これから建設業界で起業する人が知っておきたいポイント

建設業での起業はチャンス

建設業界は大変な状況にあります。慢性的な職人不足のせいで、ひとりひとりの負担が大きくなっているのです。そうなると、その負担に耐えかねて辞めてしまう人も出て、さらに職人不足が進んでしまいます。

職人が不足してしまうと労務費が高くなり、それに伴って企業としての負担も大きくなっていきます。そんな状況だからこそ、新しく起業するチャンスがあるのです。

単純にひとつの企業として会社を興すだけならともかく、建設業では他にも必要なものがたくさんあります。工事の内容次第ではそのまま仕事も受けられますが、基本的には「建設業の許可」があって、初めて建設会社になるのです。

建設業許可は、企業としての形ができて初めて得られるものです。まずはそこまでの流れをチェックしてみましょう。

建設業界で起業するために

建設業で起業するための流れと、そこで必要になるものを見ていきます。一般的な起業とはまた違った注意点があるので、しっかり確認しておきましょう。

起業のために必要な資本金

建設業での起業では、資金が大きなポイントになります。普通の起業なら資本金はそれほど必要ありませんが、建設業の許可を得るためには自己資本500万円が必要なのです。 個人で開業をするなら500万円以上の預金が必要になりますし、会社を設立するにしても資本金枠として500万円を用意しなければなりません。

もちろん、資本金以外に、起業として活動するための備品などを用意する必要があります。事務所はどうするのか、そこで使う機器はあるのか、そして建設業で使う工具類なども用意しなければなりません。まずはこの条件をクリアする必要があります。

起業のための事務所はどこにするのか

どんな事務所を用意するのかで、起業時の負担は大きく変わります。賃貸で借りる方法もあれば、自宅兼事務所という形でスタートする方法もあります。 最初はお金をかけずに自宅兼事務所からスタートし、ある程度軌道に乗ったら、改めて事務所を構える方法でも良いです。自宅を活用するのかどうかは、自分にどのようなメリットとデメリットがあるのかを考えましょう。

自宅を事務所として起業するメリットとデメリット

自宅を事務所にすればお金がかからず、通勤時間もゼロという大きなメリットがあります。借家だった場合は家賃の一部を家事按分で経費にすることもできるので、とても助かるのもポイントです。ただし、仕事とプライベートの境目が曖昧になるので落ち着かない、などのデメリットがあります。

自宅以外の場所を借りて起業するメリットとデメリット

さすがに、起業段階で事務所となる場所を購入するほど資金力のある人はまれなので、自宅とは別に事務所を借りることを前提に、メリットとデメリットをチェックしてみましょう。

メリットは、しっかりとした事務所を持っていることで安定した印象を受ける点です。気にしない人もいますが、事務所が自宅兼用だと信用度が下がるという人もいます。しかし、事務所を借りる場合は賃料がかかりますし、様々な備品を一から用意しなければなりません。そのため、多くのお金がかかってしまうのが最大のデメリットです。

実際に起業する場合の流れ

建設会社として開業する場合には、開業届を出す必要があります。これは税務署へ提出するもので、作業自体はそれほど難しいものではないので安心してください。必要な情報を所定の書類へ記入して提出するだけです。

法人として起業する際に必要なもの

個人事業主としての開業ならそのまま進められますが、法人の場合はその建設会社としての定款が必要になりますし、登記簿謄本の写しなども必要になります。

建設会社として使う銀行口座も必要です。個人事業主なら自分が持っている預金口座を使う方法もとれますが、事業用の口座を別に持っておいた方がお金の動きを把握しやすくなります。自分にとって良い方法を選びましょう。

建設業許可を得る

建設会社として起業するために必要な建設業許可を取得するためには、3つの条件を全てクリアする必要があるので注意してください。

建設業での管理責任者がいること

まず、建設業に関わる仕事での経営経験がある管理責任者がいることです。これは1人以上いれば良いのですが、誰でもなれるものではありません。

許可を得ようとしている建設業種なら5年以上、それ以外の建設業種なら7年以上の経営業務の管理責任者としての経験が必要です。また、経営業務管理責任者に準じた地位で、一定の経験を得ているなどもあります。

建設業での専任技術者がいること

しっかりとした能力を持った技術者がいることも必要です。業種に応じた実務経験が10年以上ある人や、その業種に応じた大学や専門学校の指定学科を卒業して3年か5年（業種によって変わる）の実務経験のある人が必要になります。

また、一級建築士や一級施工管理技士などの資格を持っていることなど、資格面でも高い能力を持った技術者が1人以上いる会社であることが求められます。

起業に必要な500万円の自己資本があること

「起業のために必要な資本金」の項でも触れましたが、最低ラインで資本金500万円は必要になります。

以上、建設業起業許可を得るためには、全ての条件を満たしている必要があります。何ひとつ欠けていても駄目なので、注意しましょう。

建設業許可を得る場合の気になるポイント

建設業で起業するために必要な許可を得る際の条件として、管理責任者と専任技術者が必要になりますが、この2つは同一人物が兼任しても問題ありません。

細かいところまで見ると他にも条件はあります。ただし、これは起業するなら当たり前とも言えることなので、基本的に気にする必要はありません。誠実であること、書類に不備がないことなどです。

まとめ

起業をすること自体はそれほど難しくないので、建設業でも同じように考えてしまう人がいます。しかし、専門的な技術を持った会社として起業するのは、普通の起業よりも難易度が高いのです。

建設業許可を取得するための条件クリアが最優先なので注意しましょう。急ぎすぎてギリギリの状態で始めても、何かトラブルが起きた時に対処できなくなるので、余裕を持って起業することが重要です。 起業することが最終目的と考えるのではなく、そこから安定して経営できるようにすることを意識しましょう。

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