相続財産管理人の選任に必要な費用とは?報酬相場や費用の軽減方法を解説

竹中啓倫税理士事務所
監修者
竹中啓倫税理士事務所 税理士・米国税理士・認定心理士 竹中啓倫
最終更新日:2023年11月17日
相続財産管理人の選任に必要な費用とは?報酬相場や費用の軽減方法を解説
この記事で解決できるお悩み
  • 相続財産管理人の選任に必要な費用は?
  • 相続財産管理人の選任が必要なケースは?
  • 相続財産管理人の費用を軽減する方法は?

相続が発生した際に相続人がいない場合、相続財産管理人を選任することで、適切に遺産を管理してもらえます。相続財産管理人の選任には、報酬や予納金などの費用が100万円程度必要です。

この記事では、相続財産管理人の選任に必要な費用や、費用を軽減する方法を解説します。最後まで読めば、相続財産管理人の選任にどれくらいの費用が必要かわかり、適切に遺産を管理してもらえるでしょう。相続財産管理人の選任をお考えの方は、参考にしてください。

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相続財産管理人とは

本を開いているビジネスマン

相続財産管理人とは、相続人の代わりに遺産を管理する人のことです。被相続人の遺産管理は基本的に相続人が行いますが、相続人がいない場合や、相続人全員が相続放棄する場合もあるでしょう。

遺産を管理する人がいないと、被相続人の債権者から損害賠償請求されたり、山林や不動産などの管理不行き届きで苦情が来たりする可能性が高まります。

遺産によるトラブルを防ぐために、家庭裁判所に相続財産管理人を選任してもらい、被相続人の財産管理を行ってもらうことが大切です。

相続財産管理人の選任に必要な費用相場:100万円程度

相続財産管理人の選任には、100万円程度の費用が必要です。以下の3つの内訳を詳しく解説します。

  • 専門家報酬:月1万円〜5万円
  • 予納金:20万円〜100万円
  • 必須費用:1万円未満

専門家報酬:月1万円〜5万円

弁護士や司法書士などの専門家に、相続財産管理人を依頼する場合は専門家報酬が必要です。裁判所に提出する選任申立書の作成代行や、業務遂行に応じて報酬を支払います。

報酬金額は遺産の規模や手続きの内容により変動しますが、月1万円〜5万円の場合が多いです。毎月の支払いであるため、相続人の調査や手続きが長期間にわたると費用が加算されます。

予納金:20万円〜100万円

予納金とは、相続財産管理人へ支払う報酬や、業務遂行・財産管理に必要な費用です。一般的に、必要な費用は遺産から差し引かれますが、金額が足りなかった場合のみ予納金を支払う必要があります。

預貯金が多い場合は、必要な費用が確保されていると考えられるため、予納金の金額が減ることが多いです。預貯金が少ない場合や、不動産や株式など現金に換金されていない遺産が多い場合は、予納金も多くなる可能性があります。

相続財産管理人へ支払う報酬金額

報酬の金額は家庭裁判所により決定されるため、裁判所によってばらつきがあります。地方裁判所の場合20万円〜60万円、東京家庭裁判所の場合は100万円の支払いが必要な場合もあるでしょう。

必須費用:1万円未満

報酬や予納金とは別に、相続財産管理人の選任に必要な費用は以下の4つです。

収入印紙代 800円
郵便切手代 800円〜1,000円
戸籍謄本の取得費用 戸籍謄本:450円
除籍謄本・改製原戸籍謄本:各750円
官報公告料 3,775円

収入印紙代は、裁判所に選任申立書を提出する際に必要です。申立書に800円分の収入印紙を貼り付けて提出しましょう。郵便切手代は、裁判所が書類を送付する際に必要であるため、裁判所によって金額が異なります。

官報公告料は、家庭裁判所が相続財産管理人を選任した際、官報に掲載して公告するために必要な金額です。相続財産管理人を選任した際、家庭裁判所は遅滞なく公告しなければならないことが、民法952条で定められています。

