YouTuberは何を経費にできる?確定申告で節税する方法

最終更新日:2023年04月27日
税理士法人烏丸会計事務所
監修者
代表社員・税理士 堀井 優
YouTuberは何を経費にできる?確定申告で節税する方法
この記事で解決できるお悩み
  • YouTuberはどんな支出を経費にできるの?
  • 領収書がないYouTuberの支出は経費にできるの?
  • YouTuberができる節税対策には何があるの?

YouTuberは今や人気の職業の一つ。企画によっては経費が掛かることも多いでしょう。掛かった経費は正確に計上し、確定申告する必要があります。

この記事では、YouTuberの支出の中で経費にできるものについて解説します。さらにYouTuberの経費についてよくある質問も取り上げるので、YouTuberとして活動したいと考えている方、すでに収益化している方は確定申告の前にぜひご覧ください。

YouTuberが経費にできるかどうかの基準

スマホを見てる人(写真)

YouTuberが支出を経費にできるかどうかの基準は、主に下記の要素に左右されます。

  • YouTube動画を作成するための支出か
  • 視聴者や登録者を増やすための支出か
  • 客観的に見て説得力がある支出か
  • 領収書や請求書で証明できる支出か
  • 売上や再生回数などの結果が出ている支出か

YouTuberの収入は視聴者数や動画の視聴回数によって決まります。視聴者やチャンネル登録者を増やすために使うお金であれば、経費と考えていいでしょう。税務署から指摘や問い合わせが来たときに支出の目的や結果を説明できることが重要です。

そもそもどのようなYouTuberが確定申告しなければならないのか知りたい方は、以下の記事もご覧ください。

YouTuberが経費にできる10種類の支出

YouTuberが経費にできる支出はかなりたくさんあります。主な経費は以下のとおりです。

  • 撮影機材費
  • 材料費・消耗品費
  • 取材費
  • スタジオ費用・水道光熱費
  • 衣装代
  • 交際接待費
  • 交通費
  • 出演者への報酬
  • 広告宣伝費
  • 外注費

1. 撮影機材費

YouTuberであれば撮影機材は絶対に必要です。カメラ、マイク、動画編集用のパソコンなどの購入費は経費として認められるでしょう。ゲーム実況をしているYouTuberであれば、ゲーム機やモニター、ゲームソフトなども経費に計上できます。

ただし、取得価額が10万円以上で1年以上使用できる撮影機材は、減価償却(げんかしょうきゃく)が必要です。国税庁HP「耐用年数表」に定められている年数で支出を割り、毎年経費を計上しなければなりません。

  • 青色申告では少額減価償却資産の特例が利用可能!
  • 青色申告しているYouTuberであれば、30万円未満の支出を一括で経費化できる「少額減価償却資産の特例」が利用できます。確定申告時の所得を減らせる賢い節税方法です。

2. 材料費・消耗品費

YouTuberとして撮影した動画で使った材料や消耗品も経費として計上できます。動画に使う材料費や消耗品費には以下のようなものが挙げられます。

  • 大食い企画のための購入した食品代
  • レビュー動画のために購入した化粧品代
  • 大量購入企画で購入したお菓子代

動画のための支出なので経費に計上できますが、全額が経費として認められる保証はありません。動画撮影後も使用できる化粧品やブランド品、余った食材や調味料があれば、その分を除外して経費計上する必要があります。

動画撮影とプライベートの両方で使用する材料や消耗品を購入した場合には、動画撮影で使った割合で経費を計上する「家事按分(かじあんぶん)」が必要です。

3. 取材費

動画を作るために誰かに取材をした場合、取材費や謝礼が経費として計上可能です。取材費には、書籍代や新聞の購読費用、Webサイトの会員費なども含まれます。 動画を撮影するための情報収集に使った支出は経費になると認識しておきましょう。

4. スタジオ費用・水道光熱費

YouTubeが動画を作成するためには、スタジオを借りたり自宅の部屋を整えたりしなければなりません。動画を撮影するための場所代や家賃、水道光熱費は確定申告の際に経費にできます。

自宅を動画の撮影場所にしている場合、家賃や水道光熱費すべてを経費にはできません。床面積や使用時間によって家事按分し、正確に経費を計算することが必要です。

5. 衣装代

YouTuberが動画撮影のために購入した衣装代やメイク代は経費として認められます。プライベートでも使用できる洋服の場合は経費にできないので注意しましょう。 たとえば、YouTubeの動画のためだけに使うコスプレ衣装や、プロのヘアメイクによるメイク代は全額経費として計上できます。

6. 交際接待費

YouTuberとして会議や打ち合わせをした際の飲食代は交際接待費として経費計上可能です。打ち合わせ時に食べたお菓子代や飲み物代、ランチ代などが経費として認められるでしょう。 領収書にはYouTubeのための支出であることが記載されないので、支出の目的と相手の氏名や会社名を記載しておくと経費として認められやすくなります。

