ものづくり補助金とは?必要な書類や申請スケジュールを徹底解説
- ものづくり補助金とは?
- ものづくり補助金に必要な書類や対象の経費とは?
- ものづくり補助金の2024年の変更点とは?
「ものづくり補助金がよくわからない」「2024年の補助金の変更点がわからない」と悩んでいる方、必見です。
中小企業やベンチャー企業が革新的な製品・サービスを開発する資金や生産性向上の設備投資資金を支援する制度が「ものづくり補助金」です。特例制度を活用することで、最大で1億円の支援を受けられるため大型の設備投資に取り組めるでしょう。
当記事では、中小企業やベンチャー企業の経営者に向けて、ものづくり補助金の概要を解説します。補助金の申請に必要な書類や対象の経費も解説するため、参考にしてください。
記事を読み終わった頃には、自社で活用できる補助金の枠がイメージでき、申請に必要な書類の準備を進められるようになるでしょう。
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ものづくり補助金とは
ものづくり補助金とは、中小企業・小規模事業者が取り組む革新的な製品・サービスの開発や生産性向上を目的とした設備投資を支援する制度です。枠・類型は大きく4つにわかれており、補助金額は最大で1億円、補助率は2分の1〜3分の2です。
ものづくり補助金の支援を受けるためには、さまざまな申請書を提出する必要があり、審査を受けて採択されなければなりません。
2024年のものづくり補助金で設定されている4つの申請枠
ものづくり補助金を申請するために必要な基本要件は、以下のとおりです。
- 付加価値額:年平均成長率+3%以上増加
- 給与支給総額:年平均成長率+1.5%以上増加
- 事業場内最低賃金:地域別最低賃金+30円以上
付加価値額は、営業利益・人件費・減価償却費を足した額で、給与支給総額は全従業員・役員に支払った給与の総額が対象です。事業場内の最低賃金は、地域別最低賃金よりも30円以上の上回りが求められます。
上記を満たす3〜5年の事業計画書の策定と実行が必要です。
ものづくり補助金の支援類型は、以下の4つです。
- 省力化(オーダーメイド枠)
- 製品・サービス高付加価値化枠:通常類型
- 製品・サービス高付加価値化枠:成長分野進出類型(DX・GX)
- グローバル枠
枠・類型によって補助上限額・補助率が変わる点に注意し、自社の取り組みにあった枠を選択しましょう。
1. 省力化(オーダーメイド枠)
省力化(オーダーメイド)枠は、生産プロセスの効率化や高度化の達成に必要なデジタル技術の設備投資を支援します。たとえば、工場の受発注業務をシステム化したり、RPA(ロボット)を導入して請求書発行を自動化したりする投資が考えられるでしょう。
補助金額と補助率は、以下のとおりです。
補助上限額 ※()は大幅賃上げを行う場合 | 補助率 |
---|---|
5人以下:100万〜750万円(1,000万円) 6〜20人:100万〜1,500万円(2,000万円) 21〜50人:100万〜3,000万円(4,000万円) 51〜99人:100万〜5,000万円(6,500万円) 100人以上:100万〜8,000万円(1億円) |
中小企業:2分の1 小規模・再生:3分の2 ※補助金額1,500万円を越える部分は3分の1 |
基本要件に加えた追加要件は、以下のとおりです。
- 3〜5年の事業計画期間内に設備投資前より労働生産性が2倍以上となる計画を策定すること
- 3〜5年の事業計画期間内に投資回収可能な事業計画を策定すること
- 外部SIerを活用する場合、3〜5年の事業計画期間内における保守・メンテナンス契約をSIerと締結すること
- 金融機関から本事業の資金を調達する場合は、金融機関による事業計画の確認を受け、確認書を提出すること
2. 製品・サービス高付加価値化枠:通常類型
製品・サービス高付加価値化枠(通常類型)は、顧客に新たな価値を提供するために自社のサービス・製品の開発に必要な設備を支援します。単なる設備投資では承認されず、サービスや製品の開発に利用される必要がある点に注意しましょう。
補助金額と補助率は、以下のとおりです。
補助上限額 ※()は大幅賃上げを行う場合 |
補助率 |
---|---|
5人以下:100万〜750万円(850万円) 6〜20人:100万〜1,000万円(1,250万円) 21人以上:100万〜1,250万円(2,250万円) |
中小企業:2分の1 小規模・再生:3分の2 新型コロナ回復加速化特例:3分の2 |
基本要件に加えた追加要件は、以下になります。
- 3〜5年の事業計画期間内に、新製品・サービスの売上高の合計額が全体の10%以上となる事業計画を策定すること
- 金融機関から本事業の資金を調達する場合は、金融機関による事業計画の確認を受け、確認書を提出すること
