雑所得20万円以下は確定申告不要?副業で得た雑所得について分かりやすく解説

更新日:2021年01月26日 発注カテゴリ: 確定申告
雑所得20万円以下は確定申告不要?副業で得た雑所得について分かりやすく解説

サラリーマンが副業によって副収入を得たり主婦がフリマ販売によって利益を得た場合、いくらから確定申告が必要なのでしょうか。所得の額によっては申告不要ですが、それには厳密なルールもあります。この記事では、必要経費はどこまで認められるのか、雑所得の基礎知識から20万円以下なら申告不要の正しいルール、住民税の扱い、副業の事業所得と雑所得、雑所得がマイナスの場合どうするのか、税率計算方法や書き方まで、確定申告における雑所得の疑問をすべて解決していきます。

雑所得=10種類の所得に該当しない所得

ここでは「そもそも雑所得とは?」という疑問を持っている方に向けて解説します。すでに知っている場合はこのパートは読み飛ばして構いません。

雑所得(ざつしょとく)とは、所得税法35条によって10種類に分けられた所得のうち、利子所得、配当所得、不動産所得、事業所得、給与所得、退職所得、山林所得、譲渡所得、一時所得のいずれにも該当しない所得のこと。

なお、雑所得には「公的年金の雑所得」と「公的年金以外の雑所得」の2種類あります。公的年金の雑所得とは、国民年金・厚生年金・企業年金などの支給による所得で、基本的には年金を受給している高齢者が対象です。(遺族年金、母子年金などは非課税なので申告不要)

「公的年金以外の雑所得」とは、副業で得た副収入のこと。いわゆる「小遣い稼ぎ」の副業で得た収入は「公的年金以外の雑所得」に該当すると覚えておくと良いでしょう。例えば以下の収入は『雑所得』です。

  • アフィリエイトでの収入
  • インターネットオークションやフリマ販売(転売)の収入
  • LINEスタンプの販売収入
  • FX、株取引等による所得
  • 原稿料
  • 放送謝金
  • 仮想通貨の使用で得た利益
  • 印税
  • 講演料
  • 外貨建預貯金の為替差益

仮想通貨の収益については別途詳しく説明した記事がありますので参考にしてください。

「実はこれも…」見落としがちな雑所得

上記以外にも、個人的な貸金に対する利子についても雑所得とします。たとえば、友人に貸した100万円に、何パーセントかの利子も付いたというときには、利子が雑所得となります。他にも以下の内容も雑所得扱いです。

  • 国税通則法58条1項に規定する「還付加算金」と呼ばれるもの
  • 事業所得以外の動産の貸付けによる所得
  • 所有期間が5年以内の山林の伐採または譲渡による所得

また、メルカリなどのフリマアプリに出品・販売して得た利益も雑所得とみなされることも。不用品を処分するために出品した場合は課税対象とならないのですが、以下に当てはまる場合は課税対象となるため、注意が必要です。

  • 1点30万円以上の貴金属、美術品等の売却
  • 給与所得がある方:不用品の処分目的以外の出品且つ年20万円以上の所得を得た
  • 給与所得がない方:不用品の処分目的以外の出品且つ年48万円以上の所得を得た
収入と所得の違いに注意

所得とは収入から経費を差し引いて残ったお金のこと。例えば、アフィリエイトで100万円収入があったとします。この際に売上を立てるために20万円の経費がかかった場合は、所得は100万円ー20万円の80万円です。ちなみに確定申告では「課税所得」という言葉もあります。こちらは「所得」から更に控除などを引いて残った金額で最終的な税金の計算対象となる所得のことです。

「雑所得が20万円以下なら申告不要」の2つの誤解

気になるのがいくらから確定申告が必要になるのかという点でしょう。「公的年金の雑所得」と「公的年金以外の雑所得」で確定申告が必要になるラインが違います。具体的には以下の通りです。

  • 「公的年金の雑所得」:公的年金の収入額が400万円以下であれば申告不要
  • 「公的年金以外の雑所得」:所得が20万円以下であれば申告不要

上記に当てはまる場合は、基本的には確定申告が不要です。とはいえ、確定申告の有無に関するルールは少し複雑。ケースによっては「雑所得20万円以下だけど申告が必要」ということもあります。わかりやすく解説しましょう。

