ADR(裁判外紛争解決手続)手続き費用相場と安く抑えるポイントを徹底解説

更新日:2021年03月05日 発注カテゴリ: ADR(裁判外紛争解決手続)
ADR(裁判外紛争解決手続)手続き費用相場と安く抑えるポイントを徹底解説

ADR(裁判外紛争解決手続)とは、突然起こったトラブルを解決したいが、裁判などの大事にはしたくない、と考える方に向けた紛争解決手続き・手法のこと。費用負担の大きい裁判を避けたい個人の方はもちろん、トラブルを非公開のまま解決したい法人の方であれば、ADRの利用を検討しているでしょう。しかし、ADRにはどの程度の費用がかかるのか?どこに相談・申立てすればいいのか?手順を含め、ADRの詳細を知る方は多くありません。そこで本記事では、ADRでトラブルを解決したい個人・法人の方に向け、手続きにかかる費用相場、申立てから解決までの手順など、意外に知らないADR(裁判外紛争解決手続)の仕組み・基本を徹底解説していきます。

ADR(裁判外紛争解決手続)とは?

ADR(裁判外紛争解決手続)とは、訴訟に頼らない紛争解決全般を総称する手続き・手法のこと。具体的には、民事上のトラブルを解決したい当事者の間に、利害関係のない公正な立場の第三者が入り、あっせん・調停・仲裁する手続き・手法がADRなのだといえるでしょう。「当事者同士の話し合い・交渉」「裁判による裁断」の中間に位置するともいえるADRには、以下のような特徴があります。

  • 手続きが簡単
  • 簡単な申立書のほか、電話で受付可能な場合も
  • 紛争解決までの期間が短い
  • 控訴・上告などがなく、当事者間の合意でスピーディーに解決できる
  • 費用を抑えられる
  • 短期間で解決できる分、経済的
  • 原則非公開
  • プライバシーや企業の機密情報は公開されることがない

3つに分類できるADR(裁判外紛争解決手続)

ADR(裁判外紛争解決手続)がこうした特徴を持つのは、費用負担が大きい・解決までに時間がかるという訴訟手続きの欠点を補い、気軽に利用できる紛争解決方法を国民に提供することが目的だから。民事に関する法的トラブルであれば、どんなことでもADRを利用できます。

また、気軽に利用できる紛争解決方法であるADRは、公正な第三者を「各分野の専門家」が担当できるのも大きな特徴。異なる専門家が提供する多種多様なADRが存在していますが、大きくは提供する機関に応じた3つのADRに分類できます。

司法型ADR

商事・宅地建物・交通・公害などの「民事調停」や、夫婦や親族間の紛争などの「家事調停」に利用されるケースが多いのが、裁判所で行われる「司法型ADR(裁判外紛争解決手続)」です。主に簡易裁判所が担当しますが、家庭裁判所、地方裁判所で実施される場合も。

1人の裁判官、および2人の民事調停委員で調停委員会を構成して実施されるのが基本。裁断ではなく、当事者同士の話し合いが基本の調停となるため、申立手数料が訴訟の約半額で済むほか、解決までの期間を大幅に短縮できます。

行政型ADR

騒音や公害、通販トラブル、交通事故など、生活するうえでのトラブル一般を解決するために利用されるケースが多いのが、行政機関・行政関連機関が行う「行政型ADR(裁判外紛争解決手続)」です。担当は内閣府となりますが、取り扱う機関は「国民生活センター」「消費生活センター」「交通事故紛争処理センター」「全国消費生活相談員協会」など。政府予算、地方公共団体予算で運営されているため、基本、無料で相談できるのが特徴です。

民間型ADR

司法型・行政型ADRと異なり、2007年に施行されたADR法(裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律)によって認証を受けた、民間のADR機関で実施されるのが「民間型ADR(裁判外紛争解決手続)」です。

弁護士会、司法書士会、社会保険労務士会などの士業が運営する「仲裁センター」のほか、家電、自動車、不動産、ソフトウェアなど、各分野に精通した業界団体、NPO法人が運営する多数のADR機関を利用可能。個人・法人間、法人間の紛争解決に、活発に利用されているのが民間型ADRだといえるでしょう。

ADR(裁判外紛争解決手続)の種類

司法型ADRでは、構成された調停委員会が「積極的に解決案を提示する」調停型で実施されるのが基本ですが、厳格な手続きの方法が定められておらず、臨機応変な対応ができるのもADRの特徴。行政型・民間型ADRでは、調停型のほか「あっせん型」「仲裁型」という手続きの種類があり、状況に応じて適切な手法が選択されます。

調整型(あっせん・調停)

調整型といわれるADR(裁判外紛争解決手続)は、当事者間の合意による自発的解決をサポートする手続きのこと。「あっせん」「調停」が調整型に当てはまります。あっせんと調停の違いは、積極的に解決案を提案するかしないか、がポイント。