(相続財産の清算人の選任) 第九百五十二条
前条の場合には、家庭裁判所は、利害関係人又は検察官の請求によって、相続財産の清算人を選任しなければならない。2 前項の規定により相続財産の清算人を選任したときは、家庭裁判所は、遅滞なく、その旨及び相続人があるならば一定の期間内にその権利を主張すべき旨を公告しなければならない。この場合において、その期間は、六箇月を下ることができない。

引用:e-Gov法令検索

相続財産管理人の選任申立が必要なケース

チェック

相続財産管理人の選任申立が必要なケースは、以下の4つです。

  • 相続人がいない場合
  • 相続人が相続放棄をした場合
  • 財産に債務が残っている場合
  • 特殊な相続人に相続する場合

相続人がいない場合

被相続人に相続人がいない場合は、相続財産管理人の選任が必要です。相続人がおらず、遺言書も残されていない場合、残された遺産の行き場がありません。相続財産管理人を選任することで、相続人の捜査を行い、被相続人と特別な縁故がある方へ財産分与が行われます。

誰にも財産分与がされなかった場合は国庫に帰属され、国の財産となることもあるでしょう。

相続人が相続放棄をした場合

被相続人の相続人全員が相続放棄をした場合も、相続財産管理人の選任が必要です。相続人全員が相続放棄をすると、遺産を管理する人が不在となります。

遺産を放置することで被害が起きた場合、第三者から損害賠償を請求される可能性があるため、管理責任を引き継ぐ人が必要です。

遺産が建物や不動産の場合、倒壊や劣化によって近隣の方に損害を与える可能性があるでしょう。相続人全員が相続放棄した場合は、必ず相続財産管理人を選任しなければいけません。

遺産に債務が残っている場合

遺産に債務が残っており、被相続人の債権者から返済を求められた場合、相続財産管理人の選任が必要です。

相続人がいない・相続人全員が相続放棄した場合でも、債務がなくなることはありません。債権者が相続財産管理人を申し立て、清算の申し出を行うことで弁済を受けられます。

特殊な相続人に相続する場合

被相続人の配偶者・血族以外に、被相続人と特別な縁故がある人へ相続する場合も、選任が必要です。具体的には、以下の人が特殊な相続人になる可能性があります。

  • 被相続人の内縁の夫や妻
  • 被相続人と生計を同じくしていた人
  • 相続人に該当しない親戚
  • 被相続人の看護・介護につとめた人
  • 特別親しい関係や縁があった人

特別縁故者が財産分与の請求をしたい場合は、申立をすることで相続財産管理人を立てられます。

相続財産管理人を選任する流れ

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相続財産管理人の選任は、以下の流れで行います。

  1. 相続人を確認する
  2. 必要書類を準備する
  3. 相続財産管理人の選任申立をする
  4. 家庭裁判所による審理・選任が行われる

1. 相続人を確認する

相続財産管理人の選任が可能なのは、相続人がいない場合のみです。被相続人に、相続人が確実にいないことを明確にする必要があります。被相続人の出生時から死亡時までのすべての戸籍謄本を取り寄せ、相続人が確実にいないことを確認しましょう。

2. 必要書類を準備する

相続人がいないことを確認したら、以下の書類を準備しましょう。人によって必要書類が変わるため、自分の状況に適した書類を用意する必要があります。裁判所HPにも詳しく記載されているため、あわせてご確認ください。

  • 申立書
  • 被相続人の出生時から死亡時までのすべての戸籍謄本
  • 被相続人の父母の出生時から死亡時までのすべての戸籍謄本
  • その他相続人がいないことを明らかにするための戸籍謄本
  • 被相続人の住民票除票または戸籍附票
  • 財産を証する資料
  • 利害関係人からの申立である場合、利害関係を証する資料
  • 相続財産清算人の候補者がある場合、候補者の住民票または戸籍附票

3. 相続財産管理人の選任申立をする

必要書類の準備が完了したら、家庭裁判所で「相続財産管理人選任の申立」を行います。申立を行う裁判所は、被相続人の最終住所地の家庭裁判所です。どこでもいいわけではないため注意しましょう。裁判所の管轄は、裁判所HPから確認できます。