「20万円以下なら申告不要」は年末調整済みのサラリーマンのみ

副業の収益などの雑所得が20万円以下の場合、申告が不要とされるのは「年末調整し所得が確定したサラリーマン(給与所得者)」のみ。この場合は、年間の雑所得が20万円以下であれば申告が不要です。

年末調整を行っていない場合は年間の所得がわかりませんので、雑所得が20万円以下のサラリーマンでも確定申告を行う必要があります。また、個人事業主やフリーランスといったサラリーマン以外の方は、そもそも同ルールの適用外です。

「雑所得が20万円以下」でも申告が必要なサラリーマンもいる

サラリーマン(給与所得者)で雑所得が20万円以下であったとしても、以下の条件に当てはまる方は確定申告が必要になります。

  • 給与2000万円を超えている
  • 2ヶ所以上から給与をもらっている
  • 医療費控除等を受けたい
  • 住宅ローン控除を受けたい など

サラリーマンに絞って確定申告の有無を解説している記事もあります。誤った認識で確定申告を失念してしまうと、延滞税などペナルティをもらう可能性があります。

「今年初めて副業の確定申告を行う」といった方は一度確認しましょう。

雑所得が20万円以下でも住民税の申告は必要

雑所得が20万円以下で申告の必要がないとなると、ついつい忘れてしまいがちなのが住民税の申告。結論から申し上げますと、雑所得が20万円以下だとしても、住民税の申告は必須になっています。

年末調整、確定申告をすると住民税は税務署から市町村に通知されるので不要ですが、雑所得20万円以下の場合は必ず別途役所で住民税申告を行うようにしましょう。ちなみに、雑所得20万円以上の場合は税務署で確定申告を行えば問題ありません。

雑所得で認められる必要経費

必要経費とは、所得を得るために必要な経費のことを指します。収入を得るために直接要した費用の額、その年に生じた販売費、一般管理費、その他業務上必要と判断した額が経費に含まれます。この経費、どこまでが経費として認められるのか不明瞭な部分もあります。

この経費の認識として分かりやすいのは、あくまでも所得を得るために必ず必要なものであったかどうかという点。プライベートで使うスマホ代金や確定申告で所得控除になる生命保険などは経費として認められないので注意しましょう。以下は経費として認められます。

  • 販売するための商品等の仕入や送料
  • ネットショップ等のシステム利用料
  • 交通費
  • 業務のための借入金の利息

なお、一定の先物取引による所得については、他の所得と区分して課税されますので、雑所得に含めない様にしましょう。一見するとプライベートのものと混同されやすそうですが、下記のようなものでも所得を得るために必要な経費とみなすことが出来ます。

  • パソコンやスマートフォン
  • 交通費
  • 家賃
  • 倉庫の賃料
  • 取引先との飲食代やお中元・お歳暮、お祝い金など
  • 販促費・広告費
  • 通信費(インターネット代)
  • 賃貸物件を維持するための光熱費、水道代、ガス代、電気代

物件やパソコンがなければ仕事ができない、仕事をするのに移動が必須で交通費がかかるなどの理由であれば経費として処理できますので安心してください。

私用も含まれる経費は「家事按分」で処理

プロバイダ料金、携帯電話の通信料などのように、内訳をよく見るとプライベート用に使っている部分の他に、業務用に使った部分が混ざっているような費用は地代、家賃、水道光熱費、などでもあると思います。

必要経費になるのは、その経費の主たる部分が事業用で明らかに区分できる場合になります。私用と事業用の割合に応じて経費計上する処理を家事按分といいます。場合によっては、税務署や税理士に相談するのも良いと思います。

ただし、おおよそで必要経費を算出することは認められていません。経費の割合や上限などは決まっていませんが、すべての経費には領収書など証拠となる書類の保管が必要です。

経費計上の有無によって確定申告の可否が決まる

さて、雑所得に関しては収入から必要経費を引いた金額が20万円以上であれば確定申告の必要がありますので、この経費の存在は決して無視できるものではありません。

例えば、収入が22万円で経費が4万円かかった場合は、儲けが18万円で20万円以下になっていますので、確定申告の必要はありません。この考え方を誤ってしまうと、申告の必要がないにもかかわらず申告してしまったということになるので注意しましょう。

