相続財産管理人とは?役割・費用・選任が必要なケース・選任後の流れを解説!

更新日:2021年03月04日 発注カテゴリ: 相続・事業承継対策
相続財産管理人とは?役割・費用・選任が必要なケース・選任後の流れを解説!

相続財産管理人とは、相続人のいない方の遺産・財産を調査・管理する人のこと。あまり聞き慣れない言葉かもしれませんが、2000年には8,000件未満だった相続財産管理人の選任件数は、2017年に21,000件を超えるまでに急増しており、身近な相続問題となりつつあるのが現状。相続人のいない方はもちろん、相続放棄した方でも無関係でいられるとは限りません。では相続財産管理人はどのような役割を果たすのか?選任が必要なのはどんなケースなのか?どのくらいの費用が必要なのか?知りたい方は少なくないでしょう。そこで本記事では、申立・選任後の流れも含め、一般にはわかりにくい相続財産管理人制度の概要を、できる限りわかりやすく解説していきます。

相続財産管理人とは?

相続財産管理人とは、相続人のいない方の遺産・相続財産を調査・管理するため、家庭裁判所から選任された人のことです。相続財産には預貯金・証券・不動産などが含まれますが、相続人が存在しない場合、所有者のいないこれらの財産は最終的に国のものになることが民法で定められています。

もちろん、被相続人(相続財産を遺して亡くなった方)は財産だけでなく負債も遺しているかもしれません。こうした被相続人の財産・負債を調査・管理し、債権者をはじめとする必要な方への支払いを済ませ、最終的に残った財産を国へ帰属させるため「相続財産管理人」を家庭裁判所が選任するのです。

相続財産管理人の選任が必要なケース

相続財産管理人の選任が必要になるのは「被相続人の財産を相続する相続人がいない」場合です。具体的には「相続人のあることが明らかでないとき」にあたる、以下のようなケースが挙げられます。

  • 戸籍上の相続人がいない
  • 戸籍上の相続人全員が相続放棄している
  • 被相続人が外国人の場合などで、調査しても相続人を把握できない

ただし、戸籍上の相続人がいても所在・住所がわからない、といったケースは「相続人のあることが明らかでないとき」にあたらないとされています。つまり、所在が不明でも戸籍上の相続人が存在する場合は相続財産管理人を「選任できません」。

相続放棄しても遺産の管理義務がある

なぜなら、戸籍上の相続人は、所在・住所が不明であっても「被相続人の遺産・財産を管理する義務」が民法で定められているからです。たとえば、被相続人が所有していた不動産をだれも管理せずに放置していれば、管理不足が原因で近隣の住民に損害を与えてしまう可能性があります。こうした事態を防ぐためにも、相続人の遺産管理義務が民法で定められているのです。

実は、この民法は「相続放棄」した方にも当てはまる場合があります。相続放棄した方でも「元相続人」であることには変わりありません。つまり、たとえ相続放棄している方であっても、ほかに戸籍上の相続人がいないのであれば、遺産の管理義務は果たさなければなりません。

相続財産管理人選任を申立てるパターン・申立人

相続財産管理人は、選任を必要とする申立人が、家庭裁判所に申立てることによってはじめて選任されます。それでは、申立てされることが多いのはどのようなパターンなのか?申立人はどのような方が多いのか?簡単に紹介しておきましょう。

相続財産の管理義務がある元相続人

もっとも多いといわれるのは、相続放棄した元相続人が申立人となって、相続財産管理人の選任を申立てるパターンです。これは相続財産管理人が必要な「戸籍上の相続人すべてが相続放棄」のケースに当てはまります。

相続放棄している方であっても、被相続人の遺産・財産の管理義務があることは紹介しました。一方、元相続人の管理義務は「相続財産が適切に管理されるようになるまで」とされています。つまり、遺産を適切に管理してくれる相続財産管理人が選任されれば、元相続人は遺産・財産管理義務から解放されるというわけです。

被相続人に対する債権を持つ個人・法人

被相続人に対する債権を持つ個人・法人が申立人となり、相続財産管理人の選任を申立てるパターンも多いといわれています。具体的には、被相続人に貸付をしていた個人・会社ということになります。

こうした個人・法人が債権を回収するには、相続人に支払ってもらう、あるいは被相続人を相手取って裁判を起こすなどの方法がありますが、相続人がいなければ債権の支払いは困難であり、故人である被相続人を相手に裁判を起こすのも不可能。勝手に債権を回収することもできません。そのため、遺産・財産を適切に管理してくれる相続財産管理人の選任を申立て、債権の回収を試みるというわけです。

被相続人と関係のあった特別縁故者

法定相続人ではない、被相続人と関係のあった特別縁故者が、相続財産管理人の選任を申立てるパターンもあります。具体的には、被相続人と内縁関係にあった方、被相続人を献身的に介護していた方などが当てはまります。

