をする必要があります。経費計上できる項目を精査し、注意すべきポイントに注意しながら正しい所得で確定申告をしましょう。

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監修者のコメント
小西裕也税理士事務所
税理士 小西裕也

1990年生 大阪府出身 大阪大学経済学部卒業。個人事務所、200人規模の税理士法人で実務経験を積み、2021年に独立。「お客様との対話を大事にする」をモットーに、クラウド会計を活用し、顧客に合わせた節税策や資金繰り対策を積極的に提案。ZOOMを使ったオンライン顧問サービスを行い、クライアントは全国に。

ワンルームマンション投資など、サラリーマンでも給与とは別に不動産所得を得ている人は年々増加しています。不動産所得の経費は、基本的には所有物件の維持管理に必要な支出のみとなりますが、青色申告をすることで、特別控除等の恩恵を受けることができ、節税が可能です。

また、不動産を購入することは、不動産所得を得るだけでなく、相続税の節税の効果や、不動産所得が赤字になった場合に、他の所得と損益通算することで節税することができます。(国外中古不動産では税制改正により損益通算ができなくなりました)

不動産を購入する際には、大きなお金が動きます。迷うようなことがあれば、購入前に専門家に相談することをお勧めします。
比較ビズ編集部
執筆者

比較ビズ編集部では、BtoB向けに様々な業種の発注に役立つ情報を発信。「発注先の選び方を知りたい」「外注する際の費用相場を知りたい」といった疑問を編集部のメンバーが分かりやすく解説しています。

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