節税効果で言えば事業所得の副業が有利

同じ副業でも「事業所得」になるケースがあります。以下の場合は「事業所得」として認められる可能性が高いです。

  • 継続した期間で安定した収入が得られる
  • 儲かる可能性がある
  • 相当な時間を費やしている
  • 職業として認知されている

事業所得として認められると、事業所得で赤字が出ても他の所得で相殺することができます。例えば、給与所得が600万円あるが、事業所得の副業で50万円の赤字を出した場合で考えましょう。

このケースでは事業所得の場合は、600万円ー50万円の550万円を課税所得とすることが可能です。雑所得だと相殺ができないため、給与所得600万円が課税所得となります。

相殺ができる事業所得のほうが課税所得を安く抑えるられるため、所得税や住民税なども雑所得での申告に比べて安くなります。

その他、事業所得の場合、10万円・55万円・65万円の控除が受けられる青色申告も可能です。決算書の作成など確定申告の難易度は高くなるものの、節税効果が期待できます。

雑所得の税率計算方法

雑所得の計算方法については、収入金額から必要経費を差し引いて、雑所得を出すというシンプルなものです。所得金額に対して税率をかけ、控除額を差し引いて税額を算出します。所得税額に、住民税の10%が雑所得に課されます。これは所得金額に関係なく一律10%の税率です。所得税の申告を行えば、住民税の申告は不要です。

一年間の雑所得の金額が20万円を超えると、雑所得は確定申告となります。損失がでても基本的には他の所得とは相殺することはできませんが、所得の種類によっては相殺することができるものもあります。

  • 雑所得が20万円以上の場合

    課税所得を計算し、税額を計算します。不動産所得、事業所得、譲渡所得、山林所得がマイナスの場合は、利益と損失を相殺することもできます。

  • 雑所得が20万円以下の場合の扱い

    雑所得が20万円以下の場合は、申告の必要がありません。

また、印税・講演料についても、支払調書金額−必要経費だけです。事業所得以外の動産の貸付けによる所得も、総収入−必要経費といった形です。所有期間が5年以内の山林の伐採、または譲渡による所得においても、総収入−必要経費非営で、業用貸金の利子も同様の式で計算出来ます。外貨建預貯金の為替差益も扱いは同じ計算となります。

年金や恩給などの公的年金等(遺族年金や障害年金は非課税)は

  • 公的年金等の収入金額−公的年金等控除額
  • 公的年金等以外の収入金額−必要経費

となっています。複雑な計算ではないので覚えておくと良いでしょう。雑所得の金額は、総合課税と言われています。公的年金等の収入金額が、400万円以下の納税者は、その他の所得が20万円以下の場合には、確定申告をする必要はありません。

書き方が難しい、計算が合っているか不安という方は税理士に相談してみると安心でしょう。

フリーランスや個人事業主になってはじめての確定申告という方は不明点も多いはずです。不備のない書類を税務署に提出するために、書き方や計算方法、含めて良いものや含めなくて良いものの切り分けなど的確なアドバイスを貰うことが出来ます。

確定申告における雑所得の書き方

確定申告で雑所得を記載する時、記載が必要な項目名は「公的年金等」と「その他」に分かれています。

確定申告の雑所得の書き方

以下では、公的年金等の雑所得があった場合、公的年金等以外の雑所得があった場合、その両方があった場合の書き方と、記載出来る対象について説明していきます。

公的年金等に記載する対象

公的年金等の項目に記載できないものとしては、遺族年金、害年金、生命保険や損害保険に基づく年金(個人加入)、郵便年金(簡保等)などがあります。遺族年金は非課税で税金がかからないという理由があり、その他は個人で加入しているもののため、公的年金には含まれないという理由があります。

反対に、公的年金に記載出来る対象が以下の項目です。

  • 厚生年金
  • 国民年金
  • 共済年金
  • 恩給(一時恩給を除く)
  • 適格退職年金(自己負担部分を除く)
  • 勤務していた会社から支払われる年金