7. 交通費

YouTuberとして活動するためには、撮影場所や打ち合わせ場所に移動する必要もあります。移動に掛かった費用は交通費として経費に計上可能です。 バスや電車などの公共交通機関はもちろん、自家用車で移動した場合のガソリン代、駐車場料金も経費になります。

ただし、電子マネーを使って公共交通機関を利用した場合には、経費を証明するのが難しいので利用履歴や利用明細などを残しておきましょう。

8. 動画出演者への報酬

YouTuberであれば、他のYouTuberとコラボしたりゲストを招いたりして動画を撮影することがあります。動画出演者への報酬は、経費として計上可能です。 コラボしてくれた他のYouTuberが自分のチャンネルで収入を得ているかどうかに関係なく、報酬を渡せば経費になります。

ただし、経費であることを明確にするために、請求書を発行してもらうようにしましょう。

9. 広告宣伝費

YouTuberとして知名度を高めるために広告を打っているのであれば、広告宣伝費として経費に計上できます。広告がYouTuberとしての活動にどの程度影響を与えているかを証明するのは難しいですが、チャンネル登録者数の変動との関連を申告すればいいでしょう。

YouTuberが利用できる以下のような広告に掛かった費用はすべて経費にできます。

  • YouTube内広告
  • Googleのリスティング広告
  • Twitter広告
  • ビジョン広告

10. 外注費

YouTuberが多くの動画を撮影すると、自分ですべて編集するのは難しいでしょう。動画の編集をスタッフに依頼しているのであればスタッフへの報酬も経費になります。企画を考えたり、動画で使う素材を用意したりする作業も外注費がかかっていれば経費計上可能です。

YouTubeの動画に直接関係していなくても、確定申告を代行する税理士への報酬や法的問題に対処するための弁護士費用なども経費になるでしょう。

YouTuberが経費にできない4つの支出

YouTuberが経費にできない4つの支出

YouTuberの活動では非常に多くの支出が経費として認められます。YouTubeの動画撮影に関係している支出であれば、ほとんどが経費にできるでしょう。YouTuberとしての活動に直接関係ない支出は経費にできません。 上記4つのような支出は経費にできないと考えましょう。

YouTuberの経費に関するQ&A

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YouTuberの活動に関係する支出は経費にできるものの、より具体的に知りたいと思う方もいるでしょう。YouTubeでよく見かける企画内での支出は経費になるのか、さらに経費に関する他の疑問にもお答えします。

1. ガチャ企画で使ったお金は経費?

ゲームで目当てのアイテムやキャラが出るまでガチャを引き続けるガチャ企画では、使ったお金が経費になります。ガチャのための支出は純粋に動画撮影のためと認められるからです。もし他に撮影費、移動費などがあれば、同様に経費になります。

2. 高級車の購入企画で使ったお金は経費?

YouTuberの中には高級車を購入して視聴者を驚かせる人もいます。動画撮影を目的として高級車を購入したのであれば、一部が経費にできるかもしれません。どのくらいの割合で経費を計上できるかについては、税務署に確認しましょう。

高級車を純粋に動画撮影のために購入してプライベートでは一切使わないという主張は認められにくいと考えられます。全額は難しくても購入代金の一部は経費にできるので、確定申告の際にしっかり計上しましょう。

3. 動画撮影のために購入した化粧品は経費?

女性YouTuberであれば、写りをよくするために化粧品を購入することもあるでしょう。通常、プライベートでも使用できる化粧品は経費にできないので注意しましょう。化粧品は撮影機材やパソコンなどと異なり、動画撮影に絶対に必要なものとは判断されません。

ただし、化粧品のレビュー動画を撮影するのであれば話は別です。レビュー動画には化粧品は必須なので、購入代金の一部を経費にできる可能性があります。

4. 編集作業をしたカフェやファミレスでの飲食費は経費?

YouTuberとして動画を撮影したなら、編集作業が必要です。なかには、自宅ではなく近くのカフェやファミレスで編集作業する方もいるでしょう。カフェやファミレスで飲んだドリンク代は経費にできます。一方、食事代はYouTuberの活動と関係なく発生する支出と判断されるので経費にできません。

ドリンク代は事業用であることがはっきりわかるように、どのような業務を何時間行ったかレシートに記載しておくとよいでしょう。税務署から尋ねられたとききちんと説明できることが重要です。

5. 領収書がないと経費にはできない?

YouTuberとして確かに支出があったのに領収書を発行してもらえなかった、領収書をなくしてしまったというケースでも、あきらめる必要はありません。もし次のような明細があれば領収書の代わりに経費を証明できます。

  • 電子マネーの支払い明細
  • クレジットカードの利用明細
  • 公共交通機関のICカードの利用履歴
  • ETC料金の明細
  • 請求書
  • 支払い完了メール

領収書をなくしてしまった場合には、一度再発行を依頼してみましょう。領収書の再発行が難しく、代わりの明細もまったくないのであれば、出金伝票を使う方法があります。出金伝票には支払いをした日付、取引相手、金額、目的を記載しましょう。支払いについて具体的に書いておけば、信ぴょう性が増します。

6. 収益なしでも経費は計上できる?