特別縁故者は、遺産・相続財産から一定の分与を受ける権利がありますが、その割合は家庭裁判所によって決定されます。つまり、特別縁故者が正当な権利としての財産分与を得るには、被相続人の遺産・財産を適切に管理できる相続財産管理人の選任申立てが必須というわけです。

相続財産管理人の選任方法・手順

それでは、相続財産管理人の選任はどのような方法で行われるのか?選任申立ての方法から選任までの手順を簡単に紹介していきましょう。

家庭裁判所に相続財産管理人選任を申立て

相続財産管理人の選任を申立てるには、被相続人の(最後の)居住地を管轄する家庭裁判所に、申立人が必要書類を揃えて提出・申立てします。必要な書類は以下の通りですが、申立人の立場によって用意するべき書類は微妙に異なります。

  • 申立書
  • 被相続人の出生から死亡までのすべての戸籍謄本
  • 被相続人の父母の出生から死亡までのすべての戸籍謄本
  • 被相続人の子ども(死亡している場合)の出生から死亡までのすべての戸籍謄本
  • 被相続人の直系尊属の死亡の記載がある戸籍謄本
  • 被相続人の兄弟姉妹(死亡している場合)の出生から死亡までのすべての戸籍謄本
  • 被相続人の代襲者としての甥姪の死亡の記載がある戸籍謄本
  • 被相続人の住民票除票または戸籍付票
  • 財産を証する資料
  • 利害関係を証する資料(賃借契約書など)
  • 相続財産管理人の候補者がいる場合は、その住民票または戸籍付票

基本的には、被相続人に「相続人が一人もいない」ことを証明できる戸籍謄本すべてが必要。この段階で、相続財産管理人の候補者を申立てることも可能です。所在・住所の不明な相続人がいる場合は、申立人の責任において調査する必要があります。

申立ての審理・審判

家庭裁判所で申立てが受理されると、相続財産管理人の選任が適当かどうか、審理されたうえで審判が下されます。審判後に申立人に送付される「審判書」には、選任が認められたかどうかの結果、および相続財産管理人が選任された場合の氏名・住所などが記載されています。審理の段階では、追加の資料提出を求められるケースもあり、遺産・財産の管理に専門性が必要だと判断されれば弁護士・司法書士などの専門家が選任されます。

選任申立てできる人は?必要要件は?

相続財産管理人の選任申立てができるのは、上述したように「元相続人」「利害関係人(債権者、特別縁故者など)」のほか「検察官」が挙げられます。最終的に国に帰属する可能性のある財産のため、検察官が申立てするケースも少なくありません。また、どのような場合でも相続財産管理人が選任されるわけではありません。以下のような要件を満たす案件のみ、相続財産管理人が選任されます。

  • 相続手続きが必要
  • 相続財産がある
  • 相続人のあることが明らかでないとき

選任申立時の候補者が選ばれるわけではない

家庭裁判所に相続財産管理人選任を申立てる際、管理人の候補者を推薦できることは紹介しましたが、必ずしも推薦した候補者が相続財産管理人に選任されるわけではありません。相続財産管理人を努めるために必要な資格などはありませんが、特に、利害関係人からの申立ての場合、公平性を期すため家庭裁判所が選んだ弁護士・司法書士などの専門家が選任されるケースが多いようです。

相続財産管理人選任申立ての費用・手数料

相続財産管理人の選任を家庭裁判所に申立てる際には、手数料としての費用が必要です。必要な費用は以下の通りです。

申立手数料 収入印紙800円分
官報公告料 4,230円(家庭裁判所の指示に従って納付)
連絡用の郵便切手 おおむね2,000円分前後

相続財産管理人の選任申立てに関する費用に関しては、7,000円前後、多くても10,000円はかからないと考えておけばいいでしょう。

手数料以外に予納金が必要な場合も

ただし、家庭裁判所の判断によっては、相続財産管理人の選任時に「予納金」という追加費用を支払わなければならない場合があります。遺産・相続財産の調査・管理には経費が必要であり、弁護士・司法書士などの専門家が相続財産管理人を努める場合は報酬も支払わなければなりません。このための資金として事前に確保しておくのが「予納金」です。

一般的な予納金の費用相場は200,000〜1,000,000円前後。被相続人が遺した相続財産が多ければ予納金の費用は少なくて済みますが、経費・報酬を支払うのに充分な財産が残されていないと家庭裁判所が判断すれば、負担すべき費用は膨らみます。使われなかった予納金は返還されることが前提ですが、状況によっては戻ってこない場合もあります。

