青色申告の控除とは?利用するメリットや適用されないケース2つ

小西裕也税理士事務所
監修者
小西裕也税理士事務所 税理士 小西裕也
最終更新日:2023年07月31日
青色申告の控除とは?利用するメリットや適用されないケース2つ
この記事で解決できるお悩み
  • 青色申告の控除とは?
  • 青色申告特別控除を受ける条件は?
  • 青色申告の控除を利用するメリットは?

「青色申告の控除を利用したいが、受ける条件がわからない…」という方必見!

この記事では個人事業主に向けて、青色申告の控除を受ける条件について解説します。最後まで読めば、控除を利用するメリットもわかります。

青色申告の最大65万円の控除を利用することで、税負担の軽減や経費の明確化が期待できます。青色申告の控除を受けられないケースも紹介しているため、サラリーマンの方もぜひ参考にしてください。

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青色申告では最大65万円の控除が受けられる

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青色申告は、日本の税制における所得税の申告方法の1つです。一般的に、個人事業主や自営業者などの小規模事業者が利用することが多い制度です。

青色申告には最高65万円(または55万円)の特別控除があり、一定の条件を満たす場合に適用され、所得税の軽減に役立ちます。経費や設備投資などを差し引いた所得に対して、最大65万円の控除が認められます。

条件を満たさない場合の控除額は最大10万円

青色申告特別控除には、最大65万円(または55万円)の控除を受ける条件を満たせなかった場合に、10万円の控除が適用されます。たとえば、単式簿記での記帳や貸借対照表や損益計算書の添付がない場合は、10万円の控除が適用されます。

青色申告特別控除を受ける6つの条件

青色申告特別控除を受けるためには、以下の条件をすべて満たす必要があります。

  1. 青色申告承認申請書を提出する
  2. 事業所得や不動産・山林所得がある個人事業主である
  3. 複式簿記で記帳する
  4. 青色申告決算書(貸借対照表と損益計算書も)を添付する
  5. 決められた期限内に確定申告を行う
  6. e-Taxによる電子申告、または電子帳簿保存を行う

1. 青色申告承認申請書を提出する

青色申告特別控除を受けるためには、青色申告承認申請書の提出が必要です。この書類は税務署に提出することで、特別控除の適用を希望する旨を申告します。青色申告をする年の3月15日まで(新規開業した場合は開業後2カ月以内 )に所轄の税務署に提出する必要があります。

2. 事業所得や不動産・山林所得がある個人事業主である

青色申告は、事業所得や不動産所得、山林所得に対してのみ適用される仕組みです。事業所得と不動産所得の場合は、青色申告特別控除により最大65万円の控除を受けられます。山林所得の場合は、特別控除として10万円の控除が適用されます。

3. 複式簿記で記帳する

青色申告特別控除を受けるためには、複式簿記での記帳が必要です。複式簿記は、借方と貸方の二重記録を行うことで、収支や財務状況を正確に把握する方法です。正確な経理記録が重要であり、所得や経費、財産の明確な把握が要求されます。

4. 青色申告決算書(貸借対照表と損益計算書も)を添付する

青色申告特別控除の額は最大65万円ですが、確定申告書に加えて貸借対照表と損益計算書の提出が必要です。

貸借対照表は、企業の資産と負債のバランスを示すデータであり、財務諸表の一部です。財務状況を明確に示すために、貸借対照表の提出が要求されます。損益計算書は、企業の収益と費用を計算し、その差額を利益または損失として示したものです。事業の収支状況を示すために、損益計算書の提出が求められます。

5. 決められた期限内に確定申告を行う

確定申告の提出期間は、所得があった年の翌年2月16日〜3月15日です。この期間を過ぎてしまうと、65万円の控除が適用されないだけではなく、場合により追加の課税や重加算税が発生する可能性があります。

納付期限を確認し、必ず期限内に確定申告を行いましょう。控除や税金の不正確な申告は避け、適切な手続きを行うことが重要です。

6. e-Taxによる電子申告、または電子帳簿保存を行う

上記の条件を満たすことで、55万円の青色申告特別控除を受けられます。最大65万円の控除を受けるには、条件に加えてe-Taxによる電子申告または電子帳簿保存が必要です。

e-Taxは、インターネット環境があれば自宅やオフィスで確定申告や納税、行政手続きなどを行えます。e-Taxを利用することで、最大65万円の青色申告特別控除を受けられるだけではなく、税務署への出向や手書きの書類作成などの手間を削減できます。

青色申告の控除を利用するメリット2つ

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ここでは、青色申告の控除を利用するメリットを2つ紹介します。

  1. 税負担が軽減される
  2. 経費の明確化で経営改善につながる

1. 税負担が軽減される

青色申告では、事業に必要な経費や費用を差し引けます。経費の控除により事業から得た所得が減少し、それに応じて所得税の額も軽減されるためです。実際に納める税金の総額が減り、事業者の手元に残る収入が増えることになります。

白色申告と青色申告で納税額はどのくらい違う?