当事者同士の話し合いがスムーズに進むよう、両者の考え方を整理するなど、サポートに努めるのがあっせん人の役割。あっせん人が解決案を提示・提案する場合もありますが、当事者同士の話し合いで解決を図ることが基本です。

これに対する調停人の役割は、紛争を解決に導くための解決案を積極的に提示・提案すること。第三者の視点で、当事者双方が納得できる落としどころを提案するのが調停人なのだといえるでしょう。いずれの場合においても、紛争の当事者は提示された解決案・調停案は拒否できます。

裁断型(仲裁)

裁断型といわれるADR(裁判外紛争解決手続)は、当事者同士が第三者の審理・判断に従うという合意のもとで実施される手続きのこと。訴訟・裁判にやや近い位置づけとなり「仲裁」が裁断型に当てはまります。

調整型と異なる裁断型の特徴は、当事者が仲裁人の判断に従う必要があること。仲裁判断は訴訟・裁判と同様、法的な強制力が持たされています。一方、仲裁案に納得できない場合でも不服申し立てできない点には注意が必要。上訴に当たる制度も用意されておらず、仲裁合意した紛争案件は訴訟に持ち込むこともできません。

ADR(裁判外紛争解決手続)と裁判の違い【早見表】

多種多様な機関が利用できるADR(裁判外紛争解決手続)は、柔軟な対応が期待できる反面、やや制度がわかりにくいのも事実。各ADRの特徴を裁判との違いを含めてまとめてみました。

  あっせん(ADR) 調停(ADR) 仲裁(ADR) 裁判
手続き時の相手の同意 必要 必要 必要 不要
第三者の解決案提示 しない(場合によってはする) する(調停案) する(仲裁判断) する(判決)
解決案の拒否 できる できる できない できない
解決案を相手に強制 できない できない できる できる
手続・結果の公開 されない されない されない される

ADR(裁判外紛争解決手続)に掛かる費用相場は?

ADR(裁判外紛争解決手続)に掛かる費用相場は、提供する機関によってさまざま。民事調停を司法型ADRに依頼する場合は価額に応じた申立手数料が、家事調停の場合は900円の申立手数料が必要ですが、訴訟・裁判に比べれば安価であるうえ、弁護士費用や鑑定費用が必要ないケースもあります。

ただし、個人・法人間、法人間の紛争解決の場合は、民間型ADRが利用されるケースが一般的。以下からは、民間型ADRを利用した場合に焦点を絞り、ADRにかかるおおまかな費用相場を紹介していきましょう。

民間型ADRの費用は「申立手数料」「期日手数料」「成立手数料」

民間型ADR(裁判外紛争解決手続)であってもADR機関によって費用相場は異なります。しかしほとんどの場合、ADR申立て時の「申立手数料」、当事者同士での話し合い時に必要な「期日手数料」、紛争解決時に成功報酬として請求される「成立手数料」を合計した金額が、ADRの費用相場となるのが一般的です。

申立人が負担する申立手数料は約10,000円、申立人・相手方がそれぞれ負担する期日手数料は1回約5,000円である場合がほとんど。ただし、成立手数料に関してはADR機関によって対応はまちまち。解決額に対する一定のパーセンテージを成立手数料とする場合が多いようです。

民間型ADR(裁判外紛争解決手続)の費用相場【早見表】

手数料の種類 費用相場 負担する人
申立手数料 10,000円程度 申立人
期日手数料 それぞれ5,000円程度 申立人・相手方それぞれ
解決額 成立手数料の費用相場(パーセンテージ)
300万円以下の部分 6〜8%
300万円超〜3,000万円以下の部分 2〜4%
3,000万円超〜5,000円以下の部分 1〜2%
5,000万円超〜1億円以下の部分 0.7〜1%

成立手数料をだれが負担するかも、依頼するADR機関によってさまざま。あっせん・調停・仲裁人の判断によって負担者が決定される場合もあれば、当事者を含めて負担の割合が話し合われる場合もあります。

ADR(裁判外紛争解決手続)の手順・流れ

気軽に利用できる紛争解決方法の提供を目的とするADR(裁判外紛争解決手続)は、訴訟・裁判のように決められた手順がなく、比較的柔軟に手続きを進められるのが特徴。そのため、定型化されたADRの手順というものは存在しませんが、一般的に採用されることの多い手順・流れというものはあります。簡単に紹介していきましょう。

ADR機関への相談・申立て

ADR(裁判外紛争解決手続)を利用したい方は、まずADRへ持ち込める案件なのか?適切なADR機関へ相談したうえで申立てを行います。相談の内容が、話し合いでの解決というADRの趣旨に適さないものであれば、申立てが受理されない場合も。手続きを開始する場合は、申立手数料を支払います。

相談は無料で受付けてくれる場合がほとんどですが、ADR機関によっては、相談料5,000円、手続き開始する場合の申立手数料5,000円と、それぞれで手数料を設定しているケースもあります。