相続財産管理人の役割・権限

それでは、選任された相続財産管理人は、具体的にどのような役割を果たし、どこまでの権限を持って職務を遂行するのか?簡単に紹介していきましょう。

相続人の調査・相続財産の調査

相続財産管理人がまず遂行するべき仕事は、だれも知らなかった相続人が存在していないか?相続財産に抜け・モレはないか?相続人および相続財産を調査することです。相続財産管理人には、これらの調査を円滑に進めるための権限がすべて与えられており、万一相続人が見つかれば、その方に財産をすべて引き渡します。

相続財産の管理・換価

相続財産の管理・換価は、相続財産管理人のメインとなる仕事です。不動産や美術品をどのように管理していくのか?財産を分配するにはどうすべきか?を念頭に、必要とあらば預貯金の解約、証券の現金化も行います。当然、相続財産管理人には財産を処分する権限が与えられます。

債権者・受遺者・特別縁故者への支払い

債権者・受遺者(遺言によって財産分与を受ける方)・特別縁故者など、利害関係人への必要な支払いを済ませるのも相続財産管理人の仕事。そのための権限も与えられています。支払いの優先順位は「債権者・受遺者」次いで「特別縁故者」となるのが基本です。

国庫への帰属

利害関係人への支払いを済ませ、経費、相続財産管理人の報酬を差し引いても相続財産が残っていれば、最終的に国庫へ帰属させる手続きを行います。必要な手続きは相続財産管理人が担当し、すべての仕事が完了した時点で「管理終了報告書」を家庭裁判所に提出します。

相続財産管理人選任後の流れ

相続財産管理人は、被相続人の代わりに遺産・財産を管理・換価する権限、適切に財産を処分・分配する役割を与えられていますが、勝手に行動できるわけではありません。選任後の流れは、以下のように厳格に決められています。

1.相続財産管理人の選任公告 官報への公告掲載
2.相続人の調査、相続財産の調査・管理 財産目録の作成
3.債権者・受遺者へ請求申出の公告 1の公告から2か月を経過して公告
4.債権者・受遺者への支払い 3の公告で申出た債権者・受遺者が対象
5.相続人捜索公告を家庭裁判所に請求 3の公告から2か月を経過して対象者が現れない場合に、6か月以上の期間を定めて公告
6.特別縁故者への財産分与手続き 5の公告満了後、3か月以内に申出があった方が対象
7.相続財産管理人への報酬支払い  
8.残余財産の国庫帰属手続き  
9.管理終了報告  

段階を追って手続き・支払いを進めていきますが、利害関係人に支払える財産がなくなった時点で手続きは終了。最短でも13か月の公告期間が必要になるため、すべての手続きを完了させるには、約1年半から2年かかると考えておくべきでしょう。

相続財産管理人の報酬・費用相場は?

ここまでの解説で、相続財産管理人の報酬はどの程度見ておけばいいのか?費用相場はどの程度なのか?気になった方が多いかもしれません。すでに紹介したように、相続財産管理人を努めるのに特別な資格は必要とされません。相続財産管理人に被相続人の家族などが選任された場合は、報酬が発生しないのが基本です。

一方、弁護士・司法書士などの専門家が相続財産管理人として選任された場合は、当然、報酬の支払いが必要。月額報酬という形で支払われるケースが多く、10,000〜50,000円程度というのが一般的な費用相場です。ただし、月額10,000円でも、手続きに2年かかれば総額費用は240,000円。相続財産管理人の選任を申立てる費用負担が軽くないのがお分かりでしょう。

相続財産管理人の選任が不要なケースは?

少子高齢化が進展し、未婚率も高くなる傾向にある日本では、これからも相続財産管理人の選任が必要になるケースは増えてくるかもしれません。しかし、本記事でも紹介したように、相続財産管理人が介在する相続財産の管理・処分は、完了までに長い期間を要するうえ費用負担も軽くはありません。

一方、相続人のいない方であっても、遺言を遺して遺言執行者を指定しておけば、相続財産管理人の選任が不要になります。財産の処分に時間・費用をかけることもなくなり、望む方に財産を残せるメリットが得られます。

相続財産管理人の申立・選任は専門家への相談がおすすめ!

遺言・遺言執行者の指定などは、弁護士・司法書士をはじめとした専門家へ相談するのがベスト。万が一、相続財産管理人を選任しなければならない事態になった場合も同様です。候補者として推薦しても相続財産管理人として選任されるわけではありませんが、複雑になりがちな相続財産の処分にあたって、適切なアドバイスが得られるでしょう。特に債権者・受遺者・特別縁故者などの利害関係人には有益です。

しかし、法律関連に馴染みのない方が、適切な専門家を選定するのは簡単ではありません。候補となる依頼先を絞り込むことさえ難しいと感じる場合もあるでしょう。「比較ビズ」なら、必要事項を入力する2分程度の手間で、優良な専門家をスピーディーに探せます。法律の専門家の選定に迷うようなことがあれば、是非利用してみてください。

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