YouTuberとして収益化できていない場合でも、掛かった費用を経費にできる可能性があります。副業としてYouTuberをしているのであれば、収益化前に掛かった費用を経費として計上し、所得税が課税される所得を減らすことも可能です。

ただし税務署から指摘されることがないよう、極端に経費を計上するのはやめておきましょう。 収益化前の費用を経費にできるかどうかについては、税理士の間でも意見が分かれるところです。不安な場合には税務署に直接確認するとよいでしょう。

7. 領収書やレシートを保管しておくべき期間は?

YouTuberかどうかに関わらず、確定申告後に領収書やレシートを保管しておくべき期間は7年です。白色申告の場合は5年と定められています。税務調査が入ったときに慌てないよう、領収書は整理して保管しておきましょう。

YouTuberができる2つの節税対策

YouTuberができる2つの節税対策

YouTuberはできるだけ経費を多く計上して、所得税額を減らせます。その他にも、YouTuberが行える節税対策が2つあるので覚えておきましょう。

1. 青色申告での確定申告

YouTuberに限らず、青色申告をすれば大きな節税になる可能性があります。青色申告には以下のメリットがあるからです。

  • 最大65万円の青色申告特別控除
  • 最大3年間の純損失繰越
  • 青色事業従事者給与
  • 少額減価償却資産の特例

特にYouTuberとして活動を始めたばかりのころは赤字になることも多いでしょう。赤字が出た場合には損失を最大3年間繰り越して、他の所得と相殺できます。家族と一緒に動画を撮影しているのであれば、家族に給与を支払って青色事業専従者給与にできるのもメリットです。より多くの経費を計上して節税できます。

2. 税理士や経理代行の利用

YouTuberは動画撮影や編集に忙しいので、確定申告を税理士や経理代行に依頼する方がいい場合もあります。特に税理士は、最新の節税方法や経費計上の注意点などを教えてくれるので、業務を依頼する価値があるといえます。 ある程度収益化できてきたら、税理士や経理代行の利用を検討するとよいでしょう。

まとめ

YouTuberは動画に関係する支出の多くを経費にできます。ただし、プライベートでも使用できるものについては経費にできなかったり、家事按分が必要になったりするので注意が必要です。青色申告で賢く節税する方法も学ぶといいでしょう。

比較ビズでは2分程度必要な情報を入力するだけで、YouTuberの確定申告にも強い税理士を簡単に見つけられます。地域ごとに税理士を比較しながら選べるので、自分と相性のいい税理士を見つけたいYouTuberの方はぜひ比較ビズを利用してください。

監修者の一言

ユーチューバーの経費という視点で領収書を見て行くと、判断に迷うような支出や支払が多くあります。一方、ユーチューバーをビジネス【事業】という視点で捉えるとどうでしょう?基本的には動画の再生回数や登録チャンネル数に応じて広告収入が得られるわけですから、動画制作に直接掛かる費用(動画に登場するアイテムやセット、ロケや撮影機材の費用など)と間接的に掛かる費用(編集費用や事務所費用、光熱費や通信費など)についてはそれらがどんなに高額であっても、原則として経費となります。

なぜなら、これらの経費を使用することによって得られる収入を予測しながら企画や計画を立てて採算が取れるよう調整していくからです。全く採算がとれないことが明らかな費用や収益に貢献しない費用は使用しないでしょう。当然のことながら、趣味や自身の日常的な費用が入り込む余地はありません。あくまでビジネス(事業=利益を生み出すプロジェクト)の枠組みの中の話です。

この説明がつく経費という意味で、記事では客観性や合理性という言葉が使われています。他の事業にも言えることですが、ビジネス上のコスト(=費用)は経費です。個人の日常生活も含め24時間365日に発生する支出(領収書)を並べて必要経費か否か?と区別しようとするから難しくなるのです。事業の枠組みの中で考えてみてください。それでも、不安な方は専門家(税理士)に依頼してみましょう。

税理士法人烏丸会計事務所
代表社員・税理士 堀井 優
監修者

1967年生 静岡県出身 法政大学経営学部経営学科卒業。証券会社の法人営業、投資信託委託会社を経て、主体的な生き方を求め税理士業界へ。税務会計に携わって27年、地場中小企業中心に上場企業、IT・ネット関連、メディア・広告、大規模宗教法人・社会福祉法人など多くの税務顧問を務め、京都府包括外部監査補助者(2004年)、地域公益法人の監事(2019年〜)に就く。圧倒的な経験と多彩なクライアントから得たノウハウを創業間もない起業家にリーズナブル価格で提供したいとの思いから創業支援センターを立ち上げている。

比較ビズ編集部
執筆者
比較ビズ編集部では、BtoB向けに様々な業種の発注に役立つ情報を発信。「発注先の選び方を知りたい」「外注する際の費用相場を知りたい」といった疑問を編集部のメンバーが分かりやすく解説しています。