3. 製品・サービス高付加価値化枠:成長分野進出類型(DX・GX)
製品・サービス高付加価値化枠(成長分野進出類型)は、今後の成長が見込めるDX・GXに関する製品・サービスの開発に必要な設備の支援です。たとえば、AIやIoTを活用したデジタル技術によって、顧客に新たな価値を提供できるような製品・サービスが対象になります。
補助金額と補助率は、以下のとおりです。
補助上限額 ※()は大幅賃上げを行う場合 |
補助率 |
---|---|
5人以下:100万〜1,000万円(1,100万円) 6〜20人:100万〜1,500万円(1,750万円) 21人以上:100万〜2,500万円(3,500万円) |
3分の2 |
基本要件に加えた追加要件は以下のとおりで、通常類型に条件が1つ追加されます。
- 3〜5年の事業計画期間内に、新製品・サービスの売上高の合計額が全体の10%以上となる事業計画を策定すること
- 金融機関から本事業の資金を調達する場合は、金融機関による事業計画の確認を受け、確認書を提出すること
- DXの場合、DXに資する革新的な製品・サービスの開発であること
- GXの場合、グリーン成長戦略「実行計画」14分野の課題解決になる革新的な製品・サービスの開発であること
4. グローバル枠
グローバル枠は、海外投資・輸出・インバウンド対応・海外企業との協業などの事業において、国内の生産性を高める設備投資を支援します。グローバル枠の対象事業は、新商品・サービスの開発改良、ブランディング・新規販路開拓などの取組みを目的とする事業になります。
補助金額と補助率は、以下のとおりです。
補助上限額 ※()は大幅賃上げを行う場合 |
補助率 |
---|---|
100万〜3,000万円(3,100〜4,000万円) | 中小企業:2分の1 小規模:3分の2 |
基本要件に加えた追加要件は、以下のとおりです。
- 金融機関から本事業の資金を調達する場合は、金融機関による事業計画の確認を受け、確認書を提出すること
- 海外事業に関する実現可能性調査を実施していること
- 社内に海外事業の専門人材を有するまたは海外事業に関する外部専門家と連携すること
- 海外事業(※)の種類による必要な報告書類を提出すること
※海外事業とは:海外への直接投資・海外市場開拓・インバウンド対応・海外企業との共同事業の4種類を指します。
ものづくり補助金の申請に必要な書類一覧
ものづくり補助金の申請に必要な書類は、以下のとおりです。事業計画書には、計画数値を立てた具体的な根拠が必要な点に注意しましょう。
事業計画書 | 具体的取組内容や将来の展望、数値目標などを記入 |
---|---|
補助経費に関する誓約書 | 事業のために使用する旨の誓約書を提出 |
賃金引上げの誓約書 | 直近の最低賃金と給与支給総額を明記し、それを引き上げる旨の誓約書を提出 |
決算書 | 直近2年間の貸借対照表や損益計算書、製造原価報告書、販売管理費明細、個別注記表 |
従業員数の確認資料 | 法人の場合:法人事業概況説明書の写し 個人事業主の場合:所得税青色申告書の写し |
労働者名簿 | 応募申請時の従業員情報 |
「再生事業者」にかかる確認書 | ・再生事業者であることを証明する書類 ・再生事業者のみ必要 |
大幅な賃上げ計画書 | 大幅な賃上げにかかる補助上限額引上の特例のみ |
金融機関による確認書 | 金融機関より資金調達を行う事業者のみ |
海外事業の準備状況を示す書類 | グローバル枠のそれぞれの該当する海外事業に関連する書類のみ提出 (1)海外子会社等の事業概要・財務諸表・株主構成資料 (2)想定顧客が具体的にわかる海外市場調査報告書 (3)想定顧客が具体的にわかるインバウンド市場調査報告書 (4)海外事業者との共同研究契約書または業務提携契約書(検討中の案を含む) |
その他加点に必要な資料(任意) | 成長性加点や政策加点、災害等加点、賃上げ加点などを受ける場合に、添付資料が必要な場合のみ |
ものづくり補助金で補助対象となる経費一覧
ものづくり補助金は、企業の新たな製品開発や生産設備の導入を支援するために提供される補助金です。企業の競争力を高めるために、以下の経費が対象になります。
1. 機械装置・システム構築費 | ・機械、装置や工具、器具の購入、製作、借用に要する経費 ・専用ソフトウェア、情報システムの購入、構築や借用に要する経費 ・改良、修繕、または据付けに要する経費 |
---|---|
2. 技術導入費 | 知的財産権等の導入に要する経費 |
3. 専門家経費 | 本事業遂行のために依頼した専門家に支払われる経費 |
4. 運搬費 | 運搬料や宅配・郵送料などに要する経費 |
5. クラウドサービス利用費 | クラウドサービスの利用に関する経費 |
6. 原材料費 | 試作品の開発に必要な原材料、および副資材の購入に要する経費 |
7. 外注費 | 新製品・サービスの開発に必要な加工や設計・検査等の一部を外注する場合の経費 |