年間収入が600万円で、経費200万円、医療費控除80万円の場合で白色申告と青色申告の納税額を計算してみましょう。

白色申告の場合は特別控除がないため、収入から経費と医療費控除を引いた額が課税対象となります。600万円−200万円−80万円=320万円となり、所得税率10%をかけた22万2,500円が実際に納める税額です。

青色申告の場合、追加で最高65万円の特別控除を差し引けるため600万円−200万円−80万円−65万円=255万円が課税対象です。255万円の場合は所得税率が10%であるため、15万円7,500円が納める額となります。

2. 経費の明確化で経営改善につながる

青色申告の控除を利用する際は、経費の明確化が求められます。経費の明確な把握は、事業の経営改善に直結します。正確な帳簿管理を通じて経費を詳細に記録し分析することで、無駄な費用の削減や効率的な経営改善策を見つけられるでしょう。

経費の明確化により事業の収益性やキャッシュフローの改善、資金の効果的な配分、新たな投資の機会の発見など、経営全体の最適化が可能です。経費の分析は経営の健全性を評価し、将来の戦略策定に役立ちます。

青色申告の控除が適用されないケース2つ

ここからは、青色申告の控除が適用されないケースを2つ紹介します。

  1. 申告期限を過ぎての申請
  2. 不正確な申告や情報が不足している場合

1. 申告期限を過ぎての申請

青色申告には確定申告の申告期限があり、期限を過ぎると期限後申告を行う必要があります。確定申告は2月16日〜3月15日に行いますが、期限を過ぎると特別控除を受けられません。

申告期限には十分な注意が必要であり、期限内に正確な申告書類を提出することが重要です。遅れてしまった場合は特別控除の適用ができないため、納付金額が増える可能性があります。

2. 不正確な申告や情報が不足している場合

確定申告で不正確な申告や必要な書類の不足がある場合は、特別控除を受けられません。申告書の記載内容や金額の誤り、必要な証明書や支払い明細の提出漏れなどが含まれます。

不正確な申告や情報の不足は税務署の審査で明らかになり、特別控除の申請が却下される可能性があります。適切な記録や証明書の準備を行い、正確な情報を提供することが重要です。

まとめ

青色申告では、事業に関連する経費や控除が利用できます。青色申告の控除を利用することで、税負担の軽減や経費の明確化が期待できるでしょう。

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よくある質問とその回答

  • 青色申告特別控除は法人でも利用できる?

    青色申告特別控除は法人では利用できません。青色申告特別控除は、個人事業主や個人での所得に対して適用される制度です。法人は別の特別控除や税制優遇措置がありますが、青色申告特別控除は対象外です。

    法人の場合、経費や費用の控除などは法人税制度に基づいて行われるため、詳細は税務署や税理士などの専門家に相談することをおすすめします。

  • 青色申告特別控除の計算方法は?

    青色申告の最大65万円の控除は事業利益から経費を引いた金額から、さらに引ける控除です。課税対象となる金額の出し方は以下のとおりです。

    青色申告特別控除の計算方法

    課税対象金額=事業利益−必要経費−65万円の特別控除

  • 青色申告特別控除はサラリーマンでも利用できる?

    サラリーマンや副業の方でも青色申告特別控除は一部の条件を満たせば適用できますが、条件があります。

    青色申告特別控除を受けられるのは、事業所得や不動産所得、山林所得の3つの所得のみです。副業を片手間で行っている場合、多くのケースでその所得は雑所得として扱われるため、青色申告は適用されません。

監修者のコメント
小西裕也税理士事務所
税理士 小西裕也

1990年生 大阪府出身 大阪大学経済学部卒業。個人事務所、200人規模の税理士法人で実務経験を積み、2021年に独立。「お客様との対話を大事にする」をモットーに、クラウド会計を活用し、顧客に合わせた節税策や資金繰り対策を積極的に提案。ZOOMを使ったオンライン顧問サービスを行い、クライアントは全国に。

2020年分より所得税の65万円の青色申告特別控除が改正となり下記の3要件を満たすことで65万円の特別控除を受けることができます。
(1)正規の簿記の原則で記帳(複式簿記)
(2)申告書に貸借対照表と損益計算書を添付
(3)期限内申告
(4)e-taxによる申告(電子申告)又は電子帳簿保存

上記の要件のうち「(4)e-taxによる申告(電子申告)又は電子帳簿保存」を行わなければ、65万円→55万円の特別控除に減額されてしまいます。

これまで自主申告を電子申告で行っていた方や税理士に申告を依頼し、依頼を受けた税理士が電子申告を行っている方はこれまで通り65万円の特別控除が可能ですが、紙で申告書を提出する方は(4)を行わないと65万円の控除ができないので注意が必要です。
比較ビズ編集部
執筆者

比較ビズ編集部では、BtoB向けに様々な業種の発注に役立つ情報を発信。「発注先の選び方を知りたい」「外注する際の費用相場を知りたい」といった疑問を編集部のメンバーが分かりやすく解説しています。

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