ADR手続き開始を相手方に連絡

申立てが受理されると、ADR機関はADR手続きが開始されたことを相手方に連絡します。当事者同士の話し合いによる紛争解決を主眼とするADRの場合、手続きに相手方が同意しなけい限りADR手続きが成立しません。ADRが成立しなかった場合、支払った申立手数料は一部返還されます。

あっせん人・調停人・仲裁人の選任

相手方がADR(裁判外紛争解決手続)手続きに合意すると、手続実施者(あっせん・調停・仲裁人)の選任が行われます。ADR機関が主導して手続実施者を選任する場合がほとんどですが、申立人が手続実施者を選べるADR機関もあります。ADRの内容に応じて、ADR機関が最適な手続実施者を推薦してくれるケースもあるようです。

当事者間の期日話し合い

手続実施者が選任されると、決められた日程で当事者間の期日話し合いが行われます。基本的には1回の期日話し合いで紛争解決できるように進められますが、複数回実施されるケースも。期日話し合いの回数を重ねるごとに、申立人・相手方それぞれが約5,000円の期日手数料を支払うことになります。

ADR成立・不成立

期日話し合いの結果、当事者双方が合意に達すれば、ADR(裁判外紛争解決手続)成立、合意にいたらなければADR不成立となります。すでに解説したように、ADR不成立となるのは「あっせん」「調停」の場合。このケースでは通常訴訟に持ち込まれる可能性があるといえるでしょう。

一方、解決案を拒否できず、相手方に解決案を強制できる仲裁の場合は、ADR不成立とはなりません。ただし、申立人に不利な解決案だったとしても、通常訴訟に持ち込んでの紛争解決が進められないことに注意が必要です。

知っておきたいADR(裁判外紛争解決手続)の基本

気軽に利用できる制度ではあるものの、柔軟性の高さゆえ、ややわかりにくいADR(裁判外紛争解決手続)。その概要がおぼろげながら理解できたのではないでしょうか?もう少しADRへの理解を深めるためにも、知っておきたいADRの基本も紹介していきましょう。

民間型ADRはどこで行う?

司法型ADR(裁判外紛争解決手続)に関しては、簡易裁判所を中心に、家庭裁判所、地方裁判所で実施されることを紹介しました。それでは、民間型ADRはどこで実施されるのでしょうか?

柔軟性の高さが特徴でもあるADRは、期日話し合いの場所に関しても比較的自由に設定できます。一般的には、ADR機関である仲裁センターなどに、申立人・相手方・手続実施者が集まるケースが多いようですが、都合の良い場所まで手続実施者に出張してもらえる場合も。ただし、その際は交通費・宿泊費などの出張費が別途必要です。

解決までの期間はどのくらい?

紛争解決までをスピーディーに進められるのもADR(裁判外紛争解決手続)の特徴ですが、実際にどのくらいの期間で紛争解決できるのでしょうか?

ADRの内容によっても異なりますが、1回の期日話し合いで紛争解決にいたるADRも少なくなく、多くても3回程度の期日話し合いで合意するケースがほとんどのようです。合意までの期間は、期日話し合い3回の場合で、申立てから約3か月間。審理・判決まで半年〜2年以上かかり、結審しても上訴・上告で、解決までの期間がさらに長引くこともある、訴訟・裁判とは大きく異なるポイントです。もちろん、すべてのADRが合意・成立するわけではないことは覚えておく必要があります。

企業でよくある労働・雇用のADRはどこに依頼する?

特に民間型ADR(裁判外紛争解決手続)にいえることですが、解決したい紛争の内容に応じて、さまざまな専門家に相談・申立てできるのがADRの大きな特徴。紛争の内容に応じて適切なADR機関を選びたいものです。

たとえば、企業がよく直面する労働・雇用に関連する紛争は、社会的なイメージダウンを避けるためにも、できる限り非公開にしたいもの。そんなときに最適なのがADRですが、労働・雇用に関する相談は、社会保険労務士が運営する労働紛争解決センター、もしくは特定社労士に相談するのがおすすめ。社労士ならではの経験・ノウハウを活かした、適切なアドバイスが得られるのはもちろん、ADR手続まで担当してくれます。

まとめ

本記事では、意外に知らないADR(裁判外紛争解決手続)の仕組みや基本を、費用相場や手順・流れとともに紹介してきました。ADR法の施行が2007年であることからもわかるように、まだまだ一般に浸透しているとはいえないADRですが、うまく活用すればスピーディーかつ費用をかけずに紛争を解決できます。そのためには、紛争内容に精通する専門家が在籍するADR機関を選定することが重要です。

しかし、多種多様なADR機関が存在する現状を考えれば、適切なひとつを見極めるのは容易ではありません。依頼する候補先を選ぶことすら迷ってしまうこともあるでしょう。「比較ビズ」なら、必要事項を入力する2分程度の手間で、適切なADR機関をスピーディーに探せます。複数の機関に無料で相談できるのもポイント。ADR機関の選定に迷うようなことがあれば、是非利用してみてください。

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