8. 知的財産権等関連経費 | 特許権等の知的財産権等の取得に要する弁理士の手続代行費用 |
9. 海外旅費(グローバル枠のうち海外市場開拓事業のみ) | 海外渡航、および宿泊等に要する経費 |
10. 通訳・翻訳費(グローバル枠のうち海外市場開拓事業のみ) | 通訳、および翻訳を依頼する場合に支払われる経費 |
11. 広告宣伝・販売促進費(グローバル枠のうち海外市場開拓事業のみ) | 海外展開に必要な広告の作成、および媒体掲載や展示会出展等、ブランディング・プロモーションにかかる経費 |
ものづくり補助金2024年の主な変更点3つ
ものづくり補助金2024年の主な変更点は、以下の3つです。
- 大幅な賃上げにかかる補助上限額引き上げ特例の拡充
- 新型コロナ回復加速化特例
- 口頭審査の導入
雇用の多くを占めている中小企業の生産性向上や持続的な賃上げを目的として補助金制度が拡充されています。
1. 大幅な賃上げにかかる補助上限額引き上げ特例の拡充
従業員に対して、大幅な賃上げを行う場合、条件を満たせば通常の申請枠の補助上限額が引上げられる特例が追加されました。大幅な賃上げを行う事業者は、補助上限額が100万円〜2,000万円引き上げられます。
賃上げにかかる以下の要件を満たした事業計画書を提出しなければなりません。
- 給与支払総額が年平均成長率6%以上増加
- 事業場内最低賃金を地域別最低賃金+50円以上の水準
- 上記2点を満たしたうえで、毎年事業場内最低賃金を+50円以上増額
2. 新型コロナ回復加速化特例
第17次締切分から追加された「新型コロナ回復加速化特例」が3分の2に引き上げられました。コロナ禍からの業績回復を目的とし、従業員の最低賃金の引き上げにも取り組む企業を支援します。
「大幅賃上げにかかる補助上限額引上の特例」との併用はできず「給与支給総額」「地域別・事業場内最低賃金」をふまえた要件を満たす必要があります。
3. 口頭審査の導入
ものづくり補助金の審査に口頭審査が追加されました。事業内容の適格性・革新性・優位性・実現可能性などにおける質疑が行われるため、経営者や担当者が事業内容を確実に把握しておく必要があります。
口頭審査はオンラインで行い、ヘッドセットやイヤホンの使用は禁止されています。これまで外部の専門家に多くのサポートを受けてきた企業は注意が必要でしょう。
ものづくり補助金に採択されるためのポイント3つ
ものづくり補助金に採択されるためのポイントは、以下の3つです。
- 技術革新性と独自性を持たせる
- 計画の具体性と実現性がある
- 事業の持続可能性が明確に示されている
申請する際には、他の企業にはない独自性と社会にイノベーションを起こす革新性を積極的にアピールしましょう。
技術革新性と独自性を持たせる
ものづくり補助金に採択されるために、技術革新性と独自性の強調が重要です。申請する事業の技術的な革新性を明確に示し、既存の製品や技術との差別化を図る必要があります。
新製品や技術の開発、先進的な製造プロセスの導入、革新的なサービスの提供など、革新的な要素を強調しましょう。
特許や特許出願、独自のネットワークやパートナーシップの構築なども、独自性を証明する要素です。技術革新性と独自性を明確に示すことで、審査委員に事業の魅力と競争力をアピールし、ものづくり補助金の採択を獲得する可能性を高めましょう。
計画の具体性と実現性がある
ものづくり補助金に採択される可能性を高めるために、計画の具体性と実現性を示しましょう。設備導入のスケジュールやタイムライン、投資予算の詳細な内訳、導入する設備の技術仕様、関連するリソースや人材の確保計画などを明示します。
将来の市場需要や競争状況の予測、リスク管理の計画なども重要な要素です。具体的で現実的な計画を示すことで、審査委員に事業の実行力と成果をアピールし、ものづくり補助金の採択を獲得する可能性を高められます。
事業の持続可能性が明確に示されている
ものづくり補助金に採択される可能性を高めるために、事業の持続可能性を示すことが重要です。持続可能性は、申請事業の将来的な成長や長期的な収益性を評価する要素です。市場の成長性やトレンドへの適応力を明確に示し、長期的な市場の安定性を強調します。
持続可能性の重視は、単に補助金の採択を獲得するだけではなく、将来的なビジネス成功にも影響を与えます。環境や社会への貢献を意識し、事業の長期的な成長と持続可能性を追求する姿勢を明確に示しましょう。
まとめ
ものづくり補助金は、中小企業が取り組む革新的なサービスの開発や業務の生産性向上を支援する補助金です。補助金には4つの枠があり、それぞれ要件が違うため自社にあった制度を選択する必要があります。事業計画書には実現性がある将来の見通しを具体的に記載しましょう。
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