4. 家庭裁判所による審理・選任が行われる

利害関係人または検察官から、相続財産管理人選任の申立が行われると、家庭裁判所によって相続財産管理人の選任が行われます。

裁判所は、被相続人との関係性や利害関係の有無、相続財産の内容などを考慮して、相続財産管理人を選任しなければいけません。弁護士や司法書士などの専門家を、相続財産管理人に選任する場合もあるでしょう。

申立を行った人との利害関係が認められない場合や、相続財産管理人の選任が不要と判断された場合は、申立を却下する場合もあります。

相続財産管理人の費用は誰が支払うのか

Business相談

相続財産管理人の報酬をはじめとした費用は、基本的に被相続人の遺産から支払われます。遺産だけで報酬の支払いが難しい場合は、家庭裁判所から申立人に予納金の納付が求められるでしょう。

相続財産管理人の費用が支払えない場合

予納金の金額が高額になって費用が支払えない場合、相続財産管理人は選任されません。相続財産は管理されない状態で保留されます。

相続財産管理人を選任せずに放置すると、相続放棄しても財産の管理義務が残ったり、特別縁故者とトラブルになったりする可能性があるでしょう。相続の発生直後に支払いが難しい場合でも、なるべく早めに費用を支払って、相続財産管理人を選任することが理想的です。

相続財産管理人の費用を軽減する方法

相続財産管理人の費用を軽減する方法は、以下の2つです。

  • 相続財産管理人の選任申立を自分で行う
  • 相続財産管理人を親族にする

相続財産管理人の選任申立を自分で行う

相続財産管理人の選任申立は、弁護士や司法書士に代行を依頼するケースが多いですが、自分で申立を行えば代行費用を削減できます。資格保有者ではなくても手続き可能であるため、必要書類を作成して、裁判所で選任申立を行いましょう。

相続財産管理人を親族にする

相続財産管理人を弁護士や司法書士ではない親族に依頼できれば、専門家報酬を支払う義務がなくなります。相続財産管理人の受任も資格は必要ないため、同意さえ得られれば親族に依頼可能です。

しかし、相続財産管理人の選任は家庭裁判所が行います。家庭裁判所は、被相続人との関係や利害関係などから、相続財産の管理に適任と認められる人を選任するため、親族が選任されるとは限りません。

まとめ

相続財産管理人の選任には、予納金が必要な場合は100万円程度必要です。相続が発生する可能性がある場合や、相続財産管理人の選任を申し立てる予定がある場合は、早めに費用を想定しておきましょう。

相続財産には聞きなれない言葉が多く、わかりにくい内容が多数存在します。相続でお悩みの場合は、専門家への相談がおすすめです。

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監修者のコメント
竹中啓倫税理士事務所
税理士・米国税理士・認定心理士 竹中啓倫

岐阜県出身。上場会社の経理に勤務する傍ら、竹中啓倫税理士事務所の代表を務める。M&Aなどの事業再編を得意とし、セミナーや研修会講師にも数多くあたるほか、医療分野にも造詣が深く、自ら心理カウンセラーとして、心の悩みにも答えている。税理士会の会務では、名古屋税理士協同組合理事を務める。

あまりなじみがないかもしれませんが、相続財産管理人とは、相続人の財産・管理・清算を目的として、家庭裁判所により選任されるものです。主に、相続財産を管理するのに最も適任をされる人が選ばれますが、弁護士や司法書士のような専門職が選ばれることもあります。

近年、少子化が進み、場合によっては相続人がいないケースや相続人全員が相続を方式してしまった場合、相続手続きが止まってします。ただし、あなたが、特定受贈者や特別縁故者のような財産を受け取る権利がある場合は、相続財産管理人は選任される財産を受け取れる場合があります。

特定受贈者とは、特定財産の遺贈を受けた人のことを指し、特別縁故者とは、法定相続人がいない場合、被相続人と特別親しい関係にあったもので、両方とも財産分与を認められます。
比較ビズ編集部
執筆者

比較ビズ編集部では、BtoB向けに様々な業種の発注に役立つ情報を発信。「発注先の選び方を知りたい」「外注する際の費用相場を知りたい」といった疑問を編集部のメンバーが分かりやすく解説しています。

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