雑所得の公的年金等は、収入金額(年収)−公的年金等控除額(公的年金等の源泉徴収票に記載の額)で計算します。控除額は65歳以上であるかどうかで変わってきます。

年金を受け取る人の年齢 (a)公的年金等の収入金額の合計額 (b)割合 (c)控除額
65歳未満 公的年金等の収入金額の合計額が700,000円までは所得金額ゼロ
700,001円から1,299,999円まで 100% 700,000円
1,300,000円から4,099,999円まで 75% 375,000円
4,100,000円から7,699,999円まで 85% 785,000円
7,700,000円以上 95% 1,555,000円
65歳以上 公的年金等の収入金額の合計額が1,200,000円までは所得金額ゼロ
1,200,001円から3,299,999円まで 100% 1,200,000円
3,300,000円から4,099,999円まで 75% 375,000円
4,100,000円から7,699,999円まで 85% 785,000円
7,700,000円以上 95% 1,555,000円

雑所得「その他」に記載する対象

公的年金等以外の雑所得を記載する「その他」の欄。その他に記載するのは以下の項目です。

  • 生命保険・損害保険の年金(個人加入)
  • 個人加入の郵便年金(簡保等)
  • 本業ではなく副業で得た副収入(アフィリエイト収入、原稿料、講演料、仮想通貨で得た利益等)
  • 本業以外で不定期・スポットで行った仕事で得た収益

その他に書くのは、先に説明した「雑所得」そのものです。もちろん、雑所得が20万円以下で年収の条件に当てはまらず、確定申告の必要がない人はここに雑所得の収益を記載する必要はありません。

雑所得の計算は、収入金額(年収)−必要経費で行います。生命保険契約や損害保険契約に基づく年金や郵便年金(簡保)の必要経費は、その年の年金額×(掛金等の総額−年金支払開始前に分配された割戻金) / 年金の支払総額で計算します。

雑所得の申告に必要な添付書類

必要な書類についてですが、確定申告書には2種類あります。

  • 確定申告書A様式

    一般的に給与所得者や年金受給者が使用する申告書

  • 確定申告書B様式

    所得の種類に関係なく、誰でも利用できる申告書。個人事業主、事業や農業、不動産で収入を得ている場合はB様式を使います。

その他、以下の書類を準備してください。

  • 給与所得や公的年金等の源泉徴収票(原本)
  • 私的年金等を受けている場合には支払金額などが分かるもの
  • 確定申告書に添付する書類(医療費の領収書等、社会保険料(国民年金保険料)控除証明書、生命保険料の控除証明書、地震保険料(旧長期損害保険料)の控除証明書、寄附金の受領証など)

申告書類の準備ができ次第、税務署に書類を提出します。提出方法は、住所地等の所轄税務署に直接持参する方法、郵便又は信書便で送付する方法、税務署の時間外収受箱へ投函する方法、e-Taxで申告する方法の4つがあります。

なお、毎年申告期間は1ヶ月程度と決まっており、それを過ぎると受け付けてもらえないので注意してください。

まとめ

以上、確定申告における雑所得を解説しました。改めてポイントをまとめると以下の通り。

  • 雑所得とはフリマやアフィリエイトでの収益など副業によって得られた収益
  • 副収入が20万円以下であれば申告不要は年末調整した会社員のみ適用
  • 雑所得が20万円以下でも住民税の申告は必要
  • 収入を得るために直接要した費用であれば上限や割合なく必要経費とみなす

とくに気をつけてほしいのは「20万円以下なら申告不要」の件。こちらは所得税に関するルールで、適用されるのは年末調整を行った会社員のみ。それ以外の方は申告が必要です。

加えて、住民税には「雑所得が20万円以下で申告不要」というルールがありません。そのため、雑所得20万円以下且つ年末調整済みの会社員の方でも住民税の申告が必要です。

近年は「働き方改革」の影響もあり、会社が副業を認める会社が増えてきました。そのため、雑所得の確定申告を行うケースも増えつつあります。「今年始めて雑所得の確定申告を行う」という方は上記のポイントは少なくとも押さえておきましょう。

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