確定申告を忘れたらどうなる?5つのペナルティや2024年の変更点を解説

小西裕也税理士事務所
監修者
小西裕也税理士事務所 税理士 小西裕也
最終更新日:2024年02月22日
確定申告を忘れたらどうなる?5つのペナルティや2024年の変更点を解説
この記事で解決できるお悩み
  • 確定申告を忘れたときのペナルティは?
  • 確定申告と還付申告の違いは?
  • 2024年提出の確定申告の変更点は?

確定申告は所得税法第120条に定められた制度です。申告を忘れた場合は無申告の状態となり、さまざまなペナルティを課せられることになります。本来、納付すべき税額に対して、定められた割合を乗じた金額が加算されることが基本です。

本記事では、過去の申告漏れが気になる人に向けて、確定申告を忘れた場合に課されるペナルティや、2024年の確定申告情報を解説します。記事を読んだあとには、具体的な手続き方法や罰則を理解して適切な対処方法を把握できているでしょう。

「確定申告を忘れたときはどうなる?」「延滞税や過少申告加算税の計算方法は?」とお悩みの方はぜひ参考にしてください。

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確定申告を忘れたときはできるかぎり早く期限後申告する

確定申告

確定申告を忘れたときはできるかぎり早く期限後申告しなければなりません。期限後の確定申告を「期限後申告」と呼び、本来の税金に追加してペナルティが課せられます。

確定申告をしないまま放置した場合「無申告」として扱われ、悪質な税金逃れと見なされます。延滞税だけではなく無申告加算税が課せられる可能性があるため、期限後であってもできるだけ早く申告しましょう。

申告期限に遅れた場合としなかった場合でペナルティが異なる

確定申告は期限に遅れた場合と、しなかった場合でペナルティが異なります。確定申告は、期限に遅れても自ら申告する「期限後申告」と、期限を過ぎても申告をしなかった「無申告」の2つに分けられます。

「期限後申告」と「無申告」におけるペナルティの違いは次のとおりです。

期限後申告の場合 延滞税や無申告加算税が課せられる
無申告の場合 ・税務署から呼び出しを受ける
・悪質な税金逃れと判断される
・延滞税や無申告加算税が課せられる

参照:国税庁

期限後2週間以内に自主的に申告した場合はペナルティの程度が変わります。「無申告」の場合は、税務署から呼び出しを受ける可能性があるでしょう。悪質な税金逃れと判断された場合には、延滞税や無申告加算税が重く課せられます。

「期限後申告」であっても早期に申告が行われ、状況が説明できる場合は、ペナルティが軽減されることがあります。

確定申告を忘れた場合のペナルティ5つ

確定申告を忘れた場合、5つのペナルティが課せられます。

  1. 延滞税
  2. 無申告加算税
  3. 過少申告加算税
  4. 重加算税
  5. 青色申告特別控除が10万円になる

1. 延滞税

確定申告の所得税を期限までに支払わなかった場合、延滞税が発生します。延滞税の税率は国税庁のサイトで確認できます。期限の翌日から納付完了日までの日数に応じて延滞税がかかり、最高税率は14.6%です。

たとえば、納税額が100万円で期日から60日後に期限後申告した場合、延滞税の金額は以下のようになります。

延滞税の計算式

100万円×年7.3%×60日÷365日=12,000円

振替納税を選択し、口座の残高不足で振替ができなかった場合も延滞税が発生するため注意が必要です。

参照:国税庁

2. 無申告加算税

期限内に確定申告を行わなかった場合、無申告加算税が課されます。税額に対して50万円までは15%、50万円を超える部分には20%の税率が加算されます。税務調査を受ける前に、自主的に期限後申告した場合の税率は5%です。

50万円まで 15%
50万円以上 50万円までの部分:15%
50万円を超えた部分:20%
自主的に期限後申告した場合 5%

参照:国税庁

たとえば、所得税額100万円で確定申告を忘れた場合、無申告加算税の計算方法は以下のとおりです。

  計算式 加算税額
50万円まで 50万円×15% 75,000円
50万円を超えた部分 (100万円−50万円)×20% 100,000円
無申告加算税の合計税額   175,000円

期限後申告でも、一定の条件を満たすことで無申告加算税が免除される可能性があります。軽減措置が受けられる条件は次の2つです。

  • 確定申告の期限から1カ月以内に期限後申告していること
  • 期限内申告する意思があったと認められること

参照:国税庁

3. 過少申告加算税

確定申告期限内に提出した申告書の納税額が本来納めるべき金額より少ない場合、過少申告加算税が課せられます。加算税は、申告が適正に行われなかった場合に課される行政制裁的な税です。所得計算を誤ったり、収入の隠ぺいがあったりする場合に課せられます。

過少申告税の税率は下記のとおりです。

  税率
税務調査を受ける前の修正 0%
追徴税額と50万円のうちいずれか多い金額までの部分 10%
追徴税額と50万円のうちいずれか多い金額を超える部分 15%

過少申告加算税は、本来納付すべき税金との差額の10%が加算されます。自主的に修正申告を行った場合は、過少申告加算税は発生しません。追加税額の一部は、15%の割合で課税されることがあります。「期限内確定申告額」と50万円とを比較し、多い金額が基準です。

過少申告には延滞税も課せられるため、問題が見つかった場合は素早く修正申告を行いましょう。

参照:国税庁

4. 重加算税

重加算税は、過少申告加算税が課税される際、悪質な行為が見られる場合に適用される附帯税です。二重帳簿の作成や帳簿書類の改ざんがある場合に課税されます。

重加算税の税率は、本来の所得税額に対して35%、確定申告を忘れて無申告加算税の対象になる場合は40%です。不正が発覚した場合はさらに10%が加算されます。

たとえば、所得税額100万円で確定申告を行わなかった場合、加算税額の計算方法は次のとおりです。

  計算式 加算税額
無申告加算税 (50万円×15%)+(50万円×20%) 175,000円
延滞税 100万円×7.3%×60日÷365日 12,000円
重加算税 100万円×40% 400,000円
加算税合計   587,000円

期限内に確定申告を怠ったり修正申告があったりすると、附帯税を支払わなければなりません。重加算税は罰則的性格を持ち、損金計上ができないことに注意しましょう。

参照:国税庁

5. 青色申告特別控除が10万円になる

確定申告を怠った場合、青色申告特別控除が10万円に減額されます。期限後に申告した場合、青色申告特別控除は最大の65万円から10万円までとなります。所得税が増加し、還付金も減少するため注意が必要です。

期限内に行われた場合、前年の黒字との相殺による繰り越し還付は受けられますが、期限後は節税メリットが失われます。最大65万円の青色申告特別控除を受けるためには、期限内の確定申告が必要です。

確定申告で不正をした場合のペナルティ

ビジネスイメージ

確定申告で不正をした場合にはペナルティが課せられます。不正な行為は「ほ脱」と呼ばれ、厳罰なペナルティが課せられます。「ほ脱」とは、納税義務者が虚偽申告や不正な行為によって税金の支払いを免れる犯罪行為です。

ほ脱行為には無申告加算税と延滞税に加え、重加算税が課せられます。支払いが難しい場合は資産差し押さえが行われる可能性があります。所得を隠蔽した場合は、刑事罰も対象となり、最高刑は懲役10年以上または1,000万円以下の罰金です。

期限延長申請が可能なケース

確定申告の期限延長申請が可能なケースがあります。やむを得ない理由で確定申告書の提出が難しい場合「災害による申告、納付等の期限延長申請書」を提出することで、期日を最大2カ月まで延長できます。

やむを得ない理由とは、災害や新型コロナウイルス感染症の影響などです。2022年までの提出においては、簡易的な方法での延長申請が可能でした。

基本的には期限内に申告を行うよう心がけ、やむを得ない理由が発生した場合には、迅速に期限延長の手続きを検討しましょう。

確定申告と還付申告の違い

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還付申告とは、予定納税や源泉徴収で納めた所得税が、本来納めるべき金額より多かった場合に、確定申告をすることで還付を受けられる制度です。確定申告と還付申告の違いには下記の2つがあります。

  1. 還付申告は5年間さかのぼれる
  2. 還付申告は住民税に影響する場合がある

1. 還付申告は5年間さかのぼれる

確定申告の申告期間は翌年2月16日〜3月15日までになります。還付申告は所得の対象年(1月1日〜12月31日まで)の翌年1月1日から、5年間にわたって提出可能です。

確定申告の申告期間 対象年の翌年2月16日〜3月15日まで
還付申告の申告期間 対象年の翌年1月1日から5年間

参照:国税庁

たとえば、収入に変動があり住宅ローンや医療費控除がある場合、5年間を活用して払い過ぎた税金を還付してもらえます。

2. 還付申告は住民税に影響する場合がある

還付申告がある場合、課税所得が変化し、住民税や国民健康保険料に影響する場合があります。所得税の還付申告を行った場合、翌年度分の住民税の額が減少されます。翌年度分の住民税の納付がすべて終わっていない場合、住民税の「減額」で反映されるでしょう。

納付がすべて終わっている場合は、住民税の「還付」で反映されます。課税所得が変わることで税金も変動するため、還付申告は注意が必要です。

2024年提出の確定申告アップデート情報

2024年提出(令和5年分)の確定申告では、下記の変更点があります。

  • 申告書が送られてこない
  • 納税地の異動や変更の届け出が不要になる
  • 扶養控除の対象となる国外居住親族の要件が厳しくなる
  • 上場株式等の配当の申告方法の統一化される
  • 収支内訳書にインボイス登録番号が記入できる
  • 特定非常災害にかかる損失の繰越期間は5年間となる
  • 財産債務調書の提出期限が6月30日に延長される

確定申告に関する情報は、税法や規制が変更されることがあるため、最新の公式情報や税務署の発表を確認しましょう。

まとめ

確定申告は原則として毎年2月16日〜3月15日までが期限です。一定の収入のある方はすべて確定申告の対象になります。確定申告を忘れた場合は無申告の状態となり、さまざまなペナルティを課せられます。

無申告で、悪質な税金逃れと判断された場合には、延滞税や無申告加算税が重く課せられる可能性があるため注意が必要です。適切な確定申告や申告漏れを防ぐために、経費の計上に関しては専門家である税理士に相談することがおすすめです。

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よくある質問とその回答

  • 確定申告を忘れたら住民税はどうなる?

    確定申告をしない場合、税務調査を受けた際に、所得税だけではなく住民税も徴収される可能性があります。住民税は、納付期限を過ぎた場合、最大で納税額の14.6%の延滞税が課される可能性があります。

    所得税の確定申告を行った場合、申告内容は税務署から自治体に伝わります。確定申告の内容をもとに住民税の税額が各自治体で計算されるため、自治体の窓口で住民税の申告をする必要はありません。

    住民税は、合計所得金額が非課税限度額以下である場合、申告の義務はありません。国民健康保険税や保育料の算定などで所得情報が必要な場合、住民税申告が必要です。

  • 確定申告でさかのぼって申告するやり方は?

    確定申告をさかのぼって申告する場合、税額を本来より多く申告していた場合と少なく申告していた場合で異なります。

    税額を多く申告していた場合 ・申告期限内に気づいた場合は新しい申告書を期限までに再提出
    ・申告期限後に気づいた場合は「更正の請求」の手続きが必要
    ・申告期限から5年以内までさかのぼって請求可能
    税額を少なく申告していた場合 ・申告期限内に気づいた場合は新しい申告書を期限までに再提出
    ・申告期限後に気づいた場合は「修正申告」をして所轄税務署長に提出

    過少申告をして、申告期限後に気づいた場合は、気づいた時点で「修正申告」をする必要があります。申告書を記入して所轄税務署長に提出しましょう。修正申告に期限はありませんが、できるだけ早く申告することが大切です。

    そもそも確定申告を行っていない場合、調査対象は過去5年分です。5年の間で所得隠しや脱税行為が露見した場合、さらに2年前まで調査対象となります。通算して7年分の税金を徴収され、延滞税や無申告加算税、重加算税なども徴収される可能性があります。

  • 確定申告を忘れた場合に、あとから申告して還付金を受け取れる?

    確定申告の期限に関係なく、還付申告は翌年1月1日から5年間まで申請が可能です。給与所得者は会社が年末調整をするため個人で確定申告する必要はありません。医療費や住宅ローンなどの所得控除が適用される場合は、還付申告を行うことで還付を受けられます。

監修者のコメント
小西裕也税理士事務所
税理士 小西裕也

1990年生 大阪府出身 大阪大学経済学部卒業。個人事務所、200人規模の税理士法人で実務経験を積み、2021年に独立。「お客様との対話を大事にする」をモットーに、クラウド会計を活用し、顧客に合わせた節税策や資金繰り対策を積極的に提案。ZOOMを使ったオンライン顧問サービスを行い、クライアントは全国に。

確定申告すべき人がしなかった(忘れていた)場合だけでなく、確定申告で申告した税額が本来納めるべき税額より少なかった場合には「延滞税」「過少申告加算税」などのペナルティがあります。

確定申告を行うことを忘れていた、もしくはすでに提出した確定申告書の内容に誤りがあると気づいた際は、なるべく早く税務署に相談に行き、正しい申告を行うことをおすすめします。

国税庁の確定申告書等作成コーナーや一般の作成ソフトを使えば、初めてでも簡単に確定申告書を作ることができます。 確定申告が必要かどうかを調べておき、必要な場合は自分に合った方法で手続きを行いましょう。

確定申告書の作成方法など、わからないことがあれば、お近くの税務署の窓口に早めに問い合わせてみて、なるべく早く申告を完了するようにしましょう。
比較ビズ編集部
執筆者

比較ビズ編集部では、BtoB向けに様々な業種の発注に役立つ情報を発信。「発注先の選び方を知りたい」「外注する際の費用相場を知りたい」といった疑問を編集部のメンバーが分かりやすく